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【人】 XIV『節制』 シトラ( ……わたし、 アリアちゃんが傍に居てくれるのが いつの間にか、当たり前になってた ) [ どうしようもない心細さに襲われてしまう日も 悲しいときも、淋しいときも、苦しいときも ほとんどいつも、あなたが傍に居てくれた。 あなたが隣に居てくれる間は、 正しく呼吸ができる気がしていた。 わたしが立ち止まっている間にも、世界は動いていて みんなそれぞれの想いを抱えて前に進んでゆく。 失敗してもいいのだと、間違っても構わないのだと 最初に教えてくれたのはアリアちゃんだった。 天から降る雨はいつかは止むけれど わたしが降らす雨は、 わたしにしか、止められない。 雨が上がらなければ、 虹は永遠に架からない。] (62) 2022/12/22(Thu) 21:33:02 |
【人】 XIV『節制』 シトラ…………〜〜〜っ、……!! [ 瞳を覆う厚い水の膜を服の袖で拭って 両頬を両手で勢いをつけてべちんと叩いてから、 玄関ホールを抜けて駆け出した。 ヴェルトさんは、 彼を古くからよく知っているんだろうみんなが 揃ってついているからきっと心配ない。 ユグさんは少し心配だったけれど エトさんがついてくれている。 プロセラさんのことも、気掛かりだったけれど ヒナギクさんが傍に居たからきっと……大丈夫。 クロさんがどこかでひとりで泣いていないことを 去ってしまった神様がひとりで泣いていないことを 願って、祈って。食堂の扉を潜り抜ける。 タナトスさんが既に居ても、入れ違いになっていても>>13 大きめの鍋を戸棚から取り出して その中にたっぷりのミルクを注いだ。] (63) 2022/12/22(Thu) 21:33:09 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 沸騰させてしまわないように ゆっくりと熱を加えて、 その中に刻んだチョコレートを少しずつ溶かし込む。 ふわりとあまい香りがお鍋から漂い始めたら ホットチョコレートのできあがり。 ……誰も必要とはしないかもしれない。 何か他の飲み物を自分で作ったり、 どこかへ出かけていくひともいるかもしれない。 けれど、作って置いておいたら もしかしたら 飲みたいと思ってくれるひとも、いるかもしれない。 チョコレートには気持ちを落ち着ける効果があったはずで あたたかい飲み物も、冷えた身体を暖めてくれるはず。 ほとんど飾り状態だった端末を手に取り ぎこちない手つきでみんなへ宛てたメッセージを打って、 自分からは滅多に押したことのない送信ボタンを押した。 いまは、わたしにできることを── ここから、一歩ずつ。 ]* (64) 2022/12/22(Thu) 21:33:55 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 食堂・ユグさんと [ 湯気の立つホットチョコレートをカップへと注ぐ。 熱いのでお気を付けて、と差し出してから そろりとお隣にお邪魔した。>>121 ぽつりぽつりと零れ落とされてゆくユグさんの声が 静かな食堂の中で、しんしんと胸に降り積もる。] ……ユグさんの願いは そうだったん、ですね [ わたしの思い描いた理想に近いものを 彼は持っていたんだと、今更ながらに思った。 わたしとユグさんが違っていたのはきっと、 わたしは、誰かの心を動かしたいとは思えなかったこと ] ユグさんも、みんなのことを とても……大切に想ってるんですね。 (136) 2022/12/23(Fri) 21:59:39 |
