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【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ案内された椅子に座る。 足をそろえて、手をその上に乗せて。 ゴシックな服装に身を包んだ、可憐な容姿の女は、 ともすれば精巧な人形のようにすら見える。 ぴくりとも動かない表情が、尚更にそれを助長して。 営業スマイルを見送って、視線だけで店内を眺め見る。 小柄な女では、敷居の外の光景はほとんど見えない。 精々照明一つ当りがどれほどの範囲を照らすのか、とか。 カメラは何処かに設置されてるのか、とか。 その程度の事しかわからない。 やがてこちらへと歩いてきた貴方を一瞥だけして。 右手の中指に、透明な細い糸。 袖の中に繋がっている。 「えぇ、初めまして。」 「何かをしに来たわけじゃないの。」 「渡すものがあっただけ。」 そうして、白いシルクグローブを付けた手が。 懐、内側の胸ポケットに伸ばされて───── (-143) 2022/08/18(Thu) 18:10:14 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ──貴方がそれを警戒して何か行動を起こしたりしなければ。 女はそこから、裸の紙幣を数枚取り出す。 金額にして、300ユーロほど。 くしゃりと皺がついてる様子を見るに、 元は小さい隙間に押し込められていたのだろう。 「貴方に渡してほしいと言われたわ。」 「借りてたから返したいって。」 淡々と告げて、それを左手で持って差し出した。 (-144) 2022/08/18(Thu) 18:13:43 |
レヴィアは、今日も鎮魂歌を店で奏でている。 (a12) 2022/08/18(Thu) 18:18:05 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカおべっかに照れたり喜ぶような素振りもない。 何処までも冷たく、無感情なその表情は、 何の色を落とすこともなく。 都会の星のような頼りない照明に映された 女の顔は、どこまでも"お人形さん"だった。 差し出したまま、夕闇の瞳が貴方を見つめる。 「そう。じゃあ、その人の勘違いだったのね。」 「興味がないわ。飲みものなんて。」 「外で飲食するのは嫌いなの。」 受け取られなければ、テーブルにそれをぱさりと置く。 そうして、席を立つ。 用件は、もう済ませた。 客としてここに来たわけではないのだから、 もうこれ以上居る意味もない。 「それ、処分しておいてもらえるかしら。」 紙幣に視線を向けて、それから。 くるりと、背を向けた。 (-155) 2022/08/18(Thu) 19:14:53 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → どこにも行けない ヴェルデ夜鷹について詳しくないマフィアなどいない。 路地裏を歩けば死体に行く着くことは、この街では珍しくない。 珍しくないから、女は。 路地裏を仕事の場に選んでいた。 人を殺すことに、何の戸惑いもない女だった。 貴方の事は知らない。名前すらも聞いていない。 貴方が抱えたものの全てを、女は知りえないし。 きっと、興味がない。 次の日の夜、女は。 もう居なくなった、貴方の遺体があった場所に。 紫のヒヤシンスを一輪、置いていった。 何処までも無感情で、温度も色もない顔のまま。 女は何を言う事もなく、去っていく。 女はきっと、"お人形さん"だった。 人を象っただけの、心のないブリキの人形。 周りがそう揶揄するように。 (-160) 2022/08/18(Thu) 19:26:57 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 鳥葬 コルヴォ「何の事かしら。」 いつも通りにお店は閑古鳥。 問われた質問に帰った答えは、 暗殺屋なら誰でも答えるマニュアルな答え。 女に命令できるものは、大勢いる。 会議でよく見る面子も、それ以外の有象無象も。 女より階級が上ならば、誰でも。 名も無き誰かだって。 「そうね、迷惑には変わりないわ。」 「それに」 「上の意見が一つにまとまってるとは限らない。」 ただ、あの会議の場で。 一人の顧問と幹部が、指示を出しただけだ。 組織は一枚岩じゃない。誰しもが同じ方向は向けない。 ………興味はない。 「誰かを殺して、それが露見したら。」 「私は"不穏分子"として、処分されるのかしら。」 「その時は、綺麗に後始末してくださる?」 例え尻尾切りを確実にされるとしても。 女はきっと、その手を止めることはない。 死に恐れはない。 死を齎してきた己が、死に怯える権利もない。 (-175) 2022/08/18(Thu) 20:44:17 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ女は、殺しのプロだ。 どんな状況、どんな武器、どんな場所であれど。 切り抜けて、今日この日まで生きてきた。 経験の差は、絶対的だ。 ガンッ! と、後ろを向いたまま、踵でテーブルを蹴り上げる。 鉄の入ったパンプスは、蹴りの威力を増幅させて。 バン、と貴方の方めがけてテーブルが倒れ込む。 レモネードが従業員の顔の方へ飛ぶ。 皮を細かく切り刻んだ、たっぷりのレモン汁が入ったレモネード。 一滴でも目に入れば、悶絶する痛みを味わうことになる。 ▼ (-180) 2022/08/18(Thu) 20:52:19 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ貴方がその蹴り上げた音や、倒れ込むテーブルに、 少しばかりでも動揺し、身を強張らせたなら。 ゴッ! と鈍い音と痛みが、その横面に走ることになる。 振り向き様の蹴り。 足りない筋力の分、しならせるような動きで放ったそれは。 まるで鞭に撃たれたかのような、焼けるような痛みを与える。 貴方が椅子から倒れ込んだなら、女はその鎖骨辺りを踏みつけて。 倒れ込んでいなければまっすぐ、貴方の顔に手を伸ばして。 どちらにせよ、中指をくい、と動かせば。 袖から出てくるのは、改造された小型拳銃。 装弾数を減らすことで、違和感なく袖に仕込ませる 事が可能になった、暗器を。 貴方の右目に向かって構える。 視界の半分が、小さな黒い穴で埋まる。 「表を開けてくださる?」 そうして降り注いだ言葉は、やはり。 一切の温度も色もなかった。 (-181) 2022/08/18(Thu) 21:01:33 |
レヴィアは、仕事以外の殺しはしない。 (a17) 2022/08/18(Thu) 21:01:46 |
レヴィアは、殺すことに一切の躊躇はない。 (a18) 2022/08/18(Thu) 21:05:12 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ諦めたように見せる標的が、その実全く諦めていない、 という光景は、もう何度と見てきた。 だから、手を上げた所で油断はしない。 ───しなかった、のだが。 「!」 扉の蹴破られる音、多数の声。 それにちらりと夕闇が動いた。 それは機械じみた女の、確かな隙であった。 一瞬の隙を突かれ、銃口を避けられ距離を詰められ る。 女は一歩引こうとするが、貴方の捨て身の行動の方が早い。 顔に体液の混ざったものを吹きかけられ る。 腕で防ぐことで目を潰されることは防いだものの、 視界は一瞬塞がる。 自動拳銃を握り、此方に銃口を向けられ る。 「─────」 女がぐらりと、後ろに倒れる。 ▼ (-205) 2022/08/19(Fri) 0:14:21 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ───ただしそれは、引き金を引くより前の話だ。 後ろに倒れながら、跳ね上げた脚で銃を構えた手を蹴り上げる。 引き金が引かれ、放たれた弾は天井へ。 照明を割り、ガラスが降り注ぐ。 辺りが一段暗くなる。 倒れれば、そのまま即座に姿勢を整え、足払いを。 頭に血が上った状態では、避けることは難しいだろう。 そうして体勢が崩れたならば、此方は跳ねるように立ち上がり。 足を振り上げ──── その脳天に向かって振り下ろす。 ゴンッ 当たれば鈍い音が鳴る。 痛みに体が鈍ったなら、貴方の手をシルクグローブの手が掴み。 バキッゴキッ 右手の指を3本へし折り、そのまま肘も折る。 最も簡単な武装解除。 てこの原理で込められた力は、女の細腕程度なら 即座に砕いてしまう。 ▼ (-206) 2022/08/19(Fri) 0:23:03 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ───まだ、終わらない。 頭のリボンを片方解いて、きっと痛みに俯く貴方の首にかける。 そのまま、ギリギリ、と上に持ち上げるようにしながら、 どんどん締め上げていく。 人間の身体は高性能だ。 首を絞められれば、その苦しさから逃れるように、 体が勝手に力を加えられた方へ引き寄せられる。 上に持ち上げられるように力を加えられていたのなら。 苦しさから逃れるように立ち上がってしまう。 そうして立ち上がったのならば。 貴方は、従業員と女の間に張られた、肉の壁となる。 女の力加減は絶妙だ。 首に痕は残るものの、死にはしない。 蜘蛛の糸が垂らされた地獄のような苦しみを貴方に与えて。 そうして。 「私はここに、お金を届けに来ただけよ。」 「背中を向けた所を不意打ちで発砲しようとしたのはそちらの方。」 「ここで私を殺したら、貴方と、貴方の所属する組織の立場は相当に悪くなる。」 