人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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  ……いたい


[傷を袖で拭って、唇を巻いた。赤黒い染みが袖口に残る。まだ口の中に鉄錆めいた味がする。唇の傷は、小さくても出血量が多くなる。]

[唇を重ねたその一瞬だけ、白昼夢の続きを見たような気がした。しかし咬まれたその瞬間に自分の死を連想したし、別にそれでも構わなかった。

 死ぬのが怖い、とは思わない。
 誰かに殺されるのをずっと待っていた気すらする。
 死にたくない、と思わないわけでもない。
 それでも、生きることも死ぬことも、自分には許されていないのだと、そんな気がしている。]


[いつ、“その時”が来てもいいように。]**
 

 
  怖くないのか。


[すぐ隣の気配に尋ねる。
 彼女の行動がとても不思議だった。

 殺意を否定はしたが、不意に血を流させた相手だ。
 寄り添ってくる意味がわからない。

 けれど、怯えずに傍にいてくれる人の存在には安らぎを感じた。
 人間でなくなった今、人間の命を奪い続けながら生きている今、自分がいるべきはこういう人の傍なのではないか。]

[“在るべき場所”とは、



 ……どこなのだろう。


[私の記憶は、欠片も失われていないはずなのに。

記憶を失った武藤に合わせているうち、なんだかまるで、武藤との間には最初から肉体関係なんて無かった……みたいな感覚になっていたかのようで。

触れられるあちこちに小さな灯がともって次々に飛び火していくようだし、さして意図的じゃない風な指の動き一つにも背が揺れ足が跳ねてしまう。

それを、私はどこか信じられないような心持ちで感じていた。

全部身体は知っている事で、武藤の家で最後に身体を重ねたのだって、何週間も前とかではないという記憶だってちゃんとある。

でも心のどこか一部分だけ、半年前に置いてきぼりになっているような感じがして、私は小さく困惑していた。

なんで私は、"目、閉じてて"とか"オレの触るとこだけ意識して"という武藤の言葉 に逆らえないんだろう。

なんで私は、"いい子"って囁いている声 に、背がぞくぞくするほどの嬉しさを感じてしまうんだろう。]
 


 ……っ、ぅー…………。

[色気の欠片もない風に唸ってしまうのは、問いかけのようで問いかけじゃない"嫌じゃないよな" が、その通り図星だったから。

触って欲しくないと思ってしまっているのは間違いないのに、強引に触れられれば、身体も心も悦んでしまう。]

 ……や、ぁ…………っ、だ、め……、

["本当に嫌な時は蹴り飛ばす"という約束を武藤と交わしている以上、口から出る"嫌"も"だめ"も、結局のところ、嫌よ嫌よも何とやらの効力しかないとは、お互いが認識していることだけれど。

それでも、自分の足の間から漏れ聞こえてくる水音はどうにも恥ずかしくて、小さな拒否の声を挙げてしまう。

ぐり、と、中の好きなところ──それがどこかということも、私はちゃんとは知らない──を擦られれば、それだけでどうしようもなく下肢が重たく崩れていくような感覚が溜まっていった。]
 


 …………っと、らぁ……。

[酔いと眠気と混乱で、思考なんてろくに回ってくれてはいない。

柚樹、と呼ばれて返すのは、呂律が怪しくなって"むとう"が言えなくなった時限定の、武藤の愛称だった。

なんだっけ、普段、何でもない時に呼ぶと、色々やばい……んだっけ。

"とら"は武藤の家族や大学の友人たち(なんなら女子からも)呼ばれている呼称なのに、私が呼ぶとおかしなことになるんだって。]

 ……っ………………。

[理性は溶けているくせ、羞恥心はしっかり残っているものだから、"気持ちい?"にも、煽るような続く武藤の台詞にも、肯定とも否定ともつかない風に首を振るしかできなくて。

己の足が武藤の胴を挟んで大きく割り開かれるのを、どこか呆然とした風に見つめていた。]
 


