人狼物語 三日月国


75 【身内】星仰ぎのギムナジウム【R18G】

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【人】 一人の少女 ブラキウム

早朝の食堂

「……悪い大人はもう居なくなったんだってさ。
明日はもう、やってきたのに」

大人の元から戻ってきたブラキウムは、昨日と同じまま。
――けれど、二度と元には戻らない明日をこれから歩むことになる。
行きつく先は地獄かもしれない。

「僕は君が祈った明日のために大切なものを守るよ」

だからそれがどうしたと言ってやろう。
それくらいで負けるなんてあり得ないと確信できる。
懐の銀がいつまでも錆びないようにきっとあなたも色あせない。
だからあなたがいつギムナジウムを見ても『ありがとう』と言えるようにしよう。
明日も明後日も僕はここに居る。
ここでみんなと生きていく。
今度はもう大事なものの手をずっと離さないように。
愚かな子どもはもう焦らない。
遅々とした歩みでも毎日おとなになっていく。

「おやすみなさいサルガス。いい夢を」

もうすぐ今日のおはようが訪れる。
ブラキウムの空色の瞳の中にはっきりと
あかい金魚
が泳いでいた。
(5) 2021/06/02(Wed) 21:54:56
ブラキウムは、いつも通り朝食の席で待っている。
(a17) 2021/06/02(Wed) 23:34:52

ブラキウムは、同じテーブルに座る誰かを。みんなの顔が見たいから。
(a18) 2021/06/02(Wed) 23:37:15

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 『一番星』 スピカ

これは朝食後のどこかの時間。

スピカを探している。
ブラキウムはあなたの顔を見てお礼を言いたかった。
(-18) 2021/06/03(Thu) 0:28:29

【秘】 『一番星』 スピカ → 一人の少女 ブラキウム

彼女は朝食の席にいなかった。

『アフターフォロー』の話も、
まだ彼女には回ってきていないだろう。

……スピカの部屋を訪ねたならば、
きっと彼女に出会うことはできる。

食堂が開く前の一回を除いて、
彼女は部屋から出ていない。
(-19) 2021/06/03(Thu) 1:09:10
一人の少女 ブラキウムは、メモを貼った。
(a21) 2021/06/03(Thu) 10:10:55

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 『一番星』 スピカ

「えーっと……ここかな。他人の部屋に自分から行くなんて滅多にしないから困ったよまったく」

あなたの部屋の前に立ち軽くノック。

「スピカ。僕だよ。ブラキウムだ」
(-35) 2021/06/03(Thu) 17:43:55

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 夢の続きを イクリール

謹慎中のイクリールを探す。
以前は中庭で見つけることができたけれど
今日はどこに居るだろうか。
(-36) 2021/06/03(Thu) 17:45:31

【秘】 夢の続きを イクリール → 一人の少女 ブラキウム

イクリールは今日も部屋を抜け出して
このギムナジウムの何処かに居る。
教師達は慌ただしく『何か』に奔走している。
だからきっと、昨日よりはずっと自由で。

きっと今日も、変わりなく中庭で会える。
(-37) 2021/06/03(Thu) 19:57:45

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 夢の続きを イクリール

「あ、居た居た。ごきげんようイクリール」

中庭歩いているとあなたを見つけて声をかけた。

「……随分と色んなことがあったね。
君の方は大丈夫そうかい?」
(-39) 2021/06/03(Thu) 20:22:29

【秘】 『一番星』 スピカ → 一人の少女 ブラキウム

>>-35
来訪者の声を認識すると、
無理やり起き上がり、ドアを開ける。

「ブラキウムさん。……どうしたんですか?」

幽鬼のような青い顔の女が、あなたを迎えた。
(-40) 2021/06/03(Thu) 20:35:28

【秘】 夢の続きを イクリール → 一人の少女 ブラキウム

「あら、ごきげんようブラキウム。探させてしまったかしら」

少しずつ、少しずつ日常へと戻りつつある中庭で
イクリールはふと掛けられた声に振り向いた。
爽やかな秋晴れの日だった。

「…そうね、色々とあったけれど…
 わたしは平気よ。もうすぐいつもと同じように
 みんなとごはんを食べたり、授業を受けられるはず」

だからきっと、お茶会の約束ももうすぐよ。
そう言って、イクリールはいつものように微笑んだ。
その日食堂であった事を、知らないまま。
(-41) 2021/06/03(Thu) 20:45:01

