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【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス「……本当に、其れを望むのならば。 今は生きるが良い、我が根城に辿り着いた最初の勇者よ。」 [ 魔王は、残された時間で一つの選択をした。 ] (*2) 2020/10/25(Sun) 22:15:43 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 掴まれた腕、身体は無理矢理に仰向けの姿勢へ変えられる。 自身の剣を拾った魔王は、刃で己の腕を切り裂いた。 顎を掴み口を開かせ、流れる血を流し込む。 その頃にはもう意識は薄れ始めていて、 抵抗しない代わり、何をされているのか正確に把握も出来ておらず 目覚めた時に教えられ衝撃を受けた。 以前、森の国で退治した魔物は 魔族の血液で人では無くなってしまった犠牲者だったから。 ──同じことをされた自分は、異形から元の姿へ戻っていたから。 ] (*3) 2020/10/25(Sun) 22:15:59 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 怒りよりは動揺が大きかったと思う。 しかし、湧き上がるものを目の前の宿敵に向けることは 自分達が繰り返した戦いの真実を突き付けられ、叶わなかった。 城に辿り着くまで倒してきた魔王の配下たちは 一体は敗退した際に負っていた重傷から既に回復、 一体は海に沈んだように見せていたが生存、 一体確実にとどめを刺していたのは能力による分身、 本体は顔を合わせてすらいない。 殺めたのはたった一体、肉体を持たない無実体種族の男。 ……それもその力で銀の武器を作り出した故だろうと、彼は語る。 ] (*4) 2020/10/25(Sun) 22:16:20 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 仲間を喪い、宿敵に助けられ、独房に囚われ、更に重ねた勝利は幻。 無力感に打ちひしがれる俺に、今度は魔王が選択を求めてきた。 処刑を受け入れるか、あの時の答えを望むか。 どちらにしても相応の覚悟をしてもらう、と。 出来ることならば後者を選んでもらいたい。 ────お前のような人間に私の代で再び出会えるとは思えないと。 鉄面皮の如く心の内は読み取れない。 だけどこの目には、語られたままが真であるように思えた。 これが処刑を先延ばしににするだけの選択だとしても、 語られた言葉とあの動揺の理由と、 死の淵で願った世界全体に関わる答えが、俺は欲しかった。 ] (*5) 2020/10/25(Sun) 22:16:50 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 拘束されたまま牢から連れ出され、長く暗い廊下を進んだ。 雪嵐の中で見た外観通り、地下ですらも果てしなく広い。 ……既に話はしているのだろう、魔族に出会えど何も言われない。 彼らは己が王に敬意を示すように一礼し、壁を背に並び立つ。 殆どは冷たい目を自分に向けてくるが、そうではない者は 遠巻きにこちらを見て困惑しているようにも見えた。 幾つか他と雰囲気が違う扉を見つけたが、どれも目的地では無く。 歩き続け、漸く着いたかと思えばその先に階段がある。 様々な魔法で解いてゆく鍵くらいにしか代わり映えがない、 気が遠くなる道筋の終わりが見えなかった。 ] (*6) 2020/10/25(Sun) 22:17:07 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 暇潰しなどという呑気で不似合いな理由ではない、 なら、目指す先にあるものの為にするべきだった話か。 口を開いた魔王は、どこまで知っているのか問い掛けてきた。 神託のこと、御印を持った魔物と戦ったこと。 世界中を巡っても見つけられなかった情報に抱いた疑念。 既に二人以外には影一つ存在しない地下に響く声、 黙してただ受け入れた相手が口を開き、教えてくれたのは 魔族にも時折同種より強すぎる個体が生まれ、 成長の毎に暴走の危険が増してゆく、血液を与え対処する。 それは安定した「魔素」を取り入れさせるのが目的ということ。 魔素とは何なのか、何が魔素を生み出しているのか。 この身体は既に人間とは呼べない、そんな非情な現実と。 教会が何の為に長年勇者を育ているのか、 何故我々は永遠の如く争い続けているのかも。 ] (*7) 2020/10/25(Sun) 22:17:32 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 鈍器に殴られたような衝撃だった。 考えるより先に出た声の大きさに、自分自身が驚いていた。 身体のことは、薄々分かっていた事実を聞かされたのみ。 しかし聖木と教会を否定するような内容は、 まるで世界そのものが嘘偽りだと言われたように思えたのだ。 