人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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[自分の呼吸の音しか、今は聞こえない。
 気付いた時に目の前にあったのは、

 首から血を流して倒れているそいつと、
 ボロボロになった衣服を身にまとった無傷の自分と、
 身体に残る確かな激痛と、夥しい量の血の痕だった。

 妻がこちらを見ている。
 子は泣いていた。

 身をひるがえし家に戻る姿に、
 それを追う事は出来なかった。]

[激痛と目まぐるしすぎて真っ白になった思考故
 意識が遠くなりかけた瞬間、
 何かを押し付けられハッとする。

 俺の着替えや、
 少しの蓄えを袋に詰めて押し付けられ、

 そこでようやく妻の考えを理解した。
 妻は泣いていた。]


「死んだことにします」


 …、ありがとう。


「私の台詞です、ありがとう、ごめんなさい」
 

[辺りが静かになったからか、
 漸く周囲の家からざわめきが聞こえ始めた。
 ばけものが出たから家に閉じこもっていたのだろう。

 でもこれは仕方がない。
 海にばけものが出るのは当たり前だし、
 誰だって死にたくはないのだ。

 ばけものの死体が残ってるのは良かった。
 俺が流した生きてはないだろう血の跡も。
 たぶんこれで妻も子も悪い事にはならんだろう。

 俺はその村から姿を消した。]

[――― どうしてこんな事になったんだろうか。
 少し前から、傷の治りが早いとは思っていた。
 病は気から、幸せだからか?とか阿呆な事を思っていた。

 だが、それじゃあ説明がつかない。
 さすがに死んだはずだ。

 それなのに俺は無傷でこうして歩いている。
 全身の痛みもようやく取れて来た。
 まともに息ができるようになって、深呼吸をした。

 そうだ、死んだはずだ。
 なのに死んでいない。

 つまりは、

 俺は多分、不老不死になったのだ、と思い当たった。]


[俺の住んでいた村での、結婚式の独特なしきたり。
 それは無病息災、長寿を祈り、夫となる男が人魚の肉を食べる事、だ。

 勿論本物の人魚なんかではない。
 自分で獲った魚の中で、一番人の顔に近く見える人面魚だ。

 ああ、だが、きっと俺のとったそれは、きっと、
 ―――― きっと、本物だったんだろう。]
 


[どうしてこんな事に。
 考えても埒があかない。

 妻も察していたのだろう。賢い嫁だ。
 俺が不老不死だと知られてしまったら、
 きっと余計ないさかい事がおこってしまう。

 村の風習としてあるとはいっても、
 実際にそんなものになってしまえば化け物扱いだ。

 こどもだってまず、そうかどうかを確かめられるだろう。
 赤子だ、違えば死んでしまう。
 そもそも生まれてから成長しているのだから、
 違うのはもう明白であったが周りは聞き入れなかったろう。

 彼女の英断を誇りに思うと同時に、
 俺はこれからどうすればいいだろうと慣れ親しんだ海から離れ、山へ、山へと入って行った。]
 

[村を出て数年間、
 まず試したのは本当に死ねないかだ。
 ころっと死ねるならそれでいいと思ったが、
 色々と試した結果苦痛はあるが死ねないと言う事だけが解った。

 次にやった事は化け物退治だ。
 自分じゃできない死に方を齎してくれるそいつらは、
 もしかしたら俺を殺してくれるかもしれないし、
 そうでなければ俺が勝ち、他の人間を救うことができる。

 得しかなかった。

 謝礼金で生活は出来たし、まあ飢えても死にはしないから
 なんとでもなった。山のもんに含まれる毒でも死ねなかった。
 途中で得物も手に入れた。
 出来るだけ見栄えのある、強そうなものを選んだ。
 大太刀は自分にとてもあっていたように思う。]

[けれどいくら誰かに感謝されても、
 ここに居てほしいと強く望まれても、
 そうする事はできやしない。
 それでも化け物の噂を聞き行くと、困った人間がいて、
 交流し、感謝され、そして別れ、 …… それが、少し。

 更に十数年経ち、その生活になじんだ頃だ、
 ―――― その狐に、出会ったのは。]

