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【人】 瑞野 那岐[マッサージで軽くなった手をひらひらさせた後。 宣言通り、髪と背中を洗ってもらい、 時に指先の擽ったさに身を捩ったりして笑い。 新しく出したパジャマに身を包み、風呂から上がれば 今度はドライヤーを構えていたから、 目を細めて浴槽の中と同じように彼の前で背を丸め、 温風を浴びた。 その温かさに少し眠気を誘われ、 瞼が落ちそうになったけれど、立ち上がる気配に はっと意識を取り戻す。] ああ、帰ってきてから一緒に食べようと 用意してたんです。 ……全部、途中になっちゃいましたけど。 [後半は先程のキッチンでの行為を思い出して、 俯き、朱を散らしてしまって。] (0) 2024/01/08(Mon) 15:47:22 |
【人】 瑞野 那岐[小口切りにしたネギも、冷めてしまった出汁も まだキッチンに残っているだろう。 彼がそちらへ消えるなら、一緒に後を追いかけた。] もう新年は開けてしまいましたけど、 食べましょうか、年越しそば。 [キッチンは先程の惨状が綺麗に片付いている。 先程、先に彼が浴室から出た時に始末していたのか。 事後処理ばかりを任せて申し訳なくなるけれど。 せめて、と。 そう笑って、改めて作り置いていた出汁に火をかけた。*] (1) 2024/01/08(Mon) 15:47:33 |
【人】 瑞野 那岐[言っている間にも湯が沸き立ち始め、 蕎麦を軽く茹でてから水気を切る。 ひと煮立ちしたそばつゆは先に器の中に。 そして揺蕩うそばつゆの中に蕎麦を入れて葱を足す。 仕上げに海老の天ぷらを乗せれば年越しそばの完成だ。 二人分の蕎麦をこたつへ運ぶ間も、 テレビからは新年の祝いの言葉が続々と流れている。 聞き慣れない歌の中に、 先程の番組で流れていた曲もいくつか混じっていた。] いただきます。 [彼が座るのに合わせて、一緒に両手を合わせる。] (6) 2024/01/08(Mon) 21:03:53 |
【人】 瑞野 那岐[天ぷらには塩と、蕎麦つゆで使っためんつゆを つけダレ用に添えていた。 蕎麦に乗せた海老の天ぷらは普段のぱりぱりした感じより しとりとつゆが染み入っていて、柔らかい。 彼が箸を付けるのを眺めながら。] 市販で売っている本だしに みりんと醤油を入れただけです。 ……ああ、でも、 塩だけは瀬戸内の塩を少し使ったかな。 [少量の調味料にも気づいたのか、 味覚が鋭敏になってきたように感じる彼に、 思わず双眸を細めつつ、蕎麦を啜る。*] (7) 2024/01/08(Mon) 21:04:23 |
【人】 瑞野 那岐[年末年始の過ごし方も、しきたりも、 育った場所や環境によって違う。 彼が口にした二人には夏に会ったこともあり、 名を聞いただけで張り切っている表情が浮かんだ。] お節って元はそういうものでしたよね。 お誘いも、そう言ってもらえるのは嬉しいです。 けど、……実のところは、 息子の顔が見たいんじゃないですか? [彼の実家には足繁く通うには距離がある。 時折電話で連絡を取り合っているのを耳にもする。 俺が行くことになれば、自然、息子も同伴になるだろう。] (12) 2024/01/09(Tue) 22:25:16 |
【人】 瑞野 那岐また、その内。 休みが取れればご一緒します。 [浴衣を用意してはしゃぐ姿を思い出して、表情が緩む。 少し、昼間に会った母と重なる気がした。] (13) 2024/01/09(Tue) 22:25:51 |
【人】 瑞野 那岐[電子レンジの使い勝手と、プロの手伝いにより 温めるだけでも天ぷらは衣がからりとしていた。 少し癖のあるまいたけの味。 それとは全く真逆の野菜の甘みを伝えるかぼちゃ。 蕎麦の出汁の合間に口に放り込めば、 さくりと、衣が割れる音がした。 時々、この歌知ってる。という会話を挟みながらも、 深夜の食事は進んでいく。] (14) 2024/01/09(Tue) 22:26:04 |