「戦争の火種になりたくないのなら。」 「───表を開けてくださるかしら。」 底冷えするような声で、再度、告げた。 (-208) 2022/08/19(Fri) 0:32:11 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ時間にすれば、10秒足らずの攻防戦。 素人の従業員では発砲などできなかっただろう。 貴方に当ててしまう可能性があるから。 悲鳴にも,血にも。 たじろぐ様子一つ見せず、その手で腕をへし折って。 食い込むリボンは、貴方の命をギリギリ潰えさせない。 マフィアの中で、最も死に近い女。 それがこの暗殺屋だ。 銃が床に向くのを見て、締める力を緩める。 きっと緊張状態から解除された貴方の身体は、 床に崩れ落ちる事となる。 そっと、貴方の血がべったりとついた自動拳銃を拾い上げた。 「物分かりが良くて助かるわ。」 「病院には早めに行くことね。」 汗の一つもかかない女は、そう告げて。 扉が開けられたなら、そちらへと歩を進める。 ▼ (-250) 2022/08/19(Fri) 11:06:57 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ店を出る、その直前に。 女は一度、貴方の方を振り向いて。 「何もなかったわ。」 「あの子とは。」 そう告げた。 何もない、わけがない。 血の香りがする女と夜鷹など、関わる場面は多くない。 しかして、マフィアが街娼を態々狙って殺す理由もない。 もし理由があるとすれば……"たまたま、仕事の場を目撃された"時くらいだ。 ───暗殺者は、自身の行った殺人を知る者全てを殺さねばならない。 だから。 『深く調べようとするな』と、言外に告げているのだ。 もし、知れば。 今度は貴方を殺さなくてはいけなくなるのだから。 「Addio.」 そうして女は今度こそ、店を後にしただろう。 後に残ったのは、床に散らばって汚れた、 くしゃくしゃの紙幣。それだけだ。 (-252) 2022/08/19(Fri) 11:15:43 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 鳥葬 コルヴォ「下請けは大変ね。」 「それでも、従う事だけが私達の価値だから、仕方ないわ。」 上の手となり足となり、汚れ仕事を行い危険を冒す。 それだけが自分達に求められた役割だ。 これといった見返りがあるわけでもない。 そんな役割なのは、きっとお互い様で。 「そう、よかったわ。」 「自分がいた痕跡なんて、一つも残したくはないもの。」 それは暗殺屋としての矜持か、 はたまた女の思想か、それを語ることはなく。 何の強制力もない一つの口約束を、 ただ淡々と交わし合う。 「貴方は。」 「人が死ぬことが嫌いなの?」 ふと、逸らされた分、夕闇があなたを見上げて。 零したのは、そんな質問だった。 (-254) 2022/08/19(Fri) 11:25:24 |
レヴィアは、血に濡れたリボンを捨てて、新たなリボンを買った。いつもの黒色だった。 (a31) 2022/08/19(Fri) 11:27:23 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 鳥葬 コルヴォ「そう。」 「じゃあ、死んでほしくはないのね。」 結論だけを抜き取って、言葉にする。 仕事が増えるから、それはそうだろう。 死体は必ず処理しなければならない。 敵も、身内も、死体から分かることは非常に多い。 武器の種別などは最もたるものだ。 おかげでかのボスも、死因が狙撃銃であることが分かっている。 例えばアルバの構成員が死んだ時、 その死因が最新型の兵器であると露呈すれば。 それだけで戦争の火蓋が落とされるかもしれない。 ゴミ処理は、大変で敬われもせず、忌避される割には重要だ。 暗殺と同じく。 「興味がないわ。」 「でも、どうせならみんな猫のようになって欲しいわ。」 「消えて、居なくなって、死んだかどうかも定かじゃないように。」 「その方が、目につかなくていいから。」 なんて言う物言いも、どこまでが本音かなど分からない。 死や殺人を忌避する権利など、女にはない。 女は無感情だ。 「今日は何か買っていってはくださらないの?」 (-265) 2022/08/19(Fri) 15:26:47 |
