【人】 微睡む揺籃 アリア――メイベル城―― [ 夢想するだけでしかなかった場所へ訪れることが出来た歓喜のひと時、けれど眼前の彼女とそれを分かち合うことはままならなかった。 この世界の存在であるメイベルにしてみれば、 言うまでもなく当然のことだったのだろうけれど。 あぜんとした様子だったのはほんの短い間。>>155 瞬時に冷えゆく気配、そして声。>>156>>157] ……手っ、て? [ そちらを見た時には、銀狼の姿が私の視界いっぱいに広がるかと思えた。平和な現代社会とはまるで違う状況の急変に私の身体は反応出来なかった。 ――ごく一部を除いて、だったけれど。] (160) 2020/10/20(Tue) 1:18:58 |
【人】 微睡む揺籃 アリア[ 思考に等しい反応速度で親指が動く。 左へ押し、僅かに上、右、右下へ動いて、右。 実機なら間違える可能性もあろうけれど、 スマホなんて存在しないこの世界で入力ミスはありえない。 一連の動作に要した時間はコンマ1秒に満たなかった。] 「待て!」 [ 記述が生まれ、事態が描写される。 私の手首を食いちぎろうとする獣の顎。 それが閉じ始める瞬間を写真で切り取ったように銀狼は動きを止めていた。マルコシアスと呼ばれたその魔獣だけでなく、他の何もかもが。] (163) 2020/10/20(Tue) 1:20:03 |
【人】 微睡む揺籃 アリア私を、どうしますか、メイベル。 本当に、私はあなたを殺そうなんていう気は無いの。 たった今襲われかけたけれど、今も、本当に、よ。 もう一度襲いかからせても、きっとまた同じこと。 そうして、同じ言葉を私は言うと思うの。 [ 私をどうするつもりなのか、まずはそれを探ろうと。 交渉のカードとしては心許ない一枚きり。 今、彼女の信頼する魔獣の攻撃を避けてみせたという。 けれど、まだ山札は充分に残っている。 次に引き当てる一枚がメイベルにとって有効な札かもしれないのだし。あるいは、彼女が提示する一枚が。]** (166) 2020/10/20(Tue) 1:28:11 |
【人】 微睡む揺籃 アリアそう……いい子ね。 お腹、触らせてくれる? [ しゃがみ込んでそう尋ねる。 すると、艷やかな銀の毛並みをした魔獣は私――アリアの身長よりもずっと大きな体躯をごろりと横倒しにする。無防備な腹部をさらけ出す様子は最前の襲撃を憶えてさえいないかのよう。 ゆっくりと撫でてあげると、少しずつ気持ちよさそうな声を上げてくれるようになっていった。] ……これくらいで、証明は良いかな、メイベル? 良さそうなら、命令を解いてあげるね。 だけど、マルコシアス。 今のことはちゃんと憶えていて。 元々の、あなたの主人に従うように戻っても。 私を襲わないでいて。 (173) 2020/10/20(Tue) 2:13:52 |
【人】 微睡む揺籃 アリア命令ではなくて、これはお願いなのだけど。 ……私はあなたを襲わなかった。だから、あなたも。 [ 銀狼へそう言い聞かせて、 メイベルに確認を取るように一度見つめる。 そうしたのちに、私は、 「よし」 解除の合言葉を口にするのだった。]** (174) 2020/10/20(Tue) 2:14:42 |
【人】 微睡む揺籃 アリア 私は……メイベルの側に、ずっと居ます。 [ 勝手に唇が動いてそう声を紡ぎ出した。 小さく目を見開くけれど、時すでに遅し。 その制約を受け入れた証というように、ちくりとした痛みが 左胸の上あたりに閃いた。] ――っ、!? [ 気づかれないよう息を詰めて反応を隠そうとしたものの メイベルには容易に悟られてしまうだろう。] (185) 2020/10/20(Tue) 10:27:02 |
【人】 微睡む揺籃 アリアでも……ひとつ、だけ。 質問、しておきたいの。 答えは今じゃなくていい、もっと後で。 [ 生まれた痛みが何なのか確かめるよりも、 投げかけておきたい問いがあった。 一度瞼を閉じ、見開くと共にメイベルを見つめる。] (186) 2020/10/20(Tue) 10:34:26 |
【人】 微睡む揺籃 アリア「私を、好きになってくれますか?」 [ 問いかけは記述ではなく、何かの変化を強いはしない。 ただ彼女の中に刻みつけるだろう。 私が投げかけた言葉の奥底まで至らせようと。 今一時の感情ではなくて、いつまでも変わることのない 最終的な結論を求めているのだ、と。]** (187) 2020/10/20(Tue) 10:34:58 |
【人】 微睡む揺籃 アリア――出会いから一週間後―― >>204どうして私がメイベルを知っていたか、ですか? それはですね、―― [ 「嘘を禁じる」という強制力は解けていたけれど>>188、 つとめて飾ることなく、事実のままを語るように心がけていた。 数日が過ぎて、尋ねられた事柄>>204へも同様に。 この世界を私が知っているのは、元居た世界で 創作の物語として描かれていたのが発端なのだ、と。 とある作者が居て、この世界の有り様を記述し、描写し、 その読者達から支持を得ていった結果、 多くの二次創作まで生まれることになった。 コミックやアニメといった展開にも説明は及んだろう。 幻術魔法の存在する世界だから、理解してもらうのはそこまで 難しいことではなかったと思いたい。] (241) 2020/10/20(Tue) 23:13:43 |
