人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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視点:


[ただ面倒なものはいくらかある。その筆頭が戸籍だ。
 当然そんなのと縁もゆかりもない狐にとって、まず何のために存在するんだというレベルの話だったが、深江に言わせてみれば彼が生きてた時代から似たようなもんはあったらしい。
 当時は人の数を把握するもんじゃなく、年貢やら公事を取り立てる為に郷や村単位で管理してたと聞く。かったるそうだ。

 ともかく“最近”は身分をきちんと証明できないと出来ない手続きが多かった。その都度必要な書類を化かす羽目になる。まあ、化生でも不老不死でもない人間だって偽造してるんだから別にやったって構わないだろう。

 本当に面倒なシステムだが、それでも写真の横に記される自分の名を見る時間は好きだ。
 暮らしていた山の名から「アマミの狐」と呼ばれていたのを、深江があてた漢字だ。名付けの理由を聞けばいっそこそばゆい程の賛辞だったが、事実には変わりないので、誇らしげにふわふわの胸毛を張るようにしてそれで良かろと認めてやった]


[それに、山はもう役目を果たしたのだから。

 広い海が映えて望める「海見」の山。
 あそこは、「深江」を見出すには絶好の勝景であった]
 


 ええ、ええ。ずっと——


[言い終わらないうちに、唇を塞がれてしまった。やわらかな唇も、絡めた舌も、なぞる歯列も全てがいとおしい。少し手を伸ばして、耳朶に触れる。少しずつ熱を帯びてゆくのがわかって、時折悪戯めいて引っ張ってみる。触れたところから、身体中全部が溶けてしまいそうに感じる。それは以前のようなかたちのない不安ではなくて、たましいが溶け合って包み込まれるような、あたたかさに満ちたやすらぎ。たった一人で、さみしくて蹲っていたあの頃からはとても信じられないくらいに、そう、夢のような、しあわせ。]

[夏が終わろうとしている。

 季節は変わっても、実のところ、私は何ひとつ変わっていない。
 誰かにそばにいてもらわなければ自分の足で立っていることさえできなくて、何もかもを支えてもらって、ようやくここに立っている。

 何ひとつ正しくなくて、何もかも間違えたまま、それでも手にしたとくべつなものを離したくはなくて。ここのところはすっかり慣れてしまって、少しばかり欲張りになりすぎたかもしれない。]


  ずっと、そばにいたかったな。


[隣で安らかな寝息を立てる貴方の頬をそっと撫ぜる。さすがにそれは過ぎた望みだとわかってはいるけれど、願わずにはいられない。

 この先の貴方の旅路が、良きものでありますように。そしてできれば、せめて貴方が目を覚ますまで、私があたたかくありますように。]**

[悪戯を窘めるように耳朶を擽り返し、なめらかさを取り戻した唇に舌を滑らせる。汗に濡れた肌を重ね合わせ、彼女の内に熱を注ぐ。たましいまで溶け合ってひとつになるような至福の時。

 そんなふうに彼女を“食べる”何度目かの時間で漸く気付いた。翌朝、飢餓感が薄らぐことに。

 どちらも本能に根差した衝動だからだろうか。あるいはそれは、たましいの傷を和らげる方法のひとつだったのかもしれない。
 彼女と共に在れば、誰の命も犠牲にせずに済むのかもしれなかった。彼女のほうはどうかわからないけれど]

[いつの間にか、季節が終わりかけていた。

 重ねていく日々はどれも至宝だった。
 彼女を支え、
 彼女に支えられて、
 寄り添いながら過ごす毎日。

 これからも変わらない幸福が在り続けることを祈って、その夜も眠りに就いた。彼女のあたたかい体を抱き締めて]

[ある町、夜遅く。外套に身を包んだ男が宿の受付を訪れた]


  一人。一泊。急で悪い……、霧で迷っちまって。
  その茶もらえるか? シナモン・シュガーを入れて。


[彼は宿帳に名を書き込んだ後、宿の主人が飲んでいたカップを指差す。そこには煙草のような芳香を漂わせる茶が入っていた。
 主人は当初不審がっていたが、それなりに会話する気のある客と見れば、少しずつ警戒心も和らぐようだ。前払いが決め手となって、茶の入ったカップとともに鍵を差し出してくれた。

