【人】 軍医 ルーク ―― 医務室 ――[ 扉が開き、現れたうさぎは、 此方を見てほっとした顔をした。>>119 一瞬、怪訝な顔をしてしまった。 医務室に“葬儀屋”がいてほっとした顔をするだとか、 何処か頭でも打ったんじゃなかろうか。 あれから戦闘はなかったはずだけれど、日々の訓練とか。 けれど、直ぐにその理由を察し、ああ――と納得する。 カルテを捲れば、昨日どのような処置が施されたかは 記録が残されていた。 そう、治療というよりは“処置”。 また、気づかないうちに表情が険しくなる。] ぺんぎんを診察? まさか、どちらかというと、 此奴の方が医学に目覚めようとしているところ。 ……君、何か失敬な事を考えている? そういう顔をしている。 [ 包帯ぐるぐる巻きのぺんぎんを眺めるのが趣味か――なんて、 そんなことを考えているとはさすがに分からないけれど。 何んとなく、そんな風に感じて言い返してやる。 もし口にされていたら、 そうだなあ、ぺんぎんよりはもっと大物の方が 見ごたえがありそうだね、とわるいかおをして、 戸口の兎にじーっと視線を向けてやったに違いない。] (138) 2020/05/19(Tue) 13:05:19 |
【人】 軍医 ルーク[ 悪戦苦闘するぺんぎんは、 首に包帯がかからない限りは一先ずそのままにして、 診察用の椅子にかけるうさぎに向き直る。 戦闘の傷、義手の力を使ったこと。 其方の経過の方は、特に問題がないようだ。 返される答えをさらさらとカルテに記していく。 ほぼ完治とみてよいだろう。] 副作用は最悪…… 具体的には? 症状が出た個所、程度、収まるまでの時間。 毎日飲んでいる方は――…、 そう。 [ 効果がないものなら、取りやめを考えることも出来る。 けれど、脳波の測定結果は、回復の兆候を示している。>>86 それなら、薬の投与を中断する合理的な理由もないし、 結果を焦る上層部の指示で、 目に見える効果を求めて薬を追加した他の連中の判断は、 理解は出来る。 出来る、のだが。 膝の上で握ったり開いたりする手の動きを見ながら、 手のしびれか、と見当付けた。 もし本人の返答があったなら、それも書きこんで。] (139) 2020/05/19(Tue) 13:06:30 |
【人】 軍医 ルーク副作用が強いなら、数を減らそう。 TTS-731、RIV1603―― 他の連中は阿呆か、新薬をいっぺんに試すって、>>119 それでどれが効いたか分かるのか。 効いたら、それを全部続ける心算か? [ また気付かないうちに、表情と声に険が宿る。 ペンを握る手の力が、強くなる。 さて、どれを削るべきか。 理由は、抑々の軍務に支障が生じるレベルの副作用には 問題がある、ということで差し支えあるまい。 当の本人は、ぺんぎんのことが余程気になっていたのか、 包帯に捕獲されてもがいていたそいつを助けて、 ほどいてやっている。] (140) 2020/05/19(Tue) 13:08:03 |
【人】 軍医 ルーク[ 何故、これほどまでに上層部は結果を急ぐ? 最初の襲撃の生存者だから。 その記憶が重要だから。 その理由は、確かに分かる。 けれど、あの怪物の情報という点では、 後続の襲撃後に残される残骸の解析から、 少しずつ分かり始めたこともあるのに。 最初の襲撃は特別だった? いや、それとも―― 特別なのは、もしかしたら、このうさぎ自身が? 他の者は扱えない義手を扱えること、 記憶、身体能力、痛覚の障害。 自身の安全さえ考えないならば、 ひどく戦闘に特化したかのような…… だからこそ一人生き残ったのだろうと、 そう考えることも出来るけれど。 最初の襲撃があったあのとき、何があったのだろう。 それとも…… それは好奇心でもなければ不審でもない、純粋な思考だ。 しいて言うなら、上層部への不審ではあるけれど。 ――ふと、何か思いつきそうになったことが あったような気がした。] (141) 2020/05/19(Tue) 13:09:42 |
