人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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視点:


【赤】 片連理 “椿”

[草の中に倒れ込んで、そのまま暫く動けずにいた。そのうち、“声”すらも嗄れ始めて、微睡に襲われかけたとき、空気の震えを感じた。誰かが、呼ぶ声がする。

 眠りに落ちようとする瞼を強いて開いてみたが、急に差し込んだ光の重さに耐えきれず、思わずぎゅっと目を閉じた。再びゆっくりと、ほんの少しだけ目を開ける。辺りは光に掠れてよく見えない。ただ、慣れたような、懐かしいような匂いがした。同時に、あたたかく、心地よい圧迫感。]


  …………。


[微かな息はまだ、喉を震わせることはできなかった。だから代わりに、そっと囁く。]
(*1) 2023/03/12(Sun) 12:54:30

【赤】 片連理 “椿”

[忘れた日なんか、という言葉には小さく首を傾げる。あの後すこし眠って、そこで世界が小さく折り畳まれるような感覚を得た。夢と夢との境目、もしくは目覚めの前兆だ。赤薔薇の国でも同じように感じて、気がつけば見知らぬ場所にいた。握っていたはずの薔薇の紋章は、いつの間にかなくなっていた。

 この夢は、ここで終わり。
 そう思うと、少し寂しい。
 彼は探しに行くと言った。
 だからきっと、また会える。

 声が聴こえたのは、そんなことを思いながら目覚めた直後だった。]
(*4) 2023/03/12(Sun) 18:21:05

【赤】 片連理 “椿”

[問いかけにはゆるく首を横に振る。まだ身体中が錆びついたように動かなかった。

 一体いつからここにいたのだろう、随分長いこと眠っていたような気もする。どこからどこまでが夢なのかも、もうわからない。もしかしたら、何もかもが夢の中の出来事だったのかもしれない。そういえば、踊るカラフルな動物に囲まれる夢も見た。

 自分の手をちらりと見やる。まるで枯れ枝のようだ。全身が乾いてひび割れているような気さえする。気がついてしまうと、急に渇きに襲われた。咳き込もうにも体は動かない。乾ききった唇が、陸に上げられた魚のように力無く動いた。]**
(*5) 2023/03/12(Sun) 18:35:54

【赤】 片連理 “椿”

[わずかな言葉が頭の中をぐるぐると巡るばかりで、他には何も考えることはできなかった。
 その感触はよく知っているはずなのに、記憶はどこか遠く曖昧で靄がかったようにも感じられる。それでも、冷えた身体に伝わる熱にやすらぎを覚えた。

 水が身体に染み渡る、気がした。
 固まっていた身体が少しずつ動かせるようになってくる。
 自分が“生きている”と感じたのは生まれて初めてだったかもしれない。

 痩せた指は大きな手を求めて彷徨う。触れたならばそっと指先を絡める。]


  
……ありがと



[ほとんど吐息のように、彼女はつぶやいた。]**
(*8) 2023/03/13(Mon) 8:50:10

【赤】 片連理 “椿”

[語りかける声は優しく、穏やかで。彼にそのような安らぎが訪れたことを嬉しく思う。

 この場所にきてもうどれだけたったのだろう。
 はじめは、二人だった。やがて、ひとりになった。

 ひとりでいることはさみしくて、かといっていなくなってしまうこともできなくて、そのうちにどこにも行けなくなってしまった。

 ここでたくさんの夢を見た。
 こわい夢も、わるい夢も、とてもたくさん。けれど、最後の最後に、あたたかい夢を見ることができた。そして今、夢から覚めても、まだあたたかい。

 あとどれだけ自分は生きていられるだろう。少しでも長くいられるといいと思う。そのために、できることはなんだろう。]
(*10) 2023/03/13(Mon) 17:12:42

【赤】 片連理 “椿”


  あのね、


[首をすこし傾けて、声が彼の耳に届くように顔を向ける。]


  おなかがすいたの。
  たまごがたべたい。
 
(*11) 2023/03/13(Mon) 17:13:29

【赤】 片連理 “椿”

[“食べるということは、生きることと同義です“
 夢の中の自分がそう言った。

 きっとそうなのだ。どうあれ、食べることは生きることに繋がっている。

 だから、まずはここから、はじめよう。]**
(*12) 2023/03/13(Mon) 17:14:06

【赤】 片連理 “椿”

  ……どうかしら。
  元々の“わたし”は、知っていたのかもしれないけれど。


[彼女も全てを知っているわけではない。自分のことのはずなのに、まるで知らない他人のような気がするのだ。]


  たぶん、いなくなろうとしたのね。“わたし”は。
  ——本当に、お馬鹿さん。


[伝わりそうにはない、曖昧な言葉で語る。
 はじめにいた“彼女”が何をどう考えたのかは椿にはわからない。
 ただ、“彼女”は“自分”を消して正しく生まれ変わろうとしたのだと思う。それに従って、片割れは正しくあろうとした。
 しかし、人間の存在なんて、そう簡単に根本から変えられるものではないのだ。だから、失敗した。もう少し考えるべきだったのだ。古い書物にすでに“それは禁術とされている”と記されていた意味を。]
(*16) 2023/03/13(Mon) 21:55:50

【赤】 片連理 “椿”


  でも、いいの。
  いまの私は、ちゃんとここにいるから。
  貴方が、ここにいていいと言ってくれるから。


[そう言って、椿は楓の頬に両手を伸ばす。今では随分、おねだりが上手になった。]**
(*17) 2023/03/13(Mon) 21:56:00

【赤】 片連理 “椿”


 ええ、ええ。ずっと——


[言い終わらないうちに、唇を塞がれてしまった。やわらかな唇も、絡めた舌も、なぞる歯列も全てがいとおしい。少し手を伸ばして、耳朶に触れる。少しずつ熱を帯びてゆくのがわかって、時折悪戯めいて引っ張ってみる。触れたところから、身体中全部が溶けてしまいそうに感じる。それは以前のようなかたちのない不安ではなくて、たましいが溶け合って包み込まれるような、あたたかさに満ちたやすらぎ。たった一人で、さみしくて蹲っていたあの頃からはとても信じられないくらいに、そう、夢のような、しあわせ。]
(*20) 2023/03/14(Tue) 8:10:21

【赤】 片連理 “椿”

[夏が終わろうとしている。

 季節は変わっても、実のところ、私は何ひとつ変わっていない。
 誰かにそばにいてもらわなければ自分の足で立っていることさえできなくて、何もかもを支えてもらって、ようやくここに立っている。

 何ひとつ正しくなくて、何もかも間違えたまま、それでも手にしたとくべつなものを離したくはなくて。ここのところはすっかり慣れてしまって、少しばかり欲張りになりすぎたかもしれない。]


  ずっと、そばにいたかったな。


[隣で安らかな寝息を立てる貴方の頬をそっと撫ぜる。さすがにそれは過ぎた望みだとわかってはいるけれど、願わずにはいられない。

 この先の貴方の旅路が、良きものでありますように。そしてできれば、せめて貴方が目を覚ますまで、私があたたかくありますように。]**
(*21) 2023/03/14(Tue) 8:12:01