47 【半再演RP】Give my regards to Jack-o'-Lantern【R18】
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| ──現在・地下研究施設──
[ 俺は減ってゆく赤色を眺めて、オルフェウスは背を向け作業をし 落ち着いた後には沈黙の時間が幾分か流れていた。
何もあれは他人を罵る為に陸にいるわけではなく、 こちらも騒ぎにこんな場所に来たりはしない。 ただ、ここ最近は輸血処置の最中眠ってしまうことが増えていて、 時折魘されては迷惑を掛けてしまう。 ]
……なあ、俺は後どれくらい生きられるんだ?
[ そうすると、意識させられるのだ。 見えない死、誰も知らないその寿命を。 ] (178) 2020/10/24(Sat) 1:27:11 |
|
「お前それ何回聞くつもりだ? 50年前にも75年前にも120年前にも202年前にも聞いてきたぞ ジジイかよ、本当うんざりするぜ。」
[ そっちこそ何で全部覚えてるんだよ、十分に間空けてるだろ。 言葉は呑み込み、悪態の投げつけ合いは避けることにする。
陛下もそうだが長命種族は時間の感覚が一般とは違いすぎるし、 記憶してくれているのにはそれなりの理由がある。 この身体を誰より知っていて、王に仕える者の一人なのだから。 ]
……本当にジジイかも知れないから聞いてるんだ。
[ ただ老いているだけなら、まだ良い方だけれど。
互いに相手を見ないまま続く会話。 厚く長い前髪で目元を隠し、更に水の中に魚まで飼っている男は とても愛想が悪く、後ろ姿ばかり印象に残る。
だから本音を零しやすい相手だった。 ]
(179) 2020/10/24(Sat) 1:27:28 |
|
「言っておくが……」
[ “お前のような異端の正確な寿命が、分かる筈がない。” いつかも聞いた気がする前置きに何も返さずにいれば、 舌打ちとため息の重ね打ちの後、やや間を置いて口は開かれた。
面倒臭そうな声音で、丁寧に語られる現在の自分。 とっくに止まっているだろう語り部の作業の手を思いながら、 目を閉じてじっと聞いていた。 ]
(180) 2020/10/24(Sat) 1:27:45 |
[ オルフェウスの語った内容はこうだった。
定期的な輸血という手段での安定した
魔素
の取り入れは、
かつて異形になりかけていた俺の身を救った。
それは陛下の成長を見守り、新しい時代を作り上げる補佐と働く為
十分に作用し続けていた筈だ。
しかし、
以前問われた50年前からは勿論、ここ百年程度
緩やかながら、あの頃に近い状態になりつつある。
より高位の魔族、もしくは人間に出来る限り近い者。
或いは俺の力に似通ったものを持つ存在。
魔素の提供者の変更、鎮静効果のある術や血に施す魔除けなど
様々な方法を試し続けているが、効果がない。 ]
「最期まで最善を尽くすが、……」
[ 果たせなければ、辿る先は他の勇者と同じだろう。
戦いで倒れなかった代わり、力に呑み込まれ異形となった彼らと。
……そう、あの額に御印を持った魔物のように。
そんな方法があるのかも分からないが、
魔素そのものを取り除いたとしても、意味するのは死である、と。 ]
[ ────「魔素」
切り崩すことなど出来ないこの世界の構築物
旧き時代の負の遺産そのもの。
今尚明確な解析、対処は我々には出来ていない常識の先にあるモノ。
魔族と魔物が生まれた原因であり、彼らの血液の中に存在する。
それぞれの正式名称は、魔素種族、魔素生物。
また魔王は魔素種族統一王と呼ぶのが正しい。
人類から一部ながら魔法の素質を持つ者が誕生するのは、
異形にはなり得なかったが魔素を取り入れてしまった者達を
祖先とする人々が時折隔世遺伝を起こすから。
其れは目に見えぬまま、いつでも傍に在る。
聖木と呼ばれたかの木により、隅々にまで行き渡っているのだ。 ]
[ 寄生木の実とは、魔素の濃縮物に等しい。
故に人間に魔王を倒す可能性すらある強大な異能を授ける。
聖木の根の周辺に強い魔物が多いのは、
濃い魔素がそこから放出されているせいだ。
実を授かり、根を巡る勇者は
濃縮物された魔素に侵される身体を力の増幅と引き換えに、
不安定なものへと変えてしまう。
教会は全てを理解し、操っていた。
遠き過去に自分達が生み出し迫害した、魔の者達を滅ぼす為。
死体が見つかれば分かりやすい、消息不明でも大して変わらない。
根は世界のあらゆる場所に張り巡らされている、
どれかは与えた力を亡骸から取り戻すだろう。
また都合の良い民を見つけて、“神託”を執行すればいいだけ。
若く逞しい年頃の、身寄りの無い孤児や貧民
誇れるものを持たない代わり、素直で従順な────
そう。御印とは、新たな贄の目印に過ぎない。 ]
[ その話を魔王から聞かされ、幾つかの証拠を見せられた時。
既に両者で命の取り合いは終わり、
落ち着いた話し合いが進められていたが。
あまりの内容に声を荒げ、結局は認めざるを得なく嘔吐した記憶。
自身が助かる方法を除けば全てを知っている今は、
表情一つ動くことはなく、ただ受け入れていた。 ]
| 事件がここ最近多くなっている。 そうだ、式典の時期にな。
[ 状況は暫くの間変わらず、芳しくないまま。 だがそれはこの身体だけなのだろうか?