【人】 軍医 ルーク[ けれどもそれは、嬉しそうにきゅー、と鳴いたぺんぎん声に 中断される。 包帯からようやく抜け出し、やったあ、と羽ばたきをして、 差し出された飴にきらきらと目を輝かせる。 ぺたぺたと小走りに机を離れ、さっそく口に放り込もうとして、 けれどもやめた。 そのままうさぎの方を見上げたところを見ると、 ちゃんと診察を見届けてから、と考えているようだ。 そんな風に考え事をしていたものだから、 うさぎの驚いた様子に、きょとんとしてしまう。] ――顔? 悪いが、生まれつきこういう顔だよ。 何か気にくわないところがあったら済まないが、 診察が終わるくらいまでは目を瞑って…… あー。 [ 途中で、何を言わんとしているかに気付く。 転んだといったところで、相手は兵士だ。 胡麻化せるはずもないだろう。] (142) 2020/05/19(Tue) 13:11:49 |
【人】 軍医 ルークどう…と言われても、 しいて言うなら、 痕が残る殴り方をするのは阿呆だな、とは思った。 その点、腹をお勧めしたかったんだけど、 生憎そこまで話す余裕がなかったんだ。 まあ、この程度で済むと思うなとは言っていたから、 上手くすれば、君は近いうち苦い薬とはおさらばだ。 彼の検討を祈っておいてくれ。 [ 痛みは人並みに感じる。 頬はそろそろじんじんと熱を持って脈打ち、 これは随分腫れることだろう。 でも検査の続きには差し支えないよ、と言おうとしたのに、 うさぎはぺんぎんを伴って、冷蔵庫を開けに行く。 止めはせずに、不思議そうにその様子を見遣る。 後ろを向くと尻尾が見えるなあ、なんて、 そんなことを考えていた。 冷蔵庫には、冷暗所で保管する必要がある薬品が入っている。 ぺんぎんがここ、と背伸びして氷を指し示した。] (143) 2020/05/19(Tue) 13:12:58 |
【人】 軍医 ルークん、手伝ってくれるのかい? それは有難いな、 丁度頼みたいと思っていたことがあったんだ。 じゃあ、検査が終わったら。 [ もし氷を差し出されたなら、 何をしろと言われているかくらいは理解は出来る。 まあ、視界が効かないくらい腫れあがったら 明日の仕事に差し支えはするだろう。 ぺたりと袋を頬に当て、少しの間冷やす。 とはいえ、手がふさがっていては脳波の測定が出来ない。] こっちも、検査が終わったら。 [ そういうことに、しようと思った。] (144) 2020/05/19(Tue) 13:16:00 |
【人】 軍医 ルーク ―― 外壁の外 ――[ その後、医務室で検査の続きややり取りがあったとして、 それが終わったなら、『頼み事』を切り出した。 もし頷いてくれたなら、外壁の『外』へと出る。 夜の時間帯、ぽつり、ぽつりと天に輝く光を、 ふっと見上げて、目で追う。 ――… 糸でつなぐように、目を細めた。 けれど、直ぐに前を向き、説明を続けながら歩き出す。] わたしが探しに行きたいのは、 前回の襲撃で怪物が、 何かを残していないか、ということ。 具体的には――通信機。 個人的な予断だから、勝手に探しに行こうと思って。 順を追って話すね。 最初の襲撃から現在まで、幾度も降下があったけれど。 残骸はより専門的な設備がある街に運び込まれて 解析が続いてる。 わたしも、それに立ち会ったことがある。 [ ゆっくりと歩きながら、天の大穴を見上げる。 足元には、ぺんぎん。 少し距離を歩くから置いていこうかとも思ったけれど、 うさぎと離れるのが名残惜しいのか、頑として頷かない。 好きにするといいよ、と、此方が折れることにした。 歩き疲れたなら、自分が持てばいい。] (145) 2020/05/19(Tue) 13:19:03 |
