【人】 田臥 志麻[キッチンを覗く頃には物音で気づいていたのだろう。 驚くこともなく、威優が表情を緩ませた。 相変わらず、平日の夜を過ごす時間は少ない。 それでも、通い妻よろしくしていた頃に比べれば、 威優はマンションに居る時間が長くなった。 自身と過ごす時間を大切にしてくれているのだろう。 そう思えば、自身も目が細まる。] そっか。 威優がカレーを作ったの? ……もしかして、エスパー……? [奇しくも作ろうとしていたものが重なって笑ってしまう。] (17) 2023/08/07(Mon) 22:54:49 |
【人】 田臥 志麻いいよ、あって困るもんじゃないし。 また別の料理に使えば。 [手元に気づいた威優に食材を任せて、 いい香りのする鍋の方に誘われる。 驚かせたかった、という理由がまた可愛らしい。 オレが驚くのを考えながらどんな顔をして このカレーを作っていたのやら。 焦げ目もなく大根の浮いたカレーは自身では 思いつかない組み合わせだ。 ハザマさんの手が加えられ、 威優もきっとアイデアを出したのだろう。 料理を作った経験はまだ浅くとも、 色んな料理を食べてきた経験があるだけに威優は 舌が肥えていて、概ねの想像がつくのか勘がいい。 カレーの傍らにはコールスローとガレットが並ぶ。 どれも始めて作ったとは思えない出来栄えだ。] (18) 2023/08/07(Mon) 22:56:05 |
【人】 田臥 志麻[すぅ、と鼻先で息を吸い込んで香りを嗅いで。 食べてほしいという威優に 大型犬のような耳と尻尾が揺れている気さえした。] うん、驚いた。 いい匂いしてるし、食べるの楽しみ。 ……だけど、そうだな。 ワイシャツだと飛ぶかもね。 [言われて自身も恰好を見下ろす。 二人共まだ仕事上がりの外向きの姿のまま。] (19) 2023/08/07(Mon) 22:56:27 |
【人】 田臥 志麻先にシャワー浴びるかぁ。 [ノットに手をかけネクタイを緩めていたら、 不意に威優との距離が近づいた。 声に揶揄と婀娜めいた色が混じる。] ……ふはっ、それやりたかったの? [吹き出し、くすくすと肩を揺らし笑いながら、 しゅるりとネクタイを抜き取って。 首元のボタンを、片手で器用に外し、 こちらも、距離を詰め彼の耳朶に囁く。] (20) 2023/08/07(Mon) 22:57:31 |
田臥 志麻は、メモを貼った。 (a2) 2023/08/07(Mon) 23:07:17 |
【人】 田臥 志麻[この世界に「運命の番」という力にがあったとしても、 さすがに互いの心まで読むことは叶わないだろう。 威優がカレーを作ったのも、 志麻がカレーを食べたいと思ったのも、 きっと偶然が重なってのことではあるが。 稀にそういうことがあるからこそ、嬉しくなる。 冗談で投げかけた言葉に、冗談なのか。 半ば本気のような振りをして応える様に。] へえ……、 オレの考えてること見抜いてどうするつもり? [片目を眇め、揶揄を重ねてみるが。] (26) 2023/08/08(Tue) 1:35:32 |
【人】 田臥 志麻[実際、そんな意思疎通が出来てしまえば、 近頃ようやく威優の好みが分かり始めてきたとか、 こんな風に不意に早く帰ってきてくれたりしたときに、 妙に気分が上がってしまうことだとか。 そんなことを考えていると知られてしまっては 堪らないので、 やはり、この世にそんな力がなくて良かったと思う。 ……ないよな? 思わず不安になってしまうぐらい、 威優は、妙に鋭く志麻の思考を読んでくるから侮れない。] (27) 2023/08/08(Tue) 1:36:26 |
【人】 田臥 志麻[田臥家ではカレーは定番メニューだし、 食べざかりの弟がいる為、 基本的にはドカンとボリュームのある料理が多い。 カレーもいつも二日分作る為に大鍋を使う。 志麻が威優にカレーを始めて作った時にもそうした。 皿の端に添えた福神漬けやらっきょうを、 余り食べたことがないという威優に。 カレーの添え物とはなんたるかを伝えたりもした。 好みがないと言っていた威優に、 自身の味や、常識と思っていたものを教えれば、 彼が少しずつ興味を持ち始めることが擽ったい。] オレもカレー作ろうと思って選んだんだけど、 んー……、オクラは肉巻きにして、 パプリカときゅうりはピクルスかなー……、 トマトと茄子足して焼きうどんでも……、 [余った食材を練り直す。 いくつか思いつくレシピを挙げながらも、 後は冷蔵庫の中身と相談だし、更に、 生物は買い足さないといけないだろう。] (28) 2023/08/08(Tue) 1:37:34 |
