人狼物語 三日月国


239 【身内】ミッドナイト・カマイユ【RP】

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視点:


[誘い文句に彼も乗れば、シャワーノズルを渡して、
 先に湯船に足先を入れた。
 肩まで浸かっても溢れなかった湯は、
 身体を洗い流した景斗さんが遅れて入れば
 ざば、と勢いよく溢れ出して浴槽から溢れていく。

 その勢いに、くすりと笑いを忍ばせながら
 少し身体を移動させて隙間を作ろうとして。
 自然と彼に背中を預ける形になり、
 自身の心の赦し具合を知って笑った。]

 
  ……っン、……


[ぽたりと背中に彼の髪の雫が落ちたかと思えば、
 強く吸われる気配に、あえかな声を漏らして。]



  ……ふ、……綺麗じゃないですよ、
  洗ってもらうために残してたから。


[軽く洗いはしたけれど、彼が残した言葉通り。
 洗ってもらうつもりでは居たからそんな返事を
 笑い混じりに返して、ゆっくりと背を預けていく。

 彼が息を吐くのを真似するように
 ふぅ……、と長く息を吐き出した。
 湯船に浸かると身体は自然と弛緩していく。

 すれば、ぽつりと落とされたものは
 反省するような声だった。]

[水面から顔を上げて、後ろまでは振り向けないものの
 彼に後頭部を預けるようにして横顔を覗く。

 言葉は続いた。
 同時に伸びてくる手が身体を引き寄せるから、
 小首を傾けて続きを促せば、
 率直な恋人の欲を向けられて、頬を染めた。]


  あー……その、気遣って出て行ってくれたのは
  気づいて、ました、けど……

  その、……洗うのも、
  俺が躊躇ったから、です、よね。


[改めて言葉にするのはやはり恥ずかしい。
 けれど、察して欲しいばかりじゃ伝わらないから、
 ぽつ、ぽつとつられるように言葉を、落とす。] 

[見上げた視線は再び逸らすみたいに前に戻り、
 水面に落としてしまった。
 さすがに視線まで合わせてしまうと恥ずかしさが勝つ。
 お腹に回った片手を救い上げて両手で包み込む。]


  呆れたり、は、しないです。
  
別に……その、俺も、
イヤじゃ、ない、から。



[もじ、と包み込んだを揉み込むように握ったり、
 解いたりして、先程まで自身に触れていた手を眺め。]


[指遊びはまだ続けながら、首筋に当たる頭に
 自身の後頭部を乗せるようにトン、とぶつけた。]

 
  毎回?

  ここもうちより十分大きいと思いますけど、
  もっと広いところってなると
  一軒家か、結構広めのマンションになりそうですね。

 
[ふふ、を笑いながらも嫌だとは言わない。
 けれど、寝室の話になれば、ん?と少し首を傾げた。]

[引っ越しが同棲になるとはすぐには思い至らない。]


  そう、ですね……、職場から近くて、スーパーもあって。
  コンロがIHで3つあるといいですね。


[実際に物件を探すわけでもない。
 希望を出すくらいならと思いつくものを口にする。

 彼がマッサージの為に動き出せば、
 ゆらゆらと湯船が揺れ始めて、その行為にまた笑って。**]

[ その声にいつも、思考を握られている気がする。
 無防備に預けてくれるしっとりとした背中に、今は赤が
 一つだけ。

 行為に夢中になる内にいくつも散らしてしまうから
 常は、赤が点々としている。

 日に焼けることのない背中にその赤はよく映えて
 そしてその声と同じくらい艶めかしい。 ]

 綺麗だよ。
 あったまったら洗おうね

[ そうして零した声に返る言葉には、 ]

 それもなくは、ないんだけど

[ 気遣いとは少し、違う。概ねは正しいのだが
 種類が少し違うような気がして。
 それでも返る言葉を最後まで聞いてから。
 もう一度、その背中にぺたりと懐いて ]

 そうだよ、毎回。
 毎日、でもいいくらい。

 好きなんだ一緒にお風呂入るの。

[ もう何度だって互い裸など晒しているだろうに
 律儀に恥ずかしがってくれるから、とは流石に言わない。
 嫌だと言われないのを良いことに。 ]

 一軒家かぁそれも有りだなぁ
 通勤のことも考えつつ、そういう場所あるかなぁ

 ああ、それは大事だね。
 キッチンのことは那岐くんのほうが
 使い勝手を考えてくれると助かるかも。

 俺よりも那岐くんのほうが使うだろうからね

[ もにもにと腕の筋を揉みながら、 ]

 泊まりに来る、くらいなら今のままでも
 良いのかも知れないけど、一緒に暮らすとなると
 那岐くんの部屋にあるものも、運んでこないとだし

 それだと手狭になるよね。

[ 笑う君につられて、笑う。
 まるで先の未来を夢想しているようでいて、
 わりと現実的なプランニングをしていることに、
 今は気づかなくても良い。 ]

[ 程よく温まって、常日頃酷使しているであろう
 腕と手のマッサージを終えたなら、約束通り
 背中を洗い、頭を洗って。

 自分も済ませると、ドライヤーを手にした。
 したいのだ、と訴えれば断られることは
 なかっただろう。

 そして漸く落ち着いて、食事の準備へと取り掛かる。
 とはいえほとんど済ませてくれていたようだったので
 鍋に火を入れるくらいのことしかしていないが ]

 ………そう言えば、那岐くん夕飯は何時に食べた?

[ すっかり忘れていたが、0時前後に帰宅している
 よもや自分を待っていて食事もまだ、などと
 言うことがあれば両手を合わせて謝罪をしたに違いない。* ]


  …………、
  泣く、のは嫌だからって訳じゃないから。

  それに……、


[涙を流す理由が一つだけじゃないこと、
 それは何度となく涙腺を壊してきた彼なら知っているだろう。

 身体を揉み込む手はそのままに、
 もう片方の手を大切そうに引き寄せる。
 彼が自身の体を洗いたいというように、
 甘やかす表現は一つ一つ、人によって違うのだから。]


  恋人は甘やかしたくなるものでしょう? 