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 『一番星』 スピカ

>>-40

「うわ。酷い顔だね。大丈夫かい?
ひとまず区切りが付いたから挨拶に来たんだけど体調が悪いなら改めるよ」

初めて見たあなたの顔は随分と……想像以上に酷い。
迎えられれば心配しながら中に入るだろう。
(-43) 2021/06/03(Thu) 21:31:17

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 夢の続きを イクリール

「……君はそんな顔だったんだね」

ぽそりと呟く。
揺らめくろうそく……よりはもう少ししっかりしているけれど柔らかくて温かそうなのは変わらない気がする。
ブラキウムを受け止めた時もそんな風に笑っていたのだろうか。

「別に。すぐに見つかったさ。
傷の調子も悪くないようで何より。
僕も君の事で随分と、まぁ絞られたよ。
君ほどではないけどお気に入りの仲間入りをしたみたいだ」

おそらく悪い意味で。
もちろん本命は別の件であるが、あなたの1件もウェイトが軽いとは言えなかった。

「お茶会も楽しみにしてるよ。
みんなも……呼んだらきてくれるさ」
(-44) 2021/06/03(Thu) 21:41:19

【秘】 夢の続きを イクリール → 一人の少女 ブラキウム

「そう…それはよかった。
 ええと、その…ブラキウムが怒られてしまったのは
 うぅん…ごめんなさいね。『せんせい』たち、心配性なのよ」

そう言って一つ、困ったように微笑んだ。
何も心配性、ただそれだけではないのだろうが。
それでもイクリールにとってはそれが真実だ。
少なくとも、今のところは。

「ええ、そうね。
 みんなも、その友達も、そのまた友達も…
 『みんな』を呼べば、きっと楽しいわ。」

もしかすると、『せんせい』に言って
食堂を貸しきったほうがいいのかしらね。
そう未来の事を語る表情は一転して楽しげで
きっと、ブラキウムには見えなかった時もそうだったのだろう。
(-45) 2021/06/03(Thu) 21:58:12

【秘】 『一番星』 スピカ → 一人の少女 ブラキウム

>>-43
「っあー……」

眼鏡を外して、頬を数度叩いて気合を入れた。

「……うん、大丈夫ですよ。
 ちょっと……色々見たのでね。食堂とかで」

『食堂のサルガス』は噂になっているだろうか?
スピカには判断がつかなかったので、
とりあえずは濁すことにした。
来客用のテーブルに着席を促し、
いくつか保存食の中から甘味を見繕う。

「区切り……というと保険周りの話が
 無事に終わったということですか?」
(-48) 2021/06/03(Thu) 22:16:28

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 夢の続きを イクリール

>>-45
「君が謝る必要は無いだろう。
あれに関しては全面的に僕の自業自得だよ。
だから何も心配しないで笑っていればいい」

こちらもふっと笑いかける。
みんなは好きだと微笑む少女にこんな顔をさせていたのかと思うとやはり罪悪感がふつふつと湧いてくる。
そして、年相応にころころと表情豊かなあなたの顔が真っ白な仮面に見えていた自分の目を、盲目だったのだと再認識した。

「呼び出されたときに君の事もたくさん聞いたよ。
まぁほとんどは君の言う通り『せんせい』の過保護だったけど。」

はぁとため息。

「そんなに大掛かりでやるつもりなのかい?
君も少しは『せんせい』離れをしたほうがいいと思うけどね」
(-50) 2021/06/03(Thu) 22:24:25

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 『一番星』 スピカ

>>-48
「あんまり無理するものじゃない。
僕らはもっとゆっくりのんびり生きてもいいと思うよ。
上に立つ者は休息もきちんと管理しなくては、いざという時に守るものも守れないからね」