【人】 瑞野 那岐そうですね、量も、ですけど。 使う塩によっては結構変わりますよ。 天ぷらを塩で食べる人が多いのも、 そういう口の肥えた人が多いかもしれません。 [店でも洋食に限らず、和食も用意することも多い。 天ぷらはやはり秋から冬にかけて作る機会も増える。 塩にこだわるお客様は、使った塩を家でも使いたいと 聞かれることも、一度や二度ではない。] (15) 2024/01/09(Tue) 22:26:13 |
【人】 瑞野 那岐[蕎麦がなくなり、残った出汁を少しだけ啜る。 そういえば、以前店で出した料理を彼は、 自身が下拵えしておいた野菜やスープを 利き分けたことがあった。 店で作ったものと同じものを食べたいというような話は、 それこそ彼と付き合い始めた頃には数度 あったような記憶があるけれど、 それも、少しずつ減ってきたように思う。 それは、自身が彼の家で作る味を覚え始めたからか、 店との違いに気づいたからか、定かではないけれど。] (16) 2024/01/09(Tue) 22:26:57 |
【人】 瑞野 那岐ごちそうさまでした。 [両手を合わせて、箸を置く。 流れていたアイドルの歌は、トークに切り替わっている。 明日の寝正月への誘いは魅力的だ。] 昼過ぎまで眠るのは、いいですけど。 起きたら、近所の小さな神社でいいので 散歩がてらお参りにいきませんか? (17) 2024/01/09(Tue) 22:27:19 |
【人】 瑞野 那岐[初日の出を見るなら、 少しゆっくりした初詣になってしまうけれど。] お守り、買っておきたいんです。 交通安全の。 [一年の計は元旦にあり、というのなら、 彼の無事を祈ること。 用意しておくに越したことはないから。*] (18) 2024/01/09(Tue) 22:28:04 |
【人】 瑞野 那岐[少し古風にも思える高野家のしきたりは 家系ならではか、地域の風習か。 幼少の頃からキッチンに立つ従姉妹の周りを うろちょろしていた自身とは 反対の暮らしをしてきたのだろう。 買い出しも立派な仕事ですよ、と笑う。 再び招く機会を得るほどに 好意を得ていたのだとしたら、有り難いことだと思う。 友人関係とは違う、同性の恋人に偏見を 持たれなかったことに内心、安堵を覚えながら。] (23) 2024/01/10(Wed) 21:50:18 |
【人】 瑞野 那岐[休みが今までより取りやすくなる話は、 年末の大きな仕事を引き受けた条件の一つだと 事前に彼からは聞いていた。 話題に上がる限り、交渉は上手くいったのだろう。] 俺は行きたいところと言われても、 すぐには思いつかないから、助かってますよ。 [付き合っているという自覚はない。 寧ろ彼の興味が引くところを知るのは楽しみでもある。 ただ、遊園地、と言われれば 意外さに少し目を見張りつつも] 遊園地は、高校以来ですね。 [耳のカチューシャをつけている姿を想像して、また笑った。] (24) 2024/01/10(Wed) 21:50:45 |
【人】 瑞野 那岐[天ぷらを塩で食べるのも、刺し身を塩で食べるのも 飲食店で働いていればよく見かける光景の一つ。 それでも、日本の塩の精製が世界でも有数なことは 料理に興味がなければ知ることはないかもしれない。 彼が興味を示すのならばその後も、 店で使っている塩や、蕎麦に使用した銘柄を上げる。 彼が仕事の話をするときのように、 料理の話をする自身の顔は綻んでいたかもしれない。] (25) 2024/01/10(Wed) 21:51:01 |
【人】 瑞野 那岐家内安全? それもいいですね。 [お守りは人に贈ると効果が強くなるとか。 信憑性は定かではないが、耳にしたなら試す価値はある。 好きなものならば辞める必要はない。 けれど、再び事故は起こしてほしくはないから。 せめても、と、持たせるのは自身の安寧の為でもある。 くしゃりと掻き混ぜられた前髪の隙間から彼を見上げて、 片付けを始める姿には甘えることにした。] ありがとうございます。 それじゃあ、お願いします。 [キッチンに戻っていくのを見送り、 こたつの布団を身体に引き寄せ、温もりを求め。] (26) 2024/01/10(Wed) 21:51:17 |
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