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【人】 世界の中心 アーサー僕は君を送り出すだけで、 君を守る事は できないからね。 ──危なくないだろう、って ある程度確信のある案件だけ頼んでるんだけど ほら、時々 読み違えるから。 (167) 2020/05/25(Mon) 20:53:05 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 酔わない、とは言え。 多少ばかり舌の周りが良いのは否めない。 未来視のうらがわを、ほんの少し語りつつ 赤の代わりに、薔薇の香る透明色を、 なめた。] (168) 2020/05/25(Mon) 20:53:49 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ──嗚呼、きっと、 誰よりも“大事”にしていると、 そんな自負があったとしても。 この男はこの屋敷から出る事はないし、 探しに行く事だってないんだろう。 自分のせい、で さえ、 有っても。] (209) 2020/05/25(Mon) 22:41:18 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 唯 ひとつだけ。自負ではない自信がある。 ──そのときこそ 彼女のゆめを、 ことわりなんてなく、占拠している。] (210) 2020/05/25(Mon) 22:42:44 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 帰ってこいなんて言わない。 きっと 見つめるばかりの、居心地の悪いゆめだ。 どこかの男の陰険さを表すみたいに。 ……そんなときだって、笑っていたら良い。]. (211) 2020/05/25(Mon) 22:43:37 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 冷たく聞こえていたら、それでいいと思う。 それこそ、男の中では割り切り、と言えるのか。 抱え込んだ理由なんて、未だ分かっちゃいないし、 誰にも説明できやしない、“偶々”の 何かだ。 ひとつの 鉄砲玉のよに、使い切る気にならないだけで。 有象無象の だれか みたく、 死んでいく未来を 見たくないだけの話、 で。] (213) 2020/05/25(Mon) 22:44:49 |
【人】 世界の中心 アーサー* [ 結局、寝たのだったか。 まあるく、真白の真ん中に沈んだ彼女を 動かす気にもならず、 ソファに背中を沈めてしまったまま、 その横顔を眺めていた。 いつのまにか、カーテンの向こうは明るく、 使用人の動き出した気配もある。 すこしくらい意識が飛んでいたのでは無いか とは 記憶のないうち、思うけれど。] (214) 2020/05/25(Mon) 22:47:08 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 朝を知らせる執事のノックに、 主人は小声で答え、朝食を部屋に運ばせている。 揺り起こすのは、この男じゃあなく、 温かなパンと、 苦手だというポタージュスープの、 朝を伴う 食事の香り。 ──朝から食べないタイプの主人は、 空いた胃に紅茶を流し込むばかり。] (215) 2020/05/25(Mon) 22:49:46 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 具のない、どころか全てが具と言ったって良い、 野菜をそのまますりつぶしたよな スープ。 いつもいつも濃い と言われるので、 薄めの、と注文をつけた過去は有っても …結局此処に居るものたちは知らないから、 おんなじになんてなりそうも無く。 ──嗚呼、そうだ。 ふつうのひと、と言えばきっと使用人が近い。 休みはどこに行くのか聞いてみよう。] (244) 2020/05/26(Tue) 1:44:00 |
【人】 世界の中心 アーサー[ …リドルの家が特殊であることは、 主人の頭から飛んでいる。 此処の使用人はずぅっと待遇が良い筈だ。 そもそも、他の“きぞくさま”のことさえ曖昧である。 本来、厨房の使用人など屋敷では最底辺だが…。] (245) 2020/05/26(Tue) 1:45:22 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 喉の奥で笑っている。 …似合わない、とかではなく! 流石に先の丸いバターナイフを使おうものなら、 切るよりも 引きちぎるの方が近い切れ味だろう。 起きてからほとんど体勢も変わらず、 ワイングラスのかわりにティーカップを持ち上げ、] (247) 2020/05/26(Tue) 1:46:19 |