【人】 暗殺屋 レヴィア【花屋】 女は花屋にて。 ヒヤシンスを一本買った。 紫のそれを包装してもらい、店を後にする。 女の瞳と同じ色。 それを胸に抱えながら、またどこかへと歩いていく。 黒の日傘が今日も女に日を当てないように広げられていた。 (38) 2022/08/19(Fri) 16:20:46 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → piacere ラウラ/* ごきげんよう!暗殺者(役職)です。 この度、ランダムダイスでラウラさんが襲撃対象となってしまいました…! つきましてはご連絡と、いくつかヒアリングをさせていただきたく思い、 秘話の方飛ばさせていただきました。 Q1.暗殺RPを希望されますか? (他のやり取りで忙しいという事であればなしでも大丈夫です!) Q2.暗殺される際のシチュエーションのご希望はありますか? (狙撃であっさり、銃撃戦、毒殺、など) 尚暗殺の理由としては、『モブ上司から、ラウラさんが他組織のスパイであるかもしれないため処罰せよ』という命令を与えられ、赴いた、という形になるかと思います! 突然のご連絡申し訳ありません。よろしくお願いいたします。 (-283) 2022/08/19(Fri) 19:18:14 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → piacere ラウラ/* こちらも表のロールを見ながら襲撃対象ダイスを振ったため、 おい!!!!!!!!!となってしまいました……… ロールご希望、ありがとうございます! こちらも出来ればやれたらいいなと思ったため、嬉しいです! シチュエーションに関しても了解いたしました! でしたら、ラウラさんがお一人になったタイミングで 話しかけ、これから殺すことを伝え、最後に猶予を与えるような 形にするか、あるいは死に際に少しだけ行動できる程度の 怪我を負わせるか、といった形にしても大丈夫でしょうか? 殺害宣告に抵抗してこちらに対し発砲をする、等のロールを して頂いても大丈夫です!ご自由にどうぞ! 大丈夫そうなら、改めて秘話を送らせていただこうと思います。 (お返事は少しゆっくり目になります!申し訳ありません!) (-289) 2022/08/19(Fri) 20:07:28 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → piacere ラウラ/* 了解しました〜〜〜! こちらもお話の機会に恵まれ、嬉しいです! では一人でいる所に声をかける形で秘話を送らせていただきます! また、殺す前に猶予を与える方向性で行こうと思います! ヒアリングありがとうございました〜〜〜! よろしくお願いいたします! (-295) 2022/08/19(Fri) 20:48:23 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → piacere ラウラさて、どこかの時間帯。 貴方は独りになる機会はあるだろうか。 それはアジトの中か、あるいは路地か。 どこか、誰かの家であるかもしれない。 貴方がどこに居たとしても。 貴方が独りで居る時に、パンプスの足音が響く。 「ごきげんよう、Signorina.」 ゴシックな服に身を包み、頭にリボンをを付けた、 まるで人形のような可憐な容姿と、温度のない顔をした女が、 貴方の傍に現れる。 偶然会った、という風ではない。 明らかにあなたを探していたのだという風に、 貴方に向かって、ゆったりと歩いてくる。 (-297) 2022/08/19(Fri) 20:54:13 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → piacere ラウラではそこは、路地裏であったはずだ。 女は仕事をするとき、路地裏を好む。 光の届かぬ細道では、誰がいなくなろうとも気づく者はいない。 夜鷹が連れ込まれ殺されるのなど日常茶飯事なように。 ここでは死体一つ転がっていても、何ら不思議ではないから。 片手に黒い日傘をステッキのように持ち歩き、 貴方の前に立つ女は、夕闇の瞳で貴方を見上げる。 「年下にも様付けするのね。」 他愛のない会話。 貴方と話した事なんてほとんどないのに、 そんな世間話を今ここで。 する、はずもなく。 「私の役割はご存じかしら。」 用事、に対する答え。 何一つの色もない、無機質な声を響かせる。 それは、万象の鐘が鳴り響くかのような。 "終わりを告げる宣告"に等しかった。 (-314) 2022/08/19(Fri) 22:16:40 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → piacere ラウラ「私は気にしたことはないけれど。」 「窮屈ね、組織というものは。」 深く、沈み込むようなアメジストの瞳。 全ての光を飲み込んで、一つも返さないかのような。 暗い、昏い眼を向け続けて。 中指をくい、と伸ばせば、そこについた透明な糸に 繋がれたものが、袖口から手のひらに収まる。 改造された小型拳銃。殺傷力と装弾数を落とす代わりに、 違和感なく袖に仕込めるようになった、暗殺用の銃。 