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【赤】 会社員 雷恩思い出した? じゃーこれからは忘れなきゃいいよ。 俺もそうするから。 [全部覚えていると言った彼女は 自分が嘘を吐かなかったことも覚えていたのだろうけれど 忘れていた自分と同じ立ち位置に立たせる。 「ごめんなさい」と小さく響く声色は 大人になって成長した声帯を通っているのに 小さな女の子のままに聞こえた。] (*142) 2024/05/10(Fri) 23:02:25 |
【赤】 会社員 雷恩[起き上がると反射でルミの身体が傾ぐ。 痺れが直っていて良かった。 支える腕が間に合う。 触れようとした手は背中に使ってしまったから。 反対の手を使うのではなく、 直接傷を食べに行く。] ルミ。 こいびとに、なるよ。 [言わなかったら嘘にはならない。 言ったからには嘘にはしない。] (*143) 2024/05/10(Fri) 23:02:58 |
【赤】 従業員 ルミ[ 物語、は。 ハッピーエンドのその先がどうなっているのかを 仕事中にふと考えたことがある。 たとえば、いじわるな継母たちから離れて 王子様のもとに嫁いだシンデレラ。 あのまま彼女たちは不幸などひとつも知らず、至らず、 生きていくことが出来るだろうか。 " 恋愛の成就 "で大団円、終幕になるのなら その先がどうなっても読者に知るすべはないけれど。 結ばれて終わるのがおとぎ話の運命ならば。 ] (*145) 2024/05/10(Fri) 23:30:56 |
【赤】 従業員 ルミ…………ぅん。 [ 忘れてたわけじゃない、と言うのはやめた。 飲み込んだ罪の味。 気付かないフリをしていたふたりの過去。 記憶の残り香が頬を撫でる。 匂い立つような昔の思い出が部屋に漂う。 変わったね、と貴方を詰ったこのなかで 変わらない、と優しいままの貴方を見つめた。 痛みも恨みも苦しみも煮詰めてしまったその後に それでも消えないふたりの今が残っている。 ] (*146) 2024/05/10(Fri) 23:31:07 |
【赤】 従業員 ルミッいきなり起きると、危ない…… [ もうほとんど薬が抜けたらしい。 油断して転びそうになった背中を支えて貰いながら、 「ありがとう」と言おうとして。 呆けたわたしの顔が、貴方の水晶に映り込む。 ] ぇ、 [ 唇は赤い。 おとぎ話の白雪姫よりも真紅に濡れて りんごよりも苦くて錆びた味で満ちて。 ] (*147) 2024/05/10(Fri) 23:31:12 |
【赤】 従業員 ルミ──────…、 [ 言い終わると同時に奪われていく鉄の味。 睫毛を震わせ、瞳を瞬かせるのも忘れて瞠ると いよいよわたしの思考は現実に追いつかない。 こいびと。 なる。 だれの? ────わたしの。 だれが。 ────お兄さん? 言ったからには、嘘には、ならない。 ] (*148) 2024/05/10(Fri) 23:31:26 |
【赤】 従業員 ルミお兄さん、わたしのもの? ……もう他の女のところに行かないんだよね? ────死ぬまでずっとずっとずっと わたしに縛られて生きててね、お兄さん。 [ 笑う。 痛みを誤魔化すためでもなく、 無邪気だったあの頃のにおいを連れ立って。** ] (*150) 2024/05/10(Fri) 23:35:38 |
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