 っあ……っぅ、ぁ……ッ。

[胸の弱いところを再び吸われ、足の間、敏感な肉芽を擦るように屹立がなぞりあげていく。

それだけでおかしな声が出てしまうほどの刺激が走ったし、びくりと沿った背が、まるでもっとという風に、胸を突き出させてしまって。

  ────でも。足りない。


沸き上がった思いに、今度こそ否定に首を振りたくなったのだけど、求めるものは、すぐには与えて貰えなかった。

焦らす風に肉棒が前後し、その度、耳を塞ぎたくなる水音が室内に響く。]
 


 や、だ……っやだぁ……っ。

[なんでくれないの?と見上げ、交わした視線に浮かんでいた色は、お互い、どんなものだったんだろう。
私は相当に浅ましい顔になっていた気しかしないけど。]

 好き、なとこ……っ、ちょ、だい……。

[ねだるように腰を揺らめかせたら、貫いてもらえるだろうか。

混乱は残ってるくせ、一番に欲しいのはこれということだけは疑いようもなくて、私はおずおずと腰を揺らしてみせた。*]
 


  ……べつに。


[椿は素っ気なく答えた。]


  あのまま殺しても、良かったのに


[自分だって同じことをしたかも知れないのだ、怖がる理由がなかった。]

[大きなガラス戸越しに外を眺める。東から染み出した黒が夕焼けの橙も黄昏の紫も西の果てに追いやって、辺りは青みがかった闇に浸され始めていた。

 少し肌寒い気もする。
 何か作ろうか、とも思ったが、食べる気もしない。楓も何も言わないから、同じようなものなのだろう。
 茶を淹れにキッチンに立って、湯が沸くのを待つ間にカウンターの下の棚を漁る。紅茶の缶がやたら充実していて、中には茶葉のようだが全く知らない名の記されたラベルがついているものもあった。

 特に冒険はせず普通の紅茶を選んで、缶をしまおうとしたところで、奥に幾つかの小瓶が見えた。手にとってラベルを確認して、ポットと一緒にそれもトレイに乗せる。]

[部屋の中はもう青みも抜けて十分に暗かったが、薄暗さに慣れた目には特に不都合もなかった。
 トレイをテーブルに置いてカップを並べ、紅茶を注ぐ。それから、さっき見つけた小瓶の中身を小匙にほんの一杯、カップの中に垂らす。
 楓の視線を感じたなら、椿はにこりとして小瓶を楓の方へ向ける。]


  少し冷えますから、毒でも飲むことにします。
  あたたまるのよ、いかが?


[物騒な冗談をにこやかに放ちながら掲げた、スキットルほどしかない小さな瓶。そのラベルには、派手な飾り文字で“ラム”と記されている。]**

[彼女の素っ気ない言葉に寂しさを覚えた。
 死が怖くないのだろうか。
 死を望んでるのだろうか?

 唇の感触と血の味を思い返すと、どうしても彼女が“食べたい”気はしてくるのだが……。
 殺したいわけではない──肉を味わいたいという感覚は少し違う。
 抑え切れないほど食べたかった相手に感じていた狂おしさとは通じるものがある気がしても、そこまでの衝動でもない。
 ではこれは、なんなのだろう。

 考え事の種がいくつも頭の中を廻っていく]

[彼女が一度離れた後、湯を沸かす音がしていた。
 それから、何か探す音。
 彼女が立てる物音に、楓はじっと耳を傾けていた。

 やがてテーブルに何か置かれたのに気付き、視線を向けると、紅茶の用意がされている。
 彼女が毒と言いながら掲げる瓶には“ラム”の文字


  ……少しだけもらう。
  たくさん入れんなよ、吐くから。


[下戸を申し出ながら身を起こし、ソファに座り直した。
 彼の馴染みある飲み物は紅茶ではない。だが、今は味わってみたい気分だった]**

[触れる肌の熱や返ってくる反応は記憶に近いものだという感覚はあるのに、どこか戸惑っている風な声や表情に違和感とモヤモヤとした感情が湧き上がってくる。

ひどく酔った時だとか、理性が飛びがちになった時の行為の仔細を柚樹が覚えてないことはあるけれど、その度思い起こさせるようにしてしまうのは珍しいことじゃないにしても。