【人】 軍医 ルーク君も聞いたことがあるかもしれないけれど、 テオドール第二研究所で爆発事故があった。 あれは、そんな残骸が引き起こしたもの。 可能性はいくつもある。 作業員が間違った操作をした、 一定時間が経つとそうなる仕組みだった。 けれど、もしかしたら…… “あれを送り込んでくる勢力が、 情報の漏洩を防ぐために爆破した” その可能性もあると、わたしは考えてる。 ……機密レベルの関係で、言えないけれど、 根拠もなくはない。 そして、もしそうだとしたら、 此処にある機獣―― ああ、研究所ではあれをそう呼んでいたんだけれど―― あれの状態を把握する術を、 彼らを送り込んでくる勢力は、 何かしら持っているんじゃないだろうか。 [ 研究所、爆破事故。 その単語を口にしたとき、ずきり、と無い足が痛む。 幻肢痛、ないはずのものをあると感じて、脳が錯覚を起こす。 ――… かつてはあったものの、記憶。 自分にとっては、痛みは、そういうもの。 顔を顰め、立ち止まる。 そうして、また歩き出す。] (146) 2020/05/19(Tue) 13:20:16 |
【人】 軍医 ルークああ、わたしは歩くのが遅いから、 まどろっこしいなら、 先に行って探してくれても構わないよ。 回収した部品でそれらしいものは 見当たらなかったのだけれど。 形状も、わたしが前に見た物と同じとは限らないし、 あるかないかも分からない。 もしかしたら、戦闘で壊れてしまったかも。 ただ、そういった類の部品は、 機体が破損しても残りやすいように、 設計、配置されてる可能性が高い。 しかも性質上、機体を離れても、 そう簡単には見つからない場所に、隠されているかも。 [ このうさぎに声をかけたのは、戦闘の際にその場にいたから。 敵の動きや、何処にいたかを把握しているだろう。 それに、明日になればまた勤務が始まる。 夜のこの時間しか空いていない。 夜目が効く者でなければ頼めない。 いや、そもそも自分に頼まれて頷きそうな者なんて、 この基地には他にはいない。 ひとりで来ようと思っていたのだけれど、 折良く丁度良いものが現れたから巻き込んでしまったのだ、 ぐるっと。]** (147) 2020/05/19(Tue) 13:23:19 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a17) 2020/05/19(Tue) 13:29:40 |
【人】 軍医 ルーク ―― 検査の前日:明け方の見張り台 ――[ それは医務室でうさぎの検査をして、 外壁の外に探し物に行く、前日のこと。 明け方の見張り台で、今日も『天』の大穴を見ている。 夜が白み始める。 『月』の稼働時間が終わり、 『太陽』の時間に切り替わり始めたということだ。 そんな移り変わりの中で、天の大穴は、 ただぽっかりとした巨大な虚ろとして、 遥か高く頭上にあって、 この地上を静かに見下ろしていた。 見張り台を去ろうとする。 もう一度あのタブレットを開くつもりはなかった。 誰かが記録をとるために使っているのだから。 けれど、扉を開けて中へと踏み込もうとした足が、 ひたりと止まる。] ―――… [ ただ一方的に謝りっぱなしで、それきりにするのは、 それはそれでどうか。 向こうが怒っているなら、それは読むべきだ。 日記の続きがあるなら、読まないように気を付ければいい。 そんな風に考え、踵を返す。 もしこれ以上読まれることを厭うなら、 置き場所かパスワードが変わっているだろう。 むしろ、そうなっているに違いないと思っていたのに。] (167) 2020/05/19(Tue) 20:10:58 |
【人】 軍医 ルーク……あった。 [ 奇妙なことに、タブレットは同じ引き出しにあった。 一拍の躊躇い。 指が、あのパスワードをなぞってするりと動く。 画面が切り替わり、タブレットが開く。 ああ、もしかしたらあの後まだ使っていなくて、 此方が読んでしまったことに、気付いていないのかも。 そう思い、一度は納得したのだけれど、 画面にはひとつの『変化』がある。画像だった。 それを開き、目を瞠った。 指先がひとつ、ふたつ、躊躇うように画面に触れる。 そうして、思い切ってノートを開いた。 自分が書いた文章の次に、続きがあった。 職業柄、速読には慣れている。 けれど、視線はゆっくりと、一字一句、 記された文章を読んでいく。] (168) 2020/05/19(Tue) 20:13:27 |