まじめだなぁと思いながら席についた。
食堂の件についてはすぐには触れなかった。

「うん。ルヴァの事はもう大丈夫なんだ。
これからは僕がずっとそばに居る。
何があっても、どこに行ってもね。
だから君も君の大切なものの為にその善意を向けてあげて」

二人で向かう先はどんな地獄でも構わないと言ったから、そこにあなたをこれ以上巻き込むことはきっとお互いに良くない。
あなたまでが、暗闇に沈んでしまうことはない。
空に輝く一番星が必要な人は他にたくさん居るはずだ。
(-52) 2021/06/03(Thu) 22:34:28

【秘】 夢の続きを イクリール → 一人の少女 ブラキウム

「……そう。ブラキウムがそう言うなら、そうするわ。」

そう言って、やはりいつものように柔らかく微笑んだ。
それがブラキウムの優しさの形だとわかったから。
だから何を後ろめたく思う事も無く笑えるのだ。

「あら……そうね、たしかに言われてみればそうだわ。
 わたしだって、来年からは中等部だものね。
 でも…もしも大勢でどこかを使うなら
 やっぱり『せんせい』にお話はしておかないと。」

ブラキウムは、あまり大勢とでは嫌かしら。
自分の事を聞いた、というブラキウムの言葉には
あまり思う所も無いようで、ただいつかの事を真剣に考えている。
あまりにも不確かな未来の事を、ただ。
(-53) 2021/06/03(Thu) 22:35:36

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 夢の続きを イクリール

「うん。その方が好きになれる。きっと、みんなも」

あなたがみんなを好きなようにみんながあなたを好きになれればいい。
今ならそうも思える。
だからあなたはそのままでいいのだろう。
それがあなたにとっての真実なのだから。

「……それとね。その言い方やめないかい?なんだか僕の都合のいいようになります、みたいな感じがして嫌。
イクリールはもう少し我を出していこう。
僕みたいに


真剣に考えるあなたに難しい顔をする。

「とりあえず最初はささやかにやってからにしよう。
それなら準備にも時間はかからないだろうし、冬を越す前にもできるだろう?
大勢でも構わないけどあの『せんせい』ならいきなりパーティなんて認めないだろうし。盛大にやるのは君がもうすこし大人になってからでもいいんじゃないかな。
その時は君が好きな人を招待して主催になるなんてこともできるかもよ」

ブラキウムにとっても遠い未来のことは今まで以上に不確かだ。
けれど、あなたの前でくらいは何事もなく変わらない風に笑いあうのも悪くないと思った。
(-57) 2021/06/03(Thu) 23:06:55

【秘】 『一番星』 スピカ → 一人の少女 ブラキウム

>>-52

「ね。本当、休んだほうがいいとは思うけど。
 ご飯も食べないと……」

彼女に休憩の選択肢が与えられるのは
もう少し先、大人から話が持ち込まれる時だろう。
が、今はあなたと語らうことが休憩になる。

「……へぇ。なぁるほど。
 一緒にずっと歩いていけるのは、羨ましい。
 ………私はやっぱりみんなの風紀委員じゃないと
 駄目ですかねー」

大切な人にはフラれちゃったし、と苦笑いした。
それでも、大切な彼が言った通り、
みんなのための一番星にはまだなれるのかもしれない。
(-58) 2021/06/03(Thu) 23:12:26

【秘】 夢の続きを イクリール → 一人の少女 ブラキウム

「ええと……そうかしら?ブラキウムがそう言うなら…
 …は、よくないのよね。うぅん……
 わたし、ただ嫌と言われたことはしたくないだけよ。
 それに人が喜んでくれることならしたいから…」