 宿帳に書き込んだ名は“楓”──本名ではないけれど、この長い旅路でずっと使っている名だった]

[部屋に入って外套を脱ぐたび、その色が目に留まる。
 白。
 彼女が愛用していたマントの色。
 そしてその裏地は、琥珀色。彼の瞳の色。

 共に暮らした日々の終わりが思い浮かぶ。
 あの地を去る最後の日、小屋を炎で包んだ。
 何も残ってほしくなかった。
 あそこでの暮らしを知るのは二人だけにしたかった。
 帰る場所などいらない。

 そうして彼は独り、旅に出た]

[彼女のマントはあの後、仕立屋に持ち込んだ。
 自分が着られるように直してほしいと無理を承知で頼んだところ、表と同じ布が使われていた裏地を使ってサイズを合わせたらしい。新たに琥珀色の裏地が張られていた。

 仕立屋が何を思ってその裏地を選んだのかはわからない。だが、それ以来、彼女を思い浮かべる機会が増えた。鏡を見るたび、瞳の色を通じて。

 彼女はいつも傍にいる。
 声も聴けず、
 触れることもできず、
 姿を見ることもできないけれど]

 

  ……これ、本当に美味いと思うか?


[カップの中身を味わって、思わず問いかけの言葉を呟いた。確かに風味は随分変わるのだが、どうにも彼の好みからは離れている。
 体を共有したつもりでいても、こういうとき、別個の存在なのを実感せずにいられなかった。

 それがきっかけで普段は気にしない孤独感が増し、ベッドの中に外套を引きずり込む]


  傍にいてくれ──椿。



[もう、彼女の匂いはしない。使い込んでいけばいくほど、彼女のものだった痕跡は薄れていく。それでもこれは、彼女との思い出を繋ぎ止めるもののひとつ]

[変わらないことを望んで縋り続けた生活を捨て、新たな道に踏み出した。かつては一度も考えなかった選択肢の先に、今、立っている。
 かつて歩んだ道と違い、信じられるものは何もない。
 だからこそ、歩み続けてみるしかなかった。

 旅路の先で何か見つけても、何も見つからなくても、今はただ、思いのままに。
 どこにも抜け道のない袋小路だと思っていた場所さえ、こうして抜け出してこられたのだ。
 正しくても間違っていても、心のまま歩めばいい。そうすればいつか行き詰まったとしても、きっとまた、道は拓ける。

 これから先の旅路も、彼女と一緒に。
 誰にも見えない『二人旅』を、共に終えるときまで]**


[ああ、死にたいな。]
 


[天美と共にある時間が楽しければ楽しいほど
 その気持ちは募る。

 共に死にたい。置いて行かれたくなどない。
 そう、口にすることはないけれど。

 共に死ねるのが、一番良い
 俺一人だけが死ねずに天美を看取って、
 その後をどうすればいいか解らない。

 でもあの頃より死ぬ方法は増えたから。
 そのどれかが引っかかってくれるといい。]
 

[自分たちには時間がある
 物はないけど思い出は残る。
 それは憂いではなく、楽しい事なのだと。
 繋いだ手から何か注ぎ込まれでもされているのだろうか。

 そうかもしれない。

 自分にとって生きるために必要な食事は、
 きっと天美の存在だ。]

【人】 連理 “楓”

[昇りゆく太陽
 明るくなり始める空
 薄らいでいく三日月
 消えていく星影
 遥かなる道の彼方へ

 歩みゆく人影が在るのは、確かに現>>0:1
(279) 2023/03/14(Tue) 21:22:33

【人】 連理 “楓”