魔王はただ、証拠はこの先にあると語り、錆びた扉を開いた。 行き止まりにしか見えない石壁に魔王が炎を放つと、 見る見る内に形を変え、灰色のアーチが生まれる。 手が震えていたのは怒りか、目にしたもののせいか。 ] (*8) 2020/10/25(Sun) 22:17:50 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ ────潜り抜けた先にあったのは 世界一つを空ごと閉じ込めたような光景だった。 一気に広がる視界、見下ろした先には遺跡のような場所。 材質不明の建造物は、無数に伸びる灰色の塔が特に目を引く。 それと同色の地面と異様な形の金属の塊のようなもの。 どれもこれも崩れひび割れ潰れ、どうしようもない程に朽ち果てていた。 拘束を外された後、竜に姿を変えた魔王の背に乗せられ降りてゆく。 彼が「旧き時代の文明跡」と呼んだ此処には、 確かに生物の気配は少しもありはしなかった。 ] (*9) 2020/10/25(Sun) 22:18:25 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 上界よりも温度が高く、雪も氷も見当たらないのは そもそもあの環境は魔王の父、初代王の力によるものだから。 それは、ヤドリギの根と人類の侵攻を阻む為に施された。 あちこちに転がっている塊は「戦車」の残骸。 移動手段であり、武器でもあった。 かつて戦いに優れた者達が乗り込み危機に立ち向かったが、 勝てるのは魔素に影響されていない彼らの同族相手くらいだった。 此処の建造物は塔ではなくビルと呼ぶのが正しい。 この時代の文明は現在より遥かに優れ、 恐らく人類領の地下にも同じような遺跡とビルがあるだろう。 彼自身も知り得ない時代の遺物について、 沢山教えてくれた、入れそうな建物の中も見せてくれた。 枯れ果てた植物のようなもの、 神託の部屋で見たそれによく似た様々な形の用途不明の箱。 最早互いの立場のことなど、俺の頭には無かった。 ] (*10) 2020/10/25(Sun) 22:18:45 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 何を見ても、どんな話をしても歩き続けていた魔王。 彼が漸く足を止めた建物はビルでは無いが高く、広大な敷地を有す。 そして異様な程に倒壊していた。 門には文字が刻まれていた名残が見えるものの、読み取れない。 だが、入り口の上に彫られたエンブレムは 女神の教会と同じ、実のついた枝を咥えた鳥を模した──── ] (*11) 2020/10/25(Sun) 22:19:02 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ ヤドリギは旧時代、予兆無く大国の首都に出現した超常的植物だ。 周囲では奇妙な現象が起き、動物が異形に姿を変えた。 精神がおかしくなる者、説明出来ない異能で仲間を殺してしまった者。 影響は人類にも及び、その木は平穏を吸い上げ更に高く伸びていった。 伐採に焼却、空を征く乗り物による爆撃まで試み、全て失敗。 異物に傷一つ付けることは叶わなかった人類だったが 世界中から集められた研究者達は、ヤドリギの力の解明に至る。 ────これこそが「魔素」であった。 対処法ではなく、正体。それだけの研究成果が生まれるまでの間に、 数多の人命が喪われ、魔素による現象は既に世界中で起きていた。 ヤドリギを消滅させるのではなく、適応し、そして利用する。 危険思想のグループもまた、生まれていた。 研究者は呑気で何も出来なかった存在、彼らのほうが未来を見ている。 絶望のあまりそんな思考で同調する人々も、着実に増え続けて。 ] (*12) 2020/10/25(Sun) 22:19:34 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ そうして人類は、駆除されていた異形を参考に罪人を材料に。 異形と同じ生物を作れるようになれば、罪なき人々すらも生贄に。 更に多くの魔素生物、そして魔素種族を生んでしまった。 力無き者が異能の存在を生む、その先には滅びしか無かった。 超常の木が同じ未来を齎したとしても、寿命を短くしたのは人類だ。 思想により分かたれた同族同士での争いにより、 ただでさえ消耗していた彼らは、為す術もなく。 生き残り今の時代へ命を繋いだのは、 微量でも魔素を取り込み、形を変えないまま恩恵を得た者達と、 対して変わり果ててしまった魔素種族に────今は教会を名乗る彼ら 魔素による力、魔法で都市そのものが沈められたのが、遺跡。 手遅れの者を確実に隔離し、外側の人々を助ける為 世界各国で同じことが行われたという。 ] (*13) 2020/10/25(Sun) 22:19:53 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス魔を打ち払う為にヤドリギが生まれたのではない、 ヤドリギが魔を作り出したのだ。 人類は歴史を忘れ、かつての同胞と争いを続けていた。 “彼ら”による口封じと脅威の排除という目的だけを、継承しながら。 (*14) 2020/10/25(Sun) 22:20:49 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 嘔吐した自分を支え、魔王は鳥のエンブレムの建物から離れてゆく。 道のあちこちに、建築材の破片に紛れて落ちている植物は 幾つかの建物の中にあったものと同じ、 枯れ果てても形を保った、球体のような──── 城へと戻った後に通された、あの雰囲気の違う扉の部屋で 初代王の日記の写しを見せられ、時代の結末を教えられた。 更に遺跡から発掘したという、 長年復元を試みているらしい箱、「機械」 それと研究資料と思われる古びた紙片を見せられた。 女神の子であった自分に真実を受け入れさせる為だろうが、 未知の多い遺跡で見た、幼少からよく知ったその形こそが 何よりの証拠となり、既に心は決まっていた。** ] (*15) 2020/10/25(Sun) 22:26:39 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 先代魔王メフィスト。 彼は今にも息絶えようとしている敗者の言葉を聞き入れ、命を救った。 メフィストが知る人類は盲目的で、排他的で 善悪の境界を明確にせねば気が済まない、 旧き時代を忘れ洗脳された、どこまでも人間の善性を信じる者達。 幾度使者を送れど、ただ一人として帰って来なかった。 用意された話し合いの場は全て戦場だった。 父王の代で魔族は既に人類を諦め、 彼らと同じように同族を庇護し、宿敵を見定めた。 ついに首元へ迫るまでに育まれた勇者は結局、その力には届かない。 届かなかったからこそ、メフィストを驚愕させることを口にした。 ] (*16) 2020/10/26(Mon) 19:02:31 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ メフィストは隠された旧時代の遺跡へと降り立ち、 そこにある全てを見せ、世界の真実を女神の子たる勇者に告げる。 酷く動揺した勇者を城へ連れ帰ったメフィストは、 絶望し自ら首を差し出してくることも覚悟していたらしいが。 ] (*17) 2020/10/26(Mon) 19:02:45 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクスつまり俺達がしていたことは、 化け物の討伐なんかじゃなくて、理由も知らないただの戦争だった。 色んな不都合を隠してしまった奴らはいるけれど、 どこにも正義は無いし、悪だと決めつけるのも難しい 簡単に解決出来ないような理不尽が重なり、作り出したのがこの世界。 ……そういうこと、だな。 [ むしろ俺は、全てを知ることで生きる気力を手に入れていた。 ] (*18) 2020/10/26(Mon) 19:03:06 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクス魔王、お前…… いや、あなたとあなたの民は人類を数え切れない程に殺めた。 俺の大切な人達も含めて、だ。 しかし、それはこちらも変わらない。そして力の差は圧倒的だった。 それでもあなたは俺に誠意を見せた。 [ 既に人間ではないことと、何の為に勇者にされたのか それだけを指摘し深く心を砕いて殺す、その選択も出来たのに。 憎しみよりも、新しい可能性を選んだ。 ] (*19) 2020/10/26(Mon) 19:03:36 |
【赤】 ヤドリギの勇者 フォルクスそれは世界を救うなんてことじゃ、きっとなくて 多分沢山の人達を絶望させてしまうと思う。 新しい不幸も生まれるのかもしれない。 言い訳なんて出来ない、皆に恨まれる裏切り者になるんだろう。 でも、どうせ死ぬ為に生きてきたのなら…… [ 正義など、無いのならば。 ] (*20) 2020/10/26(Mon) 19:03:55 |
【赤】 裏切りの勇者 フォルクスあなたの元で、もう少し足掻いてみたい。 [ 魔族の脅威になり得る勇者の代替わりを終わらせる為に、 これ以上無知なる被害者が生まれない為に、 教会による世界支配を終わらせる為に、 ある筈の人魔が争わずに済む未来を見つける為に。 対極であった両者の心は、既に同じ道へ向いている。 これが大切な仲間を殺した男に忠誠を誓った理由。 世界を本当の姿に戻す為に裏切り者になった経緯。 ] (*21) 2020/10/26(Mon) 19:04:47 |
【赤】 裏切りの勇者 フォルクス[ 人類、ましてや勇者を迎え入れるという王の意向に 当然反発と不安の声があがった。 初代王の生前を知る者は既にその息子の魔王のみ。 旧き時代は魔族にとっても、御伽噺にも近い現実感の失せた過去。 生きる為に戦い、血肉を喰らい命を繋ぐことこそが彼らの意味。 永き戦争に一方の滅び以外の終わり方を求めるのは、 綺麗事の夢物語のようにしか思えなかった。 しかし、王を守ることもまた、魔族の意義であった。 敵を定めることで一つになっていたのは、人類だけではなかった。 目的を共有し、隣で武器を取り 同じ御方の命で動くことにより受け入れられてゆく。 ] (*22) 2020/10/26(Mon) 19:05:03 |
