221 Pledge ~sugar days~
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[威優の前だとぐずり癖がついたみたいに、
いやいや、と子供のように首を振って駄々をこねてしまう。
それは身体を繋げているとき程、顕著に現れた。
イきたくてもイけないのがつらいと嘆いたら、
お預けを告げられ、指を引き抜いた。
奥はまだ疼いていたが、足りない刺激を送れば
余計切なさしか残らないだろう。]
……ン、……引き出し、
[四足歩行の動物みたいに、ベッドの上を這う。
勃ち上がったままの昂りで歩きづらい。
乱れた浴衣を引きずり、カメラにお尻を向けながら
ベッドサイドに向かう様子も全て映っていただろう。]
[目当てのものを手に取って戻れば、
教え通りにスマホをビニルの中に包んで。]
……、……?
[ここまでしても威優の意図が掴めずに、
透明な覆いの中のスマホを覗き込んで、
こてんと首を傾けたら、少し籠もった音声が
またいやらしいことを口にした。]
ッ、……画面越しって、
[かぁ、と頬が熱くなる。
威優が見せたように画面いっぱいに自身の昂りが
映り込むということに一瞬、躊躇う。]
[だけど、このままではイけそうにない。
兜合わせということは彼も同じことをするのだろう。
それなら、確かに、一緒にシた気持ちになれる。
溶け始めていた理性は、簡単に籠絡されて。]
……、ッ、ん、……こ、う……?
ぁッ、すべ、って、ぐじゅって……するっ、……
[おず、とスマホを裏筋に当てて、上下に擦り上げる。
つるつると滑る感覚は、少し似ていて。
は……、と熱の籠もった息が漏れた。
淡い刺激なのに、予想以上に感じている。*]
[互いが欲しくて始めた自慰の見せ合いが
こんなにも切なくなるとは思ってもみなかった。
彼を想い一人で慰めていた夜中は
セックス程の快感は得られなくても射精には至っていたから
こんなことは初めてだ。
ギリ、と歯軋りする。
どうして今、おもちゃじゃ嫌だと泣く志麻の
涙を舐めてやれないのだろう。]
[このまま同じ個所を弄り続けてもお互い辛いだけだ。
かといって、こんな状態で止めてしまうなんて、
切なくて気が狂ってしまいそうだ。
二人でしている気分になれることを考えて思いついた案は
志麻には予想もつかないことだったようだが、
寂しさにぐずついていても、己の言葉通りに
動こうとしてくれるところがいじらしい。
画面に映る乱れた浴衣と白い尻。
少し遠ざかるだけでも猛烈に寂しくて
追いかけたくなるのに捕まえられない。]
そう。
ああやっぱりビニル越しだとちょっと見えにくいな。
でもそのままシて壊れたら明日絶対後悔するし……
[画面に直接性器を当てるのはリスクが高い。
スマホにとってだけではなく、スマホにもし何かが
付着していたら、性器が荒れてしまうかもしれないから。]
はは、真っ赤になってる先っぽが見える。
そこにくっつけるから、な……っ
[彼が先に示してくれた位置に合わせ、
己の先端を当てる。
感触は無機質なビニルだが、
視覚的には実際に志麻としているような画となって、
己の手で擦っていた時よりも興奮する。
ぷくりと浮き上がった先走りが
ビニルの皺を伝って画像を乱した。]
好きだよ、志麻。
先っぽくっつけたまま腰を動かせる?
