188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】
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| ―― 自室にて、チェレスタと ―― [ 沈黙も別に苦には思わなかった。 貴方に"エーリクは自分が消えたらいいと 思っているのでしょう"と言われるよりはよほど。 それでも、ひといきに、怒りと共に 口にしてしまっていたなら、 取り返しがつかないような気がして。 出来得る限り丁寧に、言葉を選び、 ひとつひとつ、否定をし、 ひとつひとつ、己の思うことを口にしたつもりだった。 俯いていた彼女の視線が指先へ集う >>3:385 それが居心地が悪かったわけではないが、 あまりに冷えた指先を憂いて、引き戻し 温くなったカップを覆うように押し付けた。 やがて彼女が口を開けば、どんよりとした気持ちのまま 視線を上げた。 消えることは望まないとそういったのに、 震える指先を見せつけられた相手の気持ちを 写し取ったような気になって。 ] (18) 2022/12/20(Tue) 1:37:29 |
| ………よかった
自信が、なかった 貴方ときちんと会話をするのも、 貴方に信じてもらえるかどうかも、
[ ああでも少し、羨ましくも眩しくも思う。 あなたは今の今まで誤解していた相手にすら すんなりと、謝罪と感謝を口にできるのだ。 ]
僕も、……その、ごめんね あと、
あ、……ありがとう?
[ 猿真似よろしく、あなたの言葉を繰り返そうと するだけで、こちらは錆びた鉄人形のように、 ぎこちないのに。 ] (19) 2022/12/20(Tue) 1:37:46 |
| ――どうでもいいと、言ったけれど 生きていれば、こんなこともあるのかと思ったら すこし、もったいなく思うな [ 貴方は肩を落とし、笑う。 笑い掛けている、僕に。 そんな瞬間を目の当たりにして、ほんの僅かに 口角が上がる。笑うには少し届かないが。 もっと早く、にはぐ、と言葉を詰まらせてから 心から、 ] 本当にね……でもきっと、 こんな風に追い詰められなければ、 今このときはなかった、と思う。 [ そう口にした。が、次に貴方が口にした わがまま >>3:388とやらには、今度こそ小さく笑って言う。 ] (20) 2022/12/20(Tue) 1:38:15 |
| 今更だけど、それはちょっと。 だって僕、貴方に嫉妬してるもの。 楽しい話は出来ないはずだよ。
[ 時間が許せば、どうしてと問われても 答えることが出来ただろう。
演じることが、スポットライトを浴びて、 壇上に上がることが、すっかりトラウマになって しまった己からすると、歌を愛し、 歌をなくすことを悲しみとする貴方は、 眩しすぎて。時折は疎ましく、妬ましく思うことを。
けれどそれを話すには、きっと今日では 足りないから。 ]
内緒。 もしも、――世界がこれからも続いたなら その時は、…貴方ともっと話を することも、あるかもしれないね。 (21) 2022/12/20(Tue) 1:39:08 |
| [ お互い様ではある。けれど。 捨て置いてもよかったはずだ。 世界の崩壊は既に始まり、残された時間は 少ない。その中で、会いたい人だっていただろうに それでも己を選び取り、時間を過ごしたこと。 それが後悔にならねば良いと願った。 ――きっとこういうところ、なんだろうね。 ] (22) 2022/12/20(Tue) 1:39:49 |
| どういたしまして。 ――うん、気が向いたら"いつでもどうぞ"
[ カップの中身は空になる。 貴方は部屋を後にする。引き止める理由もないので、 見送ることはせず、彼女は部屋から出ていく。
どっと噴き出すように背中に汗をかくのを感じた。 ど、ど、と大きな音が己の中でこだまする。
それでもなにか、やり遂げたような気持ちで ベッドに転がった。* ] (23) 2022/12/20(Tue) 1:40:10 |
[ 月には友がありました。
友とは互い大事に思い合い成り立つものに
ほかなりません。
世話を焼く、焼かれる間柄であったとしても
月もまた、友を大事に思っていました。
行動で示すことは得意ではありませんでしたが
その分、ことあるごとに言葉で、
また、不器用ながらに贈り物などをし、
己の気持ちを、伝えていたつもりでおりました。
友の持つ贈り物、ちからが、
いつしか友そのものを塗り替えてしまうと予見
していたとしても
月は教皇の、友であろうとしていたでしょう。
時折思い詰めた表情を見せることがあろうとも
苛烈な一面を見せることがあろうとも。 ]
煮えきりませんね
はっきりおっしゃいなさいな。
[ ある時、語り合いのなか決意に満ちた表情で
あなたは語ってくれようとしたのに、どこか
煮えきらないまま。取り出そうとした仕草を
見せるも、結局は出てくることはありませんでした。 ]
――違えてはいけないと誰が言ったのですか?