[人を喰い荒らす狐の化生。
 本来は俺はこいつを殺すために、こいつに会いに行ったのに。

 縁とは、不思議なもんだ。

 殺し合いの最中、中断を呼びかけられ、
 耳を傾ければ「生餌に為れ(要約)」だ。

 一蹴しようかとも思っていたが、
 俺がこいつの生餌になったなら他への被害はなくなるし、
 その頃の俺は人との交流もほぼ断っており、
 なんというか、

 そう、
 寂しかったのだ。

 だから、何人もの人間を殺してきただろうこいつの、
 そんな甘ったるい毒のような取引を飲む事にし、

 結果今では、その判断は正しかった、とまでは言えないものの、間違ってはなかったのだと思う。]

[――― 一度だけ、
 妻と子に会いに村に戻った事がある。
 村を出て、40年くらいが経って居たろうか。

 妻はすでに亡く子も大人になっており、
 姿だけで言えば俺よりも年上のようだった。
 きちんと家族もいて、も独立したらしい。

 一晩泊めて貰い話を聞いて、
 次の日に妻の墓参りをした。

 あの時に一緒に居てくれたのも、天美だ。 
 あの時、一度「フカエ」は死んだ。
 不死のくせに一度、きちんと死ねたのだ。
 それを齎してくれたのは妻であり子であり、
 そして。]

[生き返っても俺はそのままでいれた。
 人間のままだ。
 いくら死んでも死ねずとも、
 心は人間のまま居れると解ったから。

 自覚をしている。
 俺はもうずっと、あの時から。]

[今はこうして物見遊山、
 清貧な生活を送っている、つもりだ。
 スマホももっているが。
 他にも便利なものをちょいちょいちょいとか、
 狐の化かし力にちょっと頼っている所は、まあ。
 あるが。

 そもそも戸籍というものが
 いつのまにか必要になってたのが一番きつかった。
 身分証の偽装で何とかなっているが、
 色々と気を付けねばならない事は確かだ。

 因みにお互い名字なんてものはない。
 珍しいものにしたらルーツを調べられると困る為どこにでもあるような名字という事で鈴木と田中にしただけだ。佐藤も候補だったが雰囲気で選んでいる。
 名前の漢字も作る時に漸く作ったようなものだ。

 天美の名は俺がつけた。
 天色の眼、その毛並みも天の羽衣のように美しかったからだ。狐は良いぞ。
 ずっとそれを名乗っている所から見ても満更でもないらしい。]

[夢、これが夢ならば。
 良いか?どうだろう。

 良いか悪いか等、
 きっとそんな言葉でははかれない。]

【人】 黒崎柚樹

[いや、もうこうなると笑うしかないよね。

そこそこペダルは重いんだよ。それなりの負荷のエアロバイクを漕いでいるくらいには。

これだけ漕いだらこのくらい進むだろうという感覚が、全くスワンに伝わってないような、この感じ。

よく考えたら、湖面の底を車輪で掴んで走っているわけではないから当然と言えば当然なのだけど。]

 ふふ、労力と生み出されるエネルギーが全く噛み合って、ない……っ。

[この乗り物、こうやって笑いながら乗るものでもないとは思う。
ムキになって乗るものでもないというのは尚のことで。

わー、進んだー、お魚いるねー、景色きれーい、で良いものなのだろうに、私たちは2人しておかしなスイッチが入ってしまったようだった。]

 あ、あそこ、そこに居る……。

[水族館くらいでしか見たことのない魚が澄んだ水の向こうに見えれば、更に賑やかに大騒ぎして。

そこで軽く交わした口付けのほのかな熱は、心を穏やかにさせるどころか、"湖を爆走する"という謎の情熱に転換されてしまったのだとしか思えない。]
(105) 2023/03/12(Sun) 14:53:55

【人】 黒崎柚樹


 ……っう、全、力で……これ、とか……っ。

[武藤も"全力"には付き合ってくれて、それこそ200mダッシュを5本繰り返したくらいの時間はめちゃめちゃ漕いだ。いくらか水音も大きくはなったと思う。

なのにこのスワンときたら表情も変えず──いやそれは当然なのだけど──、の────んと長閑に湖上をゆったり進むだけ。

後半は、足に力を入れるためにと無駄に強く椅子に押しつけていた背をいくらか戻し、いくらかはのんびりと文字通りの"遊覧"を楽しんでいた。

ボートから降りる時、そう酷使したわけでもない腹筋が痛い気がしたのは、笑いすぎたせいだったんだね。]