そう、俺をよく見て、
ああ、やばいな、 ……本当にシてるみたいだ。
志麻のペニスから出てる音もちゃんと聞こえる。
[はあ、はあ、と荒く息を吐く。
本来兜合わせをするなら、正面を向けば志麻の顔が
見えるだろうが、彼の顔は小さな四角の中にしかないので
必然的に下を向くことになる。
すると、開けたままの口から唾液が垂れるのも
止められず、ぽたぽたとシーツにシミが落ちる。
きちんと精嚢が重くなっていくのを感じる。
このまま擦っていけば達することができるだろう。
願わくば、君と一緒に。**]
[威優を考えて一人で慰める夜が数えるほど合っても、
どれも、結局最後まで果てることはなかった。
自慰が減っていったのは達しきれない切なさを
繰り返してしまったせいでもある。
もう一人では満たされることはない。
ぐずついて泣いてしまうぐらいに威優がいい。
威優じゃないといやだ、と告げた告白は、
今や、志麻に繋がるもの全てに影響を与えている。]
[ビニル越しの威優の顔は少し歪んで見える。
多少歪んでいても格好いいと少し見惚れてしまう。
もとから造形は好みの顔をしていたけれど、
今となっては、嫌いな箇所を上げるほうが難しい。
スマホに陰茎を直接擦り付けるのではなく、
しっかりとビニルを取りにいくことを選ぶ配慮も
ただ精密機器が壊れることを危惧してのことじゃないことも。]
ぅ、ンッ、もう、張り詰めて、いたい……、
[まるで性教育を施されたばかりの子供のような
張りの現状を伝え、威優に助けを乞う。]
[すり、とビニルの上で腰を揺らすと、
先端の膨らんだ陰茎がレンズの上を往復した。
液晶の向こうでは同じように
威優の太くて赤黒い昂りが画面を上下している。
見て、と言われて画面を注視すれば、
威優の切なげが表情が、しっかりと映り込んでいた。]
ッ、ぁッ……ン、いいッ……、
これ、ンッ、いゆうっ、と、シてるッ……、
ぁ、ぁんッ、
きもち、いッ……ッ、
[擬似的な兜合わせでも、先程より一体感があって興奮する。
腰を突き出して、スマホに押し付け。
腰の動きと合わせるようにスマホを持つ手も、
次第に快楽を求めて、揺らぎ始め。]
[くちゅくちゅと水音が響く中に、
ビニルのザラザラと擦れ合う音が交ざり、
摩擦が激しくなっているのが分かる。
どちらのマイクから拾っているのかもう分からない。
見下ろしている表情が、
威優と抱き合っている時みたいに蕩けて。]
んッ、おと、きこえるッ……ぁ、ッ、
い、ゅ、……いっしょ、にッ、
ぁッ、んンッ、んッ!
も、でそ、ッ、……イく、ッ
……イッ、
く
────ッ !
[スマホを持つ手が震え、腰がびくつく。
ぴゅくっと勢いよく飛び出した白濁は、
画面を濡らすと共に、
見下ろしていた自身の顔にも飛び散って。**]
[ビニルが彼我のカメラに掛けられただけで
途端に随分と離れたような気持ちになる。
なまじ解像度の高いカメラが搭載された機種だけに、
歪みが煩わしい。
それでも、不自由さを感じるとしても、
「志麻と一緒」が良い。
ビニルが擦れる音に合わせ、水音が響いた。
マイクの近くだから、息遣いよりも大きく聴こえるだろう。
己の耳に届いているように。]
あんまり激しく押し付けたら
摩擦で切れるかもしれないから慎重にな。
[己がよく彼の状態を言語化するからか、
彼も自己申告に抵抗がなくなってきているように思う。
痛みを感じる程に張り詰めているのは
志麻が己を
愛
しているからで、
それでも自慰で射精に至らないのは
己が志麻をそうなるまで
愛
してきたからだ。
擦れる音に負けないように告げる。]
好きだよ、志麻。
っは……兜合わせ、きもちいぃ、な?
