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【鳴】 琴羽の天狗 時見[琴羽は無事かと、焦燥感ばかりが募る。 考えてもみれば、 この事態は予想し得たのだ。 恐山や殺生石に代表されるように 古来より硫黄の匂いは死界の匂いとされてきた。 それだけでなく、 この人里離れた秘境の山奥。 昼よりも夜が長くなるこの季節に執り行われる 人々が異形へと仮装する祭事────… これだけの条件が整っているのだ。 当然、人の世とあの世の境は曖昧になり。 その上俺らはつい浮かれて、 "黄昏時"に"地下に生え出ずる"モノを口にしてしまった。 言わば自ら地獄の釜の蓋を開いた様なものであり] (=17) 2020/10/24(Sat) 23:08:27 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見琴羽……ッ! [一瞬とも、無限とも思える距離を駆け。 ようやく彼女の元へと降り立った。 ゆらり漂う硫黄の薫りの霧の中。 周囲には人も、化け物も、何者もの気配は無く。 琴羽はたった一人で佇んでいた。 さぞや怖い思いをさせただろうと、 その身を抱き寄せ、猫耳ごと頭を撫でようとすれば──*] (=19) 2020/10/24(Sat) 23:20:49 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見[ジンジンと痛む顎に擦りながら、 少しずつ距離を詰める。 しかしながら、ある程度近付けばすぐに 琴羽は俊敏に木の陰、はたまた枝の上へと その身を軽やかに跳躍させ。 しかもすれ違いざまに、 鋭い爪の一撃を見舞ってくる。 頬に、マントに、借り物の吸血鬼の衣装に 幾つも切り裂かれた筋が入り。 どうやらあの女豹のポーズ、 見目好いだけでなく、なかなかに隙が無いらしい] 詳しい事は判らぬが、 どうやらその衣装を媒介に 猫の化け物に憑依されたらしいな? 西洋で言うところのわーきゃっとという奴か。 [なにせ琴羽は神の生贄たる巫女の家系。 さぞや取り憑くのに魅力的だった事だろう] (=30) 2020/10/25(Sun) 0:45:23 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見……しかし、相手と場所を間違えたな? ["以前"の琴羽であれば、 それこそ身も心も猫娘と化していただろう。 けれど。 数度目かの交差の後。 後ろに地面を蹴りつつ、 天狗の羽団扇を懐から取り出して。 ゴゥと大きく一振りすれば。 地面に落ちていたもの、 未だ木の枝にしがみついていたもの。 周囲の枯れ葉が一気に舞い上がり、 琴羽の金の視界を埋め尽くす。 …────その、一瞬の隙に] (=31) 2020/10/25(Sun) 0:53:03 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見[悪戯猫の背後の闇より腕を伸ばし、 その背を反らせるように羽交い締めにする。 木の葉吹雪の中に立つ吸血鬼は、 腕の中の白き仔猫に微笑んで] 残念だったなぁ? 視覚も聴覚も無くとも、 俺の方には琴羽の居場所は良く判ってな? …────何度、 その身に俺を刻み込んだと思ってる。 [まぁ要は、マーキング済みというか、俺混じりというか。 彼女がやがて人では無くなるというのは、 そういう事なのだ。 今はまだ、人としての部分のが 余程強くはあるのだが] (=33) 2020/10/25(Sun) 1:05:13 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見ほら、琴羽。 ……戻って来い。 [故に、捕まえてしまえば此方のもの。 腕の中でにゃーにゃー暴れる琴羽の顔を上向かせ。 噛み付けないように、 親指を横から差し入れて。 その唇を、上から塞ぐ。 はらりと、前髪が一房垂れ下がるのも構わずに 俺の舌が彼女の口腔内を掻き乱し。 荒々しく吸い上げ、そして俺のを伝わせ飲み込ませていった。 閉じられ無いままの猫琴羽の口元からは 溢れた唾液と湿った水音が漏れて。 あぁくそ。 こんな時でさえ、琴羽の口は えも言われぬ程に甘美で。離れ難く。 彼女が正気に戻るまで。 いや、戻ってからもきっと、 彼女のナカに俺は俺のモノを注ぎ続けた事だろうか*] (=34) 2020/10/25(Sun) 1:17:42 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見[不意に、琴羽を背に隠し。 霧の向こうを睨み据えた] なるほど…… 先程の"猫"は、前触であったと。 この季節、この地には魔の者が蔓延する。 それ故のあの祭り、か……? [強大なナニカ、が、近付く気配が 霧の如く肌に纏わり付き] (=53) 2020/10/26(Mon) 7:56:55 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見琴羽。 俺は此処に残る。 先に行って、母上の言葉の真を確かめて来てくれ。 それが恐らく、この地が闇に飲まれ切らずにいた理由だろう。 [琴羽を護る様に翼を拡げ。 