自分が記憶をなくしていたことを棚上げにして、オレに合わせていたからか柚樹の感覚が戻っているような様子にオレは不満があるみたいだった。

全部覚えてて欲しいし、忘れないで欲しい、なんて、執拗に覚えてるオレの方がおかしいことかもしれないけど。

でも、柚樹が忘れてるなら思い出させるからいいよ、と記憶にある“好きなところ“に指や唇を辿らせて。

自覚はなくても覚えているらしい身体の反応に惑っているような声に熱が混じってくると、ゾクゾクとした感覚が背中に走った。]

 ……っ、ふ……、また、ダメって言う……
 気持ち良くてダメって意味でいい……?

[漏れ聞こえる声勝手な解釈を口にしても、遠からずだと思っているから悪びれる気もなくて。

ちゃんと聞いててというように、蜜壺に挿し入れた指で内壁を擦っては指にまとわりつく液をかき混ぜる。

途中、敏感な箇所を指腹で押し上げて、奥深くを掻くと熱いとろりとしたものが溢れて、くちゅくちゅと淫靡な水音が増すのに、ずくりと下肢に血が回るのを感じた。]


 柚樹……、だから、煽ってる……?

[切ない声で“とら“と呼ばれると否応なしに、既にきつく感じている下着の中のものがわかりやすく脈打って固さを増す。

そう呼んでくれと大体の相手に言ってきている愛称だし、耳馴染みのあるものなのに。
柚樹にも最初“武藤君“と呼ばれた時、“君“はいらないし、トラとかトラちゃん♡でもいいよとか言ったっけ。

“武藤“の呼び方を選ぶことは想定していたから、もうすっかり定着したけれど、“とら“の方だけは、体を重ねて柚樹が切羽詰まったりうまく言葉が発せられないような時にだけ呼んでくるものだから。

柚樹の発するその二文字は、行為中の諸々を連想させるせいで、耳にするだけで興奮を覚えてしまう、パブロフの犬みたいなものなんだろうか、とにかくいろいろとまずいものだった。]

[着たままだった上着を脱いで、下衣の前を寛げると、とっくに臨戦態勢然として反り返った熱が勢いよく飛び出してきて。

濡れた秘所へと押し当てればすぐにでも深くまで貫いてしまいたかったのだけれど。]

 は、……っ、かわい……、

[此処も好きだったはずと柚樹の胸に執心したまま、自分の熱は二の次にして、手指でまさぐって唇で吸い上げては、快感を拾い始めている様子に熱が増していく。

体を跳ねさせた拍子か突き出された胸を舐って薄い皮膚を強く吸うと、肌に赤い痕を散らした。

入口を擦り上げる度に当たる陰核が膨れて固くなっていくのを擦れる屹立に感じて、そろそろ挿れたい気持ちは限界に近く。]


 やだって何が……?

[胸元から顔を上げ、柚樹の顔を見下ろす形に丸めていた背を伸ばせば、瞳を覗き込んで。

ちゃんと言って、とはぐらかしても、柚樹の意図が伝わっていることは交わした視線で気づかれてはいただろうけど。

慾の色が滲んだ瞳にぞくりとしたものを覚えて押し当てたままの雄芯が脈打つ。

求める言葉が鼓膜を揺らせば、笑みを浮かべて一度唇を重ねると、抱え込むように首裏に腕を回した。]

 ん……、柚樹の好きなとこ……、
 奥まであげる、ね……、……ッ、

[濁された言葉を正す必要もないのだけれど、好きなとこを教えるとは言ったものだから。

回した腕で敷いた身体を固定して、入口を滑らせていた屹立の先端で閉じた中心を押し開くと、そのまま一息に内壁をこじ開けながら奥までを穿った。]


 ッ……、ぁ……ッ、く……、

[先端が、ごつ、と奥を叩く感触に息を詰まらせると、熱い粘膜に圧迫された雄芯がどくどくと脈打つ。

急速な刺激に背を震わせれば、数秒くらいの間の後、詰めていた息を吐き出して。

あ、避妊……、とは熱に浮かされた頭で思い出したけれど、今は夢の中だし大丈夫だろうか。

風呂も入ってないし、ってことは気にした方がいいのも今更すぎるんだが。]

 このまま、しても大丈夫……?