「貴女が、敵組織の間者だと判断された。」 「だから指示が出た。それだけよ。」 誤情報だとか、誰かの陰謀だとか。 あるいは、本物の間者の策略だとか。 きっとこうなった可能性は山ほどあって、そして……… その全てに、女は"興味がない"。 ただ、指示されたとおりに仕事をするだけ。 それ以外の価値など、自分にはないのだから。 「恨み言はあるかしら。」 殺しのプロである女は、標的を絶対に逃がさない。 だから、抵抗しないでほしい、と思う。 抵抗されれば、その分だけ死体を汚くしてしまうから。 銃口は、まだ貴女には向けられない。 女は、貴女に猶予を与えている。 (-331) 2022/08/20(Sat) 1:31:44 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 鳥葬 コルヴォ「死体を見たい人間がいるのかしら。」 淡々と返す。 何故見たくないか、の理由は言及しない。 聞かれる事もきっとない。貴方は興味がないだろうから。 「そう。私、商売人なのよ。」 だから冷やかしなら帰ってくださる?と、 遠回しだったそれを、今度は近道に言う。 しかしてどうやら、貴方はお客様でもあったようで。 「アンティークは自分で選ぶから楽しいのよ。」 馬鹿ね、と告げながら、席を立つ。 こつ、こつとカウンターから出て、一つの時計の元へ。 少しだけ錆びついた鉄の蓋がついた、無骨な懐中時計。 お世辞にも奇麗とは言えないそれを、手に取る。 「一番古い時計。いつ壊れてもおかしくない、 死にぞこないの時計。」 「明日には止まっているかもしれないわ。」 「でも。」 「今、懸命に動いている。」 死を看取るのが、貴方の仕事でしょう、と。 女はそれをもって、カウンターまで戻る。 「早めに取りに来ることを願うわ。」 「踏み倒されたら癪だもの。」 (-332) 2022/08/20(Sat) 1:43:57 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → piacere ラウラ"それだけ"が理由だ。 女にとって人を殺す理由はそれだけで良かったし。 それ以外の理由を求めることは許されなかった。 命令通りに仕事をするお人形。 求められるのはその役割だけだった。 女は、殺しのための道具だった。 「そう。」 「興味がないわ。」 貴方の嘆願を、冷たい言葉で切り捨てて。 …だというのに、銃口は未だ向けられることは無かった。 「人に会うことは許さないわ。」 暗殺の仕事は、誰にも知られてはいけない。 だから知った人はみんな、殺さなければいけない。 先日、現場を目撃した街娼の少年をそうしたように。 だから、人には会うなと。 それは、それ以外の行動については許容するという言葉でもあった。 死までの時間はあと僅か。 さて、あなたは溶け切る蝋燭を前に、 何を成そうと言うのだろうか。 (-347) 2022/08/20(Sat) 6:51:38 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 冷たい炸薬 ストレガ女は、店にて。 今日はいつもより早い時間から、鎮魂歌を演奏していた。 気まぐれか、何か理由でもあるのか。 なんにせよその音は、扉の前に立てば鮮明に聞こえてくるはずで。 「いらっしゃいませ。」 と、顔を出した貴方を一瞥もせずに、 淡々と告げるのだった。 (-348) 2022/08/20(Sat) 6:54:05 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → piacere ラウラ好きにすればいいと言われたその言葉で、 一人の時間を多くしたというのなら。 一人でいたために殺されてしまうことを、 果たしてその人はどう思うのだろうか。 吐いた言葉を後悔するだろうか。 あるいは殺人犯を、蛇蝎の如く恨むだろうか。 …どちらでも、興味のないことだ。 自分の仕事は、指示通りに殺すことなのだから。 「ご自由に。」 冷ややかな言葉。 貴方の行動を見守れど、内容を見せるよう要求をすることはない。 中を見ようともしない。 貴方がその気になれば、この女を告発する文を書き、 誰かに託すことで、女への報復をすることすら容易にできる。 それほどまでに、ある種不用心な立ち居振る舞いをしている。 「終わったら教えてくれるかしら。」 「それと、その手紙は死体に持たせたままでよかったかしら。」 視線を逸らして、懐から取り出した懐中時計に目線を移す。 貴方がやりたいことをやり終わるまで、 きっと女はそうし続けていた。 (-374) 2022/08/20(Sat) 13:56:44 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 冷たい炸薬 ストレガ「たまには真面目に仕事くらいするわ。」 