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【赤】 会社員 雷恩[生理的反応でも嬉しいものなのか。 この手は彼女を抱き締めることはなく 瞳も閉じられたままなのに。] …………ゃめ、 [そんなことをしなくても、 1人の男と女として知り合っていれば、 今ならば思い出を今に出来たのに。] (*52) 2024/05/08(Wed) 17:25:54 |
【赤】 会社員 雷恩[弱弱しい声だけの抵抗も空しく陰茎に圧がかかる。 引き攣れるような圧迫が痛くて歯軋りした。 恋ゆえに繋がりたいなら、何故その裡は愛液で 満たされていないのか。 摩擦で生じる滑りは自分の勃起と同じ生理的反応で、 まるで自らも痛むことを課しているようだ。] ………………な、 ぃて、ンの、か、 [掠れながらも口を動かして声を発する。 力を込めれば手も動かせることに気づいた。 その手を使って虚を突けば、彼女の強姦行為を 辞めさせることが出来るかもしれないが。] (*53) 2024/05/08(Wed) 17:26:22 |
【赤】 会社員 雷恩[ルミの言葉はまるで本心を誤魔化すような印象を受けた。 あいしてると言いながら、相手からそう思われないことが 自分でもわかっているかのような。] なでられ、ンのと、 …一人でっづけ、 ンの、 どっち、 [このまま騎乗位を続けていれば、徐々に感覚を取り戻している 下肢が身体的本能で放熱することは免れない。 それを阻止しようという計算からの問いではない。 ルミ自身が欲しいのは、セックスしたという事実ではないと ルミが気づいたのではないか。 ただ、泣いている子を撫でたかった。 そしてそれを彼女にも望んでほしかった。 それだけ。**] (*54) 2024/05/08(Wed) 17:27:20 |
【赤】 従業員 ルミ[ 恋は万有引力なのだと誰かが言っていた。 ツバキの花が落ちるように音もなく、 りんごの実で堕ちたように先もない。 原初の罪というものがある。 禁断の果実を齧って神に背いた二人の話。 彼らには口にせず共に在り続ける未来があったのに 罪を犯してでも手にしたい何かがあった。 それならば、この恋は。 わたしと貴方、原初の罪の ──その対価は。 ] (*55) 2024/05/08(Wed) 20:01:58 |
【赤】 従業員 ルミ[ 初めて食べたアイスの甘さも。 焼き芋の舌を焦がすような熱も。 名前を呼ばれることの嬉しさも。 誰かに花をあげることの情動も。 貴方と同じ名前の生き物がいることも。 痛みも苦しみも愛しさもなにもかも。 貴方が与えて、貴方は消えた。 ────忘れようとするたびに、あなたを思い出す。 ] …………なぁに? これでもまだ名前で呼んでくれるんだ。 そうすれば逃げられるとでも思ってる? [ 力も抜けて上手く喋れない状況なら、 いっそわたしに絆された振りをして 隙を突いて逃げる方が現実的かもしれないものね? ] (*56) 2024/05/08(Wed) 20:02:33 |
【赤】 従業員 ルミ[ 今更男と女として知り合うなんて出来やしない。 もう一度最初からの幻想は夢のまま。 出会い方が選べないなら、 手離し方は選べるのが人間だよね? ────今度はわたしがそうする番。 一緒に同じ傷を負って。 何を見ても、なにに触れても、どんな日常でも わたしを思い出して、──死ぬまで傷の中で会おうよ。 制止の言葉は聞いてあげない。 かさぶたを剥がして傷口を抉って貴方を手にする。 夢すら果てる程に焦がれたこの結末が、 ──きっと何よりも喜べるはず、だった のに、 ] (*57) 2024/05/08(Wed) 20:02:38 |
【赤】 従業員 ルミ…………? ……あぁ お兄さん、薬切れ始めちゃった……? [ 先程よりも明確な音になった言葉を耳に入れ、 わたしは問いに答えず小さく呟いた。 視界の端で彼の手がすこしずつ動いている。 身体でも押すか、力に任せて暴れるか。 薬剤の追加投与なんて危うい真似は出来っこない。 ならばと抑えつけるために、彼の肩へ そっと手を伸ばそうとして── ] (*58) 2024/05/08(Wed) 20:03:08 |