[自身を余すところなく触れる指先を撫でて笑む。
 不意に切り替わる話題に一瞬、虚を突かれつつも、
 徹夜で?と笑えば、湯船の中の湯がまたちゃぷんと跳ねた。] 

[毎回、毎日。
 互いの環境を思えば、実現には叶わないものだろう。
 それでも、好きだと言われたら叶えたい気持ちはある。

 一軒家は仮定の上で出した話。
 通勤と言われて郊外を何となく思い浮かべたけれど、
 自身がそこに収まっている感覚はしない。

 けれど、キッチンの使い勝手に彼も入っていることや、
 個室の話にまで話題が上がれば
 彼の計画の中に自身も入っていることに擽ったくなり
 身を竦めるようにして肩を少し湯に沈めた。]


  
  ……そうですね、いつかは。
  合鍵じゃなくて、同じ鍵を持って。

  ”泊まる”じゃなくて、”帰る”ようになるのも、
  いいかもしれない。


それまで、呆れないで居てくれるなら──、

 偶に彼が口にする言葉と同じものを、自身も抱いている。]





[ その不安を彼がいとも簡単に掻き消してくれるのは、
 もう少し、先の話になるけれど──。 ]

[ 後から追いついてきた彼と鏡越しに目が合って
 緩んだ表情を見られたせいか、目を逸らされたが
 
 ひとまずは歯磨きを終えて、彼の歯磨きが終わるのを待って。
 広げられた両手の下から体を掬い上げるように、
 抱き上げて。 ]

 運賃は、そうだなぁ
 キスがいいかな。

 回数はお気持ちで。

[ 頬を寄せながら浴室を出て、ベッドへ向かう。
 よ、と自然と出てしまった声に、年嵩を感じて
 しまうのはご愛嬌。

 優しくベッドにその体を横たえると、
 自分もベッドに乗り上げる。ぎし、とスプリングが
 軋む音と同時に、テレビと照明の電源を落とす。 ]

 運賃、貰おうかな

[ 覆い被さるではなく、横に並び、
 相手の唇を指先で、とん、と叩いて。

 至近距離まで近づくと、目を閉じる。
 何度しても、されるというその行為を、
 欲してやまないから。* ]

 
  ……っ、
 

[脇の下に腕を差し込まれ、足が床から浮く。 
 あまり慣れない浮遊感に、一瞬身を固くしながら
 身体を支えるように首筋に回す腕に力が籠もった。

 いくらか体格は彼のほうがいいとはいえ、自身も成人男子。
 この体勢を”される”側になるのは
 未だに照れが残りつつも、なんだか嬉しそうにも見えて。]


  お気持ち、ですか?
  …………、


[回数と言われて更に迷う。
 その間にもゆらゆらと身体は揺れて、
 彼の足はベッドへと向かっていく。]

[運ぶといいつつも、距離は部屋の中の短い距離。
 ベッドまではすぐそこで、足が止まると
 壊れ物のようにゆっくりとシーツに横たえられた。]


  …………、


[降ろされた後も、首筋に添えた手は離せなくて。
 照明を落とす彼は少し窮屈だっただろう。
 隣に彼が身を横たえれば、
 さらりと長い髪が重力に沿って流れ落ちていく。]


[彼の指が、とん、と自身の唇に触れた。
 離れていく指を視線が追って、彼の目に映る。
 瞳は、瞼に覆われていて見えなかったか。

 首筋に添えた手をゆっくりと滑らせて、
 彼の頬に片手を添える。]


  ……じゃあ、まずは一回。


[キスの回数を数えたことはなかった。
 整った顔立ちに顔を寄せ、
 そっと唇を押し当てるように、触れる。]

[ これまでの人生、とくにそうするのが
 好きだったというわけではない。

 初めて、そうしたときは完全に
 たった数歩の距離、歩くのを厭い、
 また触れ合う肌の心地よさを手放すのを
 惜しんだために抱き上げた。

 ではそれから――は。 ]

 ん、好きな回数で

[ 身を、全てを任せてくれるような心地になるから
 時折、したくなってしまって。

 成人男性の平均、であれば
 持ち上げることに難はない、長時間とは
 いかないが。 ]

[ わがままを叶えてくれる、と思っている側
 ではあるが、運ばれる側には申し訳無さが
 滲むのか、――恥ずかしさもあるのか。

 それでも何度か付き合っているうちに
 慣れてきたのだろう、抱え上げやすいように
 首に回す腕に力がこもる。

 短い距離を大事に抱え、寝具に降ろしても
 首に回された手はそのままだったから
 腕だけリモコンに伸ばして照明を落とし、

 待機の姿勢に入る。

 目を閉じているせいか、感覚がすこし
 鋭敏になっているようで、

 首から頬へ手が滑る感触に、小さく息を吐く。 ]

[ まずは、と前置きがあり唇が押し当てられる。

 噛みつくような情熱的な口付けも良いものだけれど。
 ただ触れ合うだけ、熱を受け渡すように、
 柔らかく、触れるだけのそれに、

 何故か、どくり、と心臓が跳ねた。

 それを彼にも知って欲しくて。

 片手を重ね、掬い上げ、己の胸に押し当てた。 ]

 ………、

[ ふ、と瞼を持ち上げたのは同じくらいの
 タイミングだっただろうか。

 ほんのひととき、泣いてしまいそうな表情を
 してしまったのは、 ]

[感じるように味わうように、触れるだけのキス。
 瞼を下ろせば、触れ合う場所だけが過敏になり、
 互いの温もりだけを感じた。
 
 もぞりと動いた彼の手が自身の手を導いて、
 胸に添えられていく。
 その動きに次第に視界を開けば、見つめる瞳と目があった。
 
 微かにその瞳が歪んでいることに気づいて、
 きょとりと、瞬いてしまう。]


  ……、


[胸に添えられた手は彼の鼓動を伝えているのに、
 その表情に戸惑って。]

[なにか言葉を発しようとする前に、彼が口を開く。
 その言葉を聞けば、ほっと安堵するように今度は
 こちらの表情が僅かに歪んだ。]


  ……びっくりした。
  泣かせたのかと、


[微かなすれ違いに笑う。
 彼の心音を聞き分けていた手が自身の胸に
 添えられると、自身も同じように鼓動が脈打っている。
 僅かに驚いたせいで彼よりも心音は少し早かった。]

 

  俺もですよ。
  一緒に居られて嬉しいです。
  だから、そんな顔しないで。


[眉尻を下げて、あやすようにこめかみに口づける。
 次は、頬へ、鼻先へ。
 少し休むように唇を離したら、こつりと額を擦り合わせ。
 前髪を擦れ合わせて、様子を伺う。]


 
  まだ、足りない?