どうしたものだろう。
自主性を持つように、とはよく言われるものだけど
それも一般的にはこうした方が良い、とされるような事を
自ら進んで行っていれば大抵は良しとされるものだ。
そして率先してそういった行動を取りがちなイクリールは
我を出していこう、なんて言われた事も無かったのだ。

「うぅん……そうね、まずは様子を見るのも大事だわ
 あまり急でもまた『せんせい』を驚かせてしまうでしょうし…
 うん、ブラキウムの言うように、まずはささやかに。
 その次のことは、またみんなで話しあうのがいいわね。」

一先ずは気を取り直してブラキウムの提案に相槌を打つ。
けれどその前の発言に気を取られるあまり、
『冬を越す前に』という言葉の意図は掴み損ねてしまった。

抱えた問題と向き合う時間は幾らでもある。
だから、今はそれで良いのかもしれないけれど。
(-60) 2021/06/03(Thu) 23:46:22

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 『一番星』 スピカ

>>-58
「そうそう。まずは栄養補給もちゃんとしないと。
まったく、朝食くらいちゃんと食べないと、なんてまさか君に言う日が来るとはね」

こうして口を動かしていればふさぎ込んでいるよりはマシなはずだ。
ブラキウムはあなたに何があったのか全てを知らないけれど。
知らないからこそ言える事もあるかもしれない。

「羨ましがるのが結構だけどオススメしないよ。
君には君のやり方があるさ。
君じゃないと守れない人は絶対に居るんだよ。
生きて前を向いていれば……それこそ明日にでも現れるかもしれない」

「君はもっと誇っていいと思うよ」
(-61) 2021/06/03(Thu) 23:47:27

【秘】 『一番星』 スピカ → 一人の少女 ブラキウム

>>-61

知らぬからこそできることもある。
日常会話は、確かにスピカを癒やしている。

「ブラキウムさん……ありがとうございます。
 私、ちょっと、今日まで……
 何も救えないし、
 手に入れたいものも全部手から零れ落ちて。
 そう思ってたんですけど。
 そんな私でも、誰かの役に立ったのでしょうか」

スピカにはこの騒動で役に立てた感触がなかった。
でも、色々な人に背中を支えてもらえたら、
まだ前に歩けるかもしれないと思った。
そして、支えなしでは歩けない自分を少し情けなく思った。
(-63) 2021/06/04(Fri) 0:14:43

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 夢の続きを イクリール

「悪い事じゃないから余計にそうなってるのはよくわかるんだ。
でも、やっぱりこれからの君の事を考えるとその方が……そうだね。面白くなるかもしれないよ」

いたずらっぽく笑う。
変わらない日常もいいけれど、あなたにはもっと刺激があっていいと思う。
それこそ時間はたっぷりあるのだからゆっくりと段階を踏んで。
忘れらないような日々にしてしまえばいい。
その手引きをするくらいなら喜んで。
ブラキウムはいい子ではないから怒られるだろうけど。
"お願い"されてからではなくてあなたが望んで人の手を取る日が来てほしいと思う。

「そうしよう。
みんなで一緒に話しておけばなんとかなるさ。
……あぁそれなら今からどうするか考えておかないと」

だけどそれはもう少し先のお話。
今くらいはもう少しこのままでも構わない。
ここに居るにはまだ等身大の二人のこどもだ。
(-65) 2021/06/04(Fri) 0:31:59

【秘】 夢の続きを イクリール → 一人の少女 ブラキウム

「なら、覚えておくわ。
 今はまだ、どうすればいいかわからないけれど…
 わからないなら、これから知っていけばいいのだものね。」

それは数日前にブラキウムへ語った事のリフレイン。
わからないなら、知らないのならこれから知れば良い。
イクリールが盲目のブラキウムの手を引いたように、
ブラキウムがイクリールの手を引いたって良いのだ。
何度だって。
そうして受け取ったものは、きっと二人の宝物になる。

