79 【身内】初めてを溟渤の片隅に【R18】
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[なにを?どこに?とは聞かなかった。
全く、これだからこの恋人は恐ろしい。
その言葉、あとで後悔すんなよ?と
眉尻を下げて笑って、離させた。
熱を持って質量を増すそれを刺激すれば、
あられもない声がその唇から漏れて落ちる。
それがどうしようもなく興奮して、
愛おしくて、もっと、もっと、聞きたくて。
つい耳に悪戯すれば、予想外にこれまた、
いい反応が返ってくるから、
思わず意地悪く口元が緩んだ。
だけれど、続きは一度、中断。
謝る雨宮の頭をそっと撫でた。]
謝んないでよ、
俺、めちゃくちゃ嬉しかったんだから。
雨宮が、甘えてくれたの。
───こうして、触れてるのも。
[それに、何も用意してないってことは、
今日会って、それで急に、欲しくなって
くれたってことでしょ?と続けると、
ふ、と微笑みを浮かべる。]
最高。
嬉しいし、大歓迎。
[まあ用意があればあったで、嬉しかっただろうし
結局己は彼といられるなら、触れられるなら、
ただそれが、幸福なのだ。]
[ちゅ、と髪に唇を落として、一歩下がる。
屹立は萎えてはいなかったから息を吐いて、
少しでも落ち着かせてから仕舞おうと背を向ける。
ごくごく、小さな声が響く。
なくてもいい、なんて誘い文句にぐ、と
唾を飲み込んで]
───だめ
[とはっきり告げる。
負担がかかるのなんて、目に見えてるし。
なにより、大事にしたいのだ、本当に。
だから少しだけ待ってと微笑んで。]
[なんとか見た目、違和感のない程度になってから、
急いで玄関を飛び出した。
ドラッグストアまでの道のりは間違えない。
正直そういうコーナーに行くときは迷ったけれど
見つければ急いで手に取って、レジへと直行。
やる気のないアルバイトのやる気のない手つきに
ほんの少し苛立ちを覚えながら、
袋に放り込んで店を出た。
どんだけヤりたいんだよ、といわれたって
仕方ない。でも、さっき欲を無理やり
抑え込んだのだ。一分一秒でも早く、
もう一度彼に触れたかった。]
[扉を開いて戻れば、彼はまだベッドに
突っ伏したままだっただろうか。
もしそうなら、そっとそちらに寄っていく。
暗い部屋、一歩ずつ確実に歩んで。]
───雨宮
[呼びかけて、ベッド脇に座ると、
優しく髪を梳いた。]
………めちゃくちゃ急いで買ってきた
[と肩をすくめ、首筋にキスを落とす。
顔がこちらに向くならば、ふにゃ、と
眉尻を下げて安心したように笑って。]
…ムード、なくなったけど
もういっかい、触ってもいい?
[許可を乞い、得られたならば、
手に入れたばかりのローションの封を切る。
ゆっくりベッドに上がって、彼の体の下に
座り直すと、そのままバックルに手をかけようと。]*
[ 飾らない、素直で優しい言葉をくれる。
髪を撫でる手も、静かであたたかくて。
頭を撫でられると心底甘やかされているなと思う。
こちらも素直になれてしまうのだから
困ったものだ。
それにしても。
こちらが狼狽えるほどの欲をぎらりと
瞳に湛えたと思えば、へにゃりと崩れた
あどけない相貌に、彼の表情はくるくると代わる。
稚拙な口淫に眉を寄せる一方で、
己の反応に口元に浮かぶのは意地悪な笑みで、
視線が逸らせなくなってしまう。
離れられない、ずっと、もう、 堕ちてる。 ]
[ 自暴自棄になっているわけではない。
ただ遠ざかる熱がとても嫌で、
離れる時間が惜しかった、ただそれだけ。
そうだな、浮かぶのは、一秒も離れたくない、とか
そんな今時だれも書かないようなベタな台詞。
そんな感情を紡いで言葉になったのは、
無くてもいい、というものだったけれど、
きっぱりと否定されて。
すこしばかり焦燥感の残る微笑みに胸がぎゅ、と詰まる。
う゛、と唸ってその背をそっと見送った。 ]
[ ばたん、と閉まる扉の音。
急に静まる室内。
体を動かせばシーツが擦れて、ざ、と鳴る音が
驚くほど大きく響いた。
十分、くらいだろうか。
この間に、やったこともないくせに、
受け入れる準備をしておくほうがいいのか、
なんて頭をよぎって、
けれどベッドから降りることが出来なくて、焦る。
だんだん冷えていく身体と対照的に
頭の中は破裂しそうで、薄い布団を引っ張って、結局
その中に潜り込むように突っ伏していただけだった。]
[ 扉の音が再び聞こえたのは、思っていたより
ずっと、ずっと早かった。]
……おかえり
[ 顔を出して、ベッドの横に座る彼の顔をそっと見る。
また、髪が梳かれ、その言葉に目を細めた。]
めちゃくちゃ、早かったな、
[ 首筋に唇が触れる。 ]
[ こちらからも身体を少し伸ばして、
手で頬に触れて、キスをひとつ贈ろうか。
ドラッグストアで真っ昼間から、急いた様子で