もういちど言うわ
はっきりおっしゃいなさいな。
貴方の願いなのでしょう
友たるわたくしが、無下にしないと
わかっていて、言うのであれば
覚悟を持って、おっしゃいなさい。
貴方とならば、刺し違える覚悟だって
わたくしには持ち合わせがありましてよ。
[ だって、貴方がそう育ててくれたのでしょう。
まるで、朝露に濡れる薔薇がきれいだったのよ、
とでも言うように、さらりとそう口にした。 ]
[ 花の世話をしたいの。
ああでも、わたくしときたら、
枯らすばかりで、ねえどうしたらいいかしら。
髪の毛が汚れてしまったの。
切ってしまおうとおもって。
え?切らずとも洗えばいいの?
じゃあ、お願いしてもいいかしら。
あなたと、わたくし。
あげればきりがないほど。
これまで話してきたじゃないの。
思い合ってきたじゃないの。
何を今更迷うことがあって?
月は呑気に微笑んでいました。 ]
[ 貴方の葛藤も、ささいな変化も、
教皇たる貴方をかたちづくるものなれば
受け入れ、たっとび、
貴方を愛した。
箱庭に住まう他の者同様
――いいえ、やはり貴方はいくらか特別に。 ]
[ ――だけど、ごめんなさいね。
わたくしは貴方を残し、死んでしまった。
死にゆく中で、貴方の言葉が
うかんでうかんで、
浮かばれなかった。 ]
ねぇ教皇、貴方はわたくしに何をねがい
なにを託したかったの
……私を、どうか
止めて欲しい?
ごめんなさいね、それはできそうにないわ
諌めて欲しい?
ごめんなさいね、それもできそうにないの
ころしてほしい?
……もっと早く、そう言ってくれれば
きっと叶えて差し上げられたのに
[ 薄れゆく意識、泥水に沈むように、
身動きが取れなくなっていく手足。
それでも最後まで、わたくしは貴方に
届かないと知って、手を伸ばしたわ。
すこしだけ、うらめしそうにね。 ]
[ 私を、どうか
ではなく、私と、どうか
と――そう言ってほしかったもの。
その未練が、うらめしさが、
月に色濃く残ってしまったのでしょうね。* ]
[『ボクたち』は結局のところ、みんなひとりでしかなかった]
[生まれたばかりの頃は、そんなこと思いもしなかったよ。
『ボクたち』は生まれた順番こそ違えど、
(そう、一番最後に生まれたのは『世界』だったね)
どこまでも幸せに暮らしていくものだと思ってた。
だけどそうじゃなかった。
神様が生み出した『ボクたち』は、一度争い始めたら、
ひとつにまとまることなく次々に死んでいく、
そういう存在でしかなかった]
| (a14) 2022/12/20(Tue) 2:21:00 |
[守りたい子がいた。
一緒に死んだ子たちに焦がれたこともあった。
歯車が狂っていく音を聞いた。
いつしか『審判』は狂った考えに取りつかれるようになった。
神様が望んでいるのは本当は、ひとりでも生きられる存在なんだと。
だから『月』を殺した。
もともとどこか気に食わないという感情を抱いていたうえに、
明らかにひとりでも生きられないように、『審判』の目には見えていたから。
『教皇』と一緒でない時を狙って、『月』を落っことしたのだ。
咎を追及する者達の前で、ちゃんと言ってやった。こうするのが『月』のためだったのだ、と]
[その後はというと、
人の良さをかなぐり捨てた『教皇』と色々あったような気もするし、