【人】 世界の中心 アーサー( ──あのワインは不味い。 すこぅしまえ、彼女の起きる前の記憶。 主人は薔薇色に ほんのすこしの揶揄を乗せ、 昨夜の文句を 漸く語った。 ──その言葉をお待ちしておりました。 執事は笑顔で そう 答えるだけ。 ) (248) 2020/05/26(Tue) 1:47:58 |
【人】 世界の中心 アーサー[ カップの底がソーサーに触れる、かるく硬質な音。 ドレス、 ヒール、 伸ばした髪、 “おひめさま”のよに言葉を紡ぎ、 “おひめさま”のよにわらう。 ──“おんなのこ”は一度はゆめに見るという。 たしか、そんなことを言っていた。 ひとつの ドレスを仕立てたときに。] (249) 2020/05/26(Tue) 1:48:36 |
【人】 世界の中心 アーサー潜入捜査かな? ──マナーだって叩き込まなきゃならないねえ。 ほら、パンは齧らないで一口サイズに千切って、 スープだってスプーンを皿に当てず、 そう、啜ってもいけない。 サラダもフォークとナイフで切り分けて食べる。 …面倒だから、やらないけどね。 (250) 2020/05/26(Tue) 1:48:57 |
【人】 世界の中心 アーサー[ …どうにも 夢を壊していく男だ。 否、“ゆめ”の現実に近過ぎているのだろう。 人前で気取る為としか思えないマナーも、 心の奥を読ませないための話術も、 幼い頃から身近にあったし、 10歳になる頃には極めている必要があった。] (251) 2020/05/26(Tue) 1:50:21 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ──ドレスなら、有るけどね。 付け足すように 呟くように、 “ふり”だけなら出来るだろうとでも言うのか、 仕立てたドレスのことを 語る。 奇跡のよな 青薔薇のドレス。 ──だれかのための 唯一のもの。**] (252) 2020/05/26(Tue) 1:52:06 |
【人】 世界の中心 アーサー[ すこぅし毛先を揃えて、 ──“おひめさま”の様に仕立てるには、 未だ短いけれど、 香油を髪になじませる。 自然な癖を殺してしまってから、カーラーで巻き上げ、 そのうちに白粉なんかを顔に首に叩いてしまおう。 唇と頬に朱をさせば、“ほとんど”イマドキのおひめさま。 嗚呼…香水も忘れない様にしないと。] (280) 2020/05/26(Tue) 21:55:55 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 世間一般のゆめ見るおひめさまは、 “唯の貴族”なのか、 どこぞの王妃様なのか。 次女だからといって御転婆を許されるよな、 そんな方が王妃になるような、 ……夢物語だ。 泥沼の魚を澄んだ湖に離したところで、 生きてはいけないのだから。] (281) 2020/05/26(Tue) 21:57:48 |
【人】 世界の中心 アーサー[ ──どこで聞いていたのだか。 執事の手渡す硝子には、ロイヤルブルーが浮いている。 冴え冴えとしたぶ厚い青は僅かに水を弾き、 紅薔薇よりも香や存在感の薄さを思う。 奇跡 の 色。 ──中庭の端にひっそりと、ひと株だけ咲く。 屋敷の奥に仕舞われたままの、 たっぷりと生地を纏うよな青いドレスを そのまま示すかのように。] (283) 2020/05/26(Tue) 21:58:38 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 執事の耳があるうちに、そんなことを言い捨てた。 ええ、そう。 格好良くありたいので。 マナーや話術は良いとして、 ダンスばかりはどうにも才能がなかった。 長い二本足をオットマンの上で組み、 足先を見詰めている。] (287) 2020/05/26(Tue) 21:59:50 |
【人】 世界の中心 アーサーこの青は、王宮の薔薇園にある青薔薇の姉妹でね。 …良い色なんだよ。 この色を残しておくためのものが欲しかった。 冬にも見られるように。 (289) 2020/05/26(Tue) 22:01:13 |
【人】 世界の中心 アーサー[ 誰かのサイズである事は、偶々 とも言えた。 あの日偶々、落ちていたから。 あの日偶々、“飼う”ことを決めたから。 丁度よく身の丈の測りやすい“おんな”だったから。 男にとっては彼女への贈り物である意識も有れど… “自己満足”であるのは、そういったもの。 着なくたって、其処にあるだけで良い。] (290) 2020/05/26(Tue) 22:01:43 |
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