【人】 田臥 志麻[それは明日以降に考えるとして。 今は、目の前の『初めてのカレー』を堪能することにする。 香りに刺激されて腹は空腹を訴えるが、 まずはカレーに挑むための準備が必要だ。 新婚夫婦のような甘い囁きを交わしあった後、 案の定、吹き出した威優につられて笑って。] (29) 2023/08/08(Tue) 1:38:08 |
【人】 田臥 志麻[ネクタイとジャケットはダイニングに残して。 着崩した恰好でシャワールームに向かった。 後からついてくる威優に気づいても、 止めることはない。 離れる時間を僅かでも惜しむように威優は、 隙あらば傍に居たいと口にもするし、行動も起こす。 何せ、義従兄の番に逢う時も変装して ホテルまで後を追ってきたりしたので。 束縛をあれほど嫌っていた志麻ではあるが、 威優に至っては束縛されているというよりも 大きな番犬が纏わりついてくるような感覚に近く。 つまるところ……それが可愛いと思ってしまうので ]結局全てを許してしまっている。 (30) 2023/08/08(Tue) 1:40:05 |
【人】 田臥 志麻[威優の言う通り脱衣スペースには浴衣が置いてあり。 寝間着用、というキーワードに瞬いた。] そんなのあるんだ。 ……わ、なんかさわっとしてる。 気持ちよさそ。 [掌で触れてみて、生地の感触を確かめる。 普通の浴衣よりも柔らかく、なるほど、寝間着と頷いた。 ニ種類の模様違いに気づき、一つが縞模様だと気づいたら。] こっちがオレの? [くすりと笑い、持ち上げて頬に押し当てる。 さすが大守の関連会社というところか。 その仕草からして気に入ったことは伝わるだろう。] (31) 2023/08/08(Tue) 1:40:37 |
【人】 田臥 志麻[夕食を共にする事が少ない分、 二人で取れる朝食の時間はどちらともなく 示し合わせるようになり、朝の時間を過ごしている。 威優と夜を過ごす時間が長過ぎて、起きられない時もあるが、 それはお互いに予定のない週末であったり。 時に夜更かしをし過ぎた月曜の朝であったり。 弁当を作るために平日は志麻の方が早く目を覚まし、 合わせて朝食も用意することもあれば、 週末は寝起きから隙を見せることの無い威優が、 ホテルのビュッフェに出てくるような ブランチを用意していることもあった。 互いの生活のリズムを少しずつ把握してくると共に、 しばらく一人暮らしに慣れていた身体が、 人と合わせることを覚えていく。 威優の言葉に、ぐっ、と言葉に詰まる。] …………これ以上…、…? [そうなってしまえば、 理性が効かなくなってしまいそうで、怖い。] (35) 2023/08/08(Tue) 19:57:54 |
【人】 田臥 志麻[焼きうどんが物珍しいのか、威優の目が輝く。 ならば、使い道は決まったようなものだ。 今日が週末で良かった。 食材は痛むことなく明日の昼ご飯になるだろう。 ハザマさんは麺類を使うことは無いが、 志麻は乾麺を使ったり、うどんを冷凍して取り置きしている。 麺類は一人分の食事を作るのに楽だからだ。 食後にピクルスを作るなら、 後でもう一度冷蔵庫の在庫を確認しておこう。] (36) 2023/08/08(Tue) 19:58:15 |
【人】 田臥 志麻[浴衣の流行や良し悪しは、 和服に慣れてこなかった為によく分からない。 だけど、] 浴衣ってもっと昔風っていうか、 名前も知らないような文様が多いのかなって思ってた。 色の組み合わせは明るいけど、落ち着いた色だし。 ……可愛い。 [古めかしいというよりレトロな柄は、好感を誘う。 派手じゃないピンクの差し色が綺麗だ。 威優が手にした幾何学模様の方は、 もう少し色味が暗くてシックな作りだ。 同じようなポーズを取る威優に、 「着てるところがみたい」と、 リクエストを投げて双眸を細めた。] (37) 2023/08/08(Tue) 19:59:53 |
【人】 田臥 志麻[生活を共にするようになって 二人の間に差異があったのはやはり金銭感覚だ。 居室の広さに呆れたり、戸惑ったり。 ぞんざいに扱われていた物の値段に驚いたり。 シーツを変える度に焼却していると聞いたときには、 心の底から「洗えばよくね?」とツッコミが出た。 ただ、αならではの危機管理だとか、 彼が利用していることで回る経済だとか。 誰かが職に就くことができると思い直せば それも次第に受け入れていくようになった。 聞けばシーツに関しては危機管理だけでなく 自身への独占欲めいたものも含まれていると 小耳に挟んだ気がするので、何とも言えずにいる。 彼に「合わせている」というより、 「慣らされている」ような、感はある。] (41) 2023/08/09(Wed) 2:47:43 |