[自然と柔くなった声色は、細く。
 頬に添えていた手が彼の髪を撫でつける。]


  ……足りなかったら、
  満足するまで、景斗さんから、
して。



[蠱惑の瞳を浮かべて、今度は誘う声を寄せて。*]

[ ベッドの上に転がって、睦み合うなかでの
 歪んだ表情に、驚かせてしまったようで。 ]

 泣いてるとこ見られたくないなと
 思って。変な顔見せちゃったね。

[ 連鎖するように、僅かに歪んで、そして笑う。
 一緒に居られて嬉しいと続ける
 それを証明してくれるみたいに、彼の胸から
 指先が拾う音が、少し早い。

 あやすように、こめかみ、頬、鼻先へ唇が落とされ
 額を擦り合わされれば、表情はとろりと溶けていく。 ]

[ 足りない?と問われれば
 導かれるように、頷いた。

 誘われるままに、吸い込まれるように、
 唇を重ねる。

 触れて、離れて、また触れて。

 それでもまだ、足りない、と訴える本能のままに、
 唇を舌で割り開き、上顎を舌先で撫でる。 ]

 ――まだ、 もっと、

[ 満足するまで、して。一度しか言われていない
 その言葉が何度も頭を回っていくから、

 再び噛みつくように口づけると、
 根本から舌を吸う。

 呼吸さえ忘れてしまうほど、夢中で。* ]


 ……ふ、泣きそうだったってこと?
 泣いてるより、笑っていて欲しいですけど。


[困ったように苦笑を零して、またキスを落とす。
 実際あやしているのかもしれない。
 泣かれるとどうしていいか分からなくなるから。

 泣きたいのなら、泣けばいいけれど。
 傍にいることしかできないもどかしさを伴う。

 だから、微かに笑う気配に分かりやすく
 安堵の色を見せただろう。]

[触れ合わせるだけの唇は柔らかい。
 目を伏せて、二度、三度、啄むように触れる。]


  
……ン、……



[酸素を求めて開いた唇の隙間を縫うように、
 ぬるりと舌先が割入ってくれば、小さく声を漏らした。
 微かに熱を帯びた、乞うような声が耳朶を擽って。]


  ……んぅ、ッ、 
 ……ッ、ぅ……



[求める声に応えるように、ちろと舌を差し出せば
 待っていたかのように唇で、歯で喰まれて。
 音を立てて吸い上げられて、ぞく、と身体が震え。]


[キスとは呼べないほどの、濃厚な口付け。
 ぐっと口蓋を開けるように頬に添えられた手が、
 頬を抑え、口を閉ざすことを厭う。]


  
……っ、ふ
……ぁ、


[もっと、と望まれるままに吐息を乱して応え、
 口付けに酔いしれていく表情は甘く、蕩けて。
 その頃には与えることなど忘れていた。*]

 そう。男の子だからね。

[ もう既に何度か、涙は見せている。
 自覚があるものも、ないものも。

 
――感動モノの映画やドラマなど
 一緒に鑑賞していたらよく見る光景
 かもしれないが。


 笑っていて欲しいと言われた頃には
 涙の匂いはもうしていなかった。 ]

 ふ、

[ 求める言葉に応えるように、舌が差し出され
 激しく絡みあう中、乱れた吐息が漏れ出して
 くれば

 思考もすっかり、相手を乱すことにばかり
 集中する。 ]

 いい顔、

[ 甘く蕩ける表情に目を細めて、抱きしめるように
 回した腕にぐっと力を込める。

 密着した体は互いの鼓動も、僅かな変化も
 伝わりあうほど、ぴったりとくっついて。 ]

[ 与える与えられる、などという優しい表現ではなく
 取り立てる、奪う、という表現が似合う口付けを
 何度も繰り返せば、密着した下半身が、熱を持ち始めていく。

 服の裾から手を入れて、腰から背に向けて
 手を滑らせて、浴室で付けた痕をたどるように、
 首の裏まで這い上がっていけば、自然と
 肌の露出が増えて

 ずり上げたパジャマは首元近くでたわんだか ]

 寒い?

[ 聞いて、肯定が返るようなら暖房の温度を上げる、
 ではなく、より熱を灯そうとすることだろう。* ]

[男の子だから泣かない。
 というような文句は聞いたことがあるけれど。
 彼の言う相槌は逆で、くすりと笑った。

 確かに男であっても泣きたいときはあるかもしれない。

 それは感動する映画を見た時、
 誰かに手を差し伸べられた時、
 もしくは──、 ]


  ……っ、


[恋人との深い口付けに溺れた時も。]

[唇が離れた隙間に呼吸を紡ぐ。
 薄っすらと目尻に水膜を浮かべて囁く声を聞けば
 その場所が色づくように朱く染まった。

 不意に力強い腕に引き寄せられて距離が縮まり、
 ぴたりとくっつき合えば下肢の変化に気づいて。]


  ……ぁ、……ッ、ゎ……、


[僅かに身動ぎ、身体をずらそうとすれば
 今度はひやりとした空気と共に
 彼の手が服の裾から忍び込んでくる。

 その手が先程と同じように熱を上げるように肌をなぞり、
 彼が示した跡に触れるから。]

 

  ……さ、むくはない、ですけど、……


[蕩けるような口付けも、肌をなぞる手も。
 確実に情事の意図を思わせて、視線が泳ぐ。
 たくし上げられるように首回りに新しくしたばかりの
 着替えが撓めば、色づいた目尻は色濃くなり。]


  ……ぁ、
……、
  
初日の出まで、って、そういう……?



[先程彼が口にしていた意図にようやく気づいて、
 確かめるように、そっと呟いて上目に見上げる。

 じわりと、触れられた箇所から体温が上がって。*]

[ 下肢の変化に気づいたのか、
 思わず、と言った様子で身動ぐ。

 寒くはないと言いつつも、
 どこか、惑うような視線に、ふ、と
 笑ってしまった。 ]

 俺が満足するまで、していいんでしょう?

