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![]() | 【人】 かれがれ ユメカワ【廊下】 >>143 ミナイ 二人で隠れたものを覗き込んだり、必要な時は手を貸して。 探検気分が見付ける過ぎ去った昔日のかけら。 何れも色褪せてぼろぼろになった印刷が物寂しい。 どんな経緯で持ち込まれ、誰にとっての思い入れを抱えたまま ここにただぽつねんと置き去りにされているのだろうな。 そんな事を考えても。当然ながら今、当時を知る者は無く。 「──拗ねている?」 不意に握り返された手にふと視線を傍らに戻し、 べたりと近くなった距離は、寂しがりにとって心地良いものだ。 元々誰にだって距離感の近い男だった。 けれど今までは、確かにこの隣は誰かの特等席だった。 「違うよ。意地だって張ってない」 繋いだ片手は軽く握り返して、そのまま。 内緒話でもするように。少しばかり頬を寄せて、 (145) 2022/07/06(Wed) 6:32:33 |
![]() | 【秘】 かれなで ユメカワ → 不知 ミナイ「構えないんだ。わからなくて」 「夏彦が俺の事好きなのか、わからなくなっちゃった」 「……俺が、ちゃんと夏彦の事を好きだったのかも」 「今はわからないよ」 浮かべた笑みは、空虚と言うには憂いを帯びたものだった。 さあ、いつまでもこんな話をしているものじゃない。 夏彦も、栗栖と一緒が楽しいなら俺はそれでいいんだ。 楽しい時間が終わってしまうまで、楽しい事だけをしていよう。 これが皆で遊べる最後の機会になるかもしれないんだから。 いつだって想い出は綺麗なままだ。 いつまでも、写真のように綺麗なまま。それがいいんだ。 この距離感が、いつか離れ離れになる事が。 寂しくて辛くて、楽しい事も今は寂しいと思う程度には。 好きなはず、なんだけど。 (-67) 2022/07/06(Wed) 6:33:58 |
![]() | 【独】 かれがれ ユメカワそうして、何よりも綺麗な想い出が。 ずっとその中に居られるという甘言が。 君達の進む足を止めてしまえばいいと、そう思っている。 (-68) 2022/07/06(Wed) 6:39:59 |
![]() | 【秘】 かれがれ ユメカワ → 陽葉 シロマ『わかった』 きらきら星変奏曲。 現代に於いては、様々なアレンジを加えられ、多様な歌詞で。 そこら中に、何処にだって溢れている、ありふれた曲。 それが今、ふと挙げられる事になったのは。 いつか駅で聴いたものが脳裏を過ったのだろうかな。 『一緒に聴こう』 『校歌も、あとで聴きに行こうかな』 ピアノは弾けないし、フレーズだってうろ覚えだけれど。 自分のスマホは、どうしてだかここにあって、使えている。 だからきっと、自分の代わりに聴かせてくれるはずだ。 優しくかわいらしくて、何故だかさみしくもあって。 どこか童心の時間に似合わしいと感じるような、そんな曲を。 羊飼いの話す、内緒話の詩から生まれた旋律を。 (-69) 2022/07/06(Wed) 7:19:44 |
![]() | 【独】 かれがれ ユメカワ/* すなわち、羊を信者のシンボルとすれば 羊飼いは信者の保護をつとめとする聖職者、そして…… 善き羊飼いかはまあ人それぞれってもんですよ(すっとぼけ) (-70) 2022/07/06(Wed) 7:30:28 |
![]() | 【独】 かれがれ ユメカワ/* きらきら星に脆弱性抱えたらどうしよう(自業自得) 年々クラシックで苦しむ範囲が広がる人になってしまうよ まだオレにはジムノペディと亜麻色の髪の乙女が残っているが…? (-71) 2022/07/06(Wed) 7:41:42 |
![]() | 【独】 かれがれ ユメカワ/* インターネット不得意かわいいねえ! いや世代差があるからね 当然の事ではあるが 怪異も大変だな… 我々現代っ子もいずれは時代に取り残される事になる…… (-75) 2022/07/06(Wed) 12:57:11 |
![]() | 【秘】 かれがれ ユメカワ → 陽葉 シロマ『流石に緊張する?』 『だとしたらラッキーかも』 冗談ぽくは言うけれど、そう思っているのも本当だ。 想い出の──有り得ざる、擦り替えられた記憶の中のあなたは。 きっと、緊張なんて噯にも出さない人だっただろうから。 閑話休題、その後に付け加えられた事柄を見て、 『ああ、よかった』 『誰か取られたらどうしようって少しだけ心配してたんだ』 返す言葉は、今度はまったくこれっぽっちも冗談じゃない。 誰一人欠ける事無く共に居たい。そんな我儘にとって、 誰かが知らぬ間に、与り知らない所へ。 魅入られ引き込まれてしまう事は少々気掛かりだったから。 とはいえ目的意識を持って引き込む事はないというだけで、 事故は起こり得るのだろうけど、それは仕方ない事だろう。 『ありがとう。ちょっと心配事が減った』 『じゃあ、また後で』 (-76) 2022/07/06(Wed) 13:45:35 |