[実際に触れているのは相手の性器ではなくとも
お互いがこの行為をそう呼ぶなら
これは「兜合わせ」だ。]
[あんなに遠かった射精感がこみ上げてくる。
志麻の方も同じ焦燥感を抱えているようで嬉しい。]
俺も、イきそう。
志麻、志麻……ッ ぁ、イく……っ
[びるるるる、とビニルが震える音がした。
電話の向こうでは大きなノイズになったかもしれない。
己の精液で画面が遮られ、よく見えない。
それでも、画面の向こうも己の像に向けて
射精していると確信したまま、何度か腰を振って新しい白濁を飛ばした。*]
| ── *** ──
[───そんな、蜜月は今もまだ続いている。 贈られた浴衣に袖を通すことに慣れた今でも、 着付けは威優に任せたままだったり。 弟からのLINEに翌朝になってから気づくほど、 威優とベッドの上で溺れたりして。
威優の三週間の長い長い出張も終えた今、 志麻は────、ダイニングのテーブルに テキストを広げて文字の羅列とにらめっこしている。
試験は来週末。 問題への予測も出来ているし、9割近くの正解率を 自己採点では出しているから多少余裕はあれど、 日が差し迫るとのんびりとくつろいでも居られない。
専属の家庭教師が、様子を見に来るまでは、 一人、ワイヤレスイヤホンを耳に付けて お気に入りの洋楽を流しながら、 シャープペンシルをノートに走らせていた。*] (0) 2023/08/28(Mon) 20:59:27 |
[慎重にという声に頷くことはしたものの、
擦り付ける動きは止まらなかった。
ほんの少しだけ、腰を揺らす動きを緩やかにして
それがまたもどかしくて瞳を覆う水膜が厚みを増した。
一緒に気持ちよくなっていることを知ってほしい。
淫らな言葉を口にすることも厭わずに
只管、快楽を追い求め、二人で悦くなりたくて。
低温の甘やかな声に名前を呼ばれたら、
鼓膜まで性感帯になったみたいに快感が突き抜けた。
自身の飛沫がスマホを汚していくのと同時に
画面の向こうで、威優の切羽詰まったような声と、
薄い被膜が擦れる音が聞こえる。
達した後の余韻に惚けながら、視線を落とせば。
スマホに映る威優の顔を自身が吐き出したものと、
彼が吐精した精液が重なって、汚して。]
[まるで自身にも吐精されたみたいで、
ぞくんと達したばかりの腰が震え
刺激も与えられていなかった後膣がまたきゅんと疼いた。]
……、は……、ぁッ、……
[熱っぽい息が、また、零れる。]
……会いたい……、
[吐精しても尚、彼の熱が足りない。*]
[ビニルが擦れるにつれて皺が寄り、
画面が更に見えにくくなる。
その分、己の様子は言葉にして伝えたいと思った。
達する時、実は上擦る声が聞いていて不快なので
普段は呻きに留まるように必死に声を抑えているのだが
今日は志麻と一緒に高みに上りたくて
解放時にそれと伝わるように言葉にした。
やはり己の声は好きではないが、同時にスピーカーから
聞こえて来た志麻のアクメの声がその不快感を相殺してくれた
気がする。]
……ビニル被せてて良かった。
べとべとだ。
[射精後の脱力感で、苦笑も緩慢だ。
汚れた部分が内側になるように慎重に剥がし、
口を縛る。]
……体調不良にでもなるか。
[切ない呟きに返すのは、少し弱った声。]
ほら、実際、胃が弱って今日の夕飯を
部屋でとったくらいだし。
[「今すぐ行く」と強引に行動に移さないことから、
この度の出張が早々キャンセルできるものではないことが
志麻にも伝わるだろう。
立場があることをこんなに苦しく思う日が来るなんて、
思ってもみなかった。]
志麻が有休使って来てくれる?
[思わず言い出してしまうくらいには、志麻が恋しい。*]
| [イヤホンを付けていても、 周囲の環境が聞こえるくらいの音量にしかしていない。
音楽に重なるように威優の声がすれば顔を上げ、 風呂上がりの彼に、んー……、と。 返答とも唸りとも取れる相槌を打つ。
威優よりも帰宅が早い志麻も、 彼より先にシャワーを済ませていた。
風呂から上がった後も、浴衣を身に纏ってしまうと ついつい、だらけそうになってしまう為に 外出にも使えそうなシープボアのカーディガンと ボトムスのセットアップを着ている。
一緒に風呂に入りたい気持ちはやまやまあれど、 ただ一緒に浸かって、だけで済ませられる気はしない。] (5) 2023/08/28(Mon) 22:34:23 |
| [自身に合わせてくれた威優のサポートもあり、 ページの進み具合は順調といえば順調だ。 複数ページについていたメモ付きの付箋も今は 随分と減って、ノートの厚みも薄くなってきている。
