162 【身内】奇矯の森【R18G】
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ベリ兄は笑ってる。僕は……僕も一緒に笑う。
「ワルゴ……僕も賛成だよ。まだ小さいんだし。ね」
家族を助けたい。僕たちはきっと一緒だ。
どこか壊れてしまっているところも。
「リディ……リディ。わかった。そうだね。辛い思いは短く終わらせてあげないと……
僕、チャンスがあったら頑張るね」
どこかで2人になれる、かもしれないし。
「うん、うん、頑張ろうね。ノル。」
皆を救うために。
皆を守るために。
皆を助けるために。
「俺も………ね、頑張るよ。ノル。」
「頑張ったらさ。」
「また、一緒に寝てくれる?」
せめて、志を同じくする貴方とは。
出来るだけ一緒に、出来るだけ、暖かいままの。
そんな"家族"でいる時間を、長く作りたいんだ。
「みんな一緒にいよう、ね」
やさしく兄の耳を塞ぐように、必ずみんなのためになるよって念押し。
僕はみんなのためにもなるって本当に信じてるし。分かってもらえなくても。
「……駄目って言わないよ?」
ぎゅっと兄の手を引っ張る。両手で掴もうと失敗して、片手は袖を掴むだけになってしまうけど。
「ベリ兄はずっと頑張ってるよ。だから今日も明日も一緒だよ。一緒に寝たい……今日は久しぶりに歌、聴きたいな」
二人で、ってことは、僕だけにってことだから。すごい我儘だ。
皆の為になる。
その言葉が耳の中に入って、固まって、塞いで。
もう他の事を考えなくても良いのだと安心する。
何も聞きたくない、何も考えたくない。
いいじゃないか、皆の為になるならば。
ごぼ、と音が鳴って、吐息が上に昇って行った。
「ありがとう、ノル……大好きだよ、俺の家族。」
「うん、沢山歌ってあげる。今日も明日も、君と」
「一緒に、頑張れるように。」
依存する、溺れていく、沈んでいく。
ただ一人、同じ苦しみを知ってくれる君に。
| 「………」 「――はぁ〜……」
*電球の彼は、自分が埋葬されていく様を眺めます。 *なんとも奇妙な感覚ですが、それはそれ。 *溜息の所以はそこにはないようです。
「……リディ、なんとなく勘付いているのでしょう?」 「……私の遺体など放っておいて、すぐにでも逃げて欲しいのですが」
*電球の彼は、明かりを小さく落とします。
「――伝わるわけも、ないですもんねぇ」
「…………………」
「迎えるの、嫌ですねぇ」 (6) 2022/07/25(Mon) 19:07:00 |
大好き、って言ってくれる度に、幸せな気持ちでいっぱいになる。
「僕も大好き。好き」
あんまり言いすぎると嫌かな?とか、ちょっと恥ずかしいな、とか前はあったんだけど、今はどこにもない。
日常の延長じゃないから。
「たのしみ」
でも声はやっぱり日常通りに、遊びの約束をしたときと同じだった。
この先もずっと一緒だもんね。これが新しい"いつも通り"になるの。
沈み切って息が止まっても、離さないでいるね。
| 「私も好きだったんですけどね〜、ノル」 「勿論今もですが」 *届くことはない独り言です。 「だ〜れも嫌いにはなれませんよ、私は」 「皆好きだったので」 「………どうしてこうなるんですかね〜、本当に」 *せめて、せめて。 *私が生きていれば、どうにかできたのでしょうか。 *これは、言葉には出来ず。ただ留めておくだけでした。 (10) 2022/07/26(Tue) 0:59:23 |
どんなに悲しくても、足を止めてしまいたくても、畑は作物は時を止めて待ってはくれないから。
朝から起きて、手を動かす。
水をたっぷりやって、夏の旺盛な雑草を抜いて、そろそろ豆類は取り入れ時かな。
秋冬野菜のための場所も耕して、畝を作っておかなきゃ。
クロほど鍛えられてない身で一人でやるには結構な重労働なのだけど、その疲労で思考を誤魔化すように熱中している。
皆と、次の季節を生きるための作業に、没頭している。
また、断たれた命に。絶たれようとしている命に。気づいていない。
| 「――――」 *もう、とうに死んでいるのに。 *生きている頃も、何処から行っているか分からなかったのに。 *それでも、ひゅっと。息を飲みました。 *それは正しく、目を逸らしたくなる様な、最悪の光景でしたが。 *電球の彼は、目を逸らしませんでした。 「…………、見届けなければ」 【私は、……私は、早々とそこから居なくなってしまったから。 生きていられなかったから】 【……だから、守れなかったから】 【この現実から、…………目を逸らしては、いけない】 *涙を流すこともできない電球の彼は、 *ただただ、そのこうけいをみていました。 (15) 2022/07/26(Tue) 15:59:59 |
〔
▙ ▜▓▗
_ クロ……くろ…………いる?
どうしよう…………どうしよどうしよう…………っ〕
日記の記述を読み、到底理解したくないその内容は全て漏らしてしまったのだろう。呼び掛けた者以外にも、きっと近くにいてくれた子達に。
悲痛と動揺と共に。
クロ
声が聞こえて、それでやっと、呼吸をすることを思い出した。
無意識に息を詰めていたらしい。それでも喋れるから、うっかり。
〔▙ ▜▓▗
_ この文字……多分〕
推測に留めたくても、確信しない理由がなくて。
貴方がページを読めるように、少し場所を開ける。
声ばかりで姿は見えていないから、ちょっと頓珍漢な動きになったかもしれないけど。
クロ
〔▙ ▜▓▗
_ やっぱ、クロから見ても、間違い無い……?〕
自分の見間違いという一縷の線は木っ端微塵に砕かれたけど、そこでうじうじしてる時間を貴方達二人は与えてくれないのだろう。
どうにかすることを、既に話し合い始めていて。
〔⿻▫__ クロとモノ、実は行動力最強コンビなのかも……?〕
余計な考えを挟むことくらいは許して欲しい。
クロ
〔▙ ▜▓▗
_ 君たち……いや、ううん、とても頼もしいなぁ……〕
容赦のない作戦が立案されていくのを、一言一句伝えながら、ちょっと引いてる。
とはいえ、制止したりすることはない。だって、外の“敵”よりみんなの方が大事。
〔⿻▫__ モノが言葉を覚えたら、直接こんな風にお話して欲しかったなぁ…〕
そんな思考を溢した時、モノの声に……空を見上げるのだろう。
| 「………――」
*電球の彼は、
*そこまでを見届けてから、その場から離れます。
*向かった先は、館の方向。 *自分の部屋へと、向かいしました。 (44) 2022/07/28(Thu) 1:40:29 |
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