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![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[>>-179彼女のぬくもりが、柔らかく振ってくる。 気を失っている間に、僕も涙を流していたらしい。 彼女の頬を伝った水滴は僕へと振ってきて、 僕の流したそれと混ざり合って一つになった。 >>-180見上げた位置にある彼女の顔は、ぼろぼろだ。 止まらない様子の涙を拭ってあげたくても、 傷だらけの体を手当てし、労わってあげたくても、 僕の体は、さっき少し頭を浮かせたのが限界で、 これ以上動かせそうになかった。] ……僕は、酷い奴かもしれない。 ルークがこんなに、痛そうで、 また、僕が君を、泣かせてしまっているのに。 [いつもなら、手当しないとって、 心配でたまらなくなるところだっていうのに。] 今、僕はこんなに嬉しくて……いいんだろうか。 [自然と零れたのは、そんな言葉だった。 今、僕の胸を満たすのは。 二人とも無事で良かったという喜び。 こうして、僕は僕のまま、全てを失わずに、 ルークと共に居られることへの、幸せだ。] (266) 2020/05/30(Sat) 16:01:11 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[義手を含めて持ち上げるのは厳しいと思うけど 身体の向きを変えるぐらいなら、彼女にも可能だろう。 あちこちに負荷がかかっているのを感じていたので >>198楽な体制にして貰えて、ほっと一息。 胸に耳を押し当てて、僕の無事を実感しているような そんな仕草が可愛くてしょうがないのに、 >>200揺れる尻尾が感情をよく伝えてくれてるのに、 全く動けないのがもどかしいったらない。] 折角無事で会えたのに、酷いや。 [顔を隠してしまったルークに、くすくすと笑う。 そんな、尻尾がとてもよく見えてたし、 顔を僕の胸に埋めてるということはつまり、 僕の耳が鼓動の音を拾うのも容易な距離であって。 僕の心臓の音だってそりゃあ早くなってただろうけど 満身創痍で、体力も使い果たしているからか、 目が覚めた直後のことはそれほど気にならなかった。 (―――これ、僕も後で、穴に入りたくなるほど 恥ずかしく思うのかもしれないなぁ。) そうは思いつつも、見ないという選択肢はなく。 視界の下の方で揺れ続ける真っ白い尻尾を 僕はじっと眺めていた。] (267) 2020/05/30(Sat) 16:02:48 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[……まあ、でも。ずっと黙ってるのもと思ったし 指摘された彼女の反応も見たくって。 動けないまま、笑いながら言ってあげる。] あのね。ルーク。 顔を隠してるところ、悪いんだけど。 ……尻尾。凄い、嬉しそう。 [僕に意地悪したくなるルークの気持ちが なんだかようやく、わかった気がする。] (268) 2020/05/30(Sat) 16:03:12 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[戦場となっている外からは、 まだ戦いの音が聞こえていたけれど。 戦況は悪くはなっていないようだった。 一応、襟元に無線はついているが、僕のは近距離用だ。 第一攻撃部隊達の通信はここでは拾うことが出来ず、 心配ではあったから…… 外の機獣の攻撃音が少なくなってきてるのを兎耳が拾えば 窓の方を見上げて、安堵した。] ほんとは、僕が。 ルークを医務室まで運んで、って できればよかったんだけど 動けそうになくて……こればかりは、ごめん。 [>>201的確に、ペンギンに指示を出すルーク。 救急キットも、義足も到着したとして ここから医務室へ、僕はどうやって運ばれるのだろう。 そのときは、ルークは運ぶ役にはならないで 白い尻尾を揺らしながら医務室へと先導して歩き。 その後ろを大勢のペンギン達が担架替わりになり、 ペンギンの上に担がれて運ばれる ……なんていうのを想像してしまって。 もしそうなったらこれから暫くは、僕もルークも 部隊の子達からネタにされそうだなあなんて思い。 少し、笑う。] (269) 2020/05/30(Sat) 16:06:15 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[……段々と、瞼が重くなってくる。 