人狼物語 三日月国


260 【身内】Secret

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[ 噛み締めるように名前を呟いた。
  会話で意識を向けさせるためでも何でもない。
  ただ、自分が呼びたいから、そう呼んだ。

  再会した時は、幼い頃と違って
  名前呼び自体を面と向かっては厭われず
  表面上は許されたようにも聞こえたけれど
  ──自分ですらそれが本当に許されるなら

  今までの、彼に近しい人たちは、? ]


  

 

[ 私にとっての“らいおん”の響きは彼だけ。
  そこに肉食獣の影なんてひとつもない。

  彼だけ見つめて、彼だけを望んで、
  なにもかも煮詰めた砂糖色の声。

  まるでわたしはおとぎ話の魔女みたいだ。
  甘く美味しく作り上げたバッドエンドへの道。
  無警戒な存在に毒林檎を齧らせて、
  最後には裁かれてしまう悪いひと。 ]

  

 

[ 望まれない命は不幸だ。
  今ですら正しく彼を愛せない自分ひとりで何が出来る。

  命で縛り付ける気なんてない。
  わたしのはわたしだけのもの。
  ──アフターピル、って便利でしょう?
  ベッド横のデスクに幾つか予備を置いてある。

  わたしは少しづつ兆し始めた熱に触れて、
  嬉しさを隠しもせず顔を綻ばせた。 ]


  好き、──大好きだよ、お兄さん


[ 愛を囁かれても萎えちゃうだけかもね。
  どうせ今夜限りの魔法の夜なら
  喉すら焼けるような蜜も許してよ。

  りんご飴、わたしとなら食べ切れるでしょう? ]

  

 

  これでもう、わたしを忘れないよね
  これでもう、綺麗な思い出として消えないよね

  ────なにかある度に痛む傷になって
  忘れたくても忘れられないくらい、
  痛くて熱い存在になれるよね?


[ 本当にわたしが羊だったら、
  本当に貴方が獅子だったら。

  食べて貰って貴方の血肉になって
  そしたら、好きな人の一部として生きていけて
  ──なんてろくでもないたられば話。 ]

  

 

[ 彼の熱芯をやさしく、柔く包み込む。
  これは愛を交わす行為ではなくて、
  わたしの一方通行で、彼を苦しめるだけ。

  過度な愛撫も快楽も必要無い。
  あくまで生理的反応で仕方なかった、って
  彼が言い切れるように────なんて

  加害者がせめてと与えるものなんか、
  害を与えた時点で無意味か。 ]


  ……お兄さん、目、閉じててね


[ 挿れる、だけなら不都合ないようになるまで
  熱を甘く柔く触れて、擦って、刺激を与えれば
  わたしは彼の反応も見ずに己の下着をそっとズラした ]

  

 

  ────ッ、


[ ろくに慣らしてもいない中へ熱を入れれば
  さすがに痛みが訪い、すこし眉を顰めた。

  それでも人体とは不思議なもので
  防衛本能で分泌される愛液が刺激を緩和し、
  膣肉も広がって、熱を難なく飲み込んでいく。

  ───これがわたしの、望んだ形。
  欲しくて欲しくて仕方なかった熱も
  やっと手に入れた彼の傷も。 ]

  

 

[ 叶っていくのに。叶っているのに。
  どうしてこんなに虚しいばかりなのだろう。
  ────どうして。

  わたしは、 ]


  ………………っふ、あは、は

  お兄さん、……だいすき
  ……あいしてるんだよ、本当に……


[ 目から流れたものはただの汗で、
  きっと目を閉じていれば彼は気付かない。

  誤魔化すように笑って、身体を動かした。
  中に彼の熱を吐き出させるためだけに、
  それだけを目的にした虚しい動きで。** ]

  

[白雪姫は毒林檎から救ってくれた王子に惚れた。
殺害を命じられても、自らが罰を受けるかもしれないのに
見逃してくれた狩人でもなく、
森の中で出会った自分の何倍も大きな姫に
衣食住を提供してくれた小人たちでもなく。

恋とはそういうものなのだろう。

ルミの人生で、自分と過ごした時間よりも
長く見知った顔もあったかもしれないが
恋をしたのは自分だった。

それ自体には何の罪もないが、
そこから王子は白雪姫の手を取ったのに対し
自分はルミの手を握ったままでいられなかったから
物語は誤った方向に進んでしまったのだ。]

[過去には自分がたくさん呼んでやると言った名前を
この10数年で口にしたことはあっただろうか。
自分の名前程人名として珍しい訳でもないが
親しくした中に同じ名前の女性はいなかった。

別の人間を「ルミ」と呼ぶことを
無意識に忌避していたのかもしれないが、
そんなことは目の前の「ルミ」の気持ちの慰めにも
ならないだろう。]