[否と言われても難しいとは思いつつ、頭に浮かんだ諸々の懸念が柚樹に伝わるかはわからないものの、頬に手を当てて問いかける。

答えも聞かないうち、腰を緩く引くと、幾度か中を慣らすように腰を揺すってはしまったけれど。

肯定が返ればそのまま抽挿を開始するつもりで、答えを促すように頬や眦に唇を落とした。]*


 ううっ、めちゃくちゃ笑ってんじゃん……!

[アスルという人はなかなかいい性格をしているらしい。
その後のフォローもフォローになっていないし。
ロマンは分からなくもないが、寝転んで読む小説の場合は良いけれど――前はよく勝手に幼馴染の部屋にお邪魔し、ベッドでうつ伏せに読書しながら帰りを待ったりしていた――現実になると大変なのだ。

でもアスルの、伝わってしまったことを隠さない明け透けな様子は、こちらの心を軽くもしてくれた。
変に気を遣われるよりよっぽど良い。

清々しい風が吹き、深く息を吸った。]

 ……。

[丸まりながらも聞こえる、静かな呟きの声。
アスルにも色々と思うところがあるのだろうか。]


 あのさ、……思ったんだけども。

[もそもそと丸まり虫が起き上がる。]

 アスルさんは旅の途中なんだったよね?
 で、私もよく分からない迷子旅が始まったってわけだ。

 どれくらいの付き合いになるか分かんないし、そもそも、お世話になりっぱなしなんだけど、ほら、まぁ。
 少しの間でも、旅は道連れってことで?
 あと旅の恥はかき捨てとも言うし?

[後者は良い意味ではないが。]

 私のこと教えたんだから、アスルさんのことも教えてよ。
 嫌なこととか、恥ずかしいことは良いからさ。
 どーせ私はここの誰にもバラしたりしないし、……元の世界の幼馴染に言ったって困らないだろうし。


 旅して楽しかったこととかー。
 ひとりだと寂しい!ってなったこととか。

[目を細めて柔らかく笑う。]


 あー! 空ならなに叫んでも許される気がする!

 雅空兄ぃの料理ばかー!

[急に大きな声で叫んで。
バランスを崩しかけ、あははっと豪快に笑ったのだった。

そうして空の旅は一先ず次の停泊地まで続く。*]


 ぅ、ちが、くない、けど……っ、ぁ……、ちが、くて……ッ……ぅ。

[理性がある時は、武藤がねだること全部に従おうとする必要はないし、問うてくること全部に答える必要はない、とは、解っているのだけれど。

どうやら無意識下、武藤をリーダーと認識しているらしい私は、理性が溶ければ溶けるほどに、武藤の言葉に従順になってしまう。

"気持ち良くてダメって意味でいい?"なんて恥ずかしい問い に、首を振るくらいの反応でも良いはずなのに、喘ぎ混じり真面目に答え、声を跳ねさせるくらいには。

身体の裡を容赦なくかき混ぜてくる風な指も、ちょっと意地悪な事を言ってくるのも、全部、私が知っている武藤。

なのに、戸惑う心だけが、未だ、心の真ん中あたりにぷかぷかと浮いているようで。]


 ……?……ぉ、て、とか、ない…………ッ。

[まさか、武藤のご実家に遊びに行った時、飼い猫の虎千代さんを"とら"と呼んだ──だってお家の人皆がそう呼んでいたから──ことにすら、武藤が微妙な顔をしていたとまでは知らぬまま。

煽ってなんかない、呼んだだけだと、首をふるふると横に揺らす。

本当、なんで武藤は私が呼ぶ"とら"にそこまで過剰反応するんだろう。

他に数多そう呼ばれている場面を目撃しているだけに、未だに私は今ひとつ腑に落ちないでいる。

"むとう"って、だって、会話もままならない感じになってくると、とても呼びづらいものだから。

  なんか、武藤、怒って……?
  いや、ほんの少しだけだけど、苛立って、る…………?


