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【人】 4年 井田 嶺 なにを頑張るんだか。 気を張り詰めすぎだよ、いつものことだけど。 [奮い立ってるひとの後ろから、手が届かない距離から。 いつものようにゆるく声をかける。 風の吹く屋上は、すこしだけ山の上の風に似ていて、心地いい。 首元をぺしぺし叩きながら、すっと手に持った上着を持ち上げて。] いくら髪の長いお姫様だからって、ラプンツェルみたいに塔の上にいるところまで再現しなくてもいいんじゃないか。 ―――ほら、風邪ひくぞ。 [それを軽く放った。受け取るかは知らない。 床に落ちても気にはしない。*] (331) 2020/11/12(Thu) 20:53:28 |
【人】 4年 井田 嶺 見慣れた先輩だよ。身構えるのはわかってるけどさ。 [ぽりぽり頭を掻いて、その顔をみていた。 ああ、やっぱり天音を見てると勝手に笑顔になるんだよ。 しょうがないよな。] 天音まで俺を優しいとか言い出すのかよ。 俺、天音に無理に優しくした覚えはないんだけど。 [後輩にはちゃんと作って接している。 犬の字が投げてくる分、素はできるだけ出さないように。 素で、ラフに接する相手なんて―――よっぽど、優先する相手だけに、してるんだけどな。 俺の素顔がバレてる同期か、目の前の女性くらいなんだけどな。 なんで優しいとか言い出すのか。*] (346) 2020/11/12(Thu) 21:39:07 |
【人】 4年 井田 嶺 山屋ってな。 無理しない限り、他人に甘い優しさは持たないんだよ。 自然の前でそんなもん持ってると自分が死ぬからな。 [相手が死ぬか、二人で死ぬか。 選ばなきゃいけないとしたら遠慮なくザイルを切るし、それを告げる。 山に狂ってる馬鹿のいう『優しさ』っていうのはそういう類のものだ。 それ以上の優しさは、自分が死ぬから無理。] これでも先輩だしな。 あの場所を回すにはそのほうが良かったんだよ。 まあ、山田さんに見破られて説教されたんだけどさ。 [くひひ、と自嘲して肩を竦める。 バレてたら先輩も何もないんだよなあ。] けど、天音まで誤解してるのは俺が悪かったよ。* (359) 2020/11/12(Thu) 22:21:00 |
【人】 4年 井田 嶺 似てないよ。 [無理してるだけの俺と、きっと何かがあって壁がある天音。 にてるようで、たぶんそれは決定的に違う。 俺にはそんな強さはない。酷薄さがあるだけだ。] それにな。 [だから、そんな作った笑顔で笑うのはやめてくれ。] それにな、そんな無理した笑い顔されると、困るんだよ。 惚れた女を困らせる趣味があるわけじゃないんだから。 [ただの、わがままだけどな。 優しい後輩を困らせる、ただの意地の悪い先輩になってもいいから、 せめて笑顔くらい、普通に浮かべててくれないかな。*] (379) 2020/11/12(Thu) 23:11:16 |
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