【人】 部隊長 シュゼット[>>144起き上がろうとする彼の腕を押さえて首を振る。 身体に力も入らないようだし、声だってか細くて。 今はとにかく、無理をしてほしくは無かった。 細く開いたその唇が動いて、 また何か、言葉をかたちどろうとしている。 僕は、彼の口元に耳を寄せた。 水が欲しいのだろうか、どこか痛むのだろうか。 何かあるならなんでもするから、 あぁ早く、いつものように。 楽しそうに僕に意地悪なことをしてくるような そんな彼に戻ってほしい。 そんな僕の思いとは裏腹に、 ルークから聞こえてきたのは意外な言葉。 驚いて彼の顔を見た僕の唇は震えて、 暫く何の音も出せなくて―――] (199) 2020/05/23(Sat) 17:48:12 |
【人】 部隊長 シュゼット[やがて。ぽつ、ぽつ、と落とした言葉は 今、痛みで苦しいのはルークのほうだというのに 泣くのを堪えるのがわかるように、震えていた。] ……はは。 やっぱり、ルークはおかしいよ 軍医なのに。僕を、名前で呼ぶなんてさ。 それもこんな時に呼ぶなんて。…卑怯だ。 [他の軍医は僕を兎だの被検体だのと呼ぶ。 ……いや。そんなのはいいわけだ。 そんな違いなんて、本当はどうでもよかった。 "卑怯だ"なんて言ってしまったけれど そこに、嫌だとか悪い気持ちは微塵もなかった。 >>147彼が初めて名前を呼んでくれたのは、 何故だか、酷く、僕を泣きそうな気持ちにさせた。 悲しくはないのに胸が苦しいような。そんな心地。] ……うん。 大丈夫だ、ルーク。ここに居るのは、僕だ。 [今ここに居るのは、 さっきまでいた、ルークを傷つけた奴ではないと。 僕は彼にそう伝えたかっただけのはずだった。 でも、ルークへ言い聞かせるように言った僕の言葉は 他でもない僕自身へ強く響く。 ―――大丈夫。まだ、僕は、僕のまま。 君が呼んでくれた"僕"は、ここに居る。] (200) 2020/05/23(Sat) 17:52:51 |
【人】 部隊長 シュゼット ……腹、か。 [動かせないほどではなさそうだし、 傷を確認するなら、ここでやるのも良くないだろう。 僕はルークを抱き抱え、近くのベッドへと運ぶ。 軽いかと思っていた体は予想よりは重く。 重さの理由は、運ぶ途中で見えた彼の足が教えてくれた。 "事故に遭った"というタブレットの記述を、思う。 金属の脚を持つ彼に、金属の片腕を持つ自分。 お揃いのようだと思った言葉は、 そのまま口にせず、飲み込んだ。 僕の右腕は、彼の脚とは違う。 事故に遭ってこうなってしまったとか、 そういう理由じゃなくて、きっと、 ……これはこの世界を害する目的で、 故意に、元々あった生身の腕から 挿げ替えられたものなのだと、思う。 ベッドに横たえると、ローブを剥がしてやる。 現れたふわふわの耳に、大ぶりの尻尾。 はぎ取った黒布とは真逆の色であるそれらは 夢で見た、見渡す限りの白い世界の色を思い出す。 僕は目を細め、その白色に見惚れてしまいそうになったけど すぐに、今はそれどころじゃないと小さく首を振った。] (202) 2020/05/23(Sat) 17:57:04 |
【人】 部隊長 シュゼット ごめん。少し、見せてほしい。 治療が必要な場所、他にあるといけないから。 [僕は医者ではない、ただの兵士だ。 診る前に相手を安心させる術などよく知らないけれど。 ルークの痛みが和らいでほしい一心で。 身体を守るように巻き付き、震え、強ばる尻尾を 力を抜いてくれるまで、何度も撫でたんだ。 そのまま、彼が嫌がらなければ、 腹部を押さえる腕と一緒に、横へずらす。 外から見たところは大丈夫そうだと思いつつも、 念のため―――、と。シャツを剥いだ時。] (203) 2020/05/23(Sat) 17:57:36 |
【人】 部隊長 シュゼット["控えめ"ではあるけど、胸のあたりとか。 肉付きは薄いけれど、それでも、 全身の体のつくりとか。色々。 そろそろと左手を伸ばして、喉元に指が触れる。 よく触っても、喉仏の存在は見当たらない。 そのまま、ぺたりと胸元を触って。 ……すぐ、手を離したと同時に。 ぼふん、と。顔が一気に赤く染まる。] (205) 2020/05/23(Sat) 18:02:13 |
