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【赤】 環 由人[ 背をさする手のひらが優しくて、 心地いい。圧迫感を忘れられるよう、 息を吐きながらその手の感触に酔う。 耳をくすぐった、かすかに喉で笑う音。 こく、と飲み込んだ唾。 甘言にまた余計眉を下げて、 回した手に力を込め、肩口に頬をすり寄せた。] (*39) 2020/09/20(Sun) 14:34:29 |
【赤】 環 由人……ん。 ───おれも、…っ、 全部好き、 …雅治が、好きだよ、 [ 小っ恥ずかしいセリフを吐いたのは、 正直WらしくWないなとは思うのだけれど、 それでも今、伝えるべきだと思った。 彼の全てが好きだ。] (*40) 2020/09/20(Sun) 14:34:55 |
【赤】 環 由人[ しこりを見つけられれば、 腹が収縮して震える。 そこが知っている旨味を 引き出されるように刺激されて、 誘われるように、囁かれ。 耳朶を食まれたら、また跳ねた。] ッン、 ……ぁ゛っあっ ……そこ、っ…い、ッ…ぃ、 うぁ、ンッ…は、ふ、ぁっァ [ 弱い場所ばかりを弄られて、 はじめよりもずっと、声が漏れてしまう。 ───それは、彼の包み込むような 優しい声色のせいだったかもしれない。] (*41) 2020/09/20(Sun) 14:35:43 |
【赤】 環 由人[ ほぐれた、と思う。 指を引き抜くと、ひくひくと 開いた其処は続きを待ちわびるだろう。 すっかり潤んで紅潮した表情を じっと窺うように見つめられれば、 こてりと首を倒して、見つめ返し、 言葉の代わりに問いかける。 歯で噛んだ袋を破くのが見える。 こく、と生唾を飲み込む。 雄がはっきりとそこに見えた気がした。 不安げに言われた言葉に、 大丈夫、といわんばかりに微笑んで、 「わかった」と頷くと、腰を上げる。 膝立ちで少し前にずれれば、ひた、と 入り口に当てられた感触に、唇を結んだ。 少し、腰を落とす。 先端を埋める前に、数度キスするように ちゅ、ちゅ、と上下させて、馴染ませ、 そのままゆっくりとおろしていく。] (*42) 2020/09/20(Sun) 14:36:07 |
【赤】 環 由人ッん゛っ…ぁッぁ゛、ぅゔ、 [ 濁った声が漏れる。 不安げにそちらを見つめると、 苦しげに寄せられた眉根が目に入る。] ごめ、ッ…ほぐした、のに、 ひさびさすぎ、ッて、 ァッぁ゛…ッ [ 濁った声が漏れる。] (*43) 2020/09/20(Sun) 14:36:37 |
【赤】 環 由人[ そればかり、なのに。 入り口は、指とは比べ物に ならないその質量の熱をどうか はやく、はやくと急かすように 吸い付いて離そうとはしない。 茎に落とされる刺激。 優しく繰り返される口づけに、 両手を彼の背に回して強く抱きしめ、 開かれていくナカの違和感と圧迫感に なんとか耐えていく。 汚い声しか口からは漏れ出ないけれど、 その熱の固さが衰えることはなくて、 ほんの少し安心した。 彼のものが完全に中に入ってしまえば、 深く息を吐く。同時に強く抱きしめられた。] (*44) 2020/09/20(Sun) 14:37:18 |
【赤】 環 由人[ そのまま落とした口づけ。 口内の甘さを堪能しながら、 ほんのすこし腰を揺らす。 びくっと腹が跳ねる。] …ゆっくり…うごいて、 [ と囁いた。]* (*45) 2020/09/20(Sun) 14:39:05 |
【赤】 環 由人[ 全部、隠して生きるしかないって。 死ぬ勇気も、なかったから。 離されたら俺はW死ぬWよ、 なんて口には出せないけれど、 離さないと言ってくれるのだから、 今はそれを信じたくて、頷いた。 動いて、と言ったのに、 無理はさせたくないから、と 口づけを落としてくれた 彼の瞳がいくらか、潤んでる気がして。 背をなぞる指先に、首筋に這う舌に、 鼻母音を漏らして、 きゅっとまた中が収縮する。 小さく洟をすする音が聞こえれば、 ふ、と少しだけ笑った。] (*51) 2020/09/21(Mon) 1:45:42 |
【赤】 環 由人───なに?……泣いてんの? [ そんな意地悪を小さく落として、 軽く腰を動かして彼の上に座り直せば、 笑んだ唇を重ねて食んだ。 キスの合間、肌を撫でる手に、 時折体を震わせながら 中に入ったままの怒張を 締め付け、緩めて、やわやわと 包むように刺激するだろう。] (*52) 2020/09/21(Mon) 1:46:28 |
【赤】 環 由人[ その圧迫感に慣れ、息ができるように なった頃、漸く一言告げられた言葉に こくりと頷いた。] っゔン、ッ… !ふ、 っぁ゛………んっ は、 [ ずん、と奥を突く昂りが熱い。 ゆさぶられると、また息が詰まるし、 痛みもないわけではないけれど、 それよりも、なによりも、 離した口づけの合間、 撓んだ瞳を見つめる。 笑ったその、彼の顔が、愛おしくて より一層眉尻を下げて、 つられたように笑ってしまうのだ。] (*53) 2020/09/21(Mon) 1:46:55 |
