74 五月うさぎのカーテンコール
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[沈黙。
これは、まずったかも知れない。
うにゅと眉尻が下がる。
いつもの褒め言葉は空気の表面を上滑って、どこかへ転がっていってしまったよう。]
――……
[同じだけの長い間。]
[聞き返す言葉に耳を傾けて、声音のもつ意味を考えてみる。
けれどここで引くことができるなら、履歴書握りしめて転がりこんだりしてない]
好きですよ。ジンさん。
お腹がいっぱいになっちゃうくらい好きです。
[また沈黙が続くだろうか。と、
思った矢先に、目を覚まさせるようにアラームが鳴った。]
あっ、あ、ちょっと
[わぁ、とキッチンへ駆けて行って冷凍庫チェック。
容器を開けて中を触ってみて、パプリカのシャーベットの方だけ、中を手早くかき混ぜた。]
すいません……まだまだ固まってなかったデス。
[戻ってきて、ソファの足元の床にぺたんと座った。*]
[優しくて格好いい、が滑っていったのは、実感がないせいだ。
行き倒れを助けたのは事実なので、優しいという評価はつくだろうが、それ以上を見出だせなかったし、格好いいだなどと言われる姿を見せた覚えがない。
場を曇らせないように紡がれた、方便のように思った。
眉尻が下がるのを見て、沈黙。]
んん。
[どうして、を紡ぐ前に、アラーム。
ぱたぱたと駆けていく姿をかわいいな、と思ってしまって、ひとり肩を竦める。]
っはは。
そっか。
君のせいじゃなし、謝るようなことじゃないでしょ。
[へたりと床に座る様子がおかしくて、からから笑う。
改めて、ソファの隣を示して。]
座って。
……どうして、って、聞いてもいいかな。
あ、全然、嫌とかじゃなくてさ。
理由を聞きたいんだ。
きっと君は、俺に、あの日助けたっていう以上の気持ちを、抱いたんでしょ。
[そういうことだと自惚れるならば、だけれど。]
……俺はね。格好よかった試しはないよ。
だけど君は格好いいって言うだろ?
そういう、君に見えてる俺の話が聞きたい。
どう?
[叶うなら、その儚げにすら見える身体をそっと、抱き寄せよう。
体重を少し、分けてもらうみたいに*]
[その日の夜は、分かれて眠りについた。
しゅんとした基依さんに一瞬絆されそうになったけれど、許してしまったらきっと明日の朝は起きられない。
彼の部屋に泊まって別々に眠るなんてことは今まではなかったから、隣に感じられない体温を少し寂しく思う。
「本当に床で寝るんですか?」と尋ねてみたけれど、彼の意思は頑なだった。
だから、旅行先ではいっぱい甘やかしてあげようと心に誓っている。]
[翌朝、彼より少し早起きして身支度を整える。
レモンシフォンのバルカン・ブラウスに、
オフホワイトのフィッシュテール・スカート。
前後で長さの違うスカートは前身頃がやや短く膝を覗かせる。
長く歩くだろうから、パンプスはヒールのないものを選んだ。
メイクは洋服に合わせて明るめに。
ベージュゴールドのアイシャドウを引けば、ラメがきらきらと光る。
グロスはオレンジを重ね塗りして発色良く見せて。
支度が整えば、まだ眠っている彼の肩を揺らして。
なかなか起きなかったら、目覚めのキスを頬に落とす。
梅雨の晴れ間の天気は快晴。
旅行日和にわくわくしながらいつもと同じように手を繋いで、彼の部屋を後にした。]
[温泉へ向かう電車の中では、彼の同僚のメールからSASANKAの今夜のメニューの話になった。
画面を隣から覗き込んで、今日も好きな野菜が並んでいることに「いいなぁ」と羨望の声を上げる。
オクラはシンプルに茹でて鰹節とポン酢で食べたいけれど、
お店で出すならまた違った味を楽しめるだろう。
かぼちゃは料理にもいいけれど、甘いスイーツでも食べてみたい。
ラム肉は食べたことがないけれど、煮込んだら柔らかそうだ。
彼の言うテリーヌも食べてみたいと、やっぱり話題に上がるのは料理の話。
SASANKAから離れても、料理のことばかり考えている基依さんに笑いながら、電車は順調にレールを進んでいる。]
[駅からバスに乗り継いで、ようやく辿り着いた温泉地は平日でもそこそこ賑わいがあった。
旅館に辿り着いてチェックインを済ませたら、早速二人分の浴衣を選ぶことになる。
基依さんには黒地に細かな格子模様の浴衣を。
帯はわずかに鼠色がかった白色を選んで。
自分用には青紫がかった紺地を選んだ。
柄の白抜きの菊と黄色い冠菊の花火が映える。
帯は基依さんに合わせてアイボリー系の白にして、菊花のような唐松文様が浮かんでいる。
生地も思っていた以上にしっかりしているし、これなら温泉街も十分に堪能できるだろう。
早く袖を通してみたくて、期待に胸が膨らんだ。]
[浴衣と旅行鞄を手に案内された部屋は二間続きの純和風のもの。
ゆっくり出来るようにと露天風呂付きの客室を選んだから、部屋の奥には脱衣所へと向かう扉が見える。
食事も部屋食で済ませられるようにか、部屋の中央には大きなローテーブルと座椅子が置かれていた。]
すごい、基依さん。
お部屋に露天風呂がありますよ!
