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【人】 雨宮 瀬里「 ………こんにちは、蓮司さん? 」 名前を口にして、 どこか違和感があったのは何故だろうか もしかしたら蓮司さん≠ネどと 私は、呼んでいなかったのかもしれない (52) 2022/05/28(Sat) 13:44:12 |
【人】 雨宮 瀬里その人がこちらを振り向く。 二色の瞳がとてもきれいで、だけど、私は、 「 ……?? 」 何かが、とても違和感で。 「 目、大丈夫、なんですか 」 陽の光の下 、美しく煌めく二色の瞳に、何が大丈夫じゃない≠アとがあるというのか それもわからないまま、私は本能的に、 そんな言葉を、口にしていた。 * (53) 2022/05/28(Sat) 13:44:53 |
【人】 雨宮 瀬里きっと私はその人に瀬里≠ニ呼ばれていたのだろう その呼び方はどこかしっくりときて私は縦に首を振る それと同時になにかデジャブのような違和感を感じて 心の奥底がほんのわずかに軋む 「 ……そうですね、かっこいいですよ 」 ほらまただ。 少し戯けて掛けられた言葉、 何も文脈としておかしくはないのに、 なにか、なにかが、ひっかかる。 (57) 2022/05/28(Sat) 16:01:41 |
【人】 雨宮 瀬里「 うん。初めましてでは、ないみたい でも、憶えてないんです 」 貴方もですよね、って確認するように。 貴方の声も、顔も、憶えてはいないけれど それでも、どこか、穏やかな気持ちで話せたのは。 やっぱり絆があったから、ということなのだろうか。 その人に翼はない。 だけど、手紙の中には「恋矢」が、と書いてあった 同種であることを前提に、私は話をする。 これで相手が恋天使じゃなかったら…ふと不安になって 私は背中の羽を揺らしてみせて、貴方の視線の先を確かめた。 …羽根が見えていなさそうなら、 ほんの少し、不安な顔は見せただろう。 (58) 2022/05/28(Sat) 16:02:12 |
【人】 雨宮 瀬里「 あの 」 そうして私は貴方にあの封筒を差し出す。 恐らく貴方の文字で、瀬里へと書かれた一通の封筒。 「 貴方に返すのも、なんか違うと思うんですけど でも。貴方にも、読んでもらいたくて 」 封筒には一度開けた跡があるから、 私が読んだものだということはすぐに分かるだろう それから、もうすこしだけ、貴方に近づいて 声を落として、小さくつぶやく (59) 2022/05/28(Sat) 16:02:26 |
【人】 雨宮 瀬里「 あのお爺さんが、 手違いで、恋矢が刺さって、 恋矢を抜いたのだと言っていました。 ……でもここにはお見合い、ってあるし 何より、これを書いた人の言葉が、 手違いで恋矢が刺さってた人のものだって 私、思えないんです。 たぶん。蓮司さんの字、だと思うんですけど ……読んでみて、ください。 」 手紙を読んでくれるのならば、その傍で。 言いたいこと、ってなんだったんでしょうね、って 私は困ったように笑いながら呟いた。 * (60) 2022/05/28(Sat) 16:02:38 |
【人】 雨宮 瀬里これは俺≠ェ書いたものじゃない。 その言葉にどこか落胆の気持ちを抱いてしまったのは 別に恋心を取り戻したい、とかいう動機じゃない。 じゃあ私を動かすものはなんだろう?って ふと考えたとき、一番に心に浮かんだのは 私の中に知らない私がいること それが、どうしてももやもやするのだと気づいた。 (66) 2022/05/28(Sat) 18:21:36 |
【人】 雨宮 瀬里「 いえ。 恋心を抱いていたらしい、のは ここにいる私、ではないので。 」 好きか?と聞かれて即答した。 好き嫌い、という感情はどこにもない。 昨日までの私たちはどこにもいない。 貴方と過ごしたらしい日々の様々な瞬間が 私の中からすっぽりと抜け落ちたまま、 私は、いつかの私の続きを歩いている。 (67) 2022/05/28(Sat) 18:21:49 |
【人】 雨宮 瀬里「 ありがとうございます。 ……助かります。 」 ここは一体どこなんだろう、とスマホを見る。 位置情報から、大体の場所が分かるはずだ。 ロックを外せば、私と貴方が並ぶ待ち受け画面が見えた。 (68) 2022/05/28(Sat) 18:22:01 |