【赤】 環 由人…ッ な、に? [ 甘さの滲んだ声で小さく問いかけると、 返ってきた答えに、口を開くよりはやく、 体が返事をしてしまう。 きゅぅ、と締め付けて、体温が上がった。 唇を噛んで、ふにゃ、とした笑みに 変われば、触れるだけのキスをひとつ。] (*54) 2020/09/21(Mon) 1:47:15 |
【赤】 環 由人[ セックスでこんなふうに、 満たされて、たまらない気持ちに なったことなんてなかった。 惣菜屋を継ぐ前。 都心にいた頃はそれなりに体を重ねて 遊んだりもしていたし、固定で、 何度も会っていた人もいた。 なんとなく、付き合っているような そんな気がしていた人もいたけれど。 ───あれは、恋なんかじゃなかった、 今確かにそう言える。 だって、こんな多幸感は、 あの日々になかったから。 酒や熱に浮かされているだけ? いいや、違う。 …この人だから。 唯一の、人だから。] (*55) 2020/09/21(Mon) 1:48:03 |
【赤】 環 由人───奥、突いて、…いいっ も、平気だから、…… 雅治で、いっぱいに、してくれ、 [ そんな言ったこともないような 誘い文句だって言えてしまうのだ。 ほんとうに、欲しいと思えるから。] (*56) 2020/09/21(Mon) 1:48:29 |
【赤】 環 由人…は ぁ゛ッ…ぅ……ン、 [ 聳り立つ自身が彼の腹に擦れる。 指では届かなかった場所まで 拓かれて、突かれると、 中はもっと、とねだるようにうねった。 その腰の動きに合わせて動かす。 徐々にそこで得る快楽を思い出してきた 身体は、下腹部から確かな熱を上げて。 ぞくぞくする。] (*57) 2020/09/21(Mon) 1:49:25 |
【赤】 環 由人[ 肌を重ねて、言葉だけじゃない、 すべてで彼の熱を知って、 たぶん今もまた、どんどん 好きになっている気がする。 ───そんなこと、言えないけど。 高まっていく。 ベッドの軋みと、二人の息遣い、 粘度のある液体が混ざる音。] き、もちいッ…? [ 短く、問いかけて。]* (*58) 2020/09/21(Mon) 1:50:40 |
【赤】 環 由人[ 返事の代わりに抉られた最奥に、 一際強く、その屹立を締め付けた。] ッぅぁ゛あっ!!…ッン、 は [ その声に、また肌が粟立つように震え、 掻き抱かれた体ごと溶けて、 本当にひとつになれたらいいのに、 なんて頭に浮かんだ思考を 瞳に乗せるとぼろ、と涙が溢れた。 切迫した声が、言葉が、響いて、 己のものではないような 喘ぎ声が、息遣いが止まなくて。 それを口づけに掬われて、 呼吸すらすべて、共有するように繰り返した。 何度も何度も頷きながら、高まりに、 襲う、快楽の波に体を委ね。]] (*62) 2020/09/22(Tue) 0:11:42 |
【赤】 環 由人ァ゛…っ 俺、もッも…ぅ、っ だめ、イ、 ッきそ、っぁ゛、 イ、っく、いくッ………! ゔぁ、ッだ、もッ ン゛──────っ……ッ [ 中に広がった熱に腹が収縮する。 肩口に額を乗せたまま、荒い息と、 びく、びく、とした痙攣を繰り返して。] (*63) 2020/09/22(Tue) 0:12:02 |
【赤】 環 由人[ 覗き込まれた瞳は、揺れている。 ゆっくりと瞬きを二度繰り返して、 見つめ返したあと、漸く理解した。] ……ぁ…わ、かんね、… [ 小さく答えて、眉尻を下げ、 深く息を吐きながらもう一度、 肩口に顔を埋める。] ───ん。そうする…… …けどいまは、もちょっと、 …こうさせて、…… [ その熱に体を委ねた。] (*64) 2020/09/22(Tue) 0:12:41 |
【赤】 環 由人[ 翌朝目覚めたとき、その肌にまだ 包まれているのならばそっと手を添えて。 伏せられた長い睫毛を見つめながら、 ぼんやりとしているだろう。 久々によく眠れた気がした。 …久々に、長く眠れた気もした。 そのまぶたがゆっくり開いて、 朝の光に眇められ、こちらを向くまで、 じっと見つめたまま動かないでいて。 それで、一番初めに伝えるのだ。] (*65) 2020/09/22(Tue) 0:12:58 |
【人】 環 由人[ と、甘さの滲んだ朝の挨拶を。 今日は札幌のほうに行く。 オルゴール美術館に行って、海鮮を堪能して、 それからもう少し北海道の下の方。 登別にある温泉へと向かうのだ。 …昨晩は入れなかった、温泉。 時計はきっとまだ、朝食にも 早い時間を指しているはずだから。] …昨日シャワーで済ませたし、 ざっと温泉に浸かってから、 朝飯食いに行かない?せっかくだし。 [ そんな誘いをかけて、笑った。]* (56) 2020/09/22(Tue) 0:13:45 |