【人】 軍医 ルーク[ 予想外なことに、日記を見てしまったことに対する 苦情や怒りは、そこには記されていなかった。 書かれていた内容に、暫し沈黙する。 苦情や怒り、どころか。] ……どうやらわたし、 余程のお人好しの持ち物を、 見てしまったみたいだ。 [ じーっとこちらを見上げるぺんぎんにそう言って、 机の横にしゃがみ込む。 綴られる言葉たちを、幾度も読み返す。 正体の分からない何かに、自分の中の空洞が、 ぎしりと音を立てて軋んだ。] (169) 2020/05/19(Tue) 20:14:24 |
【人】 軍医 ルーク……書き残していきたいと、思う。 [ そう、此処だ。 日記としてはごく普通の言い回しかもしれない。 けれど、その箇所を読むと無性に何かがざわついたのは、 気のせいだろうか。 気のせいだと、“思いたい”。 瞼に浮かび上がる名も知れぬ誰かは、 後でゆっくり読み返そうとのんびり日記を綴る、 そんな姿をしてはいなかった。 姿かたちも知らない、誰か。 目を離すと、ふっとその姿が揺らいでしまうような気がして。 どうしてか、息が苦しい。 書かれている内容は、とても不思議なものだった。 無人の見張り台に、朝の光が差し込んで、 舞い散る埃だけが静かに揺蕩っている。 ――指が動いた。]* (170) 2020/05/19(Tue) 20:16:19 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a19) 2020/05/19(Tue) 20:29:46 |
【人】 軍医 ルーク ―― 医務室にて ――[ 名を呼ばれ、噤まれた言葉の先を追うことはしなかった。>>215 何が言いたかったのだろうと、軽く首を傾げただけ。 薬のことで他の医者を阿呆と呼んだところだったから、 口が悪いとかそういうところだろうか? などと 見当付けて置く。 けれど、それを今このうさぎが口にするようにも思えなくて。 考えても分からなかったし、 分からないなりに、話が先に進んでしまう。] 少しでも早く最初の襲撃の情報を、か。 わたしも、そういうことだとは 聞かされているけれど。 [ けれど、自分に与えられている情報は制限されている。 此処に来る前の研究所で起きた“出来事”を思えば、 当然のことだ。] (235) 2020/05/20(Wed) 2:08:27 |
【人】 軍医 ルーク[ さて、痣のことに気付かれてからは大変だった。 検査があったから冷やせなかったというわけでもないし、 問題がなければ放っておこうと思っていたというか―― などと、反論する間もなく、 医務室に響いた大声に、ただ不思議そうに首を傾ける。 このうさぎも声を荒げることがあったのか……という、 奇妙な感心だった。 言っていることを三回ほど繰り返して考えた後、 不思議そうに口を開く。 “なぜ心配するのか”とは言わなかった。] わたしの勘違いじゃなければ、君、 その言い方だと、 わたしがいない方がいいとは思っていないように、 聞こえてしまうのだけれど。 [ やっぱり聞き違いだよなあ、と眉を顰める。 返答を聞いてようやく、 自分が“心配”されているのだと理解した。 その怒りが、自分を殴った相手に向いているということも。 たっぷり五秒ほど押し黙り、] ええ…? [ 思わず変な声が出た。] (236) 2020/05/20(Wed) 2:11:57 |
【人】 軍医 ルーク[ なんだこのうさぎ。 部下の事だとか、ひとのことを気遣ってばかりだと 思っていたら、 まさかの相手にまでその対象が向いている。 恐らく自分は今、驚きを感じているに違いない。] 驚いた。 [ 礼を言うべきだったのだろうか、と気づいたのは、 それから随分後になって、検査も終わり、 タイミングをすっかり逃してからの事だった。] (237) 2020/05/20(Wed) 2:14:24 |