彼が手書きで書いてくれた付箋は、 もう見ずとも答えられるが、捨てられないまま 纏めてエシレのクッキー缶に詰め込んでいた。]
……順調といえば順調。 暗記ものは概ね覚えられたと思うし、 引っ掛けに躓くほうでもないから。
……お、サンキュ。
[暗記する方法はひたすら書いて覚える方が性に合っている。 その話をすれば、数回読めば覚えると言った威優には、 出会った時のように、わぁ……♡と、感嘆を零してしまった。 このときばかりは地頭の良さに少しばかり嫉妬する。] (6) 2023/08/28(Mon) 22:35:01 |
| [濃茶色から甘い香りがする。蜂蜜だろうか。 一口、口に含めばふわりとアルコールが広がって。]
……あ、これお酒だ? うまい。
[蜂蜜の甘さにほっとして表情が緩む。 両手でグラスを包み込みながら、 ストレッチ代わりに頸をぐるぐると回しつつ。] (7) 2023/08/28(Mon) 22:35:13 |
| ほんと、焦ると計算する時にミスりそうでさ。 どうせ仕事じゃパソコン使うんだし、 試験でも計算機使わせて欲しい〜……。
[不安、というよりも半ば愚痴めいてしまう。 ちなみに英語も、法律も。 仕事で必要な箇所に集中的に絞って覚えた。 地理だけは好奇心が勝って得意分野となったが。
いずれ秘書室に就くのであれば、 英語は必須になるだろう。 今の会社でも使わないわけではなかったが、 スキルレベル的には格段に上がっていくだろう。*] (8) 2023/08/28(Mon) 22:36:29 |
[汚してしまったビニルを取り外して、
歪みのない威優を映し出す液晶を改めて見る。
滅多に聞けない威優の上擦った声に
酷く興奮を煽られたから、
今度ベッドの上でもう一度聞きたいとねだってみようか。]
……ははっ、オレも。
[苦笑する威優につられて笑い。
もう一度ベッドサイドに寄ってガーゼを取り、
顔にまで飛び散った飛沫を拭った。]
威優とほんとにシてるみたいだった。
キス顔より、今のやつ録画したら良かったのに。
[綺麗に映るようになった向こう側に、
片目を伏せてみせて、そんな冗談を口にする。]
[切なさが滲んだ声に、威優の声が重なった。
役職以前に彼の性格上からも、出来そうにないのに。
そんな言葉を口にしてしまうほど、彼も。
会いたいと思ってくれていることに、
今度は胸がきゅうと絞られるような感覚を覚え。]
……二人でサボっちゃう?
[だめ、とは言えずにサボタージュに誘うくらい。
会いたい気持ちはより募ってしまったから、
やっぱり遠距離恋愛になんて、向いてない。
だから、珍しい彼のおねだりにグッと来た。]
[入社して以来有休は余り使えていない。
今の会社を退職する直前に、纏めて使おうと思っていた。
ならば、一日、二日くらい。
許されるだろうか。
瞬時にカレンダーを脳内に浮かべて、
週末までの日数を数える。]
……、……行く。
仕事が終わったら新幹線で。
だから、……明日抱いて。
[もう、週末まで待てる気がしない。*]
| [威優の地頭の良さは出会ったときから感じていたが 生活を共にするようになり、家庭教師を任せた頃から より強く感じるようになった。
勉強法が違うのはもちろん、要点の纏め方や 教え方も相手に分かりやすく手法を変えている。 地頭だけでなく性格由来のものも多分にあるだろうけれど。
彼の好感が持てるところは能力をひけらかさらない点だ。 ここまでくれば妬むどころか尊敬を覚えてしまう。
まだ直接上司と部下の立場になったわけではないが、 威優なら間違いなく上司として、夫として、誇れるだろう。]
そっか。 最初は見慣れない単語ばっかりだったけど、 新しいこと覚えるのって結構好きだから 調子が上がってくれば勉強も楽しいよ。
[肩肘張らず、強がらなくてもいい。 そんな環境下の中で集中できるのは有り難い。
それは他でもない威優が与えてくれたものの一つだ。] (12) 2023/08/29(Tue) 1:07:55 |
| [こうして手渡してくれるさりげない労いも 心が温まる心地で表情が緩む。]
ホットミルクはたまになら嬉しいんだけど、 実はちょっと甘過ぎて苦手。 ああ、でもミルクにも蜂蜜入れるな。 どうしても甘いものが欲しいときとか。
これはちょっと苦味もあって好きだな。 ……嬉しい。
[いつから用意してくれていたのだろう。 大げさでもない、優しい励ましが心地良い。 こくん、ともう一口飲めば、 紅茶の奥に蜂蜜独特の癖が広がった。] (13) 2023/08/29(Tue) 1:08:12 |
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