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人狼物語 三日月国


203 三月うさぎの不思議なテーブル

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[紹介が、どんな形であれ。
 高野がそのつもりなら、頷きを返す。

 少し面映ゆい気持ちはあるけれど。
 こそりと打ち明けられた大咲の顔を思い出す。

 密やかに伝えられた報告は嬉しかったものだから。
 それがまた伝染していくように。
 人へと繋がっていくのかもしれない。]


  ……届く?


[泊まりの許可を得た後に返された言葉に、
 一瞬、意味が掴みきれずに問いを重ねれば。
 新たに増やしたという家具は、
 以前に彼の部屋で気に入ったもの。]


  もう一つって。
  …………まさか、俺の分?


[一人暮らしの家に。
 二つある意味はそれ以外には思いつかなかったから。]

 遠いだけならいいんだけどね
 皆の、君の大事なうさぎさんを、
 どんな目で見てんの、アレ。

 同じことされてたら、静かにキレるな俺。

[ 彼の気にする先には、白のうさぎさん
 彼女の親切さに漬け込むような
 些かしつこいように見える。客の風上にもおけない。
 対する彼女はうまいこと、躱しているようだが
 それを目の前で見るのは辛かろう。 ]

 
……あっても教えないよ。

 神田くんはその、明るいとこがいいんじゃん。

 ところでなんで俺が知ってると思ったの?

[ 肩をぽんぽん、と叩く。

 大好きで大事な場所に、
 大好きで大事な人がいる。

 その場を壊すようなことはしたくない、
 それは我ら、共通の願いであろう。

 餅が黒焦げにならぬよう、手伝えれば
 良いのだが、自分にもこの場を打開できるほどの
 策もない。 ]

[並ぶソファに二人で沈む姿を想像して。
 堪え切れずに、声を立てて笑った。]


  っふ、はは……二人で駄目になるんですか?


[その姿があまりにも可笑しくて、
 笑いを抑えるのに少し、苦労したから。
 次に落とされた言葉には、すみません。と。
 断りを挟んでから、拾っただろう。]


  ……してもらっていいですよ。


[予想外の話に、
 さっきまでの緊張が解けてしまったから。]

[ ない、とは言ったけどそうだな。
 たまたまその場を通る事があるのなら ]

 賑やかですね
 でももう少しだけお静かにお願いできませんか

 どうしてって、
 実はその、好きな人に告白しようと思ってて

[ だとか、人たらしのような事を
 言ってみたりはしたけれど、効果は如何程
 だっただろうね。

 白うさぎさんと目があったら?
 人差し指を立てて、 ]

 内緒にしてね、店員さん

[ だとか言っていたかもしれないな。
 嘘も方便とは言うけれど、事実にしてしまえば
 嘘じゃなくなるわけなので。* ]

 
 

  
ソファよりも、
   ――駄目にされたい人がいるんで。




[声を潜めて、甘く。耳元に囁いて。

 その日、
 駄目になるソファが使われるかどうかは、
           もう少し、先の話。]

[そうして迎えることになる次の約束の日は。
 ランチタイムとディナーの準備だけを済ませて、
 早上がりした、夕刻の頃。

 その日を指定したのは、
 オフの日に翌日の仕事を気にして
 その日泊まるよりも明日の休みに向けて
 時間を取った方が、気にしなくていいと思ったから。

 さて、あのソファは間に合ったかどうか。**] 

――後日の話――

[栗栖が自分の彼女と鈍感天然同士という新しい関係をスタートさせたのはこの相談の前だったか後か。
ていうか僕に対するより喋り方がくだけてるよね?
嫉妬心、いつ何で燃えてしまうかわからない厄介なもの。

それでも折角話してくれるのに、冷たく接するなんてこと、しないけれど。]


 ミートボールパスタの日にもういい雰囲気だなって思ってたし、
 3人で食事した日の「デート」の相手として想定してるのは彼女だろうなってのは察してたけど、
 あれからどれくらいかな……結構慎重派だったんだね。