【人】 田臥 志麻[そのことに不快を感じるのではなく、 心地良さを覚え始めていたり。 隠された独占欲も、悪くない、と思ってしまう辺り。 基準が彼となり、変わり始めていっている。 威優と過ごす時間を、大切に思うように────。] (42) 2023/08/09(Wed) 2:48:06 |
【人】 田臥 志麻[志麻が「デレている」自覚がないのは 威優がその時に口にしないから。 口にしていたら否定するので彼の判断は正解だ。 番犬を飼っているつもりで実際は飼われていることを 知らないのは、本人唯一人、である。] あー……、素麺でも出来るな? けどもう、気持ちがうどんになっちゃった。 普通のうどんでいいよ。 茹でてあって袋に入ってるやつ。 ストックは確か、凍らせたのが残ってるはず。 [と言いつつ、それも記憶の片隅の話。 ちなみにネットスーパーなるものは 同棲し始めてからその便利さを知った。 便利なものは使わせてもらうに限る。 ストックは増えても困らないし、 ついでに肉も頼んでおくことにしよう。] (43) 2023/08/09(Wed) 2:48:41 |
【人】 田臥 志麻[志麻は可愛いものが好きだ。 それもレースやフリルのついたものが。 総じてそういったものの色に使われるのは、 大抵のものが白かピンクが多い。 故に、 ピンク=可愛い の図式が、志麻の頭の中では成り立っている。] ……色合いと柄は威優が選んだの? [偶然か、それとも必然か分からないが。 業者が選んだのなら趣味が合うだろうし、 威優が選んだなら好みを分かられている、気がする。] (45) 2023/08/09(Wed) 2:49:25 |
田臥 志麻は、メモを貼った。 (a3) 2023/08/09(Wed) 2:56:41 |
【人】 田臥 志麻[洗えば良くないか?と疑問に浮かんだ疑問は、 違った形で彼を肯定することになる。 もし汚してしまったシーツを顔見知りになった ハザマさんに綺麗に洗われていたりすれば、 きっと顔を合わせづらかっただろう。 それでも汚したシーツを焼却している頻度が、 多いことは知られているのだが……。 そこに至ってはもう観念している。 頻度を減らす、……ことは、出来そうにないから。] (50) 2023/08/09(Wed) 13:20:31 |
【人】 田臥 志麻[引っ越す際にもってきた志麻の荷物は意外と少ない。 ものにあまり執着しないのは元来の性格であり、 収集癖のようなものもない。 唯一拘っているのが下着ぐらいだ。 今やネットやクラウドシステムが主流になり、 殆どのものがサブスクで利用できる時代。 通勤中に音楽を聴いたり、空き時間にはアプリを ダウンロードしてゲームで通信したしたり。 ときには少し前に流行ったドラマを 動画配信サービスで一気見したり。 若者らしくスマホは手放せない生活は送っているが、 そんな志麻が引っ越してきて目を輝かせたのは、 大きなシアタールームである。 JPOPが好きな志麻は時折、その場所で アーティストのライブ配信を見たりしているし、 威優にも勧めたりする機会が増えている。] (51) 2023/08/09(Wed) 13:21:04 |
【人】 田臥 志麻[大守家は親族が多い。 それは以前に参加したパーティでも理解していたが、 まだ把握していなかった叔従母の名を出され、 威優が可愛がられていると聞けば目を細めた。 威優が海外留学していたのは叔従母の影響も あるのかもしれない。 国内に落ち着いていないからこその発想や、 センスに感嘆符を打ちながら勝手に好感度を上げて。 女系家族との紹介に、ぱち、と瞬いた。 なるほど、確かに当主も遺伝子の強そうな女性だった。] ……じゃあ、女の子産んだ方がいい? [性別は選べるものではないがなんとなく口にした。 それとも、威優のように男の子の方がいいだろうか? まだ、先の話ではあるけれど。 どちらにしても可愛がることには変わりない。] (52) 2023/08/09(Wed) 13:21:54 |
【人】 田臥 志麻[威優のように可愛らがれていることもあるし、 女系家族ではあるものの、 女尊男卑という感じではないらしい。 大守の中にはαだけでなくΩ性の人もいると聞く。 性別にこだわりがないと聞いたなら、 ふむ、と納得したように首を引いた。] じゃ、女の子と男の子がいいな。 オレ似の女の子と、威優似の男の子。 絶対可愛い。 [まるで確信を得たように言いながら、頬に口づけた。 兄弟はいいものだということを知っている。 親族は多くとも、今は母しか居ない威優の為に、 家族を増やしたい気持ちが前々からあった。 二人欲しいというのなら、望みのままに。 密かに意気込むのは心の中だけにしておこう。] (55) 2023/08/09(Wed) 17:31:02 |
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