奏でる手は止めないまま、そんな返事をして。 今日の鎮魂歌は、いつもより少しだけ甲高い。 グラスハープは、水の量が多いほど低い音になる。 だから恐らく、だいぶ前から、水の補充もせずに 演奏し続けていたのだろう。 品揃えは変わらない。 ランタンが一つ売れたくらいだ。 「そうかしら。いつも通りだわ。」 「良い時なんてないもの。」 顔を少しあげ、夕闇を貴女に向ける。 「明日には貴女か私が死んでるかもしれないわね。」 それくらい、もういつ刺客が現れたっておかしくはない時勢になった。 死ぬのは怖い?なんて、問いかけて。 (-375) 2022/08/20(Sat) 14:03:36 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 鳥葬 コルヴォ「あら、新品が良かったの?」 「随分長生きする気なのね。」 皮肉には、皮肉を。 趣味が悪いのね、なんて一瞥もせずに言いながら。 しかし声に忌避感はない。 元より、なにもない女に。 奪われるものも、ないものだから。 「身に着けたものが寿命を全うできる方が珍しいでしょう。」 撃たれ、殴られ。 荒事と隣り合わせなれば、装飾品など消耗品になり果てる。 修理が利く程度の損壊だったらいいわね、なんて。 心の籠らない言葉を淡々と。 そうして、踵を返すあなたを見る。 懐中時計はカウンターの内側、 引き出しの中にコトリ、としまわれた。 そうして、貴方の背中を見つめて。 「またのご来店をお待ちしているわ。」 その時私がここに居なくとも。 (-403) 2022/08/20(Sat) 17:18:56 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 冷たい炸薬 ストレガ夕闇と海、地平線を挟んで分け隔てられるもの。 それが今は、交わる。 くしゃりと潰されたカップに目を向けることはなく、 何一つの感情も感じ取れない目が貴女を見据える。 「準備。用意周到なのね。」 「遺書の一つでも書いたのかしら。」 存外臆病なのね、と、温度のない声で言う。 死に怯えるのは、生きる者としては正常だ。 揶揄う事はない。だからそれは、率直な感想。 死んでも仕方ないで済ます人かと思っていたから。 距離が詰められ、カウンター越し。 こちらは引くこともなく、背筋を伸ばして椅子に座ったまま。 首の角度だけが、貴方に合わせて下がっていく。 「私、何も感じずに人を殺せる女なの。」 「そんな女が、自分の死にだけ何かを感じる権利なんてないでしょう。」 「怖い、とか、死にたくない、とか。」 「そんな感情」 「興味がないわ。」 眉一つ動かさずに告げる。 女は"お人形さん"だ。 それ以外のものは持たないし、持ち得ない。 (-434) 2022/08/20(Sat) 19:29:57 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 冷たい炸薬 ストレガ「そう。」 「独占欲が強いのね。」 「仲のいい人にでも処理を頼めばいいのに。」 "炸薬"の花火。 それはさぞ見ごたえがあるのだろう。 何もかも弾けてしまうくらい。 おどける姿、悪戯気な顔。 やはり見つめ返す女の顔は無表情で、 でも。 最初の頃のように、目線を逸らすことはしなかった。 「論点のすり替えね。」 「……………。」 再度の問いかけに。 ほんの少し、瞬きの合間だけ。 睫毛が、震えて。 「怖くなんてないわ。」 「私が死んだら、この店のものは好きに持っていっていいわよ。」 常の声で告げた答えは、"no" 女は道具だ。ノッテファミリーのための。 (-445) 2022/08/20(Sat) 20:11:28 |
【秘】 暗殺屋 レヴィア → 冷たい炸薬 ストレガ「私は誰とも仲良くないの。」 「仕事に使えそうなものは貰うけれど。」 あくまで、実益の為に。 回収する分には構わない。 仕事を卒なくこなす事が、自分の存在価値なのだから。 それだけ。 頬に、指が刺さる。 肉付きの良くないなりに柔らかな頬。 表情の乏しいものは、発達していない筋肉の分、 頬が柔らかくなるらしい、とはどこかで聞いた話。 女は指を避ける事もなく刺されたまま、 ただ無言で貴方を見つめている。 「そう、それはよかったわ。」 「道具には、持ち主が必要だもの。」 時代に忘れられた古い家具達。 それでもできるなら。 その役目を全うしてほしいと、思うから。 「興味ないわ。明日の事なんて。さようなら、signorina/」 「………。」 「次は。」 「アールグレイティーが飲みたいわ。」 止めることはない。投げたのは、その言葉だけ。 そうして、この時間も過ぎていく。 (-450) 2022/08/20(Sat) 20:42:11 |
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