真の意味での人魔の和解は果たされぬまま、 統一性を失った人類同士の争いも始まった、 この時代も同じではないだろうか。]
そう、それに。 あの方を傍で支える妃も我らは用意出来ていない。 何しろ竜族はもうずっと前に……、 俺はまだ必要で、休む暇などありはしないんだよ。
[ 陛下は三代目の魔王に当たる。 初代王と先代王は、両者共に竜族から妃を迎えた。
真祖竜と竜族は亜種といってもいい近い存在であり、 その牙に盾になるに相応しい能力を持っていたが 王妃が勇者に討たれたのが最後、滅びてしまった。 ]
(185) 2020/10/24(Sat) 1:31:42 |
|
感謝している、すまない。 陛下の為、魔族の為、より一層の尽力を願う。
[ 何を言おうとしているのか読んで遮り、一方的に言い切った。
四六時中自身に魔法を掛けたまま、合わない陸の生活。 その重要さから王に願われ、安全を考慮した城の地下暮らし。 この身の問題とオルフェウスの研究内容は一致している。 きっと、様々な思いを踏み躙っていた。
袋が空になり、管を外している間も 退室するまでも、オルフェウスは何も言わなかった。 ]
(186) 2020/10/24(Sat) 1:31:59 |
「……それが生きたいということで、あってほしいがね。」
[許せないものがあったとしたら。
話の内容でも、配下でも研究員でもなく。
いつか告げた主の言葉を、
彼があまり心に置いていないらしいことでもなくて。
ましてや、秘された紙片の内容でも
秘密を作っていることでもありはしなく。]
[気づかないと思われていることだろう────**]
――酔い潰れて数日後・ゲイバー――
[たまには顔見せろと友人から連絡が来て
その日数カ月ぶりに馴染みの店へと出かけた。
そう言えば異動になってから行っていなかった。
店に入るとマスターにも心配されていて
仕事が忙しかっただとか適当に理由を付けておいた。
実際には慣れない仕事で忙しかったのは最初だけで
後はあの人に絡むので忙しかったんだけど。]
恋人?
あー、好きな人は出来たかな。
[どうやら友人の方は俺に男が出来たと思ってたらしい。
まあ確かに、恋人がいた時に足が遠のいた時期はある。
飲みに出かけると浮気を疑われたから。
そんな事実はなかったし、面倒ですぐ別れたけど。]
[俺に好きな人がいるってのが関心を惹いたらしく
しばらくその人の事を話す事になった。
所謂ノロケ話だ。
他人のを聞く分には退屈だけど、
友人はその手の話が大好きらしくて飽きる様子がない。
けれどしばらくすると話を遮られて
「虚しくなんねえの?」と言われた。
何でって返したら呆れ顔が返ってきた。
その後しばらく恋愛初心者ってネタにされたけど
結局最後まで何が虚しいのかは分からずじまいだ。
取り敢えず俺はめっちゃハッピーですけど。
人を好きでいられるって最高じゃん、と思うわけです。]*
──寝所──
…………。
でも、恋人同士がすることなんて
それぐらいしか思いつかないわ。
[見た目だけを求めたと言われれば
それは違う気がする。
けれど恋人と言われるとそれを求めるものだと
私の知識がそう言ってくる。
今回は元々強い強制を持ったものでは無かったから
無意識にメイベルは知識の方に従っていた。]
それ以外、何があるのよ。
[ベッドに彼女の手を縫い付けながら
その答えが出るのを私は待った。]
……分からないわよ。
そんなの具体的じゃない。
[押さえつける手が片方になれば
私も片手をベッドから離す。
押さえつけていた片手はアリアの手首から
上に上がり、手を繋ぐようにする。
空いた片手は彼女の背中に回り
脚のほうに絡みつく彼女と対照的に
小さな胸を押し潰すように彼女とくっついた。]
今の気持ちが何なのか……言葉に出来ない。
でも知って欲しいと、思う。
それから……知りたいって……。
[は、む、と彼女の唇を
弱く食みながら、伺うようにして
彼女の顔を見ながら。]
アリア、私は────。
[そこで、パキン、と音がしたように思えた。
メイベルの瞳に混ざる蒼色が薄れて
いつもの翡翠の瞳に戻る。
そうすると私は眉を寄せて
不思議そうな瞳を向ける。]
……私は……なんだったかしら?