買うにはなかなか勇気がいるだろう、
示された愛に、感謝を込めて。
無言で頷けば、またベッドにかかる、重みと熱。
バックルにかかる手に、あいた時間で少し
落ち着きを取り戻した雄に、
あっさり簡単に血液が集まってしまうから。
己も手を伸ばしてその身体に触れる。
一度乱れて、またきちんと整えられた服装は己の為。
それが嬉しくて、けれど自分だけが上半身
露わになっていることに焦れる。
肌が恋しくて、背中から洋服に手を入れて、
脱いでよ、と呟いて。]*
[一秒も離れたくない、なんて口に出されていたら
すぐにでも貪るように口付けてしまっただろう。
唸られるだけでも、十分に愛おしくて。
ああもう、本当なら離れたくない。
だけど、負担はかけたくない、から。
なるべくはやく、戻りたかった。
急いで帰ったその部屋の中に、
雨宮の「おかえり」が響いて、それだけで
ぎゅうっと心臓が締め付けられて、
ああもう、好きだ、と叫びたくなる。
首筋に触れさせた唇。]
───ごめん。
[一言、謝ったら、今度は彼の方から
唇に触れて。頬を包んだ手をまた絡めとり、
手首に、指先にキスを落とした。
ゆっくりとバックルに手をかけて、
許可を求めてまた、そこに手を添えれば
柔らかなそこが硬さを帯びていくのがわかるから
こくりと唾を飲んで、瞳を見つめた。
解いた手のひらが、己の体に触れて、
服の下に潜り込み、背中を撫ぜれば
ぞくぞく、と腹奥から迫り上がる欲。
耳元で囁かれたそれに口端を上げれば、
耳殻を舌先でなぞり。]
ん。───待って。
[と微笑みかければ、ぐっと裾を掴んで引き上げる。
そのまま脱ぎ捨てれば、ベッド下に落として。]
これでいい?
[首を傾げて、もう一度唇を奪ってしまおう。
ぐ、とまたひとつ、肩口に力をこめて、
彼のことをベッドにひき倒せば、
唇の合わせをノックして、さしこんで、
そこ口内の甘さに酔おうと、
深い口づけを繰り返す。]
っ…はぁ、 っ
[…もう一回、と告げて呼吸を奪う。
くちゅ、と唾液のまざる音がこぼれる。
片耳を軽く塞ぎながら続けて。
口蓋をなぞり、舌を吸った後、ようやく離す。]
っふ、 …じゃあ、続き、するな?
[と眉尻を下げてから、今度こそバックルを
緩めて、デニムを下ろそう。
そこに熱を感じながら、下着の上から
先ほど彼がしてくたように口付けて、吸う。
そのまま吐いて仕舞えば唾液がこぼれて
彼の下着を濡らした。]
[止められないなら、そのまま下着をおろして
固く熱を持ったそれに触れてみようか。
まずはここで一度気持ちよくなってほしくて
数度優しく扱く。
その熱が徐々に溜まっていくのが分かれば、
片手で封を切っていたローションの蓋を開いて。
手のひらに出し、軽く温める。]
つらかったら、すぐ言って
[と首筋にキスをしながら菊口に塗り込め、
軽く指先だけ触れさせて。]*
[ なにも謝ることなんてないのに。
思えば出会ったころから、変わらない。
己のわがままに、無茶振りに、
眉尻を下げて、けれど笑い声を含んだ声で、
ごめん、と言う。
その声に、ずっとずっと救われてきた。
頬に触れるのが好きな己の指がまた絡め取られ、
そのまま手首、それから指に唇が降る。
何度もそこに贈られた口付けの意味。
込められたロマンチックな真意など知らないけれど
ぞくぞくするほどの欲望と執着が、
晒した剥き出しの急所から血管を通って全身を巡る。
─── 喰われて本望。
]
ンっ……
[ 耳朶をぬるりと舌先が伝う。
ぴく、と思わず首を竦めた。
詰めきれなかった吐息が漏れる。
綺麗な笑みとともに脱ぎ捨てられた服が、
ぱさりと音を立てた。
露になる肌に、こく、と喉が鳴る。 ]
……ムカつく、いー身体。
[ 唇の端を歪めて持ち上げて。
肩を押されてベッドに沈む。
呼吸が塞がれてしまう前に、
にやりとそんな称賛を。 ]
……ふ、 は、ッ……
[ 彼の舌を迎えて、腔内を明け渡す。
己から貪ることはしないで、深くなる口付けに酔った。
頬の内側や口蓋をざらりと撫でられれば、
一人で冷えた身体が、即座に熱くなる。
甘い熱の波に浮かされるように、
後頭部に手を入れ柔らかな生え際の髪を弄んだ。]
っは、……ん、
[ 息継ぎが出来たのは一瞬だけ。
もう一回、と告げられまた呼吸が出来なくなる。
酸素を求めて今度は自分からも舌を伸ばした。
深くなる水音に、うまく吸えない酸素に、
頭がくらくらする。 ]
─── ッ、う、……ン、
[ 耳を塞がれると荒い吐息や声、
それから唾液が混じり溢れる音、それが全部
頭の中で反響する。
逃げ場のない焦燥感に包まれて、
けれど痺れるほどの興奮に、デニムに阻まれた
下半身が痛い。
ようやく唇が離れ、は、は、と短い息を整える
隙もなく、ベルトに手が掛かる。
分厚い布が開放されて、そこに口付けられれば
背が跳ねた。 ]
っァッ!?
