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【人】 XII『吊された男』 ユグ[どうしよう いかないで 突き放したのは僕だけど あなたを悲しませたいわけでも あなたに捨てられたいわけでもなかった] (44) 2022/12/22(Thu) 15:36:18 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[いつか、海で溺れた時のことを思い出す。 息をしようとするほど、水が詰まっていく。 そんな苦しさに似ていた。 自分が選んだ道が、ひとを深く傷つけること。 ひどく失望させること。 その事実が、肺に水を溜め込んでいく。] (47) 2022/12/22(Thu) 15:37:52 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――っ、は ぁ [それを、優しく掬い上げてくれる手が、あった>>41。 釘付けになるように、かみさまを見ていた、動けずにいた、後悔と拒絶と不安と崩壊と罪悪感の世界に、星が瞬く。] エト、 [声だけで、その主を判別する。 背中を叩いてくれるそのリズムに、少しずつ昏い感情が解けていく。] (48) 2022/12/22(Thu) 15:38:23 |
【人】 XII『吊された男』 ユグごめ、なさい、 ありがとう…… [膝から力が抜けて、くたり、その場に座り込む。 なお荒い呼吸を繰り返し、ぎゅうと強くエトの服を掴んで縋ってはいるが、意識を失ったり、倒れてしまうような状況からは脱していた。 何度も何度も息を詰めるうち、はたり、はたり、堪えきれなかった雫がエトの服や自らの手を濡らす。 落ち着くまでの間、エトが離れていかない限りは、しばらくそうしていた*] (49) 2022/12/22(Thu) 15:38:44 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[あれから。 不調は見られないが、急のことで混乱があったのだろうとなり。薬をもらって少しだけ、眠らせてもらった。 その眠りから目覚めての話だ。] ……結局。 僕の考えは机上の空論で、夢物語で、甘いのでしょうか。 22人揃って、世界も滅びなくて、このままこの洋館で静かに、暮らしていきたかった。 でも、かみさまは僕らを捨てて、この洋館を出たい人もいて。 叶わないんでしょうか。……22人、いえ、23人揃って、世界が僕らを危険視しなくなって、脅かされない立場で、皆と過ごしたいなんて、贅沢なんでしょうか。 [今は、シトラのお手製のホットチョコレート片手に、俯いている。 あたたかくて甘くてほろ苦いショコラは、心の弱いところに簡単に染み込んで、ほろほろと本音を零させる*] (121) 2022/12/23(Fri) 19:36:19 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ (156) 2022/12/23(Fri) 23:53:08 |
【人】 XII『吊された男』 ユグそう、です。 今回のことで、皆ひとつにはならないことを、実感していて。 僕の思う幸せが幸せじゃない人がいると、そう思ったからこそ、今があるんです。 僕は、箱庭にいって皆と暮らせるのなら、世界はなくなってしまってもいいと、思っていましたから。 そういう僕にとっての一番の理想は、あんまりにも多くの人を僕の理想の中に押し込める、ことで。 きっとそれは……全員に歓迎されることじゃない。 そうしたらやっぱり、僕も幸せじゃないんです。 [瞳を覗かれれば、ややばつが悪そうに少し陰っている。 チョコレートのカップを両手で持ったまま、しばらくそうしていて。] (157) 2022/12/23(Fri) 23:53:17 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ……シトラは、この時間を贅沢だと思うのですか。 [>>138もうこんなことはそうそうない、と思うのか。 薄暗いこころは、シトラもこの洋館を出たいのかと読み取る。] 願うことは……やめたくないです。 だけど、叶わないとわかっている願いを持ち続けるのも少し、苦しい。 [世界の何処かに散ってしまうとか、旅に出るだけならいいけれど。 たとえば、還らぬ人になるだとか。この世界を後にして、神とともにあることを選ぶとか。 選択肢は多くあり――ユグ自身、それらを選ぶ気持ちも理解できるから、わかってしまうのだ。 自分の理想は、証持ちが、ではなく、今いる22人が一同に介して暮らすことは、きっともうないのだと。 チョコレートに砂糖は入れない。 