告げられる、もう十何度目か何十度目かの"かわいい"に、反射のように"そんなことないのに"という風な感情を瞳に乗せてしまうのが理由の一つなのだとは、全く思い至らない。

それでも、"ちょうだい"と口走るほどに切羽詰まっていけば、"よくできました"とばかり、漸くに欲しかったものが与えられたのだった。]
 


 ふ、ぁ……ッ!あ……あ、んぅ……!

[焦がれるほどに欲しかった灼熱が、容赦なく身体の奥底を貫いてきて、背が浮き上がるほどに身体がひくひくと跳ねてしまう。

口を大きく開いたところでうまく呼吸も出来ず、過ぎた刺激に見開いた目からぼろ、と涙が零れていった。]

 ぅ、く…………っ……ふ。

[最奥で、武藤が脈打っているのを感じるけれど、その鼓動が武藤のものなのか自分のものなのかも、もうわからないほど、頭も身体もぐずぐずで。]

 …………?、の、まま……?……ぅ、

[問われた事 に、何の事?と、もやのかかった頭をなんとか回そうとはしたんだよ。
でも、色々無理だったし、ここは夢の世界で、"このまま"では良くない何かというのも、ちっとも思い至らなかった。]

 このまま、が、いい……。

[離さないで、いっぱいして、という風に、武藤に強くしがみついた。]
 


 ぅ、く……と、らぁ……っ……、

[涙がちっとも止まらないのは、揺さぶられ、与えられる快楽に身体も心も追いつかなかったからだったのだろうと思う。

すごく。すごく今更ながら、こんな状況で"私の武藤が戻ってきた"という実感が沸いてきたというのもあったのかもしれない。

先刻とは比べようもないほどに、はしたない水音がずっと下肢から響いていたのだけれど、もうそれを恥ずかしいと思う理性も消え去って、私はひたすらに武藤にしがみついたまま、名前を呼んでいた。]

 き、ざんで……、っとら、……いる、て……、

[溺れたように零した言葉は、武藤に届いていたのかな。

"武藤が間違いなくここにいると、刻んでほしい"と。
私は多分、そう言いたかったのだと思う。*]
 


  あら、可愛らしいのね。


[揶揄うように言いながら、紅茶をマグカップに注ぐ。秋の並木道が描かれたカップは、薄暗い中では木の葉の赤が沈んで真っ直ぐに伸びた道だけが白く浮き上がって見える。]


  じゃあ、ほんの少しだけ。


[軸の細い、小さな匙に半分だけの酒を紅茶の表面に浮かせるように静かに垂らす。砂糖のような甘い香りがほんのりと漂い、これだけ僅かな量ならアルコールの苦味はほとんど感じないはずだが、口にすれば体の芯から熱が生まれるような感覚が得られるだろう。]

[テーブルの前に膝をついて用意をしていた椿は楓の分のカップをテーブルに置くと、また膝を抱えるように座り直した。]


  冬にはよく、こうしてお茶を飲むの。
  よく温まって、気持ちよく眠れるのよ。
  飲み過ぎたら、怖い夢を見てしまうけれど。


[今は黒にしか見えない赤い花柄のカップを両手で包み込むように膝に乗せる。右手の袖口には、黒い染みが残っていた。椿はそっと唇をカップに当てる。傷は塞がりかけているようだった。熱いカップが傷に触れないように、少し顔を傾けて水面を吹く。]