さっきまでいた、水底での深い眠りではなく。 また起きたら僕は僕のまま目覚めることが出来る、 普通で、それが僕にとっては大切な、眠りだ。 ―――さっき目覚めてからは、もう。 ここ最近ずっと僕に付きまとっていた、 起床後の頭痛はさっぱり無くなっていた。 だから、今度も大丈夫。 もう、妙な夢も見ないし頭痛もしないだろう。 そんな確信からくる安心でうとうととしていれば。 頭が持ち上げられ、柔らかくて温かなものが差し込まれる。] 綿菓子みたいにふわふわで、あったかい。 ……すぐ、寝ちゃいそうだ。 [頭を包み込む柔らかさは酷く心地よい。 ほんとは、もう少しルークと話していたかった。 でも、もう体力は限界のようだったし、 久々の、記憶の夢を見ない眠りへの誘いが ルークの尻尾枕だというのは、とても嬉しかったから。 このまま寝てしまえたらさぞ気持ちいいだろうと。 そう思いながらも……寝落ちる際に、最後。 尻尾枕をしてくれる前に話してくれたこと。 その時は、僕は頷いて聞くだけだったけれど。 少し、僕からも話しておきたくて。>>203] (271) 2020/05/30(Sat) 16:12:00 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット 僕は……正直、駄目だと思った。 でも。深い水の中……夢のような場所で 僕が全てを忘れそうになった時に ルークの手の温度が、伝わって来たんだ。 君が、僕に話しかけてくれた全てが、 ……ううん。今だけじゃない。 これまでに、言ってくれた、してくれた全てが 僕を、今この場所に引き戻してくれた。 今。一緒にいられるのが。 僕も、幸せなんだ。 だから、これからも―――僕と、一緒に。 [一緒に居て欲しいと。 口はそう言いかけた形のまま、 ふわふわの枕に抗えず、僕は眠りへと落ちた。 寝顔は夢やこれからへの不安などなく、安らかに。] (272) 2020/05/30(Sat) 16:12:45 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット― 医務室 ― [僕が次に目を覚ましたのは医務室だった。 ……とはいえ、ここはいつもの医務室ではない。 今回の一斉攻撃を乗り切れたのは喜ばしいが、 この戦いはいつも以上の負傷者を産んだ。 基地の医務室一つでは賄えず、 空き部屋に簡易ベッドを追加でこしらえて、 臨時の医務室を何部屋も作ったようで。 今、僕は、そのうちの一つに入れられている。 ……と。いう説明を、そこにいた軍医に聞いた。が。 目覚めてから僕はもうそれどころではない。 話される内容なんて、全然頭に入らなくて。 ある程度体が動くようになっているのをいいことに 軍医が僕のベッドから離れた瞬間、 ばふんっ!と、布団を頭から被って丸まった。] (273) 2020/05/30(Sat) 16:13:24 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット (――――ッ!!! ぼ、ぼ、僕は、なんてことを…!! えっ、夢じゃない?夢じゃないよな?? だって、ルークと、その、あんな、 いやいや、嫌なんてこと全くなくて、 嬉しいんだけど!!!!! そうなれたらいいなって! 思ってたりも、したけど!!! で、でも!!心の準備が!!!! ) (274) 2020/05/30(Sat) 16:13:48 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[起きた瞬間から、ルークを助けてから、 彼女の尻尾を枕にして寝てしまうまでのことを 何回も何回も思い出してしまって。 触れあった唇の感触とか! 想いが通じ合ったのはいいけど、 あんなストレートな言葉で言ってしまったとか! 髪や尻尾だけじゃなく、顔を真っ赤っかにした兎は 顔を隠すので必死だったらしく。 ……布団で隠せているのは、 まるまった兎の、おなかから上の部分だけ。 ベッドの下の方から見ればズボンも靴下も丸見えで。 丸くて赤い尻尾がふわふわと見えて、揺れていた。]* (275) 2020/05/30(Sat) 16:15:03 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[―――僕が、布団の中で丸まってる間。 