情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
【墓】 雷鳴 バット普段もたもたと食事を選んでいる青年は、今日も小等部を誘導する。 遠巻きに。青年を避ける子は日に日に増えたり、減ったり。 だからいなくなった人々のようにはうまくはできない。 それでも、姿を現さない子どもたちに目を向けて、誰がいないかを確認したりはした。 出来ることは少ないものだ。彼らのようには、できない。 >>5:1 クロノ 「……大丈夫?」「配膳、手伝おうか」 やっぱりそうした仕草をするまでには時間が掛かったから、 最初に貴方に掛けられた声、というわけではなかっただろう。 それでも、通りすがりにちらと声を掛けたりはした。 大きく返事はなかったとしても、気づけになるくらいでいいのだ。 (+2) 2022/05/06(Fri) 21:31:10 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット『不思議ですね』 含みなく返される言葉に、また同じく首を傾げた。 視線が自分の手に向けば、まじまじと眺める。 器用ではない青年の仕草は、どこか好ましい。 いつかは話さなければならないだろうと思っていたそれについて話すために、黒板に言葉を連ねた。 『これが病気だから です』 短くそれだけ答えて、ゆっくりと黒い布地に手をかけた。 現れた素肌は日に当たらないせいで真っ白。 ただ、それよりも異質なものがあった。 部分的に、深い青色の鉱石が肌を覆っている。 そこだけ夜空を切り取って貼りつけたような青色が、あなたの視界に入るだろう。 まるで、ラピスラズリのような。 (-10) 2022/05/06(Fri) 21:36:57 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピスまずは、拒絶されなかったことへの安堵が勝っただろう。 それから目に見えたものをうまく認識できず、反応が返らなかった。 指で、美しい色彩を拾い上げて。微かな木漏れ日に照らして、首を傾げた。 青色は張り付いているのではなく、人体と一体化しているのだ。 「……きれい……」 呟いた言葉に嘘はないものの、少しだけ眉はひそめられた。 手袋に包まれた指先でつついて、ひっかいて。 合間合間から見える真白い肌色を引っ張って、関節のあたりを曲げてみる。 手付きは無遠慮だ。そうした配慮は、あまりできるほうではない。 「痛くない?」 (-14) 2022/05/06(Fri) 21:55:04 |
【墓】 雷鳴 バット「……」 青年は今日もゆっくりと食事の列に並ぶ。 選ぶ品目はごく少なく、決まったものなのに、やけに長く食べるものを選ぶ。 それからやはりいつも通り、短い時間食卓に着く。 喋る口数も少ない。青年に話しかける人間は少ないから。 けれど、その日は違って。 「……何か」 「顔を出せるようになった時に」 「ちょっと、安心できること」「してあげられないかな」 重く立ち込める空気に耐えかねたか、ようやくそれを察知したのか。 ぽつ、とその場に残った人間に投げかけるように、短く声を発した。 (+5) 2022/05/06(Fri) 22:14:33 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット「かわい、そう? 僕は幸せだ。 幸せだから、皆を」 もう、既に代わりにしていた。 聞きたくない。 「代わり、に、なんて」 代わりにすることのなにが悪いのか、生徒に告げられた言葉。 一番に幸せにしたかった人はもういなくて。 この手の先にはより良くしたい世界《ギムナジウム》と、幸せにしたい子たちしか残っていない。 聞きたくない。言わせたくなど無かった。 可哀想な自分を掬うわけでもなく、零さないように手を差し伸べる貴方が誰かと重なったようなきがした。 (-17) 2022/05/06(Fri) 22:19:33 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット「……」 「幸せになることが、幸せだと思った」 「それだけだった」「苦しいのは、嫌だ」 「 先生 になれないのなら、僕は何もできない」先生でいることができないなら。 平等に生徒として見られないなら。 「どうか、君、だけでも」 「僕の手で、幸せになって」 甘い言葉に誘われて、すがる先を求めてしまう。 なにも要らない、ただその許しだけがあればいい。 