【赤】 従業員 ルミ[ 真意が読めなくて、わたしは目を細めて動きを止めた。 滲んだ視界を晴らすように眦を拭ってから、 途切れ途切れに紡がれる言葉へ耳を傾ける。 ] 嘘つき。 そうやって、またわたしから逃げるくせに。 ストーカーにそんなこと言ってまで逃げたいの? ──殺さないって最初から言ってるじゃない。 ああもう、どいつもこいつも、そうやって……!! [ 唇を噛み締めて、自分の腕に爪を立てた。 傷付いてくれと願った以上大差はないだろうけれど、 物理的に傷を負わせたいなんて思ってはいない。 行き場のない激情を彷徨わせながら、 わたしはもう一度、彼の顔を じ、と見下ろして。 ] (*59) 2024/05/08(Wed) 20:03:42 |
【赤】 従業員 ルミ………………………。 …………逃げたら死んでやるから。 [ 目論見通りにはいかないと続けることは出来ただろう。 けれど同時に、彼の幻影を、貴方へ見ていた。 撫でられたかったわけじゃない。 そんな夢はもう小人たちの家に置いてきた。 ただ、もしかすれば、と微かな蜘蛛の糸を手繰ったの。 わたしから逃げないお兄さん。 わたしを、忘れないでいてくれる、お兄さん。 ] (*60) 2024/05/08(Wed) 20:03:52 |
【赤】 従業員 ルミ[ 熱を引き抜き、けれど警戒するように跨ったままで わたしは動向を見守った。 撫でられたかったわけじゃない。 だって、この恋が実らないのと同じで 撫でて貰えるわけがないって理解してるから。 撫でて欲しいなんて望めない。 * ]それだけのことをしてるって、分かってるから。 (*61) 2024/05/08(Wed) 20:07:27 |
【赤】 会社員 雷恩[人は忘却の生き物だ。 覚えようとして取り組んだことさえ、1時間後に50%、 24時間後に70%、1か月後には殆どを忘れるという。 自分が忘れていることを詳細に覚えている彼女は、 毎日自分といた日々を思い出して記憶を定着させたのだろうか。 つきあっていた相手だって、毎日自分のことを想ってくれていた とは限らないのに。 10数年会わない間毎日。 それはどれだけの労力だっただろう。 忘れてしまうことへの恐怖もあったかもしれない。 覚えていなくても咎める人なんていないのに、 「忘れたくない」と思ってくれていたのか。] (*62) 2024/05/08(Wed) 22:12:03 |
【赤】 会社員 雷恩[片や、そんな労力も払わず思い出そうとしなかった 自分にも残っている記憶がある。 強く意識しなくても残っていたということは、 それだけ自分にとっても既に深い部分に 根付いていたということだ。 これから彼女が補完してくれれば、 ]もっと取り戻せる思い出もあるかもしれない。 (*63) 2024/05/08(Wed) 22:12:30 |
【赤】 会社員 雷恩[名前を呼ぶことがどうして逃げることに繋がるのか。 眉毛だけが疑問を浮かべるように動く。 騙して逃げようなんて計算が出来る男ではない。] ………………。 [痛いことに変わりはなくても、 同じ傷にはならないだろう。 だって、相手に離れられたという痛みと、 相手に恋心をぶつけられた痛みは 根本的に違うから。] (*64) 2024/05/08(Wed) 22:13:11 |
【赤】 会社員 雷恩[声が震えている。 瞼はまだ重く開きにくいが、手を持ち上げられるということは やはり薬の効果が切れ始めているのだろう。] ぅそ、ついて、なぃ。 [本当にならなかったことがあったとしても、 その時の気持ちは絶対に嘘の心算ではなかった。] ……にげるつもり、なら。 もっと動けるよぅになるまで、待ってる。 [こんな少しだけしか動かない状態で それをルミに明かすメリットなんてない。 動きを見せたのは、言葉と行動通り、撫でようとしただけだ。] (*65) 2024/05/08(Wed) 22:13:39 |