[ それはつい数分前の言葉の引用でもあるし
 数刻前の言葉の言葉の引用でもある。

 そういう?と問われることで、
 ようやく合点がいったのかと、こちらも
 察することができ、 ]

 お風呂でもして、ベッドでもしようって
 言ったの忘れちゃった?

[ 笑い声混じりにもう一度、触れるだけの
 キスを贈る。今更嫌かどうかは、問うつもりはないので。

 たわんだ寝間着を持ち上げて、自分の側に
 軽く引く。

 すぽりと、首から抜き取って、 ]

 それとも本気じゃないと思ってた?

[ また笑い、自分も寝間着の上半身部分を脱いで。
 抱き寄せれば、触れ合う肌が、また熱を伝え合うだろう。 ]

 初日の出、一緒に見ようね
 このままベッドの上で。

[ 願わくば繋がったまま、が理想ではある。が。
 いざ朝日が昇ったとしても、そちらに興味がさけるかと
 いうと、少し怪しい。

 なにせ上目に見上げてきた瞳には薄く水膜が張り、
 目尻は色濃く、紅が差している。

 そういう彼の姿より、優先して視界に入れたいものなど
 数える程もあるかどうか。

 横向きに向き合っていた体制から、僅かに体を起こし、
 覆い被さるようにすると、唇で顎先から喉仏を辿り、
 とくとくと脈打つ心臓の上を通る。* ]



  い、言いましたけど、
  

[身体を重ねることはシャワーを浴びたことで
 終わったつもりで居たのは自身だけだったらしい。

 硬く兆しを見せている下肢を押し当てられれば
 興奮は十分に伝わって、先程までのキスが
 あやすだけではなく熱を灯すものに必要だったのだと気づく。]

[帰宅した時に確かに彼は言っていた。
 忘れたわけではないけれど、ジョークのつもりだと。
 湯船に浸かってゆっくりと食事を堪能して、
 仄かな眠気すら漂わせていたから、尚更。]

  
  もう、眠るのかと……思って、
  ……って、ぁ、
 そうじゃなく、て、んっ、



[眠るのかと言ってしまえば
 まるで手を出して欲しかったみたいな言い回しになり
 慌てて否定を重ねてしまう。

 その間にも、するりと頭から上着を抜かれて
 上着の裾から頭が覗けば一緒に持ち上がった
 髪がぱさりと散らばった。]

[脱いだ上着が床の上で重なる。
 ひたりと密着し合った肌が微かに熱を持つ。
 本気じゃなかったのかという声に図星を突かれ
 答えに窮し、返答に躓いてしまう。]


  
……本当に、初日の出まで?



[ちゅ、と掠めるだけのキスを受けて、小声で問う。
 ちらりと時計を見れば初日の出が昇るまでには
 ゆったりと仮眠が取れるぐらいに時間はある。

 堪えられるだろうか、彼から贈られ続ける情熱に。]

[人並みの体力はあるつもりだけれど、
 日頃からジムに通ったり身体を動かしている彼とは
 基礎体力が違う。]


  っ、ン……、


[影が動いて彼の身体ごと自身の影に重なって。
 見下されてしまえば、断れるはずもない。

 宣言通り、と言うからには本当に
 日が差し込むまで睦むことになるだろう。
 彼の唇を掠めていく喉も、朝まで保つかどうか。

 心音は早くなっていくばかりで、は、と吐息に熱が混じる。]

[ その言葉が、どれほど己を興奮させたか
 彼には自覚がなかったのかもしれない。 ]

 あんなこと言われたら、………ね

[ 自分がではなく、相手が満足するまで
 していい、ではなく、したい、と。

 そんな言葉を貰える人間など、そうは居まい。 ]

 骨抜きにされちゃったから、
 責任、取ってもらわないと

[ 忘れていたわけではないけれど、
 本気ではないと捉えられていただろうことは
 察しがついて、先回りするように、服を脱がせてしまう。 ]

[ なんだ、やっぱり期待していたのか
 そう口に出すことはない。
 
 表情がいくらかそれを物語っていたかもしれないが。
 どうも自分の物言いは、羞恥を煽って
 しまいがちらしいので。 ]

 そのつもりだよ。

[ 本当に?と問われるのに、頷くだけに
 留めるが、肯定することで、手を止めるつもりが
 ないことは、容易に伝わってしまうだろう。 ]

[ 体力の違い、を口に出されてしまっていたら
 手心を加えざるを得なく、なっていただろう。
 けれど口にされない以上、 ]

 勿論、

[ 手酷く、とは言わないが、
 思うままに、欲望を曝け出すことになるのは
 明白だ。

 答えを貰い、憂いなく、脈打つ心臓の上を
 通り、赤く色づく突起を口に含み、舌を這わせる。
 ぴちゃりと湿った音が、静けさの中に響くなか ]

 顔、隠さないでね
 見てたいから

[ 視線だけで微笑んで、否と言われる前に
 きゅう、と弱いとこを摘み ]
 
 ね

[ 甘えるように念を押して、もう一度そこに吸い付いた。* ]

[あんなこと、が、どれを指してるのかも分からない。
 口数が多いわけでもないのに、
 どの言葉が彼の胸を突いたのか気付けずにもどかしい。

 骨抜き、などと常から言われない言葉に
 支える腕の力が弱くなる。]

  
  責任……? ……ぁ、
  

[どうすれば取れるのか、眉尻を下げたまま問う。
 だが、それも、ほんの少し遅れて理解する。
 尚更、肌が朱く染まって思わず押し黙ってしまった。]

[その考えを肯定するように後押しする声は
 躊躇いも一切なく見つめ合う視線に現れる。

 見合って、一瞬。
 微笑むが眩しく映る。
 そこに先程の泣きそうな姿はなかった。
 
 ゆっくりと降りていく彼の頭が胸に留まり、
 淡い桃色に触れれば、ン、と小さく声が漏れる。
 咄嗟に口元に手を添えようとして先手を打たれ、]


  い、つも見てるでしょう……?
  