【赤】 裏切りの勇者 フォルクス[ 各地に隠れ住む、背信の烙印を押された反教会派の人々を探した。 その者達は人も魔も忌避し静かに生きることを望んでいたが、 痣を見せて自身の体験と教会の真実を語れば、 ある程度の協力を望むことが出来た。 自分が生きている限り生まれない筈の新しい勇者に出会った時、 説得を試みた結果逃してしまい、教会に裏切りを知られたのは失態だ。 教会に新たな嘘の筋書きが加わる。民が魔族に耳など貸さないように。 人類だけが武器を振るっていたのではない。 どんな考えがあろうとも、魔族の歴史もまた血に塗れている。 “血を流さず言葉で全てを解決する“笑える程の理想論。 元より無かった可能性は、ゼロに等しくなってしまった。 ] (*23) 2020/10/26(Mon) 19:05:30 |
【赤】 裏切りの勇者 フォルクス[ 背信者の数は、教会と争うにはとても足りない。 魔族という戦力を投入すれば、説得力が消える。 教会に攻め入らねば真実を明らかに出来ない、 しかしそうするには勇者を生み出す教会を止めねばならない。 数多の矛盾が足止めとなった。 激しさを増していった人類の攻撃、戦いの負担も比例した。 根の破壊を試みるにも、人類は当然強く抵抗し各地で争いは続く 長引けば長引く程勇者は強くなり、魔族の首を刎ねていった。 一人の勇者が土に還らなかったことにより、 その力を多少後退させられたとは思われるが 元より一代が十年続けば随分生きたと言われる程度の儚い存在 すぐに遅れを取り戻す、至るべき領域へと育まれていく。 見つけた種は一向に芽を出さず、 あの木だけが豊かな土の元、天を目指して伸びてゆく。 ] (*24) 2020/10/26(Mon) 19:05:56 |
【赤】 裏切りの勇者 フォルクス[ そうして裏切りから百と十数年後。 ────「最後の勇者」が生まれてしまった。 圧倒的だった。 まだ少年時代の面影を持った齢で、たった一人で魔王領に踏み込み 阻まんと立ち塞がった幹部は、ほぼ壊滅。 生き残ったのは自分と、鎧の如く堅い身体の獣人 それに元より能力が戦闘向きではなく前線に出ない参謀のみ。 竜族リヴァイアサンは、王を守る為に命を賭け、没した。 王妃となる前は戦場で牙を振い女将軍と呼ばれていたという。 凛として聡明で多くを語らない、夫たる方によく似た性格だったが 最期に撤退の命に従わない頑固さを見せた。 ] (*25) 2020/10/26(Mon) 19:06:15 |
【赤】 裏切りの勇者 フォルクス[ そして、既に敗退し勝ち目の無い生き残りの配下達に 死するまで仕えることを決して許さずに、 城から離れた人狼の隠れ里へ転移させたメフィストもまた。 ────今思えば あの方にとって、それも計画の一つだったのかもしれない。 世界を救わんとするような、魔王らしくない気持ちもあったのだろうか それ程に「奴」は異常であったから。 ] (*26) 2020/10/26(Mon) 19:25:24 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 400年目の記念式典、聞こえでは長く続いているように響くだろう。 しかしこの地はかつて、魔王が討たれた後に激しい戦いが行われ、 明らかになった真実により、再興の声すら十年以上出ることはなく ヤドリギ諸共永遠に封印されるかと思われていた。 聖都が忌まれたからだけでなく、世界が変革を迎えていたことも要因。 新しい形で都が動き出してからも、 条約の取り決めや対談ではなく祝の為に各国のトップを集める場は、 中々に実現が難しかったらしく、ごく近代から始まった試みだ。 現在も開催は毎年ではなく、世界情勢により中止になることもある。 更に魔族の出席が許されるまでには時間がかかった。 硝子の破片を怪我をせぬように拾い上げ、形を整え繋ぎ合わせる。 人類が現在している苦労は、そういったものかもしれない。 教会がしていたことはただの悪と断じられるものではない。 その威名が崩れ落ちたことによる不利益も、確かにあった。 ] (51) 2020/10/26(Mon) 23:30:35 |
【人】 魔王軍幹部 フォルクス[ 人類の王侯貴族達と並び、用意された席に腰を下ろしている姿を 距離の離れた場所から他の幹部らと共に眺めていた。 それでも自分達は、広場の中にいる。 厳重な警備により、民の立ち入りは許されていない。 しかしその外側から式典の様子を見ることは出来る。 拡声魔法により、声も届くだろう。 我らが王同様の、戦争を知らない人類達は どのような気持ちでこの光景を見ているのだろうか。 同行する度にこの時間、同じようなことを考えている。 ] (52) 2020/10/26(Mon) 23:30:55 |
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