今の気分には、ほろ苦いくらいがちょうどいい*] (158) 2022/12/23(Fri) 23:53:37 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――エトと:玄関ホールで>>186―― 大、けほっ、丈夫、です…… [まだ完全には呼吸が整わないが、エトにあまり迷惑をかけるわけにもいかない。 そう思うのに、立ち上がれはしないし縋ってしまうし、大丈夫でないのは伝わってしまったろうか。 背中に触れる手が温かい、と感じるくらいには身体が冷えている。 酸素も血もうまく巡らず、ひぅひぅと喘いで。] (210) 2022/12/24(Sat) 4:54:15 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[落ちた涙は、心が揺れているのか呼吸の乱れによる生理的なものなのか、自分でもわからない。 ただ苦しくて、苦しくて、気づけばエトの服を濡らしていた。 心配させてしまったのか、大丈夫、ちょっと悲しくなっただけ、とこちらを落ち着けるような言葉が並ぶ。 それにまた目元が熱くなるのだから、やっぱり感情が壊れてしまったような感覚がある。 暫く、そのままーー背を撫でる手の優しさに甘えて、その場に蹲っていた。 しっかり生きている姿を見せないといけないのにこんなことではだめだと思いつつ、穏やかに話すエトの言葉に、次第呼吸も静かになっていく。] (211) 2022/12/24(Sat) 4:54:56 |
【人】 XII『吊された男』 ユグありがとう、だいじょうぶ、です、 [>>192気がかりがあるからと離れるエトに、今度こそ先より穏やかな『大丈夫』を返す。 呼んでもらった職員は驚いた様子だったけれど、すぐに水をグラスに汲み持ってきてくれたこともあって、ようやく深く息をした。 約束ひとつ別れたエトのことを視線で追いながら、職員の補助を受け自室に戻る。 少し眠りましょう、と言われれば、頷く以外の選択肢は許されていなかった*] (212) 2022/12/24(Sat) 4:56:14 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――シトラと―― シトラは、この世界が大切だったんですね。 [>>236睫毛を伏せる彼女の表情に、こちらもそっと目を伏せる。] 僕は……そうではなかった。 この世界は僕にとって、何でもなくて…… いらない、捨ててしまおうと言われたら、わかりましたと言えてしまえるもので。 シトラのように大切に、愛せてはいませんでした。 箱庭の崩壊を恐れても、壊したのはかつての僕らで、もうそんなことにはならない、させないなんて言っていたかもしれません。 [皆が箱庭に行ったとしても迷うだなどと、想像もつかない。 それだけ僕らは、違う存在だった。 そのことを自覚できたのは、収穫だと思う。 きっと数日前のユグならば、迷うシトラを如何に箱庭に連れて行くか、必死に説得しようとしたに違いない。 彼女の胸のうちに何があるか、考えもせずに。] (283) 2022/12/24(Sat) 19:25:29 |
【人】 XII『吊された男』 ユグいえ、僕はシトラから傷つけられたことなんて、ただの一度もないと言えますよ。 優しくしてもらったことは、数え切れないかもしれませんが。 [そもそも、証持ちであろうがなかろうが、この四年の間に共に過ごした皆が大切なのだと気づけたのは、ついこの間のことなのだ。 そう簡単に傷つこうはずもない。] ああ…… ええ、そうですね。 あまりに当たり前になっていて、忘れていた。 贅沢です、穏やかに暮らせて、語り合えることは。 [>>237ほんの少し、ほんの少し何かが違えば、いま自分がここにいないだろうこともわかる。] (284) 2022/12/24(Sat) 19:26:25 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[ホールで結果が伝えられたときですら、あの場でエトが支えてくれなかったら、職員に眠りを促されなかったら、もう少しひとりで動けていたら。 浅い呼吸に喘ぎながら、捨てないで置いていかないでとみっともなく追い縋って、這いつくばって箱庭に行っていたかもしれない。 あのひとの愛が届かない世界が、怖すぎて。耐えられなくて。 護った世界も、大切な皆もまるで目に入らずに、すべて放り出していたかもしれない。 ――それがわかってしまうから、奇跡だ、と思う。] (285) 2022/12/24(Sat) 19:27:29 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[今まで通りではいられない>>238。 その言葉が、ずきりと心臓に突き刺さる。 痛みを耐えるような、苦い笑顔をつくり。] ありがとう。 でも、シトラが悲しむ必要は、ないですよ。 [>>239丁寧に、こちらの想いに寄り添おうとしてくれるのを感じる。 そんなシトラに悲しんでほしいなどと、誰が思うだろう。] そう……僕も同じく、誰かが苦しいのを、悲しく思います。 だから、もうこの理想は、願えない。 [見方を、変えなくてはいけないのだ。] (286) 2022/12/24(Sat) 19:28:03 |
