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【秘】 陽炎 アベラルド → 家族愛 サルヴァトーレ「進んで物買う性分でもないしな」 「それじゃあ今度連れてってやるよ。席の広さも悪くなかったし、 聞いてる途中で疲れるこたぁないだろ」 親しい人には、アベラルドも施したがる方だった。 貴方から貰う事も、貴方に渡す事も、きっと前から好きだった。 以前、『嫌なら断ってもいい』と声を掛けたことはあるかもしれないが。 「だよなぁ。俺も同意見。なら用意するか」 そう言って冷蔵庫からボトルを取り出し、 栓抜きを取り出してコルクを抜く。 ポン、と小気味いい音が響いた。 「そりゃあ……まあ、な。放っては置けないし」 「色々あんだよ。懐かれてるし……」 モゴモゴとそう言いながら、ワイングラスを二人分。 透き通ったリースリングが品の良い香りを立てて注がれていく。 それから、隣に座って片方を貴方に差し出すだろう。 (-435) 2022/08/20(Sat) 19:30:14 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 花で語るは ソニー「……」 男が君の言葉を遮ることはない。 君が話す時、男はいつも黙って君の瞳を見つめる。慈愛、親愛、友愛、諸々のあたたかなものを湛えて、じっと見るのだ。 指先だけが軽く動いて灰を落とした。 「そうだね、ソニー」 「君は正しいよ。昔から賢明だとは思っていたけど」 最低限の犠牲を払って大きな利益を手にする。 残酷でも無情でもなく、当然に普通のことだ。大きな組織では平然と行われることだし、ことこの社会では特に珍しくもない。末端を切って中枢を守れるなら誰だってそうするし、避けられる争いは避けるが道理だ。 「きっとそうなるんだろう。本当に下手人が僕らの中にいるのなら」 「ファミリーが抱えているものはあまりに大きい。全員が全員、自分の身を自分で守れるわけでもないし」 首一つ。たかが首一つ。 それで収まるなら、確かに安い話だ。 ▼ (-437) 2022/08/20(Sat) 19:37:27 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 花で語るは ソニーされど首一つだ。 「逃がしてあげたいな」 「……だけどね、僕は今回ばかりは、そうじゃないと思ってる」 「だって、ね。真っ先にいなくなったのは、アマラントのマスターだって話じゃないか」 彼の遺体は見つかっていない。しかし誰もがわかっている。 「あそこはある種不可侵の領域だった。ここいらのマフィアにとってはね。もちろん、ノッテにとっても」 「そこをわざわざ潰すっていうのは、もっと大きな意図を感じる。この島自体に対する宣戦布告、みたいなもの────」 (-438) 2022/08/20(Sat) 19:47:23 |
サルヴァトーレは、家族を愛している。 (c6) 2022/08/20(Sat) 19:49:48 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ「おや。これは手厳しい」 くっくと喉の奥で笑みを転がす。君の靴音と相まって愉快な調べを奏でた。 「君たちはよく似ているよ、本当に」 『君たち』と。 男がひとまとめにするのは、金の髪のあの子のことだ。素直で従順な彼もまた、男に対しわがままを言わない。 もう少し甘えてくれるといいのだけど、そんなふうに小さくごちる。 「────そう言ってくれるなら」 舌の上で転がす言葉。 ただの音は君の唇を滑って、甘やかな魔法になる。 「裏切るわけにはいかないな」 魅せられずとも、男はそう答えたろう。 (-441) 2022/08/20(Sat) 20:01:16 |
【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → ノーモアベット マキアート「その通り!」 クイズ番組の司会者のようなおどけた言い方で肯定して、朗らかに笑う。 「全くだよ。知ってるかい? ブルーノなんかは子どもが産まれたんだってさ」 「何が欲しいかって聞いたらベビー用品だって言うんだ。おかしいだろ? あんなにお酒が好きだったのに」 愉快そうに喉を鳴らして笑う。しかしその笑顔は馬鹿にしたものではなく、愛おしむそれだった。グラスをカウンターに置いてから、靴下がこんなに小さいんだ、と片手で円を作って見せる。 「あは、あの噂か。誰が流したんだか」 「妙な輩に絡まれたりはしていない? まあ、そんな無謀をする奴はいないと思うけれど────」 男の視線が君のかんばせに注がれる。そのままなぞるように下へと視線を滑らせた。 着込んだ布の下のその肌を、男は知っている。 「君は美しいから」 (-446) 2022/08/20(Sat) 20:12:46 |
【秘】 花で語るは ソニー → 家族愛 サルヴァトーレ見詰め返すジェイドの輝きは、太陽の下にあって尚その深さを増した。 いつだってその中には輝きがあった、若く無謀な、足元の危ういものだ。 ここ数日、その色は強く冴えている。まるでその有様を表すかのように。 「そう、ですか。的はずれなことでなければいいいんだけれど。 いつでもオレは、場の全てを見ていられるわけじゃないから。 違えがあるのなら正してほしいとそう思ってますよ」 だからこそ、ああして発言をするのだろう。皆の前、推理をするように。 導くものの口先と手先に引かれていれば、どんなにか楽だろう。 嗚呼、貴方の言葉は優しい。きっとすみれの色は円満な解決を願うのだろう。 手を伸ばせば届きそうな距離で、まばたきがひとつ、ふたつ。 カメラのシャッターを切るように、はっきりとしたものだった。 何かを心に秘め、決意するように最後にもう一つだけ目を閉じ、開いた。 「……貴方が、そう言うのなら」 秘跡が成立しないのならば、やはり自らの罪は己の内に仕舞われるべきものなのだろう。 声音は安堵するように柔らかく、諦めるように堅苦しかった。 魂の呪縛から解放されたように、滑らかな動きで灰皿の中へと灰を落とす。 (-454) 2022/08/20(Sat) 20:55:52 |
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