僕と同じように負傷して手当を受けている兵士たちの 話し声が、ベッド同士をカーテンで仕切った、 僕の隣のベッドの方から聞こえてくる。 第一攻撃隊の隊長が、基地内部に侵入した蛇型を 義手の光線の一撃で仕留めたことを 人伝いの噂で聞いて、興奮気味に語る声がする。 >>284僕が医務室に運ばれて来た状況は噂になっていて ペンギン達を手懐けることがピンチを打開する秘訣だとか あのペンギン型端末達と仲良くなるためには、 彼らが喜ぶ甘いお菓子を献上しなければならないだとか。 ペンギンと仲良くなる方法を一番よく知っているのは 軍医の、あの"葬儀屋"なのだとか。 ] (やっぱりペンギンに僕は運ばれたのか……) [基地内のペンギンの扱いが良くなりそうなのは 喜ばしい事態ではあるのだけども。 これは後で、僕の部隊の子達に捕まった暁には、 相当な質問攻めにあうことになるかもしれない。 色々覚悟しておかないと、と。内心ため息。 葬儀屋とまだ呼び続ける声には文句も返したくなったが 葬儀屋の治療は思っていたより悪くなかった、 と、話が続いて。今は許すことにした。] (297) 2020/05/31(Sun) 2:52:31 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[やってきた機獣の全てを倒せたのは本当らしく、 死傷者ゼロ……とはいかなかったが、 僕の部隊の兵士含め、被害は最小限に抑えられたらしい。 そのことに安心したのもつかの間。 >>252もうひとつ、噂が聞こえてきて 布団の中に埋もれた耳がぴくりと動く。] (……"交渉"か。 総司令も流石に、防戦一方のままでいいとは 考えることはない……か。) [>>251機密として扱われている話もまだあるようで 地下世界の住民たちが元々地上世界の人によって 作られた存在であることまでは、 この医務室では聞こえてこなかった。 ……でも。 この世界に来る前のいくつかの記憶は 本当に忘れてしまったまま思い出せてないけれど。 地上の人達の目的と。 地下世界の、耳と尻尾を持つ種族については 少しだけ、話を聞いたことがあった。] (298) 2020/05/31(Sun) 2:53:55 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[もう住めなくなってしまった地上世界の代わりに、 地上の人達は、地下へと進出することを決めたらしい。 広大な地下空洞は、人が移り住める程には広く、 地下でしか育たない植物や動物なども既に生息していた。 しかし、大気の状態や、日光がない環境から。 地上の人達が適応できる環境ではなかった。 ……そこで。 環境の変化に強く生きられるような種族を、 かつて、地上に多く生息していた動物達をモデルに、 自分たちの遺伝子を掛け合わせて、作ったのだという。 大地の開拓は彼らが作った生物たちに任せて。 地下の空気の浄化と状況の観測は、 僕たちが『太陽』と呼ぶ、地下天井に浮かんでいる 太陽光の役目を持つ機器が行った。 それは、地上程の空間の浄化は行えないが、 地上よりも空気の量が少ない地下なら時間をかければ 地上の人間が住めるぐらいまで大気の状態を変えられるような 機能が備わっていた。] (299) 2020/05/31(Sun) 3:02:13 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[自分たちが住むのに良い環境になったから 最初に地下に放った生物達は用済みになった。 だが、組み込んでおいた、ナノマシンは不発に終わる。 ……そこで、作られたのが僕だった。 地下への攻撃の際まで使える状況だったなら 攻撃にも参加できるよう戦闘力を高く持たせた、最新型。 でも、戦闘能力以外の、環境適応力などは、 地下世界の生物達と同じに作ったらしい。 ……まず、僕には。 そのナノマシンの投与と、作用実験が行われた。 ―――結果は、今の状況を見てわかる通りだ。 地上の人類によって作られた僕達新人類は、 製作者たちが思っていたよりも、丈夫だった。 僕には、ナノマシンを含めた、 毒のようなものは一切効かなかった。 これは地上人のだれも予測できなかった事態だったようで 地下世界を攻撃するのに反対の人達も居たらしく、 もう少し世界を調査するべきだという意見に押され。 とりあえず、今後の方針が固まるまでの短い間。 