……っ、ぁ、……
ん、
……



[行き場の失った手が空を彷徨い、また肩に戻り
 珍しく少し拗ねるみたいに睨んだのも束の間。]

 

  ……ぁう、ッ……


[唾液で濡らされた部分を指先で摘まれ、
 ぴくんと、身体が震え首を揺らした。

 は、と一気に熱の上がった声が上擦る。]


  
……も、ぅ……、ばか……っ、



[押し返す手も、嗜める声も甘く余韻を残して。
 ぢゅう、と強く吸われたら、ぱさりと髪がシーツを打った。*]

[ どの言葉のことを指しているのか
 いまいち理解していない様子で、
 責任?と問い返すも、少し遅れて
 理解したのか、じわりと肌に朱が差していく。

 くれた言葉を繰り返そうと開いた口は、
 別の言葉を紡ぐ。隠さないでと。 ]

 うん、でも
 見せて欲しい。

[ いつも見てる、と拗ねるみたいな視線が
 飛んでくればもう一度、そう願う。

 意識せず、見られることと
 見られることを理解した上で見せることは
 少し、違う。

 羞恥を煽らないようにと思っているのに
 無意識でそれをねだってしまうあたり、
 彼にとっては厄介、なのかもしれない。 ]

 ごめんね、やらしくて。

[ 押し返す手、嗜める声も甘く余韻を残す。
 願い通り、手で顔を隠すことをしないでいて
 くれるから、言葉通り熱の籠もった視線が
 感じ入る相手の表情を、あまく射抜く。 ]

 ――……ン、

[ 強く吸い付けば、吸い出されるように
 ぷくりと、膨らむように勃ち上がり反応を示す
 そこを、丹念に舌で押し潰し、舐り、軽く歯を立てる。

 もう一方も指で捏ねていたが、その手は
 ゆるりと下腹部へ向かい、臍の下を撫でた。

 つい先程、彼が自分でそうしていたように。

 その行為の示す先が、伝わるようなことがあれば
 愉しげに笑っただろう。 ]

[ 胸の先端がすっかり赤く熟れた頃合い、唇を離して ]

 景斗さんが満足するまでしたい、って
 ほんとめちゃくちゃぐっと来た、

[ 先程言いかけた言葉を、告げる。
 意地悪のつもりはないのだけど、
 そうされることで羞恥を煽ってしまったなら ]

 しばらく、耳に残ってると思うくらい。

[ 詫びるではなく、行動で示そうとするだろう。
 そうでなくとも、胸元から腹部、臍の下へと、
 頭を下げていき、臍の横にも朱を一つ二つ、散らして。* ]

[拗ねたように訴えて見せても
 ねだるように乞われたら断れない事は、
 一年に満たない出会いですらも、知られている。
 
 だから、弱い悪態を吐いても、手は振り解かない。
 顔を隠せない代わりに熱を浮かべた表情を
 覆い隠すように瞳が伏して、まつ毛が震えた。]


  ……っ、……


[見られていることを意識して羞恥を浮かべる姿を
 あえて言葉にすることで画策していることまでは気づかない。
 それを耳にしていたら、さすがに拗ねるだけではなく
 耳朶を引っ張るくらいはしたかもしれないが。]

[謝罪の言葉を口にしながらも見上げる瞳は
 じっくりと覗くように熱が籠もっていて、ぞくりと震える。

 見られていることで感覚が鋭敏になっているのは
 自身よりも彼のほうが気づいているかもしれない。


 目尻を朱く染めながら、吸引されてふくりと膨らんだ
 尖りに再び唾液をまぶされて、喰まれ、転がされて。]


  ぁ、……っ、ン、ぅっ  
 ふ……っ、



[抑えきれない声が喉を突く。
 恥ずかしいのに、胸に食らいつく彼から
 視線を外せなくて潤んだ瞳で見下ろして、息を吐く。]

[肌を這うように片手が落ちれば
 皮膚の上から下腹部を押されて、思わず息を詰めた。]


  ……っぅ、んッ、 
……は、ぁ……



[柔く押され、器官を知らせるような動きに
 密かに尾を引くような溜息に続く。
 これから彼が挿入る場所を、教えられて
 顔を上げる彼と再び視線が交わる。]


  ……、  ?

  ……!
  あ、れはっ……キス、だと思って、


[一瞬言葉の意味が分からず、小首を傾げたものの
 彼が受け止めた意味を知れば声が上擦り、尻窄みになる。]

[口にしたときは本当に、そのつもりだった。
 ──けれど。
 
 響いた言葉に微笑む彼に、再びまつ毛が震える。
 ゆっくりと降りていく唇が下腹に降りれば、
 呼吸で上下する腹部が膨らんで、凹んで。]


  キスの、先だって……いい、
  景斗さん、と、…………シたい、



[肩に届かなくなった手が、シーツを掴み
 もじ、と片足が膝を立てるように動いて、隙間を作る。**]

[ 目尻を赤く染めながら、見られている、と意識しながら
 堪えきれないのだろう、声が漏れて。

 見たかったもの、が視界を満たせば、
 僅かに歪んだ欲が満たされていく。

 征服欲と独占欲が混ざりあった薄暗い欲。

 時折目が合っては、欲の滲んだ表情をしていただろう。

 それが少しずつ伝染していくのか
 それとも、手で腹を撫でるという行為が
 その先を想起させるのか、息を詰める。

 してやったり、とは言わないが、
 それに似た気持ちになった。

 これから、ここに、入ってどうされるのか
 想像して、それだけで何かしら反応されるように
 なって欲しい、はこの先の楽しみになるだろう。 ]

 そうだったんだ?

[ キスだと思って
 言葉の意味が分からなかったのか首を傾げた後
 上擦る声で、勘違いをしている、と伝えようとしたのだろう。

 けれど、続けられた言葉は――…… ]
 
 うん

[ 自分が思い出してにやりとしていたのは、浴室で
 告げられた言葉も含んでいたのだが
 再び、瞳の奥がチカチカするような興奮が訪れる。 ]

 しようね、うんと気持ち良いやつ

[ 言葉にされなくたっていつも、それは行動で、
 反応で伝えてくれているけれど、
 恥ずかしがり屋で口下手な彼から
 言葉で伝えられるのは格別だ。 ]

[ ベッド脇から小瓶を取り、手早く指に塗りつけると
 作ってくれた隙間から手を差し入れて、後孔の回りに
 塗り付ける。それだけでも、何度も受け入れたその場所は
 容易にくぷ、と拡がり指を受け入れようとする。 ]

 いっぱいしたから、柔らかいけど

[ つぷり、と指を埋め込み、ぐにぐにと蠢かせながら
 熱の塊の根本から先端に掛けて、唇を滑らせて、 ]

 こっちもしていい?