 おめでとう。
 栗栖くんが楽しめるデートを、彼女が楽しんでくれるの最高じゃん!
 あの散歩道、僕も大事な子と一緒に歩いたよ。

[声を潜めてくれる配慮がくすぐったくて笑う。
隠したい訳でも隠さないと面倒が起きる心配もないから、堂々と普通の声音で。
見ない振りを通した偉い栗栖には褒章どころか他人の惚気話まで聞かされる貧乏くじがついてきました。]


 そうそう、登山まで待てなかった。
 正直に「手を繋ぎたいです」って言っちゃった。


[恰好のつけ方は自分もまだまだ勉強中。
教えられるレベルには達していない。
でも多分、彼女に素直に言えるのが僕ら兄弟の長所じゃないかな。
自己肯定感あげてこ!]


 登山は中々ね、マシロちゃんの休みの都合もあるから、
 秋くらいに紅葉観に行けたらいいかなって。
 近くまで車で行くけど、4人乗れるから都合が合えば
 一緒に行く?紅葉狩り。


[ダブルデート。
数か月先だって、自分のところも彼のところも続いていることを信じて疑わない笑みで誘った。**]

 

[ カクテル教育は大咲もここ別の意味でハラハラしていた。
  何せ初手度数18度、ぐでんぐでんに酔い潰れた葉月という
  地獄の様相と文化圏の違いを思い知っているので。
  甘くて飲みやすいカクテルが
  "レディ・キラー"と呼ばれることの、良い説明例だ。
  故に遠藤もスパッと言うべきところを言ったのだろう。 ]


  はい、もう落ち着きました!
  今日はちょっとなんか、料理の余裕あんまりなくて。

  美味しそうなの食べてるのは、見えてたんですけど。


[ 瑞野の鴨南蛮は大咲も食べたい。
  今度賄いで似たようなものを作ってくれないだろうか。
  いやそれ以前に、ここでは白うさぎとはいえど
  彼に軽く一品くらいは作りたかった。

  そんな後悔を声音に乗せて。 ]

 

 

  メロン!
  今日の店長のおすすめですよね、食べたいです!


[ シェアするのは珍しいことではない。
  が、ピザの時のように店員としての遠慮を示さず、
  素直に食べたいとねだるのは恋人だからだ。

  合間に話をしていた内容を聞けば 
 三つ目には「ぁー……」と
  思い当たる節がないわけでもない大咲は
  むむ、と悩ましげな声を上げ ]


  もっとスマートにお断りする練習、します…ね…?


[ 彼氏が出来てから、自分磨き、というものを
  更に努め始めた効果がちょっと、良くない方にも
  作用していたりするのかもしれない。 ]
 

 

  視線の強さ……は……よく分かんないです、けど
  神田さんのために可愛くなりたくてああなっちゃうなら
  今度から、神田さんのものだって印で も  ……


[ ──いや待ってください大咲流石にこれは気付きます
  自分でもなんか言ったなって分かります。
  差し出されているメロン一切れが
  新しいカトラリーではなく、貴方が使っていたものだとも
  しっかり気付いているんですからね ]


  …………メロン、ください……。


[ 小さく口を開けて、あむ、と。
  彼の手を引いて自分の口元まで運び、そのまま口に含んだ。
  ここだと何かしら料理してしまうことが多いから、
  メロンそのままの味もシンプルでとてもおいしい。
  果汁が喋って乾いた喉を潤してくれる。
  そのままさっきの言葉も流れますように。 ]

 

 

[ 苗字で呼ぶというけじめを付けているのに
  彼の手ずから、同じフォークで一口食べるなんて
  閉店間際で客も疎らとはいえ、これは境界線超えだ。

  でもなんだか マーキングしてくれているみたいで
  不謹慎だけれど、ちょっとうれしい、と
  思ってしまったものだから ]


  私、そのままの神田さんが好きですよ
  
それ以上かっこよくなっちゃったら、
……お仕事中に線引き出来なくなりそうで、や、です



[ まあ、春は出会いと別れの季節とも言う。
  一過性のものだろう。たぶん。
  見た目で彼を好きになったわけじゃないから、
  鍛えたいと思うなら止めないが。

  それより先に、例えば、……帰る場所が同じになれば
  お互いの香りが移り合って、虫除けにならないですか。 ]