胸の前にヤツデの団扇を構えれば。 はたして、彼女は────*] (=54) 2020/10/26(Mon) 7:59:57 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見─奇々怪々の異界にて─ 行かせるか……! [歯茎を剥き出し吠え猛り、大きく腕を横に薙ぐ。 途端、質量と魔力を帯びた風の渦が 向かい来る有象無象の異形を蹴散らした。 ──けれど。 ・・ そはあくまで奴らの一部に過ぎず] (=68) 2020/10/26(Mon) 23:22:37 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見琴羽同様、操られているだけならば 下手に傷付けるワケにもいかないが…… ────ッ、しつこいぞ、貴様らァ……! [フラフラと、ゾンビの様に歩んでくる一団を まとめて上段で蹴り倒す。 奴らにとっては俺は、進路上に現れた 岩か何かと同じ扱いなのかも知れない。 直接的に攻撃してくる事こそ少ないが それが逆に厄介でもあり。 多勢に無勢。 どうやら琴羽の向かった方を目指しているこやつらを 必死で押し止めるそのうちに────…] (=70) 2020/10/26(Mon) 23:42:43 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見……────ぐ 、ッ…… 流石に…… ガス欠か…… [羽団扇から出る風も、とうにただの微風と化して。 淀んだ霧を僅かに散らすも、 細くできたその空間すら、瞬く間に新たなる霧に、 異形の影に覆われる事を繰り返し。 片膝を付き、それでもこの先を通すものかと 眇めた片目で白き闇を睨み据えれば] (=71) 2020/10/27(Tue) 0:30:02 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見この気配は…… ────まさ、か…… [気怠い全身に鞭打って、なんとか、振り返れば。 真っ白な闇の中、ぽつんと。 暖かな 光 が灯っていて]戻って、来てしまったのか…… [そうだ。 俺は知っていたはずなのに。 そういう、娘であると。 やがて近付いてきたそれは、 息せき切って駆けて来る琴羽と その手に持った 小さなかぼちゃ型の 灯火 (=73) 2020/10/27(Tue) 0:41:07 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見[ゆらり、ゆらりと。 死霊の群れが、俺の横を通り抜けて行く。 先程までのおぞましいまでの必死さや 底冷えするような死者の禍々しさは消え失せて。 その瞳に映し出されているのは、 ただ、灯火の明かりのみの様だった] まさか、こいつらが狙っていたのは…… いや、辿り着こうとしていたのは、 それ、なのか……? [てっきりこいつら全員、 琴羽の身体を狙っているものとばかり思っていたのだが。 ……そうでは、無く。 灯火のあたたかな光に照らされた死霊の気配が掻き消える。 中には仮装した身体がとさりと倒れ、 何かが抜け出した様なものもいて] (=74) 2020/10/27(Tue) 0:49:06 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見────それは…… 母上がそなたに伝えたのは、 この地に伝わる送り火の在り処か…… [一定の時期において あの世とこの世の境が曖昧になるこの地で、 それでも人々が暮らし続けられたのは…… 秘伝として伝え続けた送り火の角灯。 かぼちゃのランタンで 死霊を天に還していたからなのだろう。 まぁ、恐らくかつては此処まで 霊共が一致団結して大暴れは していなかったのではないだろうか。 今年は西洋の妖怪仮装のイベントという 百鬼夜行の依代にぴったりな行事を開催し、 更には琴羽というマタタビを渦中に投げ込んだ 相乗効果であった気がすごくするのである] (=75) 2020/10/27(Tue) 1:00:18 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見[なので、恐らくは…… 猫の霊だか、猫又だか。 琴羽に取り憑いた猫が俺を襲ってきたのは…… ちらりと、自らの背を振り返る。 其処にはマントに隠れる様に一対の羽が生えていて] ……誰が、鳥だ…… [ぼそり呟いたのを最後に。 ほぼほぼ気力だけで立っていた俺は ゆっくり前のめりに倒れていったのだった] (=76) 2020/10/27(Tue) 1:12:24 |
【鳴】 琴羽の天狗 時見[ 掠れる眼差しの先、 灯火を置いた琴羽が駆け寄って来るのが見える。 さっき、もらった霊力を使い果たしてしまったと すまんなと苦笑したその声は、 果たして彼女に届いただろうか。 俺の意識は闇に落ち。 …… あぁ、だが…… 落ち葉の地面に倒れ伏したその割りに、 後頭部や口元は、まるで包まれているかの様に 暖かく て …… …*] (=77) 2020/10/27(Tue) 1:16:25 |
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