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ユメカワは、誰かにスタンプを送信した。全力で鳴くセミを咥えた猫。 (a66) 2022/07/06(Wed) 15:24:59 |
![]() | 【人】 かれがれ ユメカワ【空き教室】 >>146 タイムカプセル開封の儀 かぽん。 いかにも缶を開けましたよ、という感じの軽い音がして。 開けてからのお楽しみ、の正体を明らかにすべく、 机の方へ歩いて行って、広げられた中身を覗き込んだ。 「、……? なんか、タイムカプセルっていうか……」 包まれた布の中身。 何でも、思い入れのあるものを入れる、というのはよくある事で。 とはいえそれにしては少々内容物が偏っているような。 「取られないように隠したって感じ?」 なんとなく。思った事をそのまま口に出しつつ、 机の上のビー玉を指先でつついた。ころん。 それから、ふとそれらが包まれていた布に視線を遣って。 「……あ。 何か書いてあるけど……名前っぽい?これ。 ねえ稔、この布借りていっていい?」 学校という場所。 埋められたものと、添えられた名前らしきもの。ふと過ったのは、 結局見ずに戻って来てしまった図書室の貸出記録。 他にも、何処かで同じ名前が見付かるかもしれない、と思って。 (147) 2022/07/06(Wed) 16:26:38 |
![]() | 【独】 かれがれ ユメカワ「なんでここに埋めたんだろうな」 誰が聞く事もない独白。 実際のところ、夢川にはそれが確かに人骨に見えていた。 すでに怪異の側にあるようなものが、 怪異の引き起こすような認知の歪みに影響されるはずもなく。 けれど、この奇妙な隠しものを見付けた張本人は どうにも違うもののように見えていたようだから。触れなかっただけだ。 事実、その内容物が何であるかには言及していない。 そのほかの言及だって、実際は。 わざわざこんな形で骨を埋める、という事への疑問だ。 「先生に見てもらったら何かわかるかな」 きっと皆の興味の先はどちらかと言えば中身の方だろう。 持ち出しやすいのは──そして、自分達にとって重要な可能性があるのは。 強いて言うなら、それらを包んでいた布の方だと判断した。 (-80) 2022/07/06(Wed) 16:41:04 |
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![]() | 【置】 いつかの ユメカワ────追想。 「……おはよ」 欠伸しながら家族の声に生返事を返して、靴を履いて。 眠い目を擦りながら君におはようを言う、いつも通りの朝。 そんないつも通りが愛おしくて。 特別朝弱いわけではないけれど、 よく時間ギリギリまで寝てしまうから、学校に着くのは遅い方で。 けれど君と一緒に行くようになってからは、少しだけ早くなった。 「ん……寝癖ついてる?」 どこ、なんてぼやぼやしてる間に 君が直そうとしてくれるから甘えてしまう。 これでよし、と手を繋ぎなおして歩く通学路は いつだって、どんな季節だって、確かに楽しいものだったんだ。 そんないつも通りが続いていたのも、 今となっては、少し前までの話。 あの日から、登校はまた少し遅くなってしまった。 (L4) 2022/07/06(Wed) 19:41:38 公開: 2022/07/06(Wed) 20:00:00 |
![]() | 【人】 かれがれ ユメカワ【廊下】 >>150 ミナイ 「変わらずにいられたらよかったね」 つられて零した悔恨は、君の言葉を否定しない。 「俺も皆も変わらずに、ずっと」 夢川の一家が近々遠方へ──都会へ引っ越す、という噂は。 そろそろ君の耳にも届いている頃だっただろうか。 或いは、君の家は、親同士の付き合いはあまり無さそうだから。 まだそんな噂、知る由もない事だったかな。 何れにしても、そう遠くない内に知る事にはなるものだ。 「見つからないね」 「ここに来た皆で、かくれんぼをしたら。 きっとあの子が一番強そうだ。人は猫に勝てないものだしね」 だから今、敢えてみなまで言う事でもない。 楽しい時間には、楽しい事だけを話していよう。 距離感はそのままに話題転換。傍らに空き教室を覗き込んだ。 (152) 2022/07/06(Wed) 20:11:27 |
![]() | 【置】 かれがれ ユメカワ写真が好きだ。 綺麗な想い出を、かけがえのない一瞬を、ずっとそのままで。 掌の中に、額縁の中に、綺麗なままで閉じ込めてしまえる。 写真の中では皆、変わらずに、ずっと一緒に居られる。 大事なものは、綺麗なものは、いつだって過去にある。 今もいつかは過去になる。 ああ、だから、写真が好きだ。 (L5) 2022/07/06(Wed) 20:22:36 公開: 2022/07/06(Wed) 20:50:00 |
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