【人】 XII『吊された男』 ユグええ、チョコレート、美味しいです。 温かくて……ほっとする。 [>>240心が緩んで、つい話が長くなるくらいに。 なんて素晴らしい一歩だろう。] そう、ですね…… ……いま、シトラの思う幸せは、何でしょう。 それは僕に、手伝えるものですか? [それは、これからどうしたい、の回答としては、少し外れた答えだったかもしれない。 問いに問いを重ねながら、ひと呼吸間を空け。] (287) 2022/12/24(Sat) 19:28:51 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ僕は、きっと今までを過ごした皆のことを、これ以上蔑ろにはできない、と思います。 どれほど、僕が23人揃って幸福な日々を過ごしたい――と願っても。 万一23人、奇跡的に揃ったとしても。 それがみんなの望んだ結果、望んだ暮らしでないのならば、歪みを感じてしまうでしょう。 例えば。例えばですけど。 ゼロが、何の反発もしないで、この洋館でおとなしく紅茶を傾けてくれるとして。 それがゼロの望みでなくて、集められたからそうしているとか、強制的にだとか、そんなやり方での結果なら、僕はもう、喜べないと思います。 [少し前まで、それでいいと思っていた。 もしもそういうふうにすべての歪みを修正できるなら、幸福は訪れると。 けれどそれは――不自由で、新たな歪みでしか、ないのだ。] (288) 2022/12/24(Sat) 19:29:24 |
【人】 XII『吊された男』 ユグそれならいっそ、望みのままに、この世界の空の下どこかで好きに生きていてくれる方が嬉しい。 ……たまには帰ってきてくれたら、もっと嬉しいですけどね。 [そう言って、肩を竦める。] だから。 皆が幸福ではない、ということを理由に、僕が望みをひとまず置くなら。 裏を返すと、僕の本当の望みは、22人皆がそれぞれ望みのまま生きていてくれること、なのかと、いま話をしていて、思ったので。 そのお手伝いができたらいいなと、思っている次第です。 その中で、行き場がなかったり、この洋館を拠点にした生活を望んでくれる人がいるなら、僕はその人たちと、生きていきたい。 [チョコレートを舐めるように味わい。 少し苦くて、砂糖をひと匙混ぜる。 勧められたオレンジピールも添えてみた。] (289) 2022/12/24(Sat) 19:29:57 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ[もしも。もしもだ。 自身が大切に己が心安らかに生きるためにはお前の存在があまりに邪魔なのだと、お前がこの世にいる限り己に平穏はないと面と向かって言われるようなことがあれば。 ユグは他の皆が満足するまで待ってほしいと言うだろう。 そうして、手の届く限りに自らの身を削り、瞳のサファイアも皮膚の金箔までもすっかり配り終えてしまったあとには。] (290) 2022/12/24(Sat) 19:31:03 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――洋館廊下/クリスタベルと―― [シトラのチョコレートでひとつ、気持ちを落ち着けて。 ありがとう、と告げて食堂を出たところで、声がかかった>>333。] え、 ……ええ、はい。美味しかったですよ。 [貴方も、ということはすでに味わったのか、と思いつつ。] 疲れて、いるんでしょうか。 でも、少し吐き出せたと思います。シトラのおかげで。 [いろいろ整理がついた、とは思う。 苦しみも、つらいものもあったけれど、ひとまずの結論に至れた、気持ち。 ……そういえば。 ゼロとの関係を思うに、クリスタベルもきっと、幸福を思うならここを離れる、のだろうか。 真意までは知らない、けれど。] (343) 2022/12/25(Sun) 3:40:56 |