「普通じゃなくたって、嬉しい」 「その姿が見られるだけで」 好き、で、いさせてくれさえいれば。 息をしたかったのに、焦がれるように目の前の唇を奪う。 その先は愛情の確認ではない、子供が母親に食事をねだるような甘えた仕草をしたあと重たいまぶたを閉じはじめた。 (-19) 2022/05/06(Fri) 22:26:18 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット誰かは愛と言う。恋慕とはかけ離れた慰めを。 そんな孤独な情を、吐露することでしか癒やされる術を見つけられず溺れている。 生徒達を愛したい 彼 の言葉を綴り続け、誰でも求めてしまう。僕が■したい人は、誰だったのか。 いつ、誰が証明してくれるのだろう。 夜が明けたのに、まだ空は暗い。 (-20) 2022/05/06(Fri) 22:30:18 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット病を綺麗と形容されるのは不思議な心地がした。 自分もこれを初めて見たなら、同じ感想を抱くかもしれない。 触れてみれば、硬い質感が返ってくる。 確かにそれは鉱石に類似した何かであるらしかった。 指が曲がるのに合わせて、青色も追随して動く。 無理に可動させなければ特に痛みも生じないだろう。 痛くない、と告げるように頭を振った。 身体が部分的に鉱石のように変質していく病なのだと少女は語る。 声が出ないのも病が原因であると添えて。 今は投薬で進行を抑えている。 根本的な治療法は、まだ研究中であるそうだ。 (-21) 2022/05/06(Fri) 22:33:37 |
【秘】 ライアー イシュカ → 雷鳴 バット「……毎度騒ぎになんのは理由があるってことだろ」 吐き捨てるような口調がかえって肯定の色を強くする。 薄々そうなると理解してはいるももの、 言わないという選択肢を取れるほど器用な人間でもない。 なんだその顔、とばかりに眉間を寄せて。 驚いたのは貴方が近づくにつれて兎が逃げる行動からだ。 あ。と、反射的に追おうとしても 今日は鍵を無理やり借りて入っている訳ではない。 兎はただ檻を隔てた向こう側で固まっている。 「え、なに……お前、なんかしたの。 1羽足りない気がするけど、病院でも連れて行ってる?」 貴方が昔から兎から避けられていたり、 逆に理由を聞いていたならこれは本当に軽いだ。 「はあ、よくわかんねえけど…… 何かお前こう、あれ。お子様だったじゃん。ぼーっとして。 テキセツナチリョウができる自我でも見つかったか?」 病気の変化についての質問に関しては、 貴方が答えなかったなら軽く首を振った。 「……気持ち悪くなってるだけだ。 ……これがまともで堪るかよ。 (-25) 2022/05/06(Fri) 23:03:29 |
【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ「ツキは」「たくさん苦しんできたんだね」 「ここで、もしくは、病気で」「辛い思いをしたから」 「誰か、助けてくれた人みたいに」「なりたいのかなって」 想像で思い出をなぞるだけ、そこに確証はないのだとしても。 聞こえのいい言葉を口にすることに抵抗がないのは、 それを受け取った人間がどこに降り立つのか、責任をもたないから。 「僕、ツキを安心させられるように」「がんばるね」 「大人も、どうにかするって」「言ってた」 「きっと僕も」「ツキも、よくなるよ」 代替品は誰でも構わないのだから、気軽に手を差し伸べたって構わないだろう。 ただ、無責任で甘やかな言葉だけが向けられる。 唇を掠めたそれの意味を、どれだけ稚気の内の子供が理解しただろう。 あやすように背中を撫でる手は、蕩けるような熱を持つわけではない。 けれども、それはよいことなのだろうと受け止めて。 やさしいもののように、笑うのだ。 やがて朝が来たならば、共に食卓に向かう。 朝は短く、夢想の中に腰を落ち着ける時間は少なく。 それでも貴方がそれで構わないというのであれば。 (-37) 2022/05/06(Fri) 23:53:43 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス見た目には美しいそれは、けれども美しいばかりではないのだろう。 触れた石は暖かくはなかったから。青年の頭でも、確かにわかることだった。 つるつるとした手触りを、なにか確かめるように触れて。 「……戻らない?」 美しい瑠璃色は進行性のものだと今聞いた、では。 退行して元の身体を取り戻すのは、難しいのだろう。 少なくとも抑制するだけが精一杯の今は。 それがなんとも寂しくて、小さな手を自分の膝の上に乗せて。 体温を移すように、ぎゅうと頬で挟んだ。固い感触が、時折あたる。 (-40) 2022/05/07(Sat) 0:11:56 |