いつでも入れますねっ。
[荷物を置いて、早速と部屋の中を探索する。
備え付けられた窓からは温泉街がよく見えた。
そわそわする気持ちを抑えきれずに、はしゃいでしまう。
こっちこっちと、窓辺に立って手招いた。**]
すわ
[俺、好きだって言いましたが?
隣を示す仕草をじっと見て、また顔が赤くなる。
ソファに膝で乗り上げると座面が軽く沈んで、正座で向き合うために少し背を丸めた。]
どうして、ですか…?
ジンさんは顔も格好いいですが?
[首が斜めになる。
体ごと引き寄せられると、慌ててソファの背もたれに片腕をついた。
反対の腕は宙に浮く。正座から中腰へと浮いた体が傾いて、体重の一部が、]
俺、好きだって言ってるのに
……
[そのまま、はふ、と息を吐いた。]
一目惚れ。
子供の一目惚れなんて、薄くて、頼りないものなんじゃないかって思いました。
だけど。
あれから何年も、何度も、ストリートビューで店の前まで来ました。
ハッシュタグでシャシャンカを調べて、どの写真にも違うご飯が載っていて。
どこかにジンさんが少しでも写り込んでないかって。
募るばっかりで。
再会できてからはもっとずっと、毎日毎時間。
髪を縛ってるところ。仕事してる横顔。コーヒー淹れる仕草。
立ってるとこも座ってるとこも歩いてる姿勢も格好いいです。
店のみんなのこともお客様のこともきちんと見ていてくれるとこ。
あんまり好きじゃなさそうなのに食べてくれるとこ。
見守って、自由にさせて、育ててくれるとこ。
愛してるって冗談を言って。格好良くないなんて言って。
あの時何も聞かないでいてくれて、今は聞いてくれたこと。
助けてもらったからだけじゃないです。
好きだって言ってるのに……
抱きしめてくれるところ。ほんと冗談じゃないです、よ。
[宙ぶらりんで所在なかった片腕を下ろした。**]
顔……
[冴えない自信しかない。が、目の前の彼にとっては違うのだろう。
ぺたぺた触ってみても何が変わるわけでもない。ひげの剃り残しに出会って、所在なさげに目が泳いだ。俺の家なのに。]
一目惚れ、ねぇ。
6年経って劣化してなきゃよかったけど。
[6年という月日は大きい。
生まれたての子供が小学校に通える。
振り返ればそんなときから店をやっているし、年食ったなと自重しないでもない。]
薄くない薄くない。
知ってるよ、俺もしたことあるからね。
あれは不思議なもんだよなぁ。本当に、ほんの一回会った、触った、それで忘れられなくなるんだよな。
俺が写ってる写真は、見つけた?
[それが自分に向いてると思うと、どうもこそばゆくて茶化してしまったが。
けれど否定はすまい。わかるよ、と優しく囁いた。]
はー…………愛されてるなぁ、俺。
[否定はしないが、並び立つ好きなところたちには呆気にとられる。
褒められているとは思うのだが、如何せんただ普通にしていたら褒められたという気分で、実感は全然やってこない。
ただ、ある一点についての言及は、小さくやべ、とこぼして。]
……バレてた?