【人】 雨宮 瀬里見覚えのない車。 見たことのあるような車。 躊躇することなく私の足は助手席へ向かい、 慣れた手つきでその扉を開く。 「 あの。 何か、思い出したら。 ううん、何も思い出さなくても。 また、連絡してもいいですか。 」 そう切り出したのは車が発進した後だったか。 スマホには、ご丁寧に貴方の連絡先も、 直前までのやり取りも、残っているようだった。 (69) 2022/05/28(Sat) 18:22:20 |
【人】 雨宮 瀬里「 恋心があるとか、ないとか、じゃなくて ……記憶。ないのが。嫌だなって。 」 貴方との記憶、じゃない。 私自身の記憶がないことが、嫌だなって思ったんだって 私は、貴方に伝えるだろう。 「 ……自分のこと、 なんでも自分で決めたいんです。 だから、昨日までの私が分からないのがすごく嫌。 おかしいな。 昔私そういう人じゃなかった筈なんですけど。 」 昔の私は、自分の意思を持たずに、 家族に、他人に、自分の評価も意思も委ねていた。 今の私は、すっかりそうでないと嫌だ、なんて …それが、変わった記憶はどこにもないのに。 * (70) 2022/05/28(Sat) 18:23:12 |
【人】 雨宮 瀬里貴方の皮肉には素直に頷いた。 きっと、昨日までの瀬里≠セって、喜ぶはずだから。 恋をしたらどうなのか、と私は考えたりはしなかった 知らない貴方に恋をするつもりもなかった。 けれど、どうしてだろうか。 恋をしてはいけない≠フだと、 そんな気持ちが無くなっていることに、 私は気づいてはいなかった。 それは、ほんの少し貴方の状態とは違っていたのかも。 (74) 2022/05/28(Sat) 19:38:16 |
【人】 雨宮 瀬里「 clarity?知ってる、というか、」 そう。私は確かにclarityを知っている。 知っているどころか、…と言葉を紡ごうとして その先に続く言葉が見当たらないのに気付く。 多分私はスマホの履歴に「灯歌」という名前を見ても それが誰だかあまり思い出せなくなっているのだろう (75) 2022/05/28(Sat) 19:38:37 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……ううん、なんでもない。 知っている、はず、なんだけど、 あんまり思い出せないの。 これも、貴方との記憶が関係しているのかな 」 透明な歌声が車の中に響く。 不安な人を励ますような、優しい歌声。 大丈夫だよ、って背中を押してくれるような声。 私は、その声を、確かに、どこかで、 記憶を呼び起こそうとしても、靄がかかっている だけど、記憶を探るように、探すように、 ぼんやりとした瞳で、私は貴方のことを見た。 貴方は、どうしてこのひとを知っているの? そんなことを問いかけるように。 * (76) 2022/05/28(Sat) 19:38:51 |
【人】 雨宮 瀬里ぱちん、ぱちん、と指が鳴る そのたびに、何か大切な景色が色づいていく 『 私ね、変わろうと思って 』 それは確かに私の声 変わるための後押しをしてくれたのは…? 透明な歌声、跳ねるような指の音、 月明りが照らす暗がりの中で、 明るい光が私の、 私の……? 真っ赤 ななにかが、見えた気がした (79) 2022/05/28(Sat) 20:21:27 |
【人】 雨宮 瀬里 明るい光に目線を向けようとして、 車が動く。 思考は途切れる。 「 何か、思い出せそうな気がしました 」 それだけ言って小さく笑うと、 私は手元のスマホに視線を落とす。 車の中。会話などはほとんどないはず。 (80) 2022/05/28(Sat) 20:21:48 |
【人】 雨宮 瀬里スマホに残されたメールも写真も、 どれも私の知らない雨宮瀬里だった。 たくさんの景色や、たくさんの食事や、 たくさんの笑顔が、そこには残されていた。 「 楽しそう 」 私はただの感想を呟く。 他人事だけど、本当にそれは楽しそうだったから 「 恋、してたんだなって、分かります 恋をする人間と、同じ顔、してるもの。 」 恋をしたい、だとか。 同じ感情を取り戻したい。とかじゃないけれど。 スマホに残った、二人の姿は、本当に楽しそうで ……だから、私は至極当然の質問を投げかける。 (81) 2022/05/28(Sat) 20:22:03 |
【人】 雨宮 瀬里「 どうして、恋矢を抜いてしまったんでしょうね 」 貴方は知っていること。 私は覚えていないこと。 ただの、話のきっかけにすぎない。 * (82) 2022/05/28(Sat) 20:22:14 |