【秘】 雷鳴 バット → ライアー イシュカ「そう、か……」「確かに」 「ちゃんとした理由があるなら」「説明も、する」 全く疑わしく思っていない、というわけではない。 それでも敵愾心めいて恨めしく思うほどの理由は、青年にはなかった。 或いは、そう思えるほど"足りていない"かだ。 貴方の言う通り青年の頭の中というのはお子様で、あれこれと頭の回るほうではなく。 他人にこれとごまかされてしまったら、追及できるほどのものも持っていなかった。 続いて。不意に向けられた問いには明らかな動揺があった。 瞳孔は忙しく動き、言いよどむ間と呼吸があって。 どんなふうに答えれば良いのかが脳の内側で錯綜するように回っている。 「僕が」「兎を」 「……」 「……逃した、から」 「怒られた、大人に」 言葉は曖昧に。事実とは異なる事を言うのは慣れていない。 喉の奥で揺れる空気の流れは、それが嘘であることを明らかにしていた。 その質問があったからか、或いは単純に話題に途切れがあったか。 なんとなくもどかしい間があって、提案を。 「……一人のほうが、」「いい?」 (-43) 2022/05/07(Sat) 0:22:52 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット『少なくとも、今は』 不可逆のものだと頷いた。 研究が進めば、或いは元に戻るのかもしれない。 外科手術で取り除いたこともあるが、それは対症療法のようなもので。 根治できなければ、また夜色が身体を覆っていく。 じんわりと、肌の温もりが移る。 感覚の消失した石部分はそれを感じ取ることはできなかったけれど、肌には確かに温かさが灯った。 感触を確かめるように微かに動かされる指の動きが青年の頬に伝わるだろう。 (-51) 2022/05/07(Sat) 1:16:08 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス他人のことは、他人が説明してくれるから。 自分のことよりもなんだか深刻なもののように感じられたのだ。 人それぞれの状況に、程度問題の差などないのだろうけれど。 ぱち、ぱちと目を瞬かせる様子は眠りにつく畜獣のよう。 甘やかな膚の香りと、つややかな指の触れる感触が。 どうしても、ひどく、――に思えたから。 ざら、と舌が指先を這って。 かりと、尖った歯が白い指に立てられた。 (-62) 2022/05/07(Sat) 2:36:15 |
【秘】 ライアー イシュカ → 雷鳴 バット「……兎は馬鹿じゃねえけど、賢くもない。 普通は逃がしただけなら怯えはしないだろ。 悪意を持って逃がしたとしても気付かない。……」 追及されないのを幸いとばかりに淡々と。 己が気にした所ばかりを逆に尋ね続ける。 弱みを突かれないならまだいつも通りらしく振舞えはする。 最もそのいつも通りは大多数の人にとっては不快だろうが。 「ちなみに僕、他の教師に聞く事もできるが。 その答えはそのままでいいわけ?」 完全なカマかけだ。見る人が見なくてもわかりやすい程に。 男もただの実習生だ。詳細な話を聞ける保証なんてない。 暫し貴方から目を離さず、錯綜する答えが纏まるのを待つ。 意外にも怒気を帯びていない白群が射抜き続ける。 もし答えがなかなかでないなら、 待つ合間に以下の下記の言葉をかけていただろう。 「……別に。執拗に話しかけてこないならいい。 それに嫌なら言われなくてもこっちが去ってる」 (-66) 2022/05/07(Sat) 3:35:44 |
【秘】 神経質 フィウクス → 雷鳴 バット「俺はこれまでに一度もお前に遠慮をした覚えは無い。 お前の事は……別に、そういう奴だと思ってるだけだ」 自分に誰かを特別慮る余裕はそれほど無いし、それに。 もし仮に、言いたい事があるのに言わずに黙っているだとか。 何か煮え切らない様子であれば、それは少しは気に障る事だろう。 けれど大抵は、恐らくはそういうわけではなく 単に互いに話す事が無ければ無理に会話をしようとはしない。 これまでの付き合いの中でそういうものと認識している。 それは今に至ってもおおよそ変わりなく。 それが自分にとっては不都合ではないから良いとしている。 きっとこのどこかいびつで遠回しな接し方を、 心地悪いとは感じず、そういうものとあなたが受け取るように。 「………これから、か」 これから、卒業まで。 自分と比べれば、あなたに与えられた猶予は長いだろう。 けれど、と思ってしまうのは、きっと悪い癖だ。 そんなふうに思って、同じように一度部屋へ視線を移した。 そうしてこの部屋を貸し与えた者の事を思い返す。 きっと、大丈夫だ。 (-67) 2022/05/07(Sat) 4:37:51 |