別に食わないって訳じゃないんだけどな。
フルーツとかはむしろ好きだし。
なんて言うか、優先順位が低い? いやー……
うん。ごめんね。
[ランチにドルチェをつけるくせに。
毎日のように季節のフルーツを仕入れるくせに。
今まで製菓に特化したスタッフがいなかったのは、この理由も大きい。
悟らせてしまったことに、謝った。]
そーだね。
本当なら、こんな思わせぶりなことするなとか、怒られても仕方ないんだろうけど。
心細い子を甘やかすでもいいって言ったのは、君だからね。
これは俺流の甘やかし方ってことで。
[よしよし、とそれこそ子供にするようにまた頭を撫でて、ゆっくりと、今度は腕の中に抱き寄せる。]
ごめんね。
君が俺を想ってた6年は俺の中にはないから、今ここで君に答えを返してあげることは出来ない。
[真っ直ぐに好意を伝えてくれた彼だから、きちんとこちらの思いも、伝えようと思った。]
だけど、よければ受け止めさせてほしい。
すぐに答えが返せないからって、サヨナラゴメンナサイできるほど、非情になれないやつでね。
とりあえず今夜はこれくらいしか渡せないけど、それでいいなら。
[頭を撫でていた手をするりと降ろして、あやすように背中を叩く**]
[「したことある」
経験談として過去形で語られる終わった恋。
そうだよ、忘れられなくなるんだよ。
客の撮った写真。たまにしか写ってないとこも素敵です。]
好きなもの食べる時は、嬉しそうデス。
俺のには違うから、わかるよ。
……謝らないでください。
好きになって欲しいけど、好きになれとは、言えない。
[それでも甘やかしてくれる。
受け止めようとして、くれるから。差し出してしまう。]
蓮司さんは私を甘やかしすぎな気がする。
でも、ありがとうございます。
[湯船が張ってあるとか、至れり尽くせりでは。
一人だとその辺、簡単なシャワーで済ませてしまうから
仕事終わりには純粋に嬉しい。
改めて聞くと、私より余程健康的な生活だ。
夜シフト入った翌日は、昼頃まで寝てしまったりするし。
食事は三食摂るけど時間はまちまち、歩くのも通勤くらいだ。
ともかく、彼の仕事が詰まってそうでないのなら。]
じゃあ、私が夜シフト休みの時
一緒にSASANKAへ食べに行きません?
私もたまにお客様として食べたいので。
ご飯もだけど、麦くんのスイーツ色々食べたいし、
頼んだら蓮司さんにも一口ずつあげますね。
[楽しみ、と想像して笑って。]
あと本の部屋にも、また入っていいです?
読んでみたい本が色々……、 っ
[食器を洗おうと水を出したところで、
抱きしめられて小さく肩が跳ねた。]
ちょ、濡れ…… ひゃ!?
[耳元に落とされた声と感触にぞわっとして
慌てて振り返れば、意地悪い微笑み間近にあって頬が染まる。
けれどそれ以上はなにもせず離れていく手に
ちょっと物足りないような気分になりながら。]
もう。お風呂出たら、そっちの寝室に行くので
大人しく待っててくださいっ。
今日すぐ寝ちゃいそうな気がしますけど、
……もし蓮司さんも眠かったら寝ててもいいですよ?
その時は、隣に潜り込むので。
[寝室のベッドは余裕のキングサイズだから、
仮に真ん中に寝られてもスペースには問題ない。
勿論、タオルとかの場所もわかってるから
洗い物を片したら、着替えを持ってバスルームへ行こう。**]
[今夜はこれくらい。
線引きがされたことでようやく、ずっと強張っていた緊張が抜けていく。
それ以上進んじゃいけないと分かれば、振る舞い方も]
ん、はい。
6年なんて、どうってことないです。
昨日より今日、明日、これからもっとどんどん好きですから。
今は、これで。
[ソファの背凭れに突っ張っていた腕からも力を抜けば、抱き寄せられる力に上体が従って。体重を預ける。
腕の中に入ってしまえばあたたかさが心地良く。
背中を叩く手にあやされて、喉を鳴らした**]
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