【赤】 会社員 雷恩[ルミはどんな表情なのだろう。 目を閉じていると何も見えない。] ……ここまで生きてきたのに。 昔のぉれのことに執着して、 ぃまからのぉれはぁきらめられンだ? [殺さない、とルミは言った。 その言葉はきっと嘘ではないだろうと今は疑っていない。 逃げたら死んでやる、とは。 罪悪感に苛まれろということか。 自分を加害した相手の自殺で此方の心が痛むと思っているのか。 忘れていたことを詰る癖、自分の中にルミを慈しむ気持ちが 残っていることを期待していないと出ない言葉だと思った。] (*66) 2024/05/08(Wed) 22:16:29 |
【赤】 会社員 雷恩……まだないてる? [摩擦がなくなり、水音を立てて外気に晒された性器が 萎れて落ちる。 二択で選んだのは、自分の望みと合致していると思っているから、 撫でる先を探してもう一度、先程よりもスムーズに 腕を持ち上げた。*] (*67) 2024/05/08(Wed) 22:17:21 |
【赤】 従業員 ルミ[ あの時間を忘れて、過去の貴方を記憶に埋めて。 きっとそうするのが一番良い道だったかもしれない。 わたしは貴方を傷付けないし、 貴方も忘れた過去を思い出すこともない。 諦めるのは生きていくだけならとても楽で、 ]けれど選べたのは無様でも縋りつくいばらの道。 思い出すたびに惨めで痛くて腕を切った。 血を流すたびに生きている実感があって でも、そこにはいつも、貴方はいない。 (*68) 2024/05/08(Wed) 22:48:31 |
【赤】 従業員 ルミ[ 彼の声は震えながらも、言葉の輪郭を形作る。 持ち上げられた手を見やり、動向を注視しながら うそではないと紡ぐ声へ目を細めた。 ] そう思わせて逃げる算段かもしれないじゃない。 [ 理性では彼の言うことが正しいと分かっている。 感情が、一度消えた相手のことを信用できないだけだ。 ちがう。 信用できないという言葉すらも正しくはない。 これ以上、期待して傷付きたくないと 自己防衛に徹しているだけ。 ] (*70) 2024/05/08(Wed) 22:48:41 |
【赤】 従業員 ルミ……諦めさせたのはお兄さんなのに、 なんでそんなこと言うの? わたしから離れて、勝手に消えて、逃げて 新しく女まで作って幸せそうで── 忘れてしまえるような昔の子どもひとりが、 …………ッお兄さんには他にたくさんの人がいても わたしには、わたしにはずっと、 昔のお兄さんしかいないのに!! [ どうして勝手に大人になったの。 どうしてわたしの知らない顔を他の女に見せてるの。 今からの貴方を諦めなかったとして、 貴方はわたしのモノになってくれるの? ] (*71) 2024/05/08(Wed) 22:48:47 |
【赤】 従業員 ルミ[ 叶わない夢なら最初から星屑になって落ちてしまえ。 咲かない花なら最初から枯れて朽ちて消えてしまえ。 わたしのものにならないお兄さんなら、 いっそ過去に執着していた方が楽だった。 ────なのに結局今の貴方の傷を欲しがっている。 相反した感情と憎悪と愛情。 矛盾を抱えていることくらい分かっていて、 途方もない夢だけは見ないように自制して。 ] (*72) 2024/05/08(Wed) 22:48:50 |
【赤】 従業員 ルミ…………おかげさまで。 [ ここで可愛く愛想を撒けるような女の子だったら、 ここで、強がって突き放せるくらい強ければ。 なにかを探すように持ち上げられる腕を見やり、 そ、とすこしだけ頭を下げる。 ────撫でられたいなんて、思う資格はないけれど ふれられたいと、願ってしまって。* ] (*73) 2024/05/08(Wed) 22:52:34 |