 ……っ、


[ああ彼女は痛かったのか。

他に誰も彼女の痛みを手当てする人間はいなかったから
自分にとって「思い出」とカテゴライズされた日々は
彼女にとってはまだ鮮明な「今」なのかもしれない。]


 …………………うん


[きっと後にも先にもその呼称を許すのは彼女にだけだ。
甥が喋るようになっても「おじさん」と呼ばせる心算だから。

「お兄さん」が後ろにつくなら名前も平気な気がした。

実際には、ルミにとって初めて触れた「らいおん」が
自分の名前だったから許せただけかもしれないが。]



 …………………ルミ


[所有権を否定しなかった理由を、
上手く喋れない所為だと思うだろうか。]

[生理的反応でも嬉しいものなのか。
この手は彼女を抱き締めることはなく
瞳も閉じられたままなのに。]


 …………ゃめ、


[そんなことをしなくても、
1人の男と女として知り合っていれば、
今ならば思い出を今に出来たのに。]

[弱弱しい声だけの抵抗も空しく陰茎に圧がかかる。
引き攣れるような圧迫が痛くて歯軋りした。

恋ゆえに繋がりたいなら、何故その裡は愛液で
満たされていないのか。
摩擦で生じる滑りは自分の勃起と同じ生理的反応で、
まるで自らも痛むことを課しているようだ。]


 ………………な、 ぃて、ンの、か、


[掠れながらも口を動かして声を発する。
力を込めれば手も動かせることに気づいた。
その手を使って虚を突けば、彼女の強姦行為を
辞めさせることが出来るかもしれないが。]

[ルミの言葉はまるで本心を誤魔化すような印象を受けた。
あいしてると言いながら、相手からそう思われないことが
自分でもわかっているかのような。]


 なでられ、ンのと、 …一人でっづけ、 ンの、
 どっち、


[このまま騎乗位を続けていれば、徐々に感覚を取り戻している
下肢が身体的本能で放熱することは免れない。
それを阻止しようという計算からの問いではない。

ルミ自身が欲しいのは、セックスしたという事実ではないと
ルミが気づいたのではないか。

ただ、泣いている子を撫でたかった。
そしてそれを彼女にも望んでほしかった。

それだけ。**]

 

[ 恋は万有引力なのだと誰かが言っていた。
  ツバキの花が落ちるように音もなく、
  りんごの実で堕ちたように先もない。

  原初の罪というものがある。
  禁断の果実を齧って神に背いた二人の話。
  彼らには口にせず共に在り続ける未来があったのに
  罪を犯してでも手にしたい何かがあった。


  それならば、この恋は。
  わたしと貴方、原初の罪出会ったこと
  ──その対価は。 ]

 

 

[ 初めて食べたアイスの甘さも。
  焼き芋の舌を焦がすような熱も。
  名前を呼ばれることの嬉しさも。
  誰かに花をあげることの情動も。
  貴方と同じ名前の生き物がいることも。
  痛みも苦しみも愛しさもなにもかも。

  貴方が与えて、貴方は消えた。
  ────忘れようとするたびに、あなたを思い出す。 ]


  …………なぁに?
  これでもまだ名前で呼んでくれるんだ。

  そうすれば逃げられるとでも思ってる?


[ 力も抜けて上手く喋れない状況なら、
  いっそわたしに絆された振りをして
  隙を突いて逃げる方が現実的かもしれないものね? ]

 

 

[ 今更男と女として知り合うなんて出来やしない。
  もう一度最初からの幻想は夢のまま。

  出会い方が選べないなら、
  手離し方は選べるのが人間だよね?
  ────今度はわたしがそうする番。

  一緒に同じ傷を負って。
  何を見ても、なにに触れても、どんな日常でも
  わたしを思い出して、──死ぬまで傷の中で会おうよ。
  制止の言葉は聞いてあげない。

  かさぶたを剥がして傷口を抉って貴方を手にする。
  夢すら果てる程に焦がれたこの結末が、

  ──きっと何よりも喜べるはず、だった のに、 ]

 

 


  …………?

  ……あぁ
  お兄さん、薬切れ始めちゃった……?


[ 先程よりも明確な音になった言葉を耳に入れ、
  わたしは問いに答えず小さく呟いた。
  視界の端で彼の手がすこしずつ動いている。

  身体でも押すか、力に任せて暴れるか。
  薬剤の追加投与なんて危うい真似は出来っこない。

  ならばと抑えつけるために、彼の肩へ
  そっと手を伸ばそうとして── ]

 

 

[ 真意が読めなくて、わたしは目を細めて動きを止めた。
  滲んだ視界を晴らすように眦を拭ってから、
  途切れ途切れに紡がれる言葉へ耳を傾ける。 ]


  嘘つき。
  そうやって、またわたしから逃げるくせに。

  ストーカーにそんなこと言ってまで逃げたいの?
  ──殺さないって最初から言ってるじゃない。
  ああもう、どいつもこいつも、そうやって……!!


