[大咲には、誰とまでは聞かなかったけれど。
あの日、彼女が向けた視線の先に居た人から、
苦笑と共に真面目な回答が返ってきたならば。
なるほど、
……と、腑に落ちる部分があったかもしれない。
言葉の裏に彼女のへの気遣いが見えたから。]
……失礼しました。
今の話は、なかったことに。
[キャスケットのつばを上げて、軽く一礼を向け。
気を悪くするでもなく、来訪を約束してくれることに
ほっと静かに安堵を漏らす。]
いつでも、お待ちしています。
[そう、締め括ろうとして。
聞こえた潜められた声に気づいたら。]