【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[あの反応を見た彼女が何を思ったか、楓には窺えなかった。 強張る体に気付かれなかったか、あるいは意味を見出されなかったか。そのどちらか、と判断していた。 誰にも何も言われなければ、何事も起きていないものとして現状維持を続けるだけなのだ。 それこそが彼の望みだから。>>2 共通の友の話題は、この先出ることがあるかもしれない。 が、仮に彼女と友の邂逅を知ったとしても、その思い出は二人のもの。楓が細かく聞き漁ることはないだろう。 楓だって一度、友の元へ赴いている。そのときのことを楓から詳細に語ることはないのと同じように。 互いの時間のずれを確かめることなどできはしないだろう。仮に椿が友の解呪を語ったとして、楓は友の近況を事細かに知るわけではない──むしろほとんど何も知らない。ゆえに知らぬ間の出来事と思うにすぎないだろうから] (-132) 2023/03/02(Thu) 8:31:02 |
【人】 一匹狼 “楓”[彼女の内心など知りえないものの、螺旋階段を降りる姿が彼にはどことなく上の空のように思われた。>>188 だから心配していたのだが、特に何事も起こらず1階へと辿り着く。 階段を降りた後は、軽く辺りを見回し、リビングに彼女のマントがあるのを目に留めた>>141。少しばかりじっと見つめた後、彼は椿の後を追ってシステムキッチンへ向かった。 男の子と呼びかけられ、肩をすくめる] どちらでも、お好きなように。 [些細なからかいにまでいちいち腹を立てるほど子どもではない、と彼は自認していた。心に余裕がある時に限られる話だろうけれど] (213) 2023/03/02(Thu) 8:31:28 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[彼は内心で、気取られぬことを強く祈った。 彼女のマントにじっと視線を送ってしまったのが、それが彼女の亡骸を連想させてのことだったのも。 悪戯めかして微笑む彼女の唇に、どうしようもなく惹きつけられて必死に視線を逸らしたのも>>205] (-133) 2023/03/02(Thu) 8:31:53 |
【人】 一匹狼 “楓”[彼は頼まれた通りに人参の輪切りを作る。求められる厚みを確認した上で。>>206 彼女の容姿のアンバランスさ>>61と言動の不安定さは、楓に幾許かの不安感を呼び起こした。先刻から続くいくつかの印象と混ざり合って、彼の気分は言うなれば吊り橋の上。緊張感が抜けぬままだった。 肉の焼ける音が聞こえ始め、彼女の呟きが落ちると、彼は調理台よりも彼女の横顔に紙片を向けた] 自分が人間じゃないようなこと言うんだな。 [見当がつく『あの人』よりも>>101、彼が問うことを選んだのはそちらだった。 落ち着いているかのようでいて緊張を孕んだ低い声音は、彼女が最もよく聞いた“楓の声”に相違無いだろう──記憶に残っていれば、の話だが]** (214) 2023/03/02(Thu) 8:32:09 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[室内に改めて目を向ける。 広い、数人向けの小屋。寝泊まりだけでなく悠々とした時間が過ごせる、快適な余暇のための場所。 そう思えるからこそ、一人でここに泊まろうと思うことなど絶対に無いと思えた。 いつもの旅の途中>>68、夢の中にでも彷徨い込んだのだろう>>118。 彼は次第に現状をそう解釈するようになり始めたが……。 だからといって飢餓感の軽視だけはする気になれなかった。 なぜなら、彼が最も頻繁に人を殺すのは夢の中だからだ。 そして夢の中といえど、仲間と認める人を自ら傷つけ害する光景など見たくなかった。それが彼があの夜に夢見た地獄の一片なのだから] (-149) 2023/03/02(Thu) 12:55:40 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[そのまま食べ続けようかと思ったところで、どうしても彼の手は止まる] 『人間的でない食事』って、例えば何だ? [テーブルの上に並ぶのは、確かに人間的な食事だろう。 それなら、そうでないものとして彼女が思い浮かべるのは何か? それを問いたい気持ちに駆られ、抑えることができなかったのだ。 なぜなら、かつてあの気高き友に問いかけた言葉が脳裏に蘇ったから。 《人間向けの食事で、足りているか?》 ──彼が逃れたい、それでいて必ず対処しなければならない飢餓。彼が思う『人間的でない食事』とは、そのまま“人狼”のそれである>>59] (-150) 2023/03/02(Thu) 12:56:33 |
【秘】 一匹狼 “楓” → 片連理 “椿”[彼女の声音をすんなり自嘲と解釈したのは、きっと似た思いが彼の中にもあるせいだろう。 人間のふりをして、人間の暮らしを続けている。 人間だった頃の生活にしがみつき、必死に維持し続けている。 その維持のために、人間ならざる道を歩み続けて。 ──もう、人間でなどありえないのだ。 人間でないものになったと感じた後、元に戻ろうなんて彼が考えたことは一度も無かった。戻れる余地を──戻ってもいいと彼が思える理由を、自ら断つしかなかったのだから]** (-151) 2023/03/02(Thu) 12:56:53 |
【独】 一匹狼 “楓”/* さすがに 人間食べる話は 表ログではやっちゃいけねえなって思ったんです…… 表ログは全年齢 おれwikiに書いてる(確認してきた) (-152) 2023/03/02(Thu) 12:58:46 |