[ 先端部分に唇を付けたまま、問う。* ]

[どの言葉が彼のトリガーになっているかなんて
 口にしたときには気づいていない。
 それでも彼が歓ぶのなら間違っていなかったのでは
 と、考えに至るけれど。

 して欲しい、じゃなく、したい、を選ぶのは
 ”二人”ですることを連想している自身が居るから。]


   ……
 うん、



[いやらしい誘いに敬語が崩れて、小さく頷き、
 気持ちイイ、を想像して彼の手が置かれている下腹が疼く。]

[見慣れた瓶は”行為”に必要なもの。
 とぷん、と音を立てて指を伝う粘着質の液体が
 ゆっくりと肌に差し掛かる。
 後蕾に触れるひやりとした感触に僅かに腰が浮いた。]


  ……っ、ン、 つめ、た……、
  ッ、ぅんッ、……
 く……ッ、……



[慣らされた場所は簡単に指を飲み込んでいくけれど、
 最初の異物感だけはどうにも拭えない。
 シーツを握る手に少し力が籠もる、かと思えば。]

[熱に侵された吐息が先走りを零す先端に吹き掛かり
 それだけでぴくん、と昂りが期待に震えた。]


  うぁッ、……ぁ、ッ……も、
  さわって、るッ……、


[触れているのは唇。
 その仕草で問われるならば、熱い腔内に飲み込まれることを
 先に知覚されて、かぁ、とまた身体に朱が浮かぶ。*]

[ 行為を許す、ではなく。
 欲する意味で、したい、と告げられることで、
 一方的ではなく、双方、自分だけではなく
 二人で、が成り立つ、と知ったのも

 彼と性行為をするようになってから、だ。

 愛する事に慣れていたのに、
 愛されることはどこか遠くに追いやっていたのだと
 愛されて、思われてやっと気づいたしょうのない男だけれど。

 小さな頷きを、拾って頬を緩ませたまま
 するすると、体は下肢へと向かっていく。 ]

[ 余裕そうに見えているかもしれない。
 実際、今すぐ押し入ってぐちゃぐちゃにしたい
 までの焦りは流石にないのだが、

 ゆっくり手の中で潤滑剤をあたためる
 までの気遣いが出来るほどの余裕はなかった。

 冷たさにひくん、と腰が浮いて。
 そのお陰で、より顔がそこに近づいた、とも言える。

 慣らした場所は抵抗感少なく、指を飲み込んでいくが
 前準備の段階での異物感はどうあっても、消えないらしいから
 それを散らそうと、あれこれ画策するのも、
 実は楽しんでいると知ったら、どう思われるだろうか。 ]

 うん、もう待てないかも

[ 熱の籠もる吐息を直接浴びて、ぴくんと反応を示されたら
 待て、と言われても、遅い。

 先走りを舐め取るようにぐるりと先端を舐め回し、
 口を大きく開いて、喉の奥まで迎え入れる。 ]

 ――ンン、……ふ、

[ ゆったりとした速度で、舌全体を裏筋に押し当てながら
 行き来を繰り返し、それと同じ速度で、ナカに埋まった指も
 膨らみを撫でる。

 隠さないで、という言葉はまだ有効だっただろうか
 だとしたら愉しげな目線が絡んだ事だろう。* ]

 
  ……っぁ、ん、ンぅっ……、


[事前に飲み込まれると分かっていても
 見せつけるみたいに舐られたなら、ぞくぞくと腰が震え
 咄嗟に揺れた顎を引けば、ぱさりと髪が散った。

 熱い粘膜に覆われて、ふ、と唇からも熱が零れる。
 隠すことはできなくなっても、無意識に視線が
 その熱から逃れるように逸らされて、堪えようと。]


  ……ぅ、んッ、……ぁ、ぁッ……ぁ、


[──するのに。
 内側の腫れた部分を押されたら、喉から声が突いてしまう。]

[どうしても悦んでいることが伝わってしまう。
 伝えてもいいと理解はしているのに、羞恥が邪魔をして
 伏した瞳に涙が溜まる。

 目尻は朱く湛えたまま、盗み見るように
 そっと横目に下肢へと視線を移したら、
 彼の瞳が弧を描いて此方を見ているのに気づいて]


  っや、ッ……ぁ、その、瞳、だ、めッ……、


[力の入らない手を伸ばして、見つめる瞳を隠すように
 ぺち、と弱く開いた手のひらで視界を隠そうと。*]

[ 羞恥が快楽を引き起こす事を、何度も
 経験して知っているだろうに、それでも
 耐えよう、逃れようとするのがいじらしい。

 目線が逸らされれば、こっちを見てとばかりに
 口腔内でじゅぷ、と音を立てて。

 顔が見えなくなった代わりに、甘い声が
 上がれば自然と行動に熱が入る。

 ねっとりとそちらを眺めて居れば
 盗み見るようにちらりと、こちらへ
 目線がやってきたか。

 その瞬間、朱く染まり潤んだ瞳と目が合って
 ぞくり、と肌が泡立った。

 と思えば、弱々しく目隠しをするように
 手を伸ばされて、陰茎を加えこんだまま
 ちいさく、笑って。 ]

[ ずる、と育った熱を一度口から出して ]

 えぇ〜、見えない

[ 不満を零すけれどその声色は不満を
 訴えてはおらず、むしろ楽しげで。

 なにせ、恥ずかしがって居るのを見るのも
 いや見えないが
 見るのも、好きなものだから。

 ちう、と先端にまた吸い付きながら、
 すっかり解れてとろとろになった場所から
 指を引き抜いて ]

 気持ち良い顔してる那岐くん
 見てたいのにな

[ そう言ったのは、責めているわけではないことは ]

 恥ずかしがってるのも可愛いけど

[ ベッド脇に手を伸ばしたことで、伝わってしまうかもしれない。
 見慣れたパッケージ、使いかけの箱から取り出したのは
 使い慣れている、避妊具だったから。* ]


 
  っ、んん、ンっ、……、ぁッ……、
  
んッ……ぅ、
 

[より深く咥えこまれたら喉奥の締め付けに身悶え、
 同時にとん、と中を叩かれてびくびくと下肢が暴れる。
 は、は、と息を乱しながら、伸ばした手の隙間から
 笑う気配に、小さく唇を噛んで、]