[変えずにいたいと縋った生き方を
 全て捨てた道の先。

 一時の安らぎが終わり、
 新たな旅が始まった。

 広がる可能性一つひとつに目を向けて
 歩き続ける日々

 ──どこまでも、彼女と共に。>>0:2]**
(280) 2023/03/14(Tue) 21:22:40
[彼を前にすると恋する顏が出てしまう。
ふとした瞬間に溢れる感情は止めどない。エッチな事を口にしたり、実行したりするよりもずっとずっと恥ずかしい。彼を誘惑するほうが恥ずかしくないだなんて、恋心は厄介だ。その上、彼の理想でありたい自分としては、そんな醜態をさらすことで幻滅されないか。と心配と恐怖があった。けど。

彼の胸にすり寄る自分を彼は痛いほど抱きしめてくれた。
惚れぬいて子どもっぽくなる自分をも、愛していると告げるように。優しい手が、緩まりその代わりにと髪に口づけを落としてくれる。撫でられながら、見上げ]


 ……僕も、好きやで。

 めちゃくちゃ好きや。


[彼が思うよりもずっと愛している。
彼が自分ばかりと好きだといつもどこかで思っていると知ったらそれこそ、僕の方が僕ばかりが好きやって思っているで。と教えただろう。彼の性癖が歪んでいるとは思わなかった。本当に自分が嫌がることを彼はしないし、何時だって大切にしてくれたから。

愛されているのだと分かっている。
けど、それ以上に僕は彼を愛しているのだと。
とてつもなく重いのを自覚して]


楽しみにしときや。

[写真部の部室。
誰からも見えない角度で彼の耳裏にキスをして。
赤い舌を出し、ご奉仕したるで。なんて。

誘いをかける。
恋心に真っ赤になって弱ってしまうのも自分なら。
こうして、彼を煽るのもまた自分だから。

 笑う顏は、艶めいていた*]

[アスルとともに故郷に帰ってすぐは目まぐるしかった。
懐かしい顔ぶれとの再会に喜び、長老から明かされる衝撃の真実に愕然とし、両親も説明を受けた上で自分を送り出していたことにはなんとも言えない顔になり、最後には苦笑してしまった。

結構思い詰めたのは事実なのだ。
過去も理由も仕方なく理解できる面はあれど、自らの後を継いだ巫女も似たように思い悩み、辛い思いもするかもしれないと思えば、簡単に納得して自由を謳歌できないのも自分である。
もっと他に方法はないのか考え、ガクたちの世界でいうお見合い相談所企画を作り上げるのは少し先の未来のお話。

もう巫女としての力はない。
当然、恋占いも遠見もまじないも出来ない。

でもアスルと過ごしてきて、これからも暮らしていくこの島のためにできることをしたかった。
この島が、みんなが、大切だから。]


 そういえばね、アスル。

[くすくすと笑って。]

 巫女の力がなくなってきた頃から、急に私の髪と瞳の色が変化してきていたでしょう?
 あれは前例があることではなくて実は理由は不明だったの。

[時期が時期だったので皆そういう見方をしていたが、文献にも残っておらず、実は首を捻られていたのだ。]

 だから、自分で理由を考えてみたわ。

 私は水に親和性のある力だった。
 水は……例えば湖面は姿を映すでしょう。
 私も水と同じように、……大好きな人の、大好きな色ばかり映して、想って焦がれて、ついに自分を変えてしまった。

 なんて、どうかしら。

[完全に同じにはならなかった淡い青に、月のような銀。
両親からもらった元の色も好きだったが、このアスルと混ざり合ったような色合いはお気に入りだった。]

[そして]

 ええ、いつでも大丈夫!

[アスルへ溌剌とした返事をする。
長い髪をひとつに結んでなびかせ、膝上までの衣装にズボンと革のブーツを着た姿は巫女時代と違う活動的なもの。
今は飛行機乗りと、その相方だから。]

 ……、

[美しいアスルの色をまとった飛行機。私たちの鳥。

身体の奥まで響くエンジン音、大きなプロペラの回る音。
いつになっても逸る心臓は、空へ飛び立つ前の彼の横顔を見た瞬間に一際跳ねて、熱い想いがあふれ出す。

ついに地上に縫い止められた鎖が外れて。
悠々と大きな羽根を風に乗せ、青い空へと飛び立った。]