たとえいつか忘れてしまったとしても、
決してその日々が無かった事にはならないのだから。

「ええ、そうね。
 ブラキウムさえよかったら、一緒に考えてくれるかしら?
 わたし一人じゃきっと、全部には気が回らないから。」

二人の子どもはただ顔を見合わせて笑う。
きっとこのギムナジウムは、その子ども達は
今よりもずっと、良い方向へ進んで行ける。
そうである事を願う心があるのだから。
(-67) 2021/06/04(Fri) 1:15:24

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 『一番星』 スピカ

>>-63
「君は真面目すぎるんだよ。
今回はたまたまそうだっただけ。確かに救えなかったものもたくさんあるけど、救えたものもあるはずだよ。
森に近づかなかった子は守られたし、君たちの見回りが結果的に抑止にも繋がったのは確かだと思う。
それに僕だって君という保険があったから賭けにも出られたんだよ?」

あの日のブラキウムのような子どもにも隔てなく接するあなただからこそだろう。

「一人でできることなんてたかが知れてるんだよ。
上に立つものが一人きりである必要なんてきっとなくて、だから誰かと話をして手を取るのさ。
本当に欲しいものがあるなら遠慮とか捨てちゃって、君自身が選び取るんだ。
スピカはもっと欲張りになってもいいんじゃないかな」
(-71) 2021/06/04(Fri) 18:01:24

【秘】 『一番星』 スピカ → 一人の少女 ブラキウム

>>-71

「そう……そうね。
 私がいなかった時どうなっていたかなんて、
 誰にもわからないけれど。
 きっと、みんながそう言ってくれるなら役に立てた。
 そう思える気がするわ」

『いない』ことにされてからの数日を思い返す。
自分の行動を客観視なんてできないし、
自分が正しく働けたとも思えなかったけど、
目の前の少女と、それから彼女と語らった色々な人が、
自分を頼ってくれたということは、
そろそろ認めてもいいと思った。

「ええ……本当にね。一人で立ち回ることの困難さは、
 随分と身にしみたわ。
 我儘を言っても、
 苦しみを吐いてもいいって言ってくれる人もいたし。
 一人で戦おうなんて、思わないほうがいいみたい」

本当に欲しかったものの顔を思い浮かべた。
未だ諦めてはいない。そして、ブラキウムと話しているうちに
決心が固まった。
(-74) 2021/06/04(Fri) 19:20:27

【秘】 一人の少年 ルヴァ → 一人の少女 ブラキウム

――森の中。
なんとなく、誘って、あの日と同じものを並んで見ていた。

何もかもが元に戻ったわけではなくて。
何もかもが前を向くためのものではなくて。

お互いの全てが理解し合えたわけでもなくて。
お互いの関係が劇的に変わったわけでもない。

ただ居なくなった友人がいて、
でもそこに変わらぬ日常があって、
明日への怯えが薄れて、
隣には、変わらず君がいた。

「………」

森が少しだけ風にそよぐ。
(-89) 2021/06/05(Sat) 6:13:30

【秘】 一人の少年 ルヴァ → 一人の少女 ブラキウム

すぐに、お互い気になった全てに無遠慮に手を伸ばすことが出来なかった。
自分のこと、相手のこと、大人のこと、サルガスのこと。
自分の過去のこと、やってきたこと、お互いの病気、これからのこと。
お互いにすり合わせていかなければならないことはたくさんあったけれど、
でも、それにすぐ触れてしまうと今が砂城のように崩れてしまいそうで、
何も言えないまま、日々が続いている。

ただきっと、それが少しだけ大人になるということで、
だからその緩慢で心地のいい苦しみの中で生きていくということが、
多分子供ではなくなるということなんだと思った。
どちらかがいつかそれに触れ、互いに痛みを共にする時が、
完全に大人になって歩き出すということなんだろうと思っていても、
もう少しだけ、この状態をとお互い思っているのかもしれない。