【人】 部隊長 シュゼット ご、ご、ごめん……!! 僕、もう少し、え、えぇっと、 脱がす、配慮を、…… [僕がベッドの脇で慌てているところで、 ペンギンが治療用具を取ってきてくれた。 それに気づいた僕はもう、安堵したのなんのって! 助かった!グッドタイミング!! 流石、ルークのお供のペンギンだ!! 僕はペンギンの頭をわしわしと撫でる。 きっとこの子は、自分の仕事ぶりを褒められたのだと そう思うだろうけれど。 実は違うことなんて今言うわけがない。] うん、そうだ! まずはその頬と、首を。治療しないと。 [脱がしかけたシャツを着せるのも 慌ててしまい、上手くボタンが嵌らない。 それでもなんとかシャツを着せて。 切れてしまっている部分の治療を済ませれば。 僕はよろりと立ち上がって、 医務室の隅っこで壁の方を見て丸くなる。 ……ルークがこれ以上の酷い大怪我をする前に 間に合って、治療もできたことはよかったけど。 やらかしてしまった後悔と反省がすさまじい。] (206) 2020/05/23(Sat) 18:09:55 |
【人】 部隊長 シュゼット ……うぅぅ。 こんなつもりじゃ…… 僕、もう、ルークに合わせる顔がない… [それはルークからさほど離れていない壁際で、 沈んだ兎の言葉は、全て張本人に筒抜けだ。 ルークの方から見れば、ふわふわの赤い丸尻尾が 哀れにも、一定の間隔で震えているのが見えるだろう。 そろそろ立ち上がって、ルークを元気にするため、 僕が持ってきた夕飯を分けてあげないと。 ……そうは思うが、もう暫くは立ち直れそうもなかった。 丸くなった傍の棚に、 見張り台に置いてきたはずのタブレットがあることには 僕はまだ、気づくこともなく]* (207) 2020/05/23(Sat) 18:11:41 |
部隊長 シュゼットは、メモを貼った。 (a24) 2020/05/23(Sat) 18:15:26 |
【人】 部隊長 シュゼット[>>224ルークの声に、肩がびくりと震える。 ゆっくり、ゆっくり、後ろを振り返って。 >>225悪い笑顔を見て、勢いよく首を振る。] そ、そんなつもりじゃ、 確かに見た目じゃわからなかったけど、 …………あ。 [しまった、と口を押えるがもう遅い。 これでは、控えめだと言ってしまってるようなものだ。 もう何を言い訳するにも無理だろう。 >>226医務室で、ルークに苦い薬を飲むよう脅されるような そんな恐ろしい気持ちで耳と尻尾を震わせる。 ……でも、こんな状況だって言うのに。 僕は懐かしさや嬉しさを感じていた。 懐かしいのは、こういうやりとりに対して。 嬉しいのは……ルークが元気を取り戻してきていることと 僕に向ける言葉や、笑顔の中に、 彼……いや、彼女の感情がよくみえるようになったこと。] (273) 2020/05/24(Sun) 1:36:17 |
【人】 部隊長 シュゼット[『もし、あなたの感情を取り戻す 助けになれているなら、僕はとても嬉しく思います。』 タブレットの返事に書いたあの言葉が 今、実現していると。そう思っていいのだろうか。 前は、ルークが僕と話すとき、 もう少し声の調子は平坦だったと思う。 昔は機械のようだったけれど、 今はこうして皆と同じように話せる自分と、 昔は情緒面も感覚も正常だったはずなのに 事故で己の感情を上手く認識できなくなった、ルーク。 できればこれからも近くで、できれば、ずっと。 彼女の助けになりたいと思う。 そんな風に思うのは、 ルークが僕と逆の状況のようだからとか、 沢山のものを貰い、助けられてきたからだとか。 きっと、それだけじゃあ、ないんだろう。] (278) 2020/05/24(Sun) 1:43:42 |
【人】 部隊長 シュゼット[ここまで、わかっているっていうのに。 僕はまだ、日記をやりとりしている先がルークだろうと 本人に確認する勇気が持てなかった。 僕が、取り返しのつかないことになる前に。 できることは全部するべきだし、 もしかしたら何か取れる対策が無いか、 相談するべき相手は、 どう考えても、日記に返事をくれた相手なのに。 >>230あと一押しが、僕には必要だった。 臆病な兎は、自分から踏み出すことはできそうにない。 そんなことができるなら、はじめから。 この先誰もみないかもしれないタブレット端末に 誰かに相談したいと思いながらもできていない、 自分の記憶に関わるかもしれない内容など 書くわけが無かったのだ。] (281) 2020/05/24(Sun) 1:44:44 |