あとは……そう、神様が全部悪いのだと恨みをぶつけもした。
『審判』の考えていた神様の望みなんて、確証のない当て推量だったのにね。
結論から言えば『審判』はひとりぼっちで死んだ。
魂の奥底に眠る記憶は時折悪い夢となって悪さをする。
命尽きる間際に見えた記憶の中には以外にも色んな子がいたし、
みんなといるのは嫌いじゃなかったことを忘れかけて、
ひとりで死んだ記憶に囚われたままの魂は同じことを願い続けるだけだ]
“次はちゃんと、
ひとりでも大丈夫になる
んだよ” **
[── 穏やかな安寧の地、
ここに居たらきっと永遠にそう過ごせるんだろう。
別にそれも悪くはない。
『神様』の事も、『箱庭』の事も、
嫌いじゃなかったし、好きだった。
あの楽しい日々が、大好きだった。]
[愛すべき『恋人』がいて、
個性的なメンバーがいて、
気に入らないヤツもそりゃいたけれど。
『恋人』は愛しいし、
『愚者』も可愛いし、
『神様』も優しいし、
皆のやり取りも楽しいし。
だけど気付いてしまったんだ。
水面下にあるそれらの存在に。
別に誰が誰の事をどう思ってる、とか。
きちんと知っていたわけじゃない。
でも小さな衝突や残ったままの僅かな蟠り。
綺麗な景色の中にある見えない澱み。]
[どきどきした。わくわくした。
些細な悪戯を思いついた時のような、
塗りたての塗料に傷をつけるような、
新雪に最初に足跡を残すような、
未知へと踏み出す最初の一歩のような、
果物をつついて腐らせるような、
蛇の群れにねずみを投げ込むような、
リンゴを、そこに一つだけ置くような、
そんな気持ちで、
溢れだす好奇心、背徳の誘惑、
全然どうなるか解らなくって、
きっと楽しい事になると思って、
取り返しのつかない事をしたくって、
そんな時、一つの疑問も思い浮かんでしまって、
あの時、自分はそれに抗えなかった。]
「方法はいろいろ考えたんだよ。
俺もさあ、
一番効果的な方法をやりたいだろ?」
「誰がいいかなあとか、
どうするのがいいかなあ?とか?
本当にできるのかなあ?ともさ。
きちんと考えたんだよ、えらいと思わない?」
「だってこれで、
『箱庭』の『完璧』が終わったんだ、
もう22人揃う事はないからね。
これを知ったら皆どんな顔をするだろう。
これを見たら、『神様』はどう思うだろう?」
「なあ仕方がなかったんだよ。
だって楽しそうだったんだ。
見ろよ、もう『愚者』は動かない。
安らかな顔だよ、羨ましいな。
なあ、ほら、 すごいと思わないか?!
『俺たち』って、
死ねるんだ!
」
「『お前ら』も、
『誰か』を殺すことができるんだよ!」
[『神様』の事も、『箱庭』の事も、
嫌いじゃなかったし、好きだった。
あの楽しい日々が、大好きだった。
大好きだった、だけど、]
[大好きで、大好きで、大好きで、
…きっと、大嫌いだった。]
[俺の行動が切欠で、箱庭が壊れていく。
それが楽しくて仕方がなくて、
誰の死だって面白がった。
『恋人』の死に方は確かに
ちょっと残念だったけど、それだけ。
なあ神様!面白いだろう?
"俺の事を嫌いになった?"
何をしても揺らがないその様子が
何をしても愛しいというその瞳が
俺は、俺は、俺は……]
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