人狼物語 三日月国


222 【身内RP】猫様としもべの夢【R18G】

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*ひゅるりら*

あなたが何かを言おうとしていたのを、見逃さなかった。
けれど聞き取ろうとしたところで、それが聞き取れる筈もない。

自らを引っかいていた手が、此方の頬に触れていた手が、だらりと投げ出されるのを見る。

腕を離す。それでももう動き出す事はない。
我儘も無茶振りもすり寄りもしない、生命からただのモノになったマオがそこにある。

――終わったのだと、奪ったのだと、思い知る。


「…………、」


後はあなたの願いを叶えなければ。
叶えなければ、奪った意味が無くなってしまう。
ああ、本当に!居なくなって欲しい訳がないのに、何も分かっていない!
最後の最期までなんて願いを遺してくれたんだ、あの馬鹿は!!


「は、はは、」

声に出して、笑う。
目からあふれ出る、胸を突き刺す邪魔ものを、必死に手のひらで抑え、
無理矢理に笑い声を口に出す。

「ははははは……!!」

――道化にすらなり切れなかった、哀れな男の。
壊れた様な笑い声が、唯々部屋に響いている。



死体はなにも何も語らない。


無機質な空間で慟哭にも似た笑い声が響く中、鳥居が現れた。
条件に達し、ここから出られるということだ。
この死体を連れて行くか否かは自由だ。

ひとしきり、笑い声を零した後。
この部屋に来る時と同じ鳥居が現れるのを見た。

ああ、本当に。こんな自分に嫌気が差す。
あまりにも愚かで笑い声が止まらない!

「あは、……はは、ははは……」

条件が満たされたというのに、乾いた笑いは止まらないまま。
あなたの亡骸を背負う様にして、鳥居を潜る。

ぐるぐると頭の中が回っている。
ここから出て、それからどうする?皆には、アリアにはどう説明するんだ?
こんな現実、夢だったかのように、
無かった事になってしまえばいいのに。

【人】 水底の石 マオ


この息苦しくて、底に沈んでいくような感覚を
知っている気がする。
冷たくて、苦しい、手を伸ばしてもなにも掴めない。
もがいてももがいても、その苦しさは消えない。

──わたしを、置いていかないでほしい。

そんな寂しさと孤独感に包まれて。

──わたしを、助けてほしい。

手を伸ばして空へと引っ張り上げてくれるものを探している。

水底に眠る石を拾う者などいないというのに。


 
(0) 2023/09/11(Mon) 19:44:44

【人】 水底の石 マオ

マオはふいに、目を覚ます。

クラッカーの破裂音と、狐面の男の声が
頭の中にこだまするものだから、思わず呻き声をあげ
レグナの背中でもぞもぞと動き出した。

「……ん、
ぅん……うるさいのじゃ……


なんだか身体が怠いような、眠いような感覚。
悪い夢を見ていたような。
ぼんやりしながら、その背のあたたかさに身をゆだねようとして
──今までのことが、頭の中をめぐって。

「──っ……!?」


跳ねるように顔をあげ、目を白黒させながら
首元に触れて、周囲を見回して。
──誰の背にいるのかに気づいたから。
マオは、飛び上がるようにしてどこかへと逃げ出した。

気づかれないよう木々の茂みに隠れ、おずおずと様子を伺う。
(2) 2023/09/11(Mon) 19:55:07

【人】 水底の石 マオ

レグナが走り出したのを見ると、反射的に再び駆けだした。
人の多い場所をあえて通り、軽い身のこなしで
屋根から、屋根へとなりふり構わずとび移っていく。
いつのまにか暮れた夜空に紺色が紛れていった。

「なんで……っ、追ってくるんじゃ……」


人ごみをかきわけているのが振り返った一瞬、見えた。
マオの頭の中は混濁した感情と混乱でいっぱいで
ただ、逃げることしかできずに。

やがて足も疲れてきて。高い木の上に腰を落ち着けた。
肩で息をしながらよりかかって、提灯の灯を
ぼんやりとうつろな瞳に映す。
いつの間にか、レグナを見失ってしまった。撒いただろうか。
(4) 2023/09/12(Tue) 0:23:54

【人】 水底の石 マオ


「……なんで、わしは逃げてるんじゃ……」

悲し気にまつ毛を伏せたマオの横顔を、月が照らしている。
せっかく選んでもらった浴衣も、ぐちゃぐちゃでみっともない姿のまま。

「なんで……、……」


──雨が、降ってきた。

ぽた、ぽたとマオの頬を、浴衣を濡らしている。
ここにだけ、ただしずかに降っている。
若草色から溢れる、小さな雫が。

「……レグナ……」


首元をなぞると、まだ感触が残っている気がした。
もう走る気力はなく、見つかるのも時間の問題だ。
(5) 2023/09/12(Tue) 0:27:36
マオは、どんな顔をして会えばいいのかわからない。
(a2) 2023/09/12(Tue) 0:28:18

【人】 水底の石 マオ

名を呼ぶ声がして、レグナを見下ろす。
月の逆光で、表情はよく見えない。
力なく、木に寄りかかっているシルエットのまま。

「…………何を、言っている?」

心底不思議そうな、呆けた声が降ってくる。
それでは全部レグナが悪いみたいで
それが違うことくらいはわかっていた。

「おまえを怒らせたのは、……わざとじゃ。
 あんなに怒るなんて、思ってなかったが……
 
あれはちと……いや、すごいびっくりしたのう


想いを馳せるように、首筋を指でそっとなぞる。
痕はなんにも残っていないけれど、どこか愛おしげに。

「せっかくおまえに殺してもらったのに、現実でなくて残念じゃ」


半分は本当で、もう半分は強がり。
くすくすと、力なく笑う声がため息に変わる。
マオが木から降りる気配はないが、代わりに
レグナの頭上からぽた、ぽたと小雨が降っている。
雨の正体は木の上に座るマオなのだけれど。
(7) 2023/09/12(Tue) 20:45:07
マオは、さっきからずっと涙が止まらない。
(a4) 2023/09/12(Tue) 20:49:33