【赤】 会社員 雷恩[忘れることも覚えていることも 男には傷とならなかった。 より多くの人と過ごして経験してきたことを背負うには 一つ一つの思い出のウェイトを軽くしないと 動けなくなることを、人間の脳は知っていて、 それに強い意思を介入させた者だけが その最適化をカスタマイズすることができる。 物理的に流れた時間は同じ。 ルミが自分との思い出のウェイトを変えまいと 懸命に抗った結果負った痛みは、 「今」手当てすることはできない。] (*74) 2024/05/08(Wed) 23:37:23 |
【赤】 会社員 雷恩[だが、「今」痛んでいる彼女には間に合うと、 それを願ってしまった。 その想いが防衛本能から来るものと解釈することは 出来るだろう。 ストックホルム症候群と名付けたければそれで良い。 それで躊躇するくらいなら、動かしにくい腕に 無理に力を入れていない。] (*75) 2024/05/08(Wed) 23:38:27 |
【赤】 会社員 雷恩俺だけを、想って、ここまでひとりで 頑張ったって・・…聞いて、 俺は、ふつうに感動した、けど。 [悪意なく取った行動を詰られることよりも、 「ずっと昔のお兄さんしかいないのに」という言葉の方が 胸を抉った。 会えない相手なんて忘れた方が楽な筈だ。 頑張る必要なんてどこにもない。 だが自分にだけ執着したルミは 生きることを放棄せず 自分への恋を何度も反芻して定着させた。 取った手段は犯罪だが、それに至る感情そのものには 感動としか言い表せない気持ちを産んだ。] (*76) 2024/05/08(Wed) 23:39:03 |
【赤】 会社員 雷恩[ケホ、と咳をする。 無理矢理口を動かしたからか喉奥がヒリヒリする。] ……間に合わなかったか。 まーいいや。 [泣き止んだと聞いた。 本当かは知らないが、本当でも嘘でもやることは変わらない。 触った感触があった。 体温までは移らないほどの微か。 そこが頭でなかったとしても良い。 幾筋もの線が描かれた手首でも。] (*77) 2024/05/08(Wed) 23:39:46 |
【赤】 会社員 雷恩いーたいの、いーたいの、 …っ、おーれが、たーべた、 [ぎゅ、と拳を握り、自分の口元へ。 上手く操作出来ずに自分で頬を殴ってしまったが、 口は飲み込む動きが出来た。] (*78) 2024/05/08(Wed) 23:40:29 |
【赤】 会社員 雷恩10何年分だって食ってやる。 [流石に思い出した今は、消化活動については 口にしなかったが、 思い出し笑いで少し噎せたように笑った。 瞼の痺れが取れた。 最初に見る相手の表情は、どんな色をしていただろう。**] (*79) 2024/05/08(Wed) 23:43:03 |
【赤】 従業員 ルミ[ 女は彼と違って、経験してきた物事が少ない。 生きてきた世界とてそもそも狭いような生き物だ。 多くの人々と経験を知るよりも、 閉じ切った閉鎖的な世界で身を守ることを好んだ。 思い出のウェイトは過去に寄り過ぎた。 痛みも重みも麻痺するほどに時を重ねて、 昔を反芻し、飲み込み、追体験でこころを誤魔化す。 過去を今に当てはめて息をしているだけ。 そうするのが楽で、なにも傷付かずにいられるから。 ] (*80) 2024/05/09(Thu) 0:41:48 |
【赤】 従業員 ルミ…………なにそれ。 今更そんな、 体のいい言葉で騙されたりなんか…… [ ────死んでしまうのが一番楽だと考えたこともある。 こころを殺して生きていくより、 身体ごと死んでしまえばいいのかと。 けれど。 どうして苦しいばかりの世界で生きて来たのか。 死ぬことを別に恐ろしいとは思わなかったのに ──……それならば、なぜ。 ] …… [ 愛されようと色んな人に愛想を振り撒いて、愛を買った。 金を渡して夢を買った。 いくら繰り返しても満たされないまま大人になって、 ] (*81) 2024/05/09(Thu) 0:42:09 |
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