ん。
今日は随分と近いわね、いつもは
クッションに抱き付いてる癖にっ。
[繋いでいた手を離すと
その手を彼女の腰に回して
抱き枕のように彼女にくっついた。]
一度こうして見たかったのよね。
命令すれば良かった。
[ふふん、と楽しそうに笑う。]*
──かつて──
[ 海を越え、洞窟を通り抜け、砦を突破し、城を守る者達を討ち
ついに魔王の目前へ迫ることとなった勇者一行
しかし、今代では────自分達ではそこまでだった。
魔族との争いの最前線で、代々人々を癒やす聖魔法の使い手の家系
増えていく死者に涙一つ流すことを許されない苦しみを知りながら、
自分達も同じように励まし続けてくれた賢者の女性が
よく似た生まれ、戦うこと以外用意されなかった選択肢
気が短くすぐに手を上げてしまう、長身と強面で人に避けられる容姿
その奥底で不器用に仲間を思っていた逞しい戦士の青年が
強すぎた魔力により家族から離れることになった生い立ち、
小さな身体に抱えきれない程狂い咲いてしまった才能に
振り回される人生の中、決して弱音は吐かなかった魔法使いの少女が
焼かれ、砕かれ、切り裂かれて順番に物言わぬ骸と化していった。 ]
[ 青く、蒼く。玉座の間に満ちた輝きは今は赤で穢れている。
その全てが人間、自分と仲間達が流した色。
本性は黒い竜であるとされる魔王は、
黒衣の男性の姿を保ったままに目前に立っている。
剣に付いた血液を払う仕草にも、体力の消耗は見られない。
戦いが始まる前と変わらない足取りで、こちらへ歩み寄る。 ]
「……なんと悍ましい、これが勇者の成れの果てか」
[ まるで化け物を見るように、その白い顔で眉を顰めて。 ]
[ 握りしめたままだった槍の刃を魔王の足が踏み付ける。
幾度となる打ち合いで罅が入っていたそれは、呆気なく砕け散った。
今や立ち上がる気力も無く、横たわり相手を見上げた姿勢では
頬を伝った液体が、散らばる破片と変わらない銀の色をしており
鉱物の光沢を放ち落ちてゆくのが見て取れた。 ]
[ きっと同じ色が、沢山の刃が
この身体を裂くようにして突き出ていることだろう。
鋭い金属結晶を自分自身から創り出し、
自在に形を変えて実在化する。
それが刃の勇者の異能だった。 ]
[ 始めはただの体調不良と思っていた。
魔王領に踏み入り、厳しい戦いが連続していた頃
漸くそれが代償とも言うべく宿命であると知る。
何の情報も得られなかった己が、
楽観視していた仲間達が、
気付いた時にはもう引き返せない場所にいた。
未だ人類は魔族には届かない、女神は奇跡を起こさない
果たすべき使命は根の元で土に還ることである。
理解したその時には既に立っているのは一人だった。
数多の疑念を抱えながら、
俺は結局皆と同じように、最後まで教会を信じていた。 ]
[ 魔王はそれ以上何も言うことはせず
ほんの少しの間俺の右手辺りに視線を下ろしてから、
この首を刎ねようと、ゆっくりと剣を持ち上げる。
だが──── ]
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