  
  ……だっ、て……、見られ、ると、
  おなか、あつく、なって、……く、ぞくするっ……、



[自身の変化に戸惑いながら、小さく口にする。
 これが快感なのか、堕ちる感覚なのか分からない。
 受け入れてしまえば、どうにかなってしまいそうで。]

[かたりと、動いた手先に持つのは避妊具。
 先の行為を思わせる動きに、ずくんと、下肢が重くなる。]


  ……は、……


[欲しい、と思う気持ちが僅かに、揺らいで。*]

[ 乱れた息の合間零される嬌声と、
 自身の変化についての言葉に、
 ふーー、と大きく息を吐いた。 ]

 そうなって欲しかったんだ
 俺の手でたくさん気持ちよくなって、
 触っただけで、見られただけで、

 ドキドキして、欲しくなって……
 そんな風になって欲しかった

 だから、今那岐くんが少し困っているのに
 俺はすごく、嬉しい

[ そうされた方がどう思うか、までは
 考慮の外だけれど。

 首を振りながら、おかしくなる
 紡ぐ唇を潤滑油で汚れていないほうの手
 親指でふに、と押して ]

[ ぺり、と手早くパッケージを破って、
 触れられることもなく、狂ったように、
 猛った自身の熱にそれを被せる。 ]

 欲しくておかしくなりそうなのは、俺だけ?

[ 改めて、覆い被さり、額をこつりとぶつけて問う。
 導くように彼の両手を取り、入るのを手伝ってと
 ばかりに、脚を広げさせるように持たせると、 ]

 入れるよ

[ 後孔に己の熱を宛てがい、ぐり、と切っ先を埋め込んで。* ]

[困っていると伝わっていても、嬉しいという。
 気持ちよくなりたいのも、胸が高鳴るのも
 悪いことではないと、言うみたいに。

 受け入れることを覚えて、人の手によって乱されることが
 こんなにも恥ずかしいことだと思わなかった。

 なのに、身体はぞくぞくと震えて熱を孕む。
 嬉しいと、欲しいと、言われる度に、
 どくんと、強く脈打つ自身の心臓が、伝える。]


  ……ふ、……ぅ、ッ……


[口元に伸ばされる指に視線が映る。
 やわく唇を押し潰されて、甘い吐息が落ちて。]



   ……ン、


[恥ずかしい、のに。
 薄く口を開いて、その指先を甘い飴のように喰む。

 反らした視線を持ち上げて、目を見合わせれば
 熱に侵された目がこちらを見つめている。
 かぷ、ともう一度欲しがるように、食んで、歯を立てて。]


  
……も、……かしく、なってる、……っ、



[だって、そうじゃなければ。
 こんなに貴方に触れたいなんて、思わない。]

[歯を立てた場所を、ちろ、と舐めて吸い付いて離せば、
 彼の両手が動く、もっと、深く繋がるために。

 待っている間も、は、と息は乱れたまま。
 シーツの上に転がり、もぞ、と両足を開いて彼の隙間を作る。
 待ち望んでいたかのように、身体を一歩、詰め寄られ
 吐息が掛かる程の距離に彼を感じて。

 自身の手を導かれて、両足に運ばれた。
 余りにも恥ずかしい体勢にクラクラと目眩がする。]

[ ふに、と唇を押して撫でると
 薄く開かれ、指は囚われて。

 欲しがられるみたいに、かぷと食まれる。

 曰く、既におかしくなっているらしいけど
 まだ足りないと思ってしまう。

 深いところで繋がって、熱をぶつけ合って
 そう考えるだけじくじくと、体が疼く。

 つながるための準備をしているうちに
 彼もまたその準備のために、脚を開いていて

 体制を固定させるようにすると、尚更
 恥じらいに目元を潤ませているものだから、
 たまらない。 ]

 ンンッ……は、

[ 望む声に、引き寄せられるように、
 ずり、とナカへ押し入って――。 ]

 すごい、吸い付いてくる
 気持ち良い、……出ちゃうかと思った

[ 奥へ到達するまでの間に、絡みつかれるように
 刺激されて、どくんと大きく熱が脈打って ]

 奥まで、入った ね

[ 耐えるのに苦労するほどの快楽の波に
 ようようやっと、耐えて最奥までたどり着いたら
 彼の顔の横に手を付いて ]

 顔見ながらするのが、いちばん好きだな

[ 恍惚とした表情を見せた事だろう。
 だがそれも一時のこと。ゆるゆると腰を引き、
 また穿てば、徐々に速度は上がっていく。 ]

 腰、溶けそう
 めちゃくちゃ 良い、

[ 快楽に緩み、歪む表情を見つめているようで居て
 同じ表情を見せているだけかもしれない。
 ごり、と膨らみを擦りながら、息を詰めて。* ]

[息を詰めながら彼が押し入ってくる。
 力まないようにしていても僅かに手に力が籠もった。]


  ……ぁ、 ぁッ、……く、ぅッ
 

[元は受け入れる為のものではない器官。
 狭路を熱い昂りで埋められて切ない声を洩らす。
 彼の全てを飲み込んで、ようやく詰めていた息を吐いて、]


  ん、……ぅんッ、……ぅッ、


[拡げられた後孔がひくんと彼に纏わりつくように蠢き、
 苦しい中の奥にある燻る熱がじわりと炙られる。]

[ふと、視界が一際暗くなった気配がするのは
 彼の影が強くなったからだろう。
 いつもに増して視覚で訴えようとする声にまた熱が上がる。]


   言、わなくて……い、からっ……、
   
はず、かしく、なるッ……、



[今度は彼の視線を奪う代わりに、ぺちりと彼の唇を
 手のひらで覆い隠して声を奪う。
 けれど、ばちゅんと腰を打ち付けられたら、声が裏返り。]

  
 
  ……んぁッ、ぁ、ッ、……ひ、ぅッ、……、
  ぁッ、うご、くのッ、……や、い、ッ、ぁ、ぁんッ、

  ぁ、ぁぅッ、……ぁ、ッ、
あッ



[溶けるという声に羞恥でまた瞳が潤む、のに。
 同じようにどろりとその瞳が快楽に蕩けていく。
 瞳だけでなく身体も、声も、溶かされて。*]