【人】 XII『吊された男』 ユグあの。 ……何か、お祝いに贈りたいのですが、何がいいですか。 [本人に聞くのもどうかと思ったが、餞に見当違いのものを贈りたくもなくて。 せっかくならば求めるものを、と思って口にしてみたものの、中間の思考が開示されていなくて唐突な質問になったことにはまったく気づいていなかった。 何を突然、という話になったなら、改めて今の考えを話したろう。 ]今後の望みとして、残った証持ちたちの幸福の手伝いをしたいこと。ゼロと仲がいいようにも思えていたから、もしかしたらここを出るのではないかと思っていること。それなら餞に何かを贈りたい――というところまで* (344) 2022/12/25(Sun) 3:41:14 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――洋館廊下―― そうですか。 温まりますよ。 [>>345これから、というのならぜひとも楽しんでほしい。 少し話しすぎてしまうくらいには心地よい時間だったから。 唐突に祝いの品の話をすれば、誕生日はまだ、と。 確かにあまりに前提がなさすぎた、と思いの丈を吐露する。] ……優しい、のかどうかは、わかりません。 きっとシトラのほうが、ずっと優しい。 でも、僕にできることをしたいのです。 今まで僕の思い込みばかりで動いてきましたから、それを正しく、大切な皆を祝福するために使いたい。 [>>346それを、あなたは優しいと評するのかもしれないが。 僕はただ、自分の望みを叶えたいだけで、これすらも利己的行為のような気がしていた。] (410) 2022/12/25(Sun) 17:40:53 |
【人】 XII『吊された男』 ユグやっぱり、外に出るんですね。 餞別、はあなた宛のものなので、好きに言ってください。 もしくは、何かできることがあれば、ご随意に。 協力できる範囲で、お手伝いします。 [金銭や労働で返せる手段は乏しい、孤児上がり洋館暮らしだけれど。 可能なことなら少しでも。 金銭面ではあまり困っていないとは知らない。 ] (411) 2022/12/25(Sun) 17:41:44 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ……気を。遣えていたんでしょうか。 僕は、この洋館が皆の過ごしやすい場になればと、そのために出来ることを、とばかり思っていて、あなたと多くのことは話しませんでした。 その……正直、どうお話をしていいか、わからなくて。 [>>347それを気を遣っていた、と言われるのはなにかこそばゆい。 何も出来なかったと言われる方が正しいように思う。] ――ベル。 あなたにとって居心地が悪くなかったのなら、幸いです。 [わたしたち、を訂正される。 はた、と瞬き――理解する。 正確な意味を把握できたわけではないが、わかってしまったのだ。 かみさまとのやり取りのあとから、薄らいでいく魂の感覚。 然程魂の縛り付けが強くなく、自身の意識に近しいユグでもわかる喪失感。 "わたしたち"が"わたし"になるのは、果たして如何程。] (412) 2022/12/25(Sun) 17:41:58 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ……その。 ゼロを、よろしくお願いします。 僕がこんなことを言ったと知ったら、すごく嫌がられそうですけど。 僕がゼロに出来ることは、見送ることくらいしかないと思うので。 彼は、きっとあなたといることが、幸せだと思うのです。 ――言うまでもないことなのかも、しれませんが。 [頭を下げ、託す。 なにせ相手の方は、出立当日まで話す機会があるかもわからない。 みちゆきを祈るばかり。あとは、時々でも帰ってきてくれたら嬉しい。 そんな思いを乗せて、告げ。 "ベル"がチョコレートを頂きに食堂へ向かうなら、そっと見送ろう*] (414) 2022/12/25(Sun) 17:45:10 |
【人】 XII『吊された男』 ユグ――シトラと>>376―― ……そう、ですね。 違った……と言われるのも、今の僕だと否定したくなるのですが、シトラほどの思いがないのは、確かです。 世界は、僕に何もしてくれなかった。奪う、ことはあったかもしれませんが、少なくとも与えてはくれなかった。 [>>377世界が――あの村が、ユグという子供の存在を冷たく見ていたのは、事実。 世界以上に証持ちだった皆が愛おしいのは、容易には変えられない思考だ。 ユグが世界が滅びないよう願ったのは、涙流す仲間がいないようにというのが、大きな理由だから。] [どれほど説得しても、信じられなかった、幸せにはなれなかったろうというシトラに、ゆっくりと頷く。 そういうことだ、僕が理解していなかったのは。] (468) 2022/12/25(Sun) 21:53:37 |
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