【人】 雨宮 瀬里「 病? ………そう。だったんだ。 」 病によって、恋矢を抜かざるを得なかった。 そんな話は今、初めて聞いた。 ううん、瀬里≠ヘ知っていたんだろう。 知ったうえで、それを受け入れたとき 私は、どう思ったんだろう。 うらやましい、の声に私は小さく微笑んだ 「 これほど楽しそうに過ごしていたのに 恋心と記憶が消えてしまったのは…… ……きっと、悔しかっただろうな。 」 恋心が消えるときの感情なんてわからないけど でも大切にしていたものを喪わざるを得ないときの 悔しさとかなら、分かる気がするから。 (86) 2022/05/28(Sat) 22:39:03 |
【人】 雨宮 瀬里駅前で車が止まる。 私が全く知らない駅だったけれど きっと家までは帰ることはできるだろう。 「 ……うん、 」 貴方の視線がこちらへと向く ここで、私が車を降りればそれでおしまい。 時々私から連絡をするかもしれない。 だけどそれもいつ終わるかはわからない。 だからと言って何もできないし、何かしようとも ── 二つの色の違う瞳を 私のスカートとお揃いの色の左目を 私が…好きだったであろう、その瞳を、 (87) 2022/05/28(Sat) 22:39:48 |
【人】 雨宮 瀬里「 …っ、ごめんなさい 泣くつもりとか、なくて 」 意に反して流れ出た涙を あたたかな指先が拭うなら、 私は思わずそれを否定するけれど、 涙は簡単には止まってはくれなかった。 それでいて、もっと触れていたいと思ったのは 昨日までの私?それとも今の私? それとも、全部、私なのだろうか。 (97) 2022/05/29(Sun) 8:44:32 |
【人】 雨宮 瀬里洋服の好みが変わっても 恋矢が刺さって恋心を抱いても それがまた喪われて想いが消えてしまっても 私に起きた変化はすべて、 雨宮瀬里そのものなのだろうか。 貴方に出会って、貴方が日常を満たして以降の 私自身の記憶は喪われたままだというのに (98) 2022/05/29(Sun) 8:45:06 |
【人】 雨宮 瀬里こんな終わり方は嫌だ。 はっきりと音になって耳に届いたそれに 私はこくりと頷いた。 「 私も。こんな終わり方は嫌 」 理由なんて私だってわからない。 だけど、こんな終わり方は絶対に嫌だというだけ。 (99) 2022/05/29(Sun) 8:45:18 |
【人】 雨宮 瀬里「 私ね、記憶を取り戻したい どうしたらいいか、わからないけど… 」 恋をしていた私も、今の私も、私だというのなら 恋をしていた時の私の記憶を、取り戻したい。 オーディオからは相変わらず透明な歌声が響いている。 * (100) 2022/05/29(Sun) 8:45:30 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……恋人に? 」 私が浮かべるのは困惑の色。 それでも頬に触れた手を避けることもしないまま 貴方の両の瞳を見つめる。 恋心とはどんなものだっただろうか 思い出せぬままに、恋人の振りをするのは ──── ああ、それはかつての私。 そんなことも忘れているくらいに、 いつの間にか私は変えられていた。 憶えていないから、きっと貴方のお陰。 (103) 2022/05/29(Sun) 11:12:42 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……うん、構わない。 瀬里≠熈蓮司≠烽サれを望むもの。 」 流れていた涙が止まったから、 きっと、そうなのだろう。 「 ……改めて、っていうのもなんだけど 雨宮瀬里です。……よろしく……? 」 きっと2回目の初めまして。 はにかんだ笑顔は、営業スマイルなんかじゃない。 (104) 2022/05/29(Sun) 11:13:20 |
【人】 雨宮 瀬里「 恋人はじめに、もう少し、 ドライブデート、しませんか。 歌も、聞いていたいし、 もう少し、話がしてみたいから。 」 例えばひとつ先の駅まで。 例えば乗り換えのターミナル駅まで。 家までは、少し気が引ける距離だけど。 もしもドライブデートが叶うなら、 きっと最初から、お互いを知っていこうかな。 私が陶芸を生業にしていることとか 貴方は珈琲を好むとか、きゅうりが嫌いだとか 他愛のない話を、いくらでも。 時間制限はどこにもないから。 * (105) 2022/05/29(Sun) 11:14:33 |
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