[ 痛み、はもうなくとも。元々受け入れるための
 場所ではないこともあり、快楽だけではなく
 苦しさもあるのだろう。その苦しさを理解して
 あげることはできないから、せめて少しでも
 意識を逸して、という気持ちも僅かにある。

 感想というか、今どうなっているか、を伝えるのは。
 たいてい、今のように言わなくていい
 言われてしまうのだか。 ]

 はずかしく、してるん んむ

[ 視界を奪われたり、言葉を奪われたり。
 今日は随分余裕がありそうだ、なんて
 思えてしまったから。追い詰める、みたいに
 一気に自身を引いてまた奥までずん、と突く。 ]

 ――ん、


[ 恥ずかしそうに瞳を潤ませながら
 どろりと快楽に蕩かされて、声も、体も
 とろとろと、ほどかれていく。

 正面からその表情を、声を受け止めて
 こちらのほうが、蕩かされているようで。

 思考や理性がどこか遠くへ行ってしまう

 もっとその顔を見ていたい、もっと声を聞きたい
 欲しい、愛しい、そういうものだけを残して ]

 
  ……っ、! 
  い、じっ、わる……ッ、ぁ、ぁんッ、はっ、
  
  ぁ、ンんッ、ぅッ、あ、だ、
めっ、
……深、いッ、ぁ、


[わざとだと言われたらカッと朱を散らして睨み、
 悪態をつくけれど、反論する声は上擦って、乱れ。
 次に言葉を口にする頃には、刀身に突き入れられて
 髪を振り乱して、善がる。

 一際奥深い場所を、強く穿たれたら喉を反らして、
 びくっと、身が跳ねて酸素を求めるように唇が開いて。]

[そこからはひっきりなしに、抑えていた声が洩れ続ける。
 唇を塞いでいる手が、突き上げられる度にズレていく。
 空いた片手は、甘い責め苦を与え続ける
 本人に縋るように、顔の脇についた手首に絡んで。]


  ぁ、っ、……め、
きもち、く、なっちゃっ、うッ……、

  はぁ、ッ、ぁっ、…アッ、ぅ……んッ、ぅ……


[感じ入って溢れる涙が決壊してこめかみを濡らす。
 身体が、思考が、溶けていく。
 
 もう、彼のことしか、考えられなくなって。]

[ずる、と突き上げに唇から外れた手が頬に滑り、
 溢れた言葉にきゅう、と胸が締め付けられて。]


  ……ん、……ぅんッ、……れも、ッ、
  
き、ッ……、
け、 とさっ……、
きっ、
 
  ぁ、ぁッ、…そこ、ッ……ん、っくぅ、
  あ、ッ、……ふぅ、もッ……、
クるッ……、



[容赦のない揺さぶりにがくがくと揺さぶられ、
 同じ言葉しか紡げなくなるぐらいに、蕩けて。
 追い上げられる熱に限界を訴えるように、
 ぎゅうと手首に縋り、額を擦り付けて。*]

[ ――時折聞かれることがある。
 恋人のどこが好きか、という問いだ。

 聞かれる相手によりけり、答えは幾らか
 変わるが、概ね、決められない、好きな所ばかりで
 と答えている。

 その好きな所、には当然見目も含まれる。
 顔のつくりや、体つきも。

 意地悪と睨まれて、目尻が下がる。
 こんな風に、真っ赤になりながら、
 悪態にならない悪態をつく時の表情も、
 たまらなく、好きだ。 ]

 
でも、好きでしょ

 
ぎゅって、締まる


[ その声は手のひらに当たるだけだったか
 それとも耳まで届いたか。

 少しの意地悪をされるのも、恥ずかしいことを
 されるのも、素直に好きだと認めやしない
 だろうけれど、体がそれを教えてくれるので。 ]

 いいよ、
いっぱい気持ちよくなって


[ 突き上げるたびに、手の位置がズレていき
 やがて言葉は自由を取り戻す、が
 もうそれほど言葉を交わすことはない。

 気持ち良すぎて流れてしまう涙がほろほろと
 目尻からこめかみに向かって流れ、自分と同じように
 思考が溶けていくのが分かったから。 ]

[ 行為の最中、愛を囁やけば、
 囁いた分だけ、彼の中に落ちて

 そしてそれが溶けた思考の中でも、
 返ってくる瞬間が、好きだ。

 何時言っても、言われても良いものだけど
 このときが一番、みたされる気がする。 ]

[好きだと確認する声に弱く首を振る。
 けれど、態度とは裏腹にひくんと襞は蠢いて
 彼の言う通り、甘く彼自身を締め付けるだろう。]


  ひ、ぅっ……ぁ、ぁんッ、ゃ……ぅ、んッ、
  ぁ、ぁッ、……ん、んンっ、ぁ、


[促される声に次第に従順に浅く、頷く、何度も。
 淫らに善がって、嬌声を上げて、感じ入り
 快楽を追いかけることだけを求めていく。]

[好きと伝える声も、彼を呼んで求める声も、
 この上なく切なく、甘く、掠れて。
 それは乞いにも近いものだっただろう。


 彼だけが与えてくれる快楽に溺れて、
 夢中になって、覚えさせられた睦みを
 赦してくれるのも彼しか居ない。

 息を乱して、視線を促す声に
 縋りついていた腕から顔を上げて彼へと戻す。]

[迎える唇に重ねて、嬌声が飲み込まれていく。
 夢中で応えるように、舌を絡めて
 打ち付ける腰が激しく音を立てる程に、声がくぐもった。]


  ぁ、ッ、っく……、ぃと、さ、ん
……、
  ……ん、んンっ、ぅ……ふ、ッ……

  ん、ンんッ、……ぅッ、
……────ッ、!



[ばちゅん、と一際強く突かれた時にチカと目の奥が光る。
 一瞬、息が詰まって下腹でぶわりと熱が広がると同時、
 痙攣するように内腿と、後孔の奥が震え
 びゅくっと、白濁が散り彼の腹筋を汚して。]

[ 求めて、求められて。
 思って、思われて。

 名を呼ばれれば愛しくなり、
 愛しく思えばこそ、その名を呼ぶ声は甘く色づく。

 呼ばれるままに、乞われるままに
 すべてを差し出したくなる ]

 ……、

[ いくつも、名も無い
ねて。
 今また一つ、その夜が更けていく。 ]

 




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