どんなに汚染された環境でも生きられる僕が 世界の各地点を調査することになったんだ。 あらゆる場所を見ることが出来たわけじゃなかったから もう少し調べられたならという後悔が……今はある。] (300) 2020/05/31(Sun) 3:05:33 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[後悔と言えば、僕が作った人達が言っていた、 地下の人達は言葉も通じない"敵"だと、 そっちにもっと疑問を持てたなら…… もっと、地下と地上の状況は変わったのだろうか。] (301) 2020/05/31(Sun) 3:05:49 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[『岩盤の上の世界も一枚岩ではない』のは確かだ。>>252 それならば。交渉に向いているのは、 上の世界も下の世界も知っている、僕が良いんじゃないか? 僕は交渉事なんて向いてないと思っているし、 緊張と不安でまた穴に潜りたくなっちゃうと思うけど。 でも…………] ……ひゃあっ! [僕は考え事に集中していて、 近づいてくる気配に全く気付いていなかった。 >>287もぞもぞと足元から這い上がってくる感触が 足から背中までをぞわりとかけ上がってきて、 裏返ったような声が出る。 なんだなんだと顔のあたりにひっついてきた もふもふの何かの方を見てみれば。 それはもう嬉しそうな眼差しで、 僕の方を見るペンギンと目が合って。 ぱち、と。瞬き。 ―――その瞬間。 ルークの声がして、一気に布団が剥がされた。] (302) 2020/05/31(Sun) 3:06:48 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[折角落ち着いてきたって言うのに、 ルークの顔がこんなに近くにあるんだ。 また一気に顔が赤くなるのも当然というもの。] わぁっ!!! る、る、ルーク…!!! あー、ええっと、体は、 例によって、右腕がまた動かないけど、 この感じ、いつもと同じだから大丈夫……! 抵抗は、し、しないけど、 その、苦いのは…… [何を聞きたがってるのかはすぐわかってしまい、 ううう、と小さく唸って。しどろもどろ。 ちらちらとルークを見ても、見逃して貰える筈も無い。 よく見ると、ルークも少し顔が赤い気がする。 言わないのも彼女に悪い気もしたし。 ……言っておかないとな、と。 僕も思ってはいた。から。 ] (303) 2020/05/31(Sun) 3:09:51 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット あー、えっと、 ……もう少し、屈んでくれれば……言う、よ。 [ごにょごにょと、そうお願いすれば。 ルークは少し頭の位置を下げてくれるだろうか。 彼女の耳がよく見えるようになったなら。 (もしフードを被っていたら、優しく外して) ふわふわのそれを、左手で撫で。 まだ赤みを残した顔のまま、 真っ白な耳毛に唇が触れるほど近づいて、言うんだ。] (304) 2020/05/31(Sun) 3:10:32 |
![]() | 【人】 部隊長 シュゼット[ルークとの会話が落ち着いた頃に。 さっき聞いた噂が気になって、彼女に聞くだろう。] そういえば……総司令が、 地上との"交渉"役を、基地の人員から選ぶ、って そんな噂を聞いたけど……本当? [隣のベッドの方を見て、兎耳を揺らして首を傾げ。 言ってしまおうかどうか、どうしようと。 悩みながら、お腹のあたりに居るままのペンギンを もふもふと撫でる。] もし本当なら…………そうだ。 ……ルーク。タブレット、見てくれた? [そういえば、戦いの前に、 地上に行くことを考えているという相談を書いて、 タブレットを渡していたことを思い出す。 >>288さっきまで近くにいるルークのことばかりで、 心臓はどきどきしっぱなしで他のことには気が回らず。 枕元にタブレットが置いてあることも、 僕はまだ気づいていない。 まさか、もう、とっくに読み終えられていて。 返事まで書かれている物がここにあるなんて。 あの戦闘から数日経っていることもまだ知らない僕は、 予想もしちゃいなかった。]** (305) 2020/05/31(Sun) 3:14:01 |
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