【人】 微睡む揺籃 アリア 私の世界、は。 うぅん……、ひとことで言ったら、技術が発達した豊かな世界。 もちろん、貧しい国とか地域とかもあるけど。 私が生まれたのは、かなり豊かで自由な国だったんだ。 魔物とかは元から居ない……たぶんだけど、 大抵の人はそう思ってるし、ね。 [ ひとつの疑問が胸の中で浮かぶ。 ここは本当に、作者さんが創作しただけの世界なんだろうか。 それとも元から別個に存在して、その様子が何かの理由で あの原作とそっくり一致していたんだろうか。 確かめる方法も、確かめて得られるものがあるかも、 分かりようのない事柄だったけれど。] (242) 2020/10/20(Tue) 23:14:32 |
【人】 微睡む揺籃 アリア――出会いから一週間後・2―― >>205[ 「側にずっと居なさい」 思っていたよりずっと強いものだった。 メイベルの姿が視界にないと、落ち着かない気持ちになる。 メイベルとは別の方向に行こうとすると、足取りが重くなる。 その逆もまた真だった。 私の意志とは別のところで感情が動かされているみたいに、 ほっとしたり満足したり、そんな気分が生まれてしまうのだ。 感覚自体は快くても、どこかもやもやした気持ちになる。 一番それを感じるのは夜、眠る時間帯のことだった。] もー! 服、着てってば! 私、昨日もそう言ったのに。 [ 独特な形をしたベッドの上で大きなクッションを抱いて、 私はメイベルを睨んで言う。視線の先には裸身のままの彼女。 何ひとつ恥じらう様子もないのがまた腹立たしかった。] (245) 2020/10/20(Tue) 23:36:18 |
【人】 微睡む揺籃 アリア……いつも。 あなたは、そうなんだから。 なんにも人の気なんか知らないで。 [ 数秒見つめた後で、視線を落としてベッドを手で撫でた。 ふわりと柔らかい素材は大蜘蛛の糸なのだという。 最初に触れたときはシルクのような手触りだと思ったけれど、 それとも少し違う風合いがあった。 私が身につけているのも同じような素材のネグリジェだった。 飾り気はないけれど着心地は良くて、とても軽いのに暖かだ。 いや、問題はそこじゃなくて。] ……メイベル、は。 ……裸でないと、寝られないの? [ 「側に、ずっと居ます。」 >>185そう応えた言葉がどう作用したのか、出来るのであれば もっと近く、密着するくらいに近く――と。 私の意志とは違う欲求が生まれてしまうのだ。 もしかしたら私の意志なのかな、って感じてしまうくらい、強く。] (246) 2020/10/20(Tue) 23:38:13 |
【人】 微睡む揺籃 アリア――出会いから一週間後・3―― >>206[ さて、そういった事々はひとまず脇によけて、現在。 私の中でふと浮かび上がった疑問>>242をよそに、 浴場となる泉内へ歩いていくメイベルの姿があった。 彼女から離れていくのは自由なのだから勝手なものだ。 といって、見えなくなればなったで、私は 母を求める子供みたいに追いかけようとしてしまうのだけど。] ……もう。いつも先、先、行っちゃって…… [ はぁ……とため息を吐いてキャミソールを脱いでいく。 彼女はこの城の主であり、ここに棲まう魔の眷属たちはみな 彼女が生み出したものばかりだという。 裸を晒すことに何も恥じらう必要もないのだろうけど、 私は違う、というのに。 広い空間を見回して、他に誰かの目がないか気にしてから、 下着ごと、すとんとミニスカートを脱ぎ落とした。] (248) 2020/10/20(Tue) 23:53:49 |
【人】 微睡む揺籃 アリア[ はぁ……とため息を吐いてキャミソールを脱いでいく。 彼女はこの城の主であり、ここに棲まう魔の眷属たちはみな 彼女が生み出したものばかりだという。 裸を晒すことに何も恥じらう必要もないのだろうけど、 私は違う、というのに。 広い空間を見回して、他に誰かの目がないか気にしてから、 下着ごと、すとんとミニスカートを脱ぎ落とした。] ねえメイベル、背中でも流そうか? ときどきしかお風呂、浸からないんだもの。 せっかくだから、しっかり洗ってあげる。 [ 私が生まれた国での生活習慣だから、と求めれば この浴室を一人で使う機会はあったのだけど、 私一人だけだと、どうしても落ち着かなくなってしまっていた。 仕方なく入浴をあきらめる日もあったのだ。 メイベルが居る今日なら違う。 心置きなくお風呂を楽しめるかもしれない。 そう考えれば気分も上がろうというものだった。]* (249) 2020/10/20(Tue) 23:54:11 |
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