【秘】 不明 フィウクス → 雷鳴 バット「俺は……この病を治したいとは思わない」 「治さないまま外で生きていけるとは思ってない。 だが、結局、この病を治そうと治すまいと。 俺にはもう外に居場所は無いんだ。 だからこのままこの場所に居られるなら、それでいい」 フィウクスもまた、誰にも自分の正確な病状を教えていない。 あなたとまったく同じではないけど、少しだけ近いような理由で。 知らないから教える事ができない。 自分の正確な病状を知らない。教えられていない。 他ならぬ自分自身の事だというのに、 教えられていないからいつまでも自分で自分がわからない。 「おかしな考えだと思うか?」 あなたがフィウクスという人間を理解する事が難しいように。 フィウクスがあなたに歩み寄るのも難しい事だった。 少なくとも、『普通の人』のようにはできなかった。 自分を正しく見る事もできなければ、 誰かを正しく見る事もできはしない。 そんな、どこまでも不自由でいびつな在り方を強いられても。 今となっては、この病も確かに自己を形成する一部だった。 だから今更になって手放す事は難しくて、けれど。 そんな自分の居場所を作るには、外の世界は広すぎる。 (-69) 2022/05/07(Sat) 4:39:56 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット「………?」 「??」 大型犬のような仕草が可愛いな、とぼんやり考えていたから、続く行為の理解がすぐには追いつかなかった。 まず歯が立てられる感覚への驚きで反射で肩が跳ねて、 それからぱちくりと目を丸くして手を見る。 一体どうしたというのだろう。 困惑の色が強い視線が向けられている。 (-72) 2022/05/07(Sat) 5:22:45 |
【秘】 雷鳴 バット → ライアー イシュカ「……」 その先に続く言葉を紡ぐのを、躊躇した。 躊躇するような理由があるのだ、そして。 それを貴方に伝えて良いものか、それだけの判断が青年にはできない。 たとえば敏い子供であればもう少し言葉を選ぶなり、 ごまかしようもあったろうに。ただ、じりと惑った足が半歩あとずさった。 「き」「くなら、聞いたら、いい」 「そのほうが正確に」「帰ってくるから」 答えはあやふやなまま、肯定でもなく否定でもなく。 自分の口から言うのだけは、その場しのぎにしかならないとしても固辞した。 貴方がどれだけの権限を持つか、なんてのは青年にははかれないこと。 出来るのは、事態から逃げる準備をすることだけだ。 (-83) 2022/05/07(Sat) 18:36:13 |
【秘】 雷鳴 バット → 神経質 フィウクス青年は他とのかかわり合いの中で口籠ったり言葉に詰まったり、 自分の中の考えを口にできないこともよくあった。それは、性格よりも頭の作りのせい。 そうした通い合いがスムーズに出来るということは、 共同体の中の知己としては十分足りうるところなのだろう。 互いに何かを齎すばかりが絆ではないのだし。 「……少しわかる」「僕も、帰っても……」 「僕は、"病気のこども"だから」「追い遣られて」 「たぶん大人になったら」「帰る場所はないんだ」 「子供は育てなきゃ」「よそに悪く言われるけれど」 「子供じゃなくなったら……」 黙り込む。いつか、自分がどうなるかなんてことは想像もつかない。 けれども人に言われたことを真似ることは出来る。 そこに込められた悪意も、噛み砕いて自分のものにすることなくそのままに。 果たして貴方とどれだけ同じ境遇か、まったく違うものかもしれない。 互い違いにもならず、全く違うものがそこにあるだけなのだとしても。 最終的に下した判断は、貴方の言葉に沿うものだった。 「おかしな」「考えでは、ないと思う」 もしもどこにも落ちる場所がないなら、疲れ果てるまで飛んだとしても。 自分は、それで構わない。貴方はどうだろう? 己の病も他人の病も知らないのなら、目の前に見えるものはない。 けれども暗闇の中でも、鏡の像は同じ形をしている。 (-84) 2022/05/07(Sat) 19:06:12 |