【人】 軍医 ルーク[ 検査を終えて頼みごとをして医務室を出ようというとき、 応えそびれていた問いがあったことを、思い出す。 言葉を返そうとしたところで、 相手が絡まったぺんぎんを見かねて手を出して、 返事をする機会を失ってしまっていたからだ。>>216] そういえば、さっきの話。 君が忘れている記憶の事だけれど、 それが最初の襲撃の情報、という意味なら、 ……知りたいと思っていることは、あるよ。 けれど、それは、君の記憶だ。 最初の襲撃の話しだけじゃない、 すべてをひっくるめて、ね。 ひとが何かを忘れることには、理由があるんだ。 逆さにして振れば 記憶が降って来るというわけじゃない。 上の方は、相応の理由があると言うのだろうけれど、 本人の心身を無視してまで、 引きずり出そうとしてどうする。 (238) 2020/05/20(Wed) 2:15:52 |
【人】 軍医 ルーク[ 例えば、耐えられないと思うほどの衝撃を受けたとき。 痛みが身体を守るように、忘却が心を守ることがある。 本人が望むよりも先んじて、無理に暴いてまで 何かを知りたいかと言われれば、 戦局をつかさどる上層部は、イエスと答えるのだろう。 けれど自分はそうではなく、医者だ。 患者に無理を強いる状況に異を唱えるのは当然のこと。 その答えで、間違いはないはずなのだ。 他の誰が患者の立場であったとしても、 自分は同じことを主張する。 けれど、いま目の前にいるのは“他の誰か”ではなくて、 自身がこのような目に遭いながら、 誰かのために身を投げ出すような、 あろうことか、目の前の“葬儀屋”にまで 心配の対象を広げてしまうような、 とびきり莫迦のうさぎだ。 『患者』ではなくて、このうさぎの記憶のことを、 検査のことを考えたとき、 ペンを握る指先に力が入った理由も、 自分がそうしたことさえも、知らない。 ――けれど、] (239) 2020/05/20(Wed) 2:17:40 |
【人】 軍医 ルーク ―― 外壁の外で ――[ 外壁から遠ざかり、大穴の下へと歩く。 元々はひとが住んでいた場所だが、 度重なる機獣との戦闘でひどく荒れている。 それでも、道なりに視線を巡らせ、耳をすませば、 植物の影にある小動物の姿だとか、虫の声が聞こえてくる。 普段外壁の外まではあまり出ない自分は、 彼の身に着けている武器が、護衛のためのものだとは 最初気付かずに、 外に出るなら装備は身につけるものか、と、 疑問に思うことはなかったけれど。 周囲に視線を向けながら、 警戒を忘れずに歩いている様子を見れば、 そういうことか――と、気づきもする。 脚の痛みに歩みを止めたことを案じてくれているとは、 やはり、気付けないままであったけれど。>>232] (241) 2020/05/20(Wed) 2:19:48 |
【人】 軍医 ルーク 楽しい…? ああ、確かに耳に新しい情報も、あったかもね。 わたしも君と話すのは“楽しい”。 前にも言ったかな、 君を見ていると時折、こう、 わざと苦いものを出したくなったりとかそういう。 ほんとうに、君くらいだろうな。 こうしてわたしと歩いて話をしていて、 これといって嫌そうなそぶりも見せないのは。 非番の夜中に物探しに引き摺り出されたのに。 変わってる。 [ にい、と笑みの形を作って見せる。 実際のところあれは、薬が嫌だったら無理をするな、 という意味合いが殆どだけれど。 飲んで涙目になっているところを見ると、 擽られるものがあるというのも嘘ではなく云々。 変わってる、という言葉は、 考えたことをそのまま述べたものだった。 その言葉を言ったときの声は、 苦いものの話をしていたときのような、 揶揄い交じりのものではない。 構えたところも皮肉もない、ただ、肯定的なもの。] (242) 2020/05/20(Wed) 2:21:26 |
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