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【秘】 朝日元親 → 風紀委員 普川 尚久「あ、そう。まあ僕も似たようなもんか……」 聞き取りに素直に応じようとしている辺りとか。 事前にそういう話だったんだから、蹴る理由もないだけだけど。 「2年から? へえ。 何を思ってそんな風に変化したかは気になりますけど。 でも僕が守屋先輩の立場なら、 聞かれたら面倒だ って思いますね。面倒と思われること、する必要もないでしょう。 余程僕にとって得があるなら別ですけど」 普川先輩の思考なんて僕は知るはずもないけど、その点に関して意見は一致しているようだ。 バカな人だと守屋先輩のことは思うけど、別に嫌いじゃない。 責め立てて『面倒な奴』と思われることの方が僕にとっては害がある。 利害がなにひとつ釣り合わない。 そんな思考を即座に回すのは、本当の僕ではなく僕≠フ方だ。 「ムカついたらつい口に出るんですよね。でも出さない方が良いのは当たり前でしょう? それを理解してる僕≠煖盾ワす。 ────ええと、それで。副作用でしたね」 眩暈に吐き気。 想定される副作用は三半規管の狂いだろう。 少なくとも僕が感じるものはそうだ。 あとはこっちは正しい作用の方。異能の強化を感じる。 嗅覚が澄まされたり、視覚が鮮明になったり、いろいろ。 そう纏めて暈した。 僕≠ェその方がいいと、そうさせた。 (-5) 2021/11/06(Sat) 23:14:34 |
【人】 朝日元親「反省文って。えぇ……」 聞かなかった事にしてもいいかな。 駄目だろうな。 「………。まあ、いいか」 外面だけでいいのなら、それらしい文章を書くのは難しくない。 2回目を飲んだことは黙っておいた方が懸命だろうとは思うくらいで、あとはサラサラ躊躇なく書き終えた。 教師の前で真面目ぶるのは得意だ。 『お手本』のような反省文を、さっさと提出してしまう。 (16) 2021/11/06(Sat) 23:22:39 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「……どうして、ですか。そうですね」 紙コップに牛乳を注ぐ。 買ってきたばかりだからまだ冷たかった。 「影響と言えば、そうですかね。 自分を大事にしろと言われました。 でもそんな事急に言われても、何すればいいか分からないでしょう?」 紙コップを先輩の前に置く。 個包装のカステラは、切り分ける必要もなく便利だ。 「好きなおやつでも食べて、ゆっくりお昼寝でもするといいそうです。 まあ、それなら。それくらいなら出来るかなと思って、今に至ります」 カステラも複数、先輩の前に置いてまた僕は椅子に座る。 どうぞ、と促した。 (-13) 2021/11/07(Sun) 0:02:06 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ反省文を早々に書き終えた僕は、談話室でぼんやり空を見上げていた。 声をかけられる前に、半身振り返る。僕は鼻が利く。 「そう。よかったね。元気そうでなにより」 もう2、3日くらい寝込んでいてもおかしくなさそうに見えてたけど。 やっぱり所詮は異能の副作用か。 目元を覆っていた怪しげな布はないのだろう。 つまりシオンの異能は元に戻ったんだろうか。 僕はそんなことを考えながら、前髪の下からシオンを見ている。 (-19) 2021/11/07(Sun) 0:16:31 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