【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス愛されて、艷やかで。白色のりんごみたいにほころんだ頬。 果実に挟まれた花びらみたいな唇が言葉を発さず、表情だけを作るのを見ている。 檸檬の枝のように細い指は青く艶めいて、それだけが冷たい。 「ラピスの指は、きれいだ。 でも、僕は。生身のままのキミが好き。 青い石には、なってしまわないでほしい」 さみしいと思うのは、変化が目に見えてあるからだろうか。 他人の病気は見えないものだから、こうして明らかなものがあるから? 離れていく船を見ていくような寂寥を湛えた目はじっと貴方を見上げて、 もしくはぼんやりと、指先からつながる根本を見て。 獣のような牙が、白い肌を突き破るほどに突き立てられた。 (-85) 2022/05/07(Sat) 19:14:40 |
【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット「──!」 声は出すことができない。 だから、喉の奥を細く息が通る音だけが出た。 牙が肌を食い破ったのなら、そこから赤い血が滲んで垂れる。 白い肌の下に巡っているそれが、確かにまだ生身が残されていることの証左だろう。 痛みを抑えるように自らの袖を握りしめた。 暫くそうやって、困惑と痛みを落ち着ける。 浅い息遣いだけが耳に届いただろうか。 青年の行動は獰猛さを纏っていたけれど、その奥にある寂しさも見えた気がした。 石にはならないよ。 何か言いたくても片手がこれでは難しかったから、 そう伝えるように青年の頭に手を置いた。 (-87) 2022/05/07(Sat) 20:05:40 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・ たったその短い時間でも休まったのか。 目を覚ましたアオツキは体を起こせば、寝ぼけ眼で君の額へと口づけをまた落とした。 特別でもなく挨拶程度にも交わされるだろうその仕草も、これまでにはなかったものだ。 共に食卓へ向かい授業の為に別れる時には、何処か普段よりも表情が豊かになっているように思えた。 彼はまだ、誰かの振りをし続けている。 (-90) 2022/05/07(Sat) 20:13:53 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バットそれは一人でいるとき。それは先生でいられる時間。 隠しきれず出てきた自我は君のことを考えた。 「(ミゲルくんが幼いのは何故だろう。 十分な教育を受けていなかったからだろうか? 先生達に聞いて、詳細を教えてもらえないか。 ……ただのネグレクトでなるとも思えないのだけれど)」 頭がはっきりしている今ならわかる。 彼には負の感情が酷く欠落しているようにみえる。 悲しいことが悪いことと……思わせてしまった節があることから、 知識としては入っているのだろう、と、アオツキは判断して、また頭を悩ませる。 「(――駄目だなあ)」 ぞくりと感じた所有欲は、実に不誠実で。 自分を心地よくさせる素直で従順な子が可愛いだけ、に思える。 彼も自分に執着しているのではなく、自分が可哀想なのだろう。 其れは少し寂しいが、情けない姿ばかり見せているの自分が悪いのだ。 「(本当に天使みたいな子だ)」 自分の病は、きっと治されない。彼らのそれに触れることも叶わない。 過ごし方は変わらない、それなら一番聞かなければいけないのは未来のこと。 (-91) 2022/05/07(Sat) 20:15:47 |
【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット・・・・・・・ ・・・・ ・ 「パンを焼いたんですが、食べますか?」 お茶の香りの中で珍しく普通に起きていたアオツキは、 変な形をしたパンが入ったバスケットを置いた。 お店に出せそうな出来のものもある、食べなくとも彼は問題ないのだろう。 「あの、」 「卒業したらどうするか、あの時聞きそびれていまして。 保護者の元に返ってしまうのでしょうか……よかったら教えてくれますか? 私はずっとこの学園で先生をし続けると決めましたから、外へはあまりでなくなってしまいます。 そう考えると、会えなくなるのが寂しくなるな、と」 (-92) 2022/05/07(Sat) 20:16:35 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新