この傷口が乾いていくのか膿んでいくのか。
それは、今はわからない。

息を大きく吸った。

「ブラキウム。
 一つだけ、お願いがあるんだけど」

座ったまま隣を見て。
袖で口元を押さえて、首を傾げてブラキウムに尋ねた。
(-90) 2021/06/05(Sat) 6:14:21

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 夢の続きを イクリール

「そうするといい。
それだけ相手に踏み込んで行ける度胸があるなら問題ないよ。
知ればできることがある。まずはそこからだ」

ブラキウムが何度手を引けるかの保障なんてどこにもないけれど、それでも大切な友人にみんなの事を頼まれたからせめて手の届く範囲くらいは伸ばせるうちに。
ブラキウムはもうあなたの顔も忘れない。
自らの罪も感謝も忘れないであなたが好きなもの知れる手助けくらいはできればいい。

「もちろん任せて。
これでも長年培ってきた実力はあるからね。
それに放っておいてなんでもかんでも好きだからでやられたらキリもないし」

加減も覚えてくれると助かるんだけどね。
冗談めかしてやっぱり笑う。
ちっぽけな子どもの願いも一人一人が集って願うことで大きな何かを動かしていける。
無駄なんて一つも無かったんだと、僕たちが証明しようじゃないか。
明日のギムナジウムはきっともっといいところになるよ。
(-93) 2021/06/05(Sat) 10:44:08

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 『一番星』 スピカ

>>-74
「うんうん。
そういう素直でまっすぐな方が君らしくていい。
スピカは君が思う以上に人の支えになれるんだよ。
はっきりと言葉にできなくてもいつの間にかね。
一種の才能だよ?」

自分の行動の結果が見えるか見えないかの違い。
見えないからその価値が劣ることなんてない。
何気無い日常というのは、まさに見えない努力によって成り立っているのだとブラキウムも痛感させられた。

「風紀委員である前に一人の人間なんだからさ。
誰にどんな扱いをされようとまずは君がそうしてあげないと……君のこころが泣いてしまうよ。
スピカは強い人だから我慢できてしまうかもしれないけど並び立てばもっと強くなれると思うんだよね」

一番星の他にも空に煌めく星ははじめからずっと数多ある。
あとはそれに気づくだけだ。
(-94) 2021/06/05(Sat) 10:44:42

【秘】 一人の少女 ブラキウム → 一人の少年 ルヴァ

こうして森の中をあなたと歩くのも随分と慣れてしまった。
あなたと二人で約束を結んだ場所。
あなたと二人で素顔を見せた場所。
あなたと二人で想いを交わした場所。

ギムナジウムの中でも特別な場所。
今はただ付いて行くのではなく隣に並んでいる。
ほんの少しの違いだ。
それでも一歩前に踏み出すだけで来られた位置は随分と遠かったと、自分を大きく見せようとしていた一人の御曹司の姿を背にして前を向く。

訪れた明日の後ろには明るいばかりではない昨日が積み重なっていて、忘れたくなるような、無かったことにしたくあるような事も多い。
だからこそ、それら全てを抱いて僕の明日に変えていく。
その目でありのままの世界を見通す。
全部が本物で受け止めると宣言したから恐れはなかった。

今の二人は昨日と明日の狭間に居るのだろう。
ブラキウムはあなたに連れ添う。
甘い夢でも苦い現実でも変わらない答えを返す。
現状がどちらかは曖昧で、それは手足に絡みつく心地よい停滞だろう。
――けれど、永遠に時を止める選択はしなかったから
あなたがそこで足を止めてしまう事があれば前に進んで行きたかった。
子どもたちはみんな大人になっていくのだから。

「なんだいルヴァ。
そんな改まってお願いだなんて……言ってごらん」

肩を寄せてじっとあなたの顔を見つめる。
あなたが足を止めないのならば
僕は砂城が崩れることも受け止められるよ。
(-95) 2021/06/05(Sat) 11:25:42