 

 

  今日、賄い食べずに帰るし仕込みもないので。
  一緒に帰りましょう。


[ 待っててください、と紡いで微笑めば
  鴨肉がまたもやバズった日の帰り道を
  今日も手を繋ぎながら帰れるはず。* ]

 

 

[ ところで、本日の絶妙ラインを攻めてくる人に関して。
  そろそろ「お客様」を強調するかぁ、と考えていた大咲を
  面倒事からさらっと救ってくれたのは
  兄のように慕う瑞野の、視線の先にいる人物。 ]


  ── ぇっ


[ あのMVが瞬時に脳内再生され、瑞野の顔を思い出し、
  まさかまさかと心が湧きたつ心地がした。
  お客様方にはそれが「イケメンに照れる店員」と見え
  ついでに、格好いいセリフをするりと零せる
  高野にも敗北感を覚えたらしい。静かになった。

  聞きたい。ものすごく聞きたい。
  どうかその相手が、優しい紺色うさぎでありますようにと。

  が、目が合った彼が人差し指を立て、紡ぐ台詞に。 ]

 

 


  …………ッな、ないしょに、します……
  がんばってください……


[ 拝啓、瑞野お兄ちゃんへ。

  もしかすると、貴方が見つめながら微笑んでいたこの人。
  料理名をあんまり覚えらない時の柔らかさだけではなく
  実は、色々すごい人かもしれません。

  助けてくれたお礼と、桜咲け、のお祈り両方。
  大咲は思わず胸の前で掌を握った。* ]

 

[ 恋愛対象、で言うと。
 自分たちを棚に上げられないのだけど。 ]

 そこは俺もそう思う。

[ 顔見知り程度の関係はそこそこ長く
 続いていて、つい最近友達に名乗りを
 上げたところだが、以前は派手に遊んでるな
 と思ったこともあるくらいだから。

 まぁしかし、せっかく掴めたチャンスの帰り道に
 いついつまでも剥れた顔を見せていては
 もったいない、ので。 ]

 もし君が誰かにそういう目で
 見られたとしても、すっぱり断れるくらい
 良い男で居たいね。

[ ――ここまでのやりとり、決して男らしい
 ところは見せられていないけど、総合点を
 狙っていきながら、愛しい夜に似合いの
 愛おしげな表情を浮かべよう。 ]

 そう、届く。
 あはは、そうだよ、他に誰が使うの

[ サプライズにするような考え方は、
 あまり、ない。相手がそれを望めば別だけど。
 
 まさかと言われればたまらず
 笑い出す。遅れて君も。 ]

 そ、二人してダメになる。
 一つじゃ狭いな、と思ったときには
 ポチってた。

[ 今日は、よく笑うな。こんなに笑ってくれるなら
 最速での配達を頼んだ甲斐もあるというもの。

 お店でのクールな対応しているところも、
 後輩の面倒見ている兄貴分なところも、好きなんだけど

 こういう君を、見られるのは特権、だと
 思っても良いのかな。 ]

[ すみません、と断りを挟まれて
 ま、そういうのはこれからゆっくり

 とか、考えてた俺は完全に
 油断してたよ。 ]

 え

[ してもらっていい

 ドキッと。に返された言葉である。
 続いて囁き入れるようにされた言葉に、
 動揺から足を止めてしまうくらいには、油断してた。 ]

 ……すごい事、言うなぁ

[ 一気に体温が上がったので、
 繋がれた指も、顔も、熱くなる。
 これでは鼓動が早まるのも、隠しようはない。

 本人曰く、甘えたい方、という事らしいが
 これもその延長上の言葉だろうか。

 あれから何度もその言葉の意味を
 探ろうとしたし、実践できるなら
 していたと思うが、どうしたって
 敵わない。 ]

 そういうとこも、
好き
だよ

[ もう店内での出来事なんて、すっかり
 忘れてしまっていたのだけど。

 何度でも君に、
をしそうな夜だった――。* ]