まて、ん、っ、て、ううぅっ!
[ 吸われ、暖かい息が吐かれ、下着がじわり濡れる。
きっと彼の唾液のせいだけではない。
下着を脱がせようと触れられた手に、
いまさら羞恥が沸いてほんの少し抵抗するように
自分の手を重ねた。
けれど結局のところ止める事は出来ない。
こもった熱が空気に触れて震える。
優しい手つきで扱かれれば簡単に張り詰める屹立は
先端に滴を滲ませて。 ]
っ、は……ァ……んんぅ!
[ 待ち侘びた刺激がようやく与えられて、
気を抜けばすぐに達してしまいそう。
込み上げる吐精感を飲み込んで抑え込む。
潤滑剤を手にする動きにぎゅっと一度目を閉じて
ゆっくり開いた。
ひたりと後孔にふれたそれは、冷たくは無くて。
わざわざ温められていたことを悟る。
気遣いに驚き嬉しいと思う片隅で、
慣れた様子にちょっと妬いている自分が居て、
我ながら笑ってしまう。 ]
[ 告げられる言葉に小さく頷いた。
襞に塗り込まれる滑りに、ぞわりと身体を這うのは
快ではなく、不安と不快。
人に触れられることのない、もちろん自分でも
触ることなどないそこを解される感覚は、
恐怖に似た、背徳感。
声を漏らさないように奥歯を噛み締めて耐える。
腕で顔を覆った。 ]
[ とは言え触れているだけで済むなんて思ってない。
長い指が、侵入出来るように身体の力を
抜こうとするのだけれど、
上手く出来ているかはわからない。
代わりに口を開いた。 ]
だい、じょうぶ、だから、
お前にされんなら、なんだって、嬉しい─── *
[ 我慢してるかと言われれば、否定できず。
けれども本当はもっと解してから一緒に
なりたかったのもあるから焦っているとも
彼は答えたかもしれない。
次以降は、我慢をしなくなると
彼は思っている。
だってもう初めてではないから。 ]
っ、……ん……
[ 顔が近づき瞳を閉じる彼女が
ひどく可愛くて、中に入れている指が
一瞬悪さをしそうになったけれど
ふと我に帰り、彼はゆっくりと
その指を抜いていくことになるのだった。
悪さをする様になるのは多分もっと先。
彼女が慣れてくれたあとの話。 ]
っ、ぁ……
[ 動き始めたけれども、彼女の中はまだ
異質なものを完全には受け入れていなくて
少し慣れたとはいえ一回一回のストロークが
ぎこちなさを覚えてしまった。
けれども、彼女の聞かせてくれる声が
段々と柔らかくなるのと同じように
中も柔らかく、彼を受け入れてくれ、
気持ちよさに拍車がかかってきた。 ]
………俺色に染まってくれるん?
嬉しいわぁ…今日から少しずつ、
俺の好きなこと覚えてくれる?
[ 彼女の些細でもない大切な一言に、
彼は笑みを浮かべてみせた。
それは、次回への布石。
今日はまず
『大切な人と肌を合わせることが好き』
を覚えてもらうことで、終わらせようと
彼はこのとき心に決めて、
我慢ができなくなってきたので
徐々に今までよりも腰を動かすスピードが上がり
彼女に気を止められなくなって気がした。 ]
そろそろ、きそう……
俺のこと、受け止めてくれる?
*
[ 彼が我慢しているともしわかれば
我慢しないで、と言ってしまったのだろうけれど。
余裕なんてなかった私は、
我慢しているとか焦っているとか
そんなことは全くわかっていなかった。 ]
[ 時々聞こえてくる吐息から
潤さんも気持ちいいのかな、なんて考えて
うれしくなって。
二人で気持ち良くなることがどれだけ幸せか
彼が動くたびにその身に刻んでいった。 ]
好きな、こと?
潤さんがよろこぶことなら、
なんでも覚えたい……
たくさん、おしえて…?
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