【人】 水底の石 マオ


──その時、
ドォン!
と大きな音と共に
マオの背の空から大輪の花が咲いた。

「ヌ゛ァ!???」


その音にたいそうびっくりして、呆気なく
木から滑り落ちて行った。もちろん、レグナの上に。
(8) 2023/09/12(Tue) 20:50:26

【人】 水底の石 マオ

マオの頭が、ハンマーの如くレグナの股間に鉄槌を落とした。
それどころではない当人は、顔を埋めまま、ぎゅ、と
しがみつくように、手近な服を掴む。

「………ゃ、じゃ……」


震える声が、絞り出すように言葉を紡ぐ。
何に対しての否定なのか、もはや本人にもわからなかった。
いつもの偉そうな態度はすっかりなりを潜め、まるで怯える子猫のよう。今までさんざん甘やかされてきたマオは、一度躓いただけで、大怪我をするほど脆いものか。

「……なんで……なぜ、そこまで言える……?
 レグナはわしを、嫌いではないのか? 殺してしまえるくらい。
 ほんとうは……きらいに、決まってる」

「おまえに嫌われた世界で生きるくらいなら、
 おまえに殺された方がしあわせじゃと、思って……わしは……」


だから、わざとレグナを怒らせた。
自分が犠牲になって出してやろうなんて、そんな綺麗ごとのような優しさのひとカケラもない。

誰かを殺した人間は、特におまえのようなお人よしな人間は
一生殺した者を忘れないだろう。
そんな、呪いになろうとした。どこまでも自分勝手な男だった。

(11) 2023/09/13(Wed) 10:31:46

【人】 水底の石 マオ

おずおずと顔を上げて、起き上がる。力なく座り込んだまま。
ぐしゃぐしゃの前髪、泣き腫らした赤い目元。
濡れた瞳から、止まらない雫が未だに頬を濡らしていた。

「わしは、きっと、じぶんがはじめて……いやになった。
 いたい……胸が、息苦しいのじゃ……水に沈んでるみたいなのじゃ」


マオは胸の中心を押さえて、消え入りそうな声で訴える。

ずっと雨が止まないのは、そのせい?

生きててくれて、生きてさえいれば──……
やさしくて、あたたかい言葉をかけられているはずなのに
苦しくてたまらないのはなぜだろう。
この胸の内を吐き出せば、楽になるのだろうか。

マオはあなたに這うように、近づいていく。
もうさんざんぐちゃぐちゃの浴衣姿でも構わず。
服にしがみついて、すがるように、抱きしめた。

(12) 2023/09/13(Wed) 10:37:20

【人】 水底の石 マオ


レグナ
、」
「……
御免なさい


我儘で、自分勝手で、酷いことをさせて、困らせて。
もしあの空間が仮想ではなかったら、この"最期"に伝えようとした言葉は今ここで声にすることはできなかった。

「……ごめ、んなさい……」

「ごめんなさいをすると、仲直りできるのじゃろ……?」


己を絞め殺す時の彼の表情が、脳裏に焼き付いている。
胸元に額をすりつけて、涙があなたの服を濡らす。

「もう……しもべじゃなくてもいいから、」

顔をあげて、濡れた若草色があなたの蜂蜜色を見つめる。

「嫌いに、ならないで……、」


(13) 2023/09/13(Wed) 10:48:23

【人】 水底の石 マオ


──ドォン……!


その刹那、夜空にもう一度大輪の花が咲いた。
一瞬の光がふたりの輪郭を照らして、しんと沈黙が訪れる。

「……───────」
(14) 2023/09/13(Wed) 10:58:20
マオは、息を吞む。
(a7) 2023/09/13(Wed) 10:59:10

マオは、花火の音に遮られて詰まった言葉が、最後に唇から紡がれた。
(a8) 2023/09/13(Wed) 10:59:43

マオは、レグナのその一言だけで、胸がいっぱいになった。
(a11) 2023/09/13(Wed) 22:08:34

【人】 唯の青年でいたい マオ


祭りも終わりに近づいた頃。ながい階段を登った先の社へ
はやくはやく!とレグナの背中をぐいぐいと押してやってくる。

「レグナ。ここじゃ!はなび!」

準備もばっちりとしてあり、用意がよい。
本人に聞けば村のやつらにやらせた!と相変わらず人使いが荒かった。
(17) 2023/09/15(Fri) 0:24:37
マオは、山積みされた手持ち花火を漁ってロケット花火を集めている。
(a12) 2023/09/15(Fri) 0:27:22

【人】 唯の青年でいたい マオ

手持ち花火以外にも、吹き出すタイプのものや、爆竹など
マオが喜びそうな派手なものがたくさんある。
屋台フードや酒やラムネなどの飲み物も置いてあった。

「何を言う。花火は逃げるぞ! 
ほれ!!!


その掛け声と共にヒュンっと音を立てて発射する。
準備中のレグナの頬をかすめていく
ロケット花火
───
(19) 2023/09/15(Fri) 20:04:21
マオは、ロケット花火を(7)1d10本発射した。
(a13) 2023/09/15(Fri) 20:05:42

 




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