そういえば女の子からチョコを貰ったのは
　　生まれて初めての経験なんだけど
　　流石に声にするのは気持ち悪いので控えたよ。

　　嬉しくて、それと同時に恐ろしい
　　青春と呼ぶに相応しい一幕。

［　やっぱり怖いと思ってしまうんだ。
　　自分なんかが惜別さんに相応しくないって
　　本気で思っていたから。

　　気持ちに蓋をし続けていた。

　　分かってるんだ。
　　ボクはきっと惜別さんを後悔させて
　　深く深く悲しませてしまうだろう。

　　ボクが、無価値で、最低な人間だから。

　　　　　　　　　　　大丈夫……分かってる……。］

***

［　思い返してみれば
　　出会いの時点でボクはキミに振り回されている。
　　それが嫌だなんて思ったわけじゃないけど。

　　きっとボクはキミに頭が上がらなくて>>165
　　それでいて幸せ者だと、そう感じていたんだ。



　　けれど本当に驚いたのは
　　キミの両親が反対していないこと。>>166
　　普通なら反対するだろうと思うから
　　ずっとキミに普通じゃない何かを感じていた。］

　　それも、綺麗にボクが困らない範囲で。>>168

［　誰も祝福しない道でも
　　私と君が幸せなら、それでいいんじゃないかな。

　　私は、そう思っていたんだ。

［　冷凍食品っぽい唐揚げと、卵焼きが入った
　　簡素なお弁当に、何も思わなかったわけじゃない。

　　でも、その時は忙しかったのかな、とかさ。
　　いい方に理由付けして、突っ込まなかった。>>170
　　そこまで聞けるほどの関係じゃなかったし。

　　君に分けたサンドイッチが
　　君の心を少しでも温かくしたのなら
　　それだけで私は嬉しくなるんだ。　　］

［　これが普通になっちゃいけないって感覚
　　この時の私には、まだあったんだ。

　　今日みたいな日は、
　　真面目な日常にたまに混ざる
　　不真面目な非日常くらいでちょうどいい。

　　でもそれは、私だけじゃなくて、
　　
　　私だけの話じゃない。>>171　］

［　この一幕に唯一不幸せなことがあるとすれば
　　君の心を私は理解していなかったこと。>>174

　　そして、仮に言葉にされたとして
　　よくわからない、ってことなんだ。

　　人の価値、なんて関わる人によって違うのに。
　　私は、君と関わりたいと思って近づいたのに。

　　無価値なわけ、ないのにな。

***

［　君を振り回してる自覚はあった。
　　でも、嫌って言われないから嫌じゃないんだと。
　　都合のいいようにとらえていたんだよ。

　　幼い頃には、こんな感覚当たり前だったのに。
　　いつしか私の手から離れた幸せの時間。　　　］

当たり前、だったのに。

恋人の家に、とは言ってないけど

言ったとして止められたのかすら怪しい。　］

……私にかまってる時間、ないんだよ。

なんでも、ない。

わがままだな、私は。　］

　　夜に女の子一人で帰らせるわけにはいかないから。
　　最もな理由をつけて、一番は名残惜しさだけど。

［　でも、その矛先にいたのは

　　　　　　　　　　　　　　　ボクではなくて。］

だって私……ずっとさびしかったから。

　　君がずっといてくれるのなら
　　私、きっとどんなことだって耐えられる。