[ 唇を噛み締めて、自分の腕に爪を立てた。
  傷付いてくれと願った以上大差はないだろうけれど、
  物理的に傷を負わせたいなんて思ってはいない。

  行き場のない激情を彷徨わせながら、
  わたしはもう一度、彼の顔を じ、と見下ろして。 ]

 

 


  ………………………。
  …………逃げたら死んでやるから。


[ 目論見通りにはいかないと続けることは出来ただろう。
  けれど同時に、彼の幻影を、貴方へ見ていた。

  撫でられたかったわけじゃない。
  そんな夢はもう小人たちの家に置いてきた。
  ただ、もしかすれば、と微かな蜘蛛の糸を手繰ったの。

  わたしから逃げないお兄さん。
  わたしを、忘れないでいてくれる、お兄さん。 ]


 

 

[ 熱を引き抜き、けれど警戒するように跨ったままで
  わたしは動向を見守った。

  撫でられたかったわけじゃない。
  だって、この恋が実らないのと同じで
  撫でて貰えるわけがないって理解してるから。


 
撫でて欲しいなんて望めない。
それだけのことをしてるって、分かってるから。
* ]


 

[人は忘却の生き物だ。
覚えようとして取り組んだことさえ、1時間後に50%、
24時間後に70%、1か月後には殆どを忘れるという。

自分が忘れていることを詳細に覚えている彼女は、
毎日自分といた日々を思い出して記憶を定着させたのだろうか。

つきあっていた相手だって、毎日自分のことを想ってくれていた
とは限らないのに。

10数年会わない間毎日。

それはどれだけの労力だっただろう。

忘れてしまうことへの恐怖もあったかもしれない。
覚えていなくても咎める人なんていないのに、
「忘れたくない」と思ってくれていたのか。]

[片や、そんな労力も払わず思い出そうとしなかった
自分にも残っている記憶がある。

強く意識しなくても残っていたということは、
それだけ自分にとっても既に深い部分に
根付いていたということだ。

これから彼女が補完してくれれば、
もっと取り戻せる思い出もあるかもしれない。
]

[名前を呼ぶことがどうして逃げることに繋がるのか。
眉毛だけが疑問を浮かべるように動く。

騙して逃げようなんて計算が出来る男ではない。]


 ………………。


[痛いことに変わりはなくても、
同じ傷にはならないだろう。

だって、相手に離れられたという痛みと、
相手に恋心をぶつけられた痛みは
根本的に違うから。]

[声が震えている。
瞼はまだ重く開きにくいが、手を持ち上げられるということは
やはり薬の効果が切れ始めているのだろう。]


 ぅそ、ついて、なぃ。


[本当にならなかったことがあったとしても、
その時の気持ちは絶対に嘘の心算ではなかった。]


 ……にげるつもり、なら。
 もっと動けるよぅになるまで、待ってる。


[こんな少しだけしか動かない状態で
それをルミに明かすメリットなんてない。
動きを見せたのは、言葉と行動通り、撫でようとしただけだ。]

[ルミはどんな表情なのだろう。
目を閉じていると何も見えない。]


 ……ここまで生きてきたのに。
 昔のぉれのことに執着して、
 ぃまからのぉれはぁきらめられンだ?


[殺さない、とルミは言った。
その言葉はきっと嘘ではないだろうと今は疑っていない。

逃げたら死んでやる、とは。

罪悪感に苛まれろということか。

自分を加害した相手の自殺で此方の心が痛むと思っているのか。

忘れていたことを詰る癖、自分の中にルミを慈しむ気持ちが
残っていることを期待していないと出ない言葉だと思った。]



 ……まだないてる?


[摩擦がなくなり、水音を立てて外気に晒された性器が
萎れて落ちる。

二択で選んだのは、自分の望みと合致していると思っているから、
撫でる先を探してもう一度、先程よりもスムーズに
腕を持ち上げた。*]

 

[ あの時間を忘れて、過去の貴方を記憶に埋めて。
  きっとそうするのが一番良い道だったかもしれない。
  わたしは貴方を傷付けないし、
  貴方も忘れた過去を思い出すこともない。

 
諦めるのは生きていくだけならとても楽で、
けれど選べたのは無様でも縋りつくいばらの道。

思い出すたびに惨めで痛くて腕を切った。
血を流すたびに生きている実感があって
でも、そこにはいつも、貴方はいない。
 ]

 

 



  [ もう名前を呼んでくれる声さえ遠いのに。 ]