【人】 XIV『節制』 シトラ叶うなら 叶ってほしい……けれど、 机上の空論で、夢物語で、甘いのかもって 贅沢なのかも……って、 ユグさんがいま、考えを見つめ直しているのは これからもみんなと……って、思うのと同じくらい みんなの意志を 尊重もしたい、って 思ってるから……なのかな、って そう……わたしは、感じた…………の、で [ 合ってますか……? と問い掛けるように瞳を覗き込む。] (137) 2022/12/23(Fri) 21:59:47 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……そうですね 贅沢、なのかもしれません 世界の崩壊が止まって、 ユグさんといま、こうしてお話できている時間も 贅沢だな…………って わたしは、思ってしまうので…… でも…… 現実に、叶うかどうかは、別として 願うことは、許される……と、思いたい、です その気持ちは、ユグさんだけのものだから 大事にするべきじゃ……ないかな って [ お砂糖控えめに作ったホットチョコレートはすこし苦い。 ユグさんがもし甘いのがお好きなら、 シュガーポットを勧めよう ]* (138) 2022/12/23(Fri) 21:59:50 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 思いがけないお客さま [ そのひとが扉から顔を覗かせたとき>>126、 わたしは目を瞬かせた。 アリアちゃんと仲の良いひと。 それまでわたしの狭い世界では 出会うことのなかったひと。 何か複雑な事情を抱えていそうな、 いつだって穏やかな笑みを湛えているのに どこか淋しそうにも見えたひと。 どこか距離を置かれているのは感じていた。 それがどうしてかは、わからなかったから わたしがアリアちゃんにくっついていることを あまりよく思われていないのかな……なんて、思って わたしの方も距離を取るようになってしまっていた。] あっ…… クリスタベルさん、いらっしゃい……ませ……っ あ、ありがとう……ござい、ます よろしければ……どうぞ…… [ 席を勧めて、新しい一杯を作り始めながら 自然と口元が綻んでゆくのを感じた。 できたての方がきっと、美味しい ]* (139) 2022/12/23(Fri) 22:01:42 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── いつもと変わらないお客さま [ 扉が開いて、また新しいお客さんが顔を出す。>>140 弾かれたように顔を上げて、そのひとを迎えた。] チェレスタさん……! い、いらっしゃい……っ [ テオブロマの作り方をいつか、と 興味を持ってくれていた彼女は もしかしたら、来てくれるんじゃないか──── そんな淡い期待を勝手に抱いていたことは、胸に秘め ] す、すぐに ご用意します…… 崩壊、止まって……良かった、ですね [ 不安そうな表情を浮かべるでも 落ち着きをなくすでも、妙に明るく見えるでもなく チェレスタさんは驚くほどいつもと変わらない。 一座の皆さんは、大事ないんだろうか。 無事を信じているのかもしれない。 ともあれ彼女はきっと、 少なからずこの世界に大切なものがあるひとだろうと そう思っているからこそのひと言を、カップに添えた。]* (149) 2022/12/23(Fri) 22:46:14 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── クリスタベルさんと [ それまでの空白の期間が齎す、ぎこちなさと メッセージを見て足を運んでもらえたことに対する喜び。 それらが入り混じって、なんだか面映ゆい気持ちで 作業している手元へと意識を集中させていた。] い、いえ……っ わたしが、そう……したかった、ので ……あっ お時間は 大丈夫で、 …………? [ クリスタベルさんの謝罪にそう返したのは>>151、 新しく用意しようとした ホットチョコレートのことだと受け止めたからだった。 続いた言葉で、突然齎された謝罪が何かもっと 別の意味合いを含んでいたらしいことに気付く。 何事か思案しながらも ぽつぽつと降り注ぐ、懺悔のような言葉たち。 どうしてそれらがいまここで語りかけられるのか すこし考えて、作業の手を止めた。] (172) 2022/12/24(Sat) 1:17:20 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 保温できる程度に火力を弱めて 手元から視線をゆっくりと声の主の方へと移す。] ……わたし、も アリアちゃんにはお世話に なりっぱなしで…………じゃ、なくて……っ [ ああ、ちがう。そうじゃない。 なんだか対抗心を燃やしているみたいになってしまった。 謝らないでください、と一呼吸を置いて ] ……アリアちゃんは クリスタベルさんが 無茶をしたり……したら 心配は、すると……思います でも迷惑、とは……きっと 思ってない…… じゃ、ないかな……って ……思います。 ……お薬の、用法と、分量は ちゃんと守って、ほしい……です、けど [ 後にも先にも、あんなに焦っているアリアちゃんは 滅多に見たことがないから。 けれど、時々思うことがあった。] (173) 2022/12/24(Sat) 1:17:35 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ あの日、アリアちゃんの憔悴しきった表情を 見たことのない表情を引き出したクリスタベルさんを、 わたしは心のどこかで羨んでしまってはいなかった? 彼女を悲しませてしまうと思うからこそ それだけはいけないと魂が叫んでいたからこそ、 わたしには決して出来なかった行いを。 きっと衝動的にとはいえ 起こしてしまった、そのひとを。 けれどどうしてあんな行動を取ったのか その理由を、わたしはまだ知らない。 だから手放しに責めることはできなかったし どちらかといえば自分の思考回路の方が怖かった。] アリアちゃんの……時間は、 アリアちゃんの、もの で わたしの、ものじゃ……ない、ので ……アリアちゃんは いつも わたしに、やりたいことをやっていいんだって 言ってくれるから…… アリアちゃんにも、 アリアちゃんのしたい……ことを 優先してほしい……、って、思って……るんです (174) 2022/12/24(Sat) 1:17:42 |
【人】 XIV『節制』 シトラアリアちゃんも クリスタベルさんに、時間を取られた……とは 思って、ない……と わたしは、思います。 むしろ…………わたしの方が、 [ 言いかけて、口を噤む。 時間を奪っていた自覚は確かに在って、 迷惑かどうか考える暇もないほど甘えていた自覚もあって ] ……でも、 もし クリスタベルさんが わたしに、 その…… 申し訳なさを感じて……しまって、いるなら クリスタベルさんの、考えていること もう少し詳しく…… 聴かせて、もらえませんか…………? [ あなたの、わたしの 大切なひとについて、想うことを。]** (175) 2022/12/24(Sat) 1:17:53 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── ユグさんと [ みんなのことが大切で、 大好きだと紡ぐユグさんの声を>>156 控えめに頷いて同意を示しながら聴いていた。 湯気で曇りかけている眼鏡の奥を覗き込めば その瞳は迷いと憂いの色を含んで見えた。>>157 ユグさんの言葉はどれも真摯で、まっすぐだ。 だからこそいま苦しい想いを抱えているんだろうなって そう感じたのは、わたしの胸の奥の痛みに 重なるところを感じられた気がしたから。 少しの間見つめてから、ふっと睫毛を伏せた。] そう、ですね…… ユグさんの思う幸せと、 わたしの思う幸せも……違って、いて。 ……わたしは、世界はなくなっては欲しくないって 思っていました……し、 もし、わたし以外みんな箱庭に行く……って、言われても すごく悩んでた……と、思います。 …………また わたしが壊してしまったら どうしよう……って、怖れてた、から (236) 2022/12/24(Sat) 13:29:39 |
【人】 XIV『節制』 シトラわたしも悲しませてしまってたのかも、しれません。 みんなのことを大切に想ってくれている 優しいユグさんのこと。 [ みんながひとつになることの難しさを改めて実感する。 同時に、それでも語り合える今という>>158 奇跡のようなひとときの、ありがたさを。] はい。……もし世界が崩壊してしまっていたり ユグさんが箱庭を選んでいたりしたら いまのこの時間は、なかった時間だと……思うので。 わたしの送ったメッセージを、見て ユグさんが足を運んでくれたから こうして、またお話できていて…… ……今まで みんなと一緒に居られるのが、 いつの間にか 当たり前になっていて 忘れかけてしまって……いたん、ですけど 贅沢なことだったんだ、……って。 ……そう、思って、ます。 (237) 2022/12/24(Sat) 13:29:55 |
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