―― 次の休み ――

[ 翌日を休みにし、日中は仕事をすると聞けば
 自分も昼までに仕事と予定はすべて済ませた。
 
 部屋の掃除を終え、食材の買い出しも
 スーパーにね、行きました。

 それからもしかしたら、初心者でも
 簡単に作れるものを、いくつか
 作ったりもしたかもしれない。

 漬けておくだけのピクルスとか
 ちぎって和えるだけのキャベツと塩昆布の
 サラダとか。

 今日はね、ダメになる日って決めているので
 足りないものは、出前も辞さない。

 泊まりなら、といくつか酒も用意してる。
 昼過ぎに例のアレも届いた。 ]

 ……おかえり
 これたまに、店で皆が言ってるでしょ
 言ってみたくて。いらっしゃい、どうぞ

[ 感極まって、来たばかりだというのに
 ぎゅう、と抱きしめてしまったけれど、
 いつまでも玄関先には居られないので
 早速、だめになりそうな方へご案内。* ] 

メモを貼った。


 そう?
 一回誤解しかけたよ。
 返しがあまりに大人だったから
 すぐに勘違いってわかったけど。

[高野と二人隣の席で食べた日に誤解しかけたのを思い出して苦笑する。
そこから「そうじゃないなら……?」と推測していた部分もあるので、名探偵には程遠い。]

 色んなこと踏まえたらね
 完全に言わないって選択肢もある筈なのに。
 ……嬉しいよ。

[教えて貰っていれば、これから先彼等が困りそうな時に何かしら助け船が出せることもあるかもしれない。
アリバイ作りだったり、隠れ蓑だったり。

此方からは「お幸せに」等のわかりやすい言葉は言わない。
新規客もちらほらいる今日の店内、悪意が潜んでいないとも限らないから。]

[だが自分の方ならば是非大っぴらにしてほしい。
そう、わかってくれるか、同士よ。]

 キレてないように見える?
 こういう時は、能天気な顔つきを恨むよね。

 高野さん、ほら、途中まで敵だって信じさせる眼力の説得力がさ……

[若い時でアレだし、とテレビで見たシーンを思い出す。
肩を叩かれると、唇を突き出してぶすくれた。

演技力の高いイケメンの助け舟はいつだってほしいですありがとう。
助けてもらっておいて、その場面で彼女が「イケメンに照れる店員」みたいな顔をした時に一瞬お腹の底がぐるっと蠢いたのはごめんね!]

[シェアと言えば彼女は疑わないだろうと思っていたのだから自分は狡い。
無邪気にお裾分けをねだる声色が本当に愛おしくて、この声を聞いている店内全員の耳を塞いで聞こえなくしてやりたい衝動に駆られる。]

 や、マシロちゃんは悪くない、
 ちゃんと断ってるのにしつこい奴はね、
 どんな断り方をしても聞かないからね、

 物理的に君から離す方法を高野さんに相談してたってわけ。

 さっきはありがとね、高野さん。

[スマートに邪魔をするのが似合う男に、僕はなりたい。]

[だからまずは眼光を鍛えるかという話だったのだが。
最近ますます可愛くなった僕の白うさぎさんは、本当にすごいことを言うね?!?!

思わず息を呑んで言葉に詰まったのは仕方がないだろう?!?!?!

固まってしまった腕が導かれ、フォークの先が小さな口に包まれる。
手に伝わる彼女の歯が果肉を攫う感触。

今はもう自分の口の中にはメロンは残っていないのに、甘い。
真白が嚥下するのと同時、喉を鳴らす。]



 
…………僕がもう線引きできなくなりそうなんだけど。



[やっと出た言葉は掠れていた。
店内で「好き」と口にする彼女は今は線引きをしているつもりなのか?

かっこよくなるどころか後退していないだろうか。
顔から熱が引かない。]



 マシロちゃんこそ。
 可愛さを発揮するのは僕の前だけにしてよ。
 
いますぐ印、つけたくなっちゃうでしょ。



[まだ店内、念仏のように唱えつつ。
もう閉店にしませんか、だめですか。

早く白うさぎさんを連れて帰りたい。*]

 




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