145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】
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青年はその日の朝、いつかのように食堂に現れた。
未だジャステシア、彼女の姿がないのなら小等部の整列には貢献したが、
それでもやはりあまり多くは、小さな子どもたちには触れ合わなかっただろう。
その日は食事を選ぶ列にはあまり長く並ばず、少しの食事だけを取り。
誰のものでもない一人部屋へと、誰にも告げずにそっと身を隠した。
食堂から姿を消した当日から暫く経って。
どこにも姿を見かけなかった男は、
次に別の人が姿が消えた日、唐突に食堂に姿を現した。
最も、元々仏頂面だった男は顔色は常に悪いまま、
随分と落ち着かない所か、手が震えて食器すら持てない。
何かに怯えるように結局食事にも手を付ける事もなかった。
イシュカ
食堂からの去り際、普段と様子の違う貴方を見かけて。
青年は少しだけその傍で立ち止まったかもしれない。
けれども結局掛ける言葉は見つからず、固い靴が歩き去る音だけが残った。
いつものように皆が揃っていることを確認する声も。
見えなくなってしまった者の代わりとして働く姿も。
今まで朝食に欠くことのなかった明朗快活な少年の姿はどこにもない。
ともすれば喧しいとも称された少年のいない空間は、
不気味なほどに静けさに包まれているように感じられるか。
誰かに教えられた誰のものでもない部屋で、一人で食事をする。
*テラはこの日も姿を表しませんでした
*かわりに
*校舎裏の隅にひっそりと
*少年が使っていた防護服が一式
*疲れ果てて座り込んだ人のように
*打ち捨てられていました
*ひっそりと、ひっそりと
| まるでくじ引きでも引かれてるかのように、 この班の子達は、一人ずつ消えていく。
しかし、イシュカもバットも戻ってきている。 他の子達が姿を現さないのも――時間が全てを解決するだろう。
それなのに、不安を煽るような現状だけが ただただ、上手く作り上げられていく。 現に私ですらバラニの話を聞けば、僅かに制止していた眉が動いた。
「――え? どうしましたか〜。 はい、ええ。なにがあったんでしょうね……聞いてきて欲しいんですか? 怖いって?」
食事を終えて歩を進める。 約束も破って、相まみえることのなかった同僚の元へ。 (15) 2022/05/05(Thu) 0:18:34 |
| >>+1 イシュカ 「イシュカ、どうしたんですか。 トマトが沢山載ってるお皿をもってこられたわけではないでしょう? 調子が悪ければ早めに暖かいものでも飲んで部屋で休んで下さい〜。 生徒達が心配していますよ」 心配するような台詞を携えて無表情は話しかける。 普段通りに、長くなった髪を揺らして。 「立てないなら手伝いますが、手はいりますか?」 (16) 2022/05/05(Thu) 0:18:57 |
【とある日の診療録】
「僕には 出さないって言っただろ!?あ、アオツキだって一緒じゃないか! は一緒なのに、僕は あいつは で、“こんな事”を黙認してるのはどっちも同じで……!」
「くそ、くそくそくそッ!!何が嘘つきだよ!僕は嘘なんて吐いてなかった!僕に勝手に嘘つきのレッテルを張って、誤解ってわかってるくせに放置して……ッ、それで……ッ」
「……なんで、僕を本当の嘘つきにさせるんだよ……」
約束していた事は沢山あった。
契約ではなくとも、むしろ違うからこそ学生時代に意地でも拒絶していたそれらをやり直そうとしていた。
男にとっては、内容自体はささやかな物でも、
それが持つ意味は彼の中でずっと大きかった。
「……ッ……なに、何だよ、僕は間違ったこと」
……だからこそ、その日。
約束を悉く反故にさせられて、
男が最も嫌う嘘つきに仕立てあげたのは、
治療よりも苦しめ蝕む事になる。
「………ぁ、な、なに。ぅあ、やめッ、やめろよッ」
「い、いやだッ!嫌だ嫌だいやだぁっ!だ、だれ、か、」
「たす、け」
アオツキ
「……え、……ぁあ、」
ようやく気付いたように視線が合う。
元々覇気のない目は、光そのものが失われたのかと言うほど生気すら消えかけている。
「……?心配してないなら、いいだろ。
手伝わないのに何の……あれ、違う……?」
最初こそぼんやりしていたものの、唐突に目を見開いてから、眉間に手を置いて考え込む仕草。
フォークを手に持っていたのを忘れていたため床に転がる金属音に、更に意味がわからないと困惑を隠せない舌打ちが響く。
| >>+6 イシュカ 「言葉遊びでもしていますか?」 眉をピクリと動かし、瞳を覗きこむ。 軽口をかえせるような様子ではない所から冗談ではなさそうだと感じた。 「流石にその様子は生徒を不安にさせかねません、 私は放っておくことができませんね〜」 私は嘘をつけないのに、困った男だ。 「言い換えましょうか〜。 今のイシュカは、ここにいない方が迷惑になりませんよ」 「私は授業があるので面倒はみません、自分の部屋に行って下さい」 持ち上げるように手を引いて、立ち上がる。 近くの生徒には心配しないでください、といつもの言葉を吐いた。 ここ数日で何人を食堂から連れ出したかを思い出す。 昔自分も掴まれたような気がしたが、遠い記憶の彼方。 食事の時間は毎日なにかが起こる、それが、ここでの日常だ。 (18) 2022/05/05(Thu) 4:21:59 |
アオツキ
「……してない。……」
言葉遊びへの否定。
貴方の言葉に対して咄嗟に浮かぶ不快感。
余計にに険しさを増す表情も、時間によって思考が整理できるのか
やや間を置いた後に眉間の皺と共に僅かに和らぎはするが。
「ああ、うん。わかって……
クソッ、割とこんがらがって来たな……」
気遣われている事だけはわかるが切り替えが柔軟ではない。
今の時点で一度変換してる為に再変換で混乱している。
慣れが来るかもこれまで味わった事がないから不明だ。
「って、足は別に使えるっての……!
戻るから、もういい。平気だ。知ってる。
教師になるのに僕みたいな奴は見てる暇ないだろう」
引かれた手を軽く払う。
触れる際に怯えのように一瞬目を瞠ったのを即座に消した。
これ以上何か言われる前にと、貴方の声かけのお陰で休む気にはなったのか、重い体を引きずって食堂を去ろうとするだろう。
| >>+7 イシュカ 「同僚……いえ、まだ先生の身にもなっていない君を見捨てるほど薄情でもないんですよ〜。 私はみなくてはいけない子がたくさんいますが、イシュカもここにいる限り対象です」 仕事のうちであること、そしてただの私情であること両方を混ぜて説明をする。 君は生徒のようで生徒ではない、先生のようで先生ではない特別なくくりだ。どう扱うかマニュアルにはあまりのっていない。 「まあ、君も私よりも構う相手がいるみたいですし 後で埋め合わせはしてくださいよ。 しばらく待ちぼうけを食らって機嫌が悪いんですから」 それでも食堂を去るまでは共にあるき、 程よいところでその背を見送ることにしただろう。 (21) 2022/05/05(Thu) 10:57:38 |
アオツキ
「……構う相手?」
居ただろうか、と言う顔をした。
小等部の事か、同室者か。或いは色々と被ってる後輩か。
どれもあまり構うと表現しない為、
余りしっくりこなさそうに疑問符をつけたままだ。
「あ」
そしてこれは今まで他者の事を考える余裕が欠片もなかった為、待ち合わせを無視してしまっていた事にようやく気付いた声。
更に不快にさせたかはともかく、
この場は食堂を去った後に軽く言葉を伝えて、別れた。
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