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![]() | 【人】 ミア[ ……話、だけの問題では無くて、 その語り口からも、眠気を誘うのには、 ちっとも向いていなかった。 文字と、挿絵とから想像される光景は、 確かに 今、周りにあるものと似通っているけれど、 ─── 誰の 話なのやら、とか、 女の知る世界の真ん中に居る、 真紅を 見たまま。 ] (277) 2020/05/20(Wed) 13:58:38 |
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![]() | 【教】 ミア「 私の羽を どうぞ使ってくださいな。 」 「 月明かりに三日三晩照らし、薔薇の花弁と混ぜ、 おくさまの亡骸に飲ませてあげてください。 」 (/13) 2020/05/20(Wed) 14:00:25 |
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![]() | 【教】 ミア蝶々は ひとと語れたものですから、 きっと お伽噺に聞く妖精でもあったのでしょうか。 羽を喪い、堕ちた蝶々はもう語れませんから、 今となっては、知るすべもありませんが。 彼は、妻がいっとう大切でしたから、 蝶々の言うとおりにしました。 祈るように、縋るように、 妻の亡骸の前で待っていました。 (/14) 2020/05/20(Wed) 14:01:48 |
![]() | 【人】 ミア[ ……合っているかも知らないのに、 蝶々の "その姿"を想像して、やめた。 迷い込んだ現実の蝶々を指先に止めて、 暫く遊ばせてやったのも、 やめた理由のひとつかもしれない、が。 ] (280) 2020/05/20(Wed) 14:02:24 |
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![]() | 【人】 ミア* [ ─── 日付の感覚がもとより曖昧な奴だ。 あの月夜が昨日か、一昨日か、 今度は太陽のもとであったのは 間違いないけれど。 外に出ないから酷く退屈していて、 居づらいなりに、勝手知ったる調子で、 主人の部屋で寝転がっていた。白い海。 ……本来立たないのだろうが、 足場の悪い場所に不安はあれど。 当の主人が珍しく室内に居ないから、 適当に枕元の頁を捲っているだけ。 ] (282) 2020/05/20(Wed) 14:03:36 |
![]() | 【人】 ミア[ ひとの絵と、自分の名前と、 覚えのある地名の名前、それから少しの単語。 読めているんだか、読めていないのか。 書かれている最後の頁を捲って、 ] (283) 2020/05/20(Wed) 14:04:19 |
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![]() | 【人】 ミア[ 部屋の外、廊下の何処かだろうか、 しらないおんなの声がするから。 ─── この前の誘いがどうとか言ってる、気がする。 尖った声はとてもお上品な発音なことで! ] (284) 2020/05/20(Wed) 14:05:43 |
![]() | 【人】 ミア[ 探そうにも彼の姿は見えないし、 逃げたのか、偶々居ないのか、 珍しく直接応対したのか知らないけれど、 えらい男は大変だなあ と思うのも、 大概他人事だろう。 ]** (285) 2020/05/20(Wed) 14:06:26 |
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![]() | 【人】 ミア[ インクを飛ばさず、 銀色の代わりに 手遊びでペンを回して、 本ごと、枕元に戻した時だった。 今日は 天気が良い。 夜に屋根で涼むのも悪くないだろう。 鼻には変わらず薔薇の香り。そう、何時も通り。 ] (334) 2020/05/20(Wed) 22:41:15 |
![]() | 【人】 ミア[ ─── なんだかおかしいな、と思ったのは、 聞き慣れた足音の感覚がすこぅし狂っていたからか。 其れでもこの 一種の箱庭に居る間、 平和そのものであった所為か。 欠伸をひとつ溢して、全く礼儀もなってなく、 真白のシーツに座ったまま迎えるか、等と、 呑気に考えてしまう。 ……まったく慣れとは恐ろしいものだなあ。 慣れるべきでは 無いのだろうに。 ] (335) 2020/05/20(Wed) 22:41:43 |
![]() | 【人】 ミア[ そんな風 だったから、 薔薇以外の香りが入った時に、え?って顔をしたし、 重たく、息の吸われた音に、すこぅし身を下げたし、 先客の所在を認めず吐き出された声に、 ─── うわ って、ちぃさく声を上げた! ] (336) 2020/05/20(Wed) 22:42:26 |