【人】 部隊長 シュゼット うぅぅ……それで、許してくれるなら。 [>>227彼女の手の動きは、 きゅっと一つに結ぶような、そんな仕草。 僕はげんなりとため息をつき立ち上がると、 帽子の隙間から垂れ下がったロップイヤーを 両手でふにふにと触ってみる。 胸のあたりまで垂れているふわふわの兎耳は、 結ぼうと思えば結べそうな長さだった。 結んだら、結び目は顔の前に来る感じだろうか。 そうなったら喋りにくくなりそうだなあ。 ……なんて、場違いなことを考えていたら。] うん?開けて、中を見れば、いいのか? [>>230戸棚の中、と言われ、 頭の上にはてなマークが浮かぶ。 ペンギンは中に何があるか知ってるんだろう。 嬉しそうに渡してくるその子から鍵を受け取って、 わからないまま戸棚の方へと向かった。] (283) 2020/05/24(Sun) 1:46:11 |
【人】 部隊長 シュゼット ……待ってた、って。 そうか……もしかして。 [>>1:406勿論、僕も忘れたわけじゃなかった。 今日も、そのつもりで夜にここに来るつもりだった。 すぐ気が付けなかったのは、 ルークの手当とか彼女の服を脱がせてしまったりだとか その、色々あったのがいけないのだ。 戸棚の前までくる頃には、予想がついていて。 なにがあるのだろう、と。 隠せないわくわくで、丸い尻尾が揺れ。] わぁ……これ、ルークが? しかも、僕の好きな、苺だ…………! [鍵を開けた瞬間に。ぱち、ぱち、と瞬きをして。 眠さと疲れでいつも以上に垂れていた兎の赤い目は、 驚きで大きく見開かれた。 中に入っている瓶二つと、お茶の袋を取り出して。 それらを診察の机の上に持ってくれば、 瓶を持ち上げて下から見たりしてよく観察する。 やっぱり、思った通り。 ジャムの底には苺の実が沢山沈んでいて、 赤色の液体は宝石のようにきらきらと輝いて見える。 もう一つの方は何だろうか、と。 蓋を開けて匂いを嗅いでみた―――瞬間。 苺の甘酸っぱい香りが鼻を抜けていって。 僕は一気に、顔を綻ばせた。] (287) 2020/05/24(Sun) 1:49:17 |
【人】 部隊長 シュゼット 凄いや。お茶も、あまり苦くないやつだ。 ……そうだ。ちょっと待ってて。 お茶を入れて、スープを温めるよ。 手当が終わったら、あげようと思ってたから。 [僕が持ってきたのはパンとスープ。 本当は、僕の夕飯用だったのだけど。 僕は今の体調でこれを全て食べる自信は無かったし 早く怪我を治してもらうため、 ルークに栄養をつけてもらうのが大事だ。 流石に、医務室に本格的な調理器具はないけれど お湯を沸かしたりスープを温めるぐらいはできそう。 料理はてんで駄目な僕だが、温めるぐらいならできる。 ペンギン君には、「ルークを見ててね」と頼んで。 僕はスープを小鍋に移して弱火でじっくり。 焦げないように、必要以上にかき混ぜて。] (291) 2020/05/24(Sun) 2:11:25 |
【人】 部隊長 シュゼット[少しして。ルークの寝ているベッドの方へ パンとスープ、お茶の乗ったトレーを運んでいく。 パンの側にはジャムの小瓶とスプーンを置いた。 全部ルークに食べてもらうつもりで置いた後、 ジャムとパンが目に入って、ごくりと喉が鳴る。 僕の反応は、お腹が減った、というより。 味がとても気になる……というのが正しい。] 全部食べていい、つもりだった、けど。 僕も、ルークのジャムでパンを食べたい。 ルークが僕に、って思ったら。 すぐ、食べてみたくなっちゃって。 パンを少し、貰っていいかな。 [僕は、ベッド横の椅子に座った後はそう言って、 すっかり緊張が解けた様子で緩く笑うと。 食べていいかなあ、とルークをちらちらと見ていた。 ……けど。視線が合ってしまったとき 服を脱がしてしまった時のことを思い出して。 ああいう状況に慣れていない兎の頬に、赤が差した。] (292) 2020/05/24(Sun) 2:12:37 |
【人】 部隊長 シュゼット[無事、お相子にしてもらえてパンもくれたなら ジャムをたっぷりつけて食べるだろう。 ほっぺたがとろけるような味わいに 幸せ満点の顔で、パンをほおばる。 ―――この後はまた見張りにいくけど 返事が来てても、新しい夢はないから 書くことが無いなあとか。 今まで日記に書いてない夢もいくつかあるから それを書くことにしようかなあとか。 食べながらそんなことを、呑気に考える。 返事をくれる相手はルークだろうと思っているから 今、僕は日記のことを考えていたのだが。] (294) 2020/05/24(Sun) 2:19:05 |
(a26) 2020/05/24(Sun) 2:20:53 |
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