 釣り……。

[なるほど魚を捕りたかったら、釣り……したことないな?と、船着き場に戻れば、乗る時には角度的に見えづらかった『釣り竿レンタル』の案内板の文字が目に入った。]

 武藤。借りられるって。

[湖以外でも、キャンプ場の敷地内で使える釣り竿セット。長い棒つきの網?とか色々一緒に貸してくれるみたい。

せっかくだから帰りに借りて川で使ってみる?何て話しつつ、眼前の目的は手漕ぎボート。]
(106) 2023/03/12(Sun) 14:54:20

【人】 黒崎柚樹


[今度こそ、湖を気持ち良く滑るように移動したい。もっと言うなら爆走したい。
なんなら私、スピードメーターのアプリ持ってる。自動的に時速分速を計測してくれるやつ。]

 私、先に漕ぐでいい?

[そわそわして止まらなかった私は、武藤の返事を待たずにいそいそと船首側に乗り込んで。

ボート自体はほとんど漕いだことがないけれど、ローイングマシンのトレーニング自体は馴染みのものなので、多分大丈夫……と思いながら武藤が乗るのを待って漕ぎ出したのだけど、最初のうちはなかなかうまくいかなかった。

こう、オールが水を掻く感じが左右同じ具合になってくれなかったり、固定されている分、トレーニングマシンとはまた違った感覚で。]

 ────あ、でも、うん、わかる。

[これは出来る、楽しい、と。

先とは打って変わって速度を上げて進み出したボートは、スワンよりも奥の方へするすると進んでいき、やっぱり同じ風に"スタート位置"について。]
 
(107) 2023/03/12(Sun) 14:54:46

【人】 黒崎柚樹


 武藤、競争。
 行きと帰りで交代して、どっちが早く到達できるか。

[対岸までざっと300m、2分でいけたらまあまあのスピードなんじゃないかな。多分。

そこにはデートの空気なんか欠片もなく、もう完全に競技かトレーニングかという感じだったわけだけど。

ふ、と強めに息を吐いた私は、武藤の"スタート"の声と共に全力で漕ぎだした。

結果は(127)100n150秒。まあまあ頑張ったつもりだけど、どうかなと武藤を見やって。

それじゃあ、交代しよ?*]
 
(108) 2023/03/12(Sun) 14:55:33

【人】 黒崎柚樹


 ……"ご褒美"? >>114
 ん、わかった。

[競争するからには景品は要るよね確かに。
こくりと頷き、いくらか扱いに慣れたオールをぐ、と握りしめて。

まあ、我ながら頑張ったと思う。

慣れない筋肉を使っているという意味ではスワンボートよりも数段大変だったし、これは普通に背筋とか大胸筋とか、酷使されて筋肉が熱を持って鈍い痛みが広がっていく。

────うん、これは掛け値なしに良いトレーニング。

夢の中のこの行動が現実に反映するのかはわからねど。

でも悪くないタイムだったんじゃないかなと、額に浮いた汗をぬぐってにんまり笑った。]
 
(117) 2023/03/12(Sun) 16:54:24

【人】 黒崎柚樹


[それじゃあ武藤の番ねと、立ち上がらないようにしつつ、バランスを保ちながらそろそろと場所を入れ替えて。]

 ちゃんと練習してね。フェアじゃないし。

[勝負と言ったからにはそのへんちゃんとしないと……と、一応、背中のこのあたりを使うつもりで腕を動かすと、腕だけの筋肉使うより楽だよ?なんて知る範囲でのアドバイスもしたりして。]

 スタート!!

[さっきは風景を見る余裕なんて少しも無かったけれど、これは気持ちが良いなと思った。

スワンより視線が低く、煌めく湖面が視線のすぐ下というのがすごくいい。耳元を擽る風も、ごくうっすらと水のにおいがするようで。

水の底に走る船の影に、魚影がいくつか併走するように濃い影が走っているのまで見えて、きれいだなあと目を細め。

────結果はほんの8秒差で私の勝ちだった。接戦だったね。]
 
(118) 2023/03/12(Sun) 16:54:43

【人】 黒崎柚樹

 ────……んー。

["ご褒美"、好きなもの言ってどうぞと言われたけれど、すぐには思いつかなくて。]

 …………考えとく。

[武藤の額にも汗、浮いてたりしてたかな。
前髪がいくらかくしゃりとなっている風に見えたから、手を伸ばして額をぬぐうように指先を滑らせた。

こんな"デート"も無いものだなと思ったけど、でも、なんだかすごく楽しくて。]

 どうする?私、また代わろうか?

[とりあえず全力で漕げたから、"湖面を爆走する"の欲求は満たされた私たちは、今度はいくらか余裕をもってボート遊びを楽しみながら、ゆるゆる船着き場へと戻っていったのだった。

そういえば、ポケットのスマホは、半年前の状態に巻き戻っていた >>0:137 のが、武藤が記憶を取り戻したのと共に、見慣れた今のものに戻っていて。

でもきっと、写真を撮ったところで現実に持ち帰ることはできないんだろな……と確信しつつ、でもボート上、武藤に向けてシャッターを切ってみた。

青い空、煌めく湖面、湖畔の森、遠方の山々。現実の私たちの知らない場所。]
(119) 2023/03/12(Sun) 16:55:26

【人】 黒崎柚樹


 ────どうしよう、このまま魚釣りに行っちゃう?

[お魚っていつが良く捕れるとかあるのかな。でも不慣れな私たちでは日が傾きはじめたら危ないし、めでたく夕飯が捕れても捕れなくても、夕方には成果のあるなしは決まってないとだしね?

そうなると今から行った方が良いのだろうな、少なくとも釣り竿セットは借りていこう、と。

初めて手にする長い竿と、棒つきの網と、なんか、餌の入ったパック?とか、色々。

餌は芋虫的な何からしいけど、大丈夫、私、そういうの触るのはけっこう大丈夫なので。*]
 
(120) 2023/03/12(Sun) 16:55:40
[忘れた日なんか、という言葉には小さく首を傾げる。あの後すこし眠って、そこで世界が小さく折り畳まれるような感覚を得た。夢と夢との境目、もしくは目覚めの前兆だ。赤薔薇の国でも同じように感じて、気がつけば見知らぬ場所にいた。握っていたはずの薔薇の紋章は、いつの間にかなくなっていた。

 この夢は、ここで終わり。
 そう思うと、少し寂しい。
 彼は探しに行くと言った。
 だからきっと、また会える。

 声が聴こえたのは、そんなことを思いながら目覚めた直後だった。]

[問いかけにはゆるく首を横に振る。まだ身体中が錆びついたように動かなかった。

 一体いつからここにいたのだろう、随分長いこと眠っていたような気もする。どこからどこまでが夢なのかも、もうわからない。もしかしたら、何もかもが夢の中の出来事だったのかもしれない。そういえば、踊るカラフルな動物に囲まれる夢も見た。

 自分の手をちらりと見やる。まるで枯れ枝のようだ。全身が乾いてひび割れているような気さえする。気がついてしまうと、急に渇きに襲われた。咳き込もうにも体は動かない。乾ききった唇が、陸に上げられた魚のように力無く動いた。]**

[彼女は首を傾げたように見えた。
 それが意味するところが気にはなったが、声を出すのも辛そうな彼女に余計なことを問いかけたくはなかった。

 だから楓は気付きはしない。彼女が目覚めた直後だということに──それだけの時間のずれがあったということに。

 首が横に振られるのを見て、水も飲みようがないほどの衰弱と感じるとやはり胸は痛んだ。彼女の手は肉が削げ落ち、肌にも瑞々しさは残っていなかった。応える囁きが無ければ、あるいは彼女が見慣れた白いマントを纏っていなければ、彼女だと気付くことさえ無かったかもしれないほどだ]

[痛ましく思いながら彼女を見つめていたとき、唇の動きに気付いた。
 それが水を求めてのものに思えて、水筒の蓋を開ける。自分の口に少しだけ水を含み、彼女に唇を寄せ、くちづけを交わしてそっと水を彼女の口中に移した。ほかに少しずつ飲ませる方法が思い浮かばなかったのだ。
 もし一度で足りないなら、彼女が望む限り応じるだろう。

 乾ききった唇を感じるのは辛かった。
 そうなるまで彼女が独りきりでいたという事実に苛まれた。

 今から少しでも長く傍にいたいと願いながら、隣に腰を下ろして彼女に身を寄せる。ソファで一緒に眠ったときのように]**

【人】 黒崎柚樹


[大腿四頭筋だとか、大臀筋だとか、内転筋だとか。

下半身の筋肉が人体の70%弱を占めているから鍛えるならそこという向きもあるけれど──実際アスリートはそのあたりを主に鍛えてはいるけれど──上半身の筋肉も大切なので。

上半身の大筋群の主たるものは大胸筋だったり広背筋だったり僧帽筋だったり……かな。

そのあたりはボート漕ぎに使う筋肉ばかりだから、実はボートを漕ぐのはものすごく効率の良い上半身トレーニングなんだよね。

無機質なトレーニングルームでひたすら鍛えるよりもずっと楽しいしね。

────閑話休題。]
 
(133) 2023/03/12(Sun) 20:55:39

【人】 黒崎柚樹

 
 ボート、楽しいねえ……。

[帰り道は、武藤がそのまま漕いでくれるというからお言葉に甘えてた。

こう、いかにも"乗り物"的なスワンボートより、こっちの手漕ぎボートの方が楽しいな。水面に近い方が、断然、すてき。

いくらかゆっくりめにボートが進んでいく中、私は湖面に指先を浸したりしていた。

泳いでみたいなあ。本当、水が綺麗。

そうか、海に行きたいと思ってたけど、湖とか川に遊びに行くのも選択肢としてありなのかなあ……なんて。

そうこうしているうちに、ボートは船着き場に戻ってしまったかな。

一応にとスマホで撮ってみた写真は、きっと現実世界には残ったりしないだろうけれど、私が覚えていれば良いのだと心にいっぱい、色々刻んでおいた。]
 
(134) 2023/03/12(Sun) 20:56:21

【人】 黒崎柚樹


 うん、まあ虫は……だいじょぶ……。

[好きじゃないよ?好きではないけど。

武藤が手にした生き餌のパック >>126 をまじまじ見つめながら言葉を返す。

こういうのは"目を逸らしたら負け"だと思っているから、遭遇した時、か弱い叫び声を挙げた試しなんてない。

「うぁっ!?!?」なんて野太い声を出すのが精々なので、多分一生かけても"キャー!"なんて悲鳴は出せないものと諦めている。

ほてほてと歩き歩いて、湖の水に負けず劣らず澄んだ水が流れる川辺に辿り着いて。

釣りに関しては私は本当の初心者だから、武藤の教えをひたすらに乞うていた。

立つ場所とか、釣り竿の使い方とか、餌の付け方とか。]

 ……いくらかは生きていたまま付けた方が良いの?

[特段抵抗のない私は、芋虫みたいな生き餌もぶっすと釣り針に刺して、ぽーいと川面に投げ入れて。]
(135) 2023/03/12(Sun) 20:57:36

【人】 黒崎柚樹


[どうだったのかな。釣り竿でも、(1)0n3尾くらいの釣果はあったのかもしれないけれど。]

 ────なんか、ちょっと、ちがう。

[そう呟いた言った私は、結局、武藤の邪魔にはならないいくらか下流のあたりで、川際の大岩にへばりついていた。

自分の眼で狙って仕留めた方が早いとばかり、熊か山猫か何かのように川面に映らない角度に網を持ち、魚影を待ち構え。

ここぞというタイミングで網をばさりと投げる感じで、(2)1n5尾くらいは仕留めたかもしれない。その後、いっそ手掴みの方がよいのではと(0)0n3尾くらいは捕まえられたかな。

武藤の釣果はどうだったんだろう。

無事、お魚で夜の腹を満たせるくらいになれたら良かったのだけど。*]
 
(136) 2023/03/12(Sun) 20:59:25