【人】 環 由人[ 一人きり、眠る夜はいつだって 寂寞に苛まれて、どうしたって 孤独に抗えなくて、痛くて。 和らげてくれるのは、ただひとつ、 誰ともなく落ちる柔らかな、 ラジオのパーソナリティの声だけ。 そんな日々をずっと、過ごしてきた。 一度、したと思っていた恋が、 独りよがりで無意味だったと知った あの日からずっと、なにかと理由をつけて きっと、好機を自分から掴もうともせず 手を伸ばすことも諦めていた。 ずっと。] (79) 2020/09/23(Wed) 0:11:35 |
【人】 環 由人[───あの日、差し出してみた手は、 そういう好機だとは思っていなかった。 ただの───気まぐれで、好奇心。 曖昧にしていても許されるあの場所を くれた人に、なんとなく、どこかで、 恩返しのような気持ちもあったのかも しれないけれど、わからない。 ただ、あの日の己がいなければ、 いまこうして、多幸感に満ちることは なかったし、これから先、 長い道のりを歩いていくことへの 不安も尽きなかっただろうけれど。] (80) 2020/09/23(Wed) 0:12:09 |
【人】 環 由人[ 二人で浸かった温泉。 昨晩薄明かりの下でみた その裸体は、陽の光の下だと、 あのときよりもしなやかで、白く見えた。 提案に、いいなーと頷いて、 蟹はしゃぶしゃぶがいい、と返したり。 ヒグマなんて、見たことないかも、と 思い浮かべるのはツキノワグマで、 こう、なんか模様があるやつ?と聞いたら ちがうと否定されたり。] (81) 2020/09/23(Wed) 0:13:00 |
【人】 環 由人[ そんな今日明日の話を繰り返している中、 落とされたWこれからWの話に、 そっとそちらを見つめた。 視線は合わない。 どこか、不安げに揺れて、 乳白色に注がれたまま。 まつげの先にともった水滴が見えた。] (82) 2020/09/23(Wed) 0:13:22 |
【人】 環 由人───そうだなあ、 ……あの時間、も結構好きだったし、 なんていうか……夜の時間? 誰も、起きてないような、気もする 静かな中で二人、向かい合えるのが、 ───こう、特別な感じは、してたんだけど [ 視線をそらして、膝を抱える。 そっと同じように水面に落として、見つめ。 ゆらゆら、揺れる。 湯気が立って、空気に溶けた。] (83) 2020/09/23(Wed) 0:13:51 |
【人】 環 由人雅治が、あの店大事なのも知ってるから、 …そんな簡単に、「そうしなよ」 なんていえないんだけど、さ。 本音だけ、いっとくと、 ───もっと、一緒にいられるなら。 ……昼も、当たり前に、 「普通」に雅治といられるなら、 おれはそれも、嬉しいし 特別、じゃなくて「当たり前」に なるのって、幸せだなって思うよ …そうなれたらなって、思う。 [ そこまで伝えて、また息を吸う。 ゆっくりと彼の横顔を見つめた。] (84) 2020/09/23(Wed) 0:14:13 |
【人】 環 由人でも、急がないから。 だって俺たちのWこれからWはまだ はじまったばかりなんだし、 ずっとずっと、続いていくって そう信じてるから───さ。 いっしょに考えよ。 [ そう微笑みかける。 なんとなく照れ臭くて、少しだけ 耳が熱かったけれど、それは 熱い温泉のせいにしておこう。] (85) 2020/09/23(Wed) 0:14:34 |
【人】 環 由人[ 旅行は、まだ続く。 決められた日程だけ、 終わればまた日常へ帰る。 だけど、俺たちの日常は続く。 「ひとり」と「ひとり」じゃない。 WふたりWの日常が続いていく。 口下手で、不器用で、 うまく伝えられるかどうかは これから先もわからないけれど、 それでも、伝えていきたい。 橋本雅治というひとに出会えた喜びを。 そのひとと共に生きていくこれからの 道のりへの、期待を。 そして、これからその道に立ちはだかる 山々もきっと、手を取り合って、 乗り越えていければいいと思う。] (86) 2020/09/23(Wed) 0:14:59 |
【人】 環 由人[ 特別なことなんてなくていい。 俺たちにとってのW普通Wを なんてことないことに。 今までずっと、W異質Wに カテゴライズしていたものを W当たり前Wに思える日々に。 そしてそのW当たり前WやW普通Wに 深い幸せと喜びを感じられるように。] (87) 2020/09/23(Wed) 0:15:55 |
【人】 君と共に 環 由人[ 生きていく。 エンドロールが終わるまで。 俺たちなりの、ハッピーエンドに向かって、 たぶんぐねぐね曲がっためんどくさい道を、 手を取り合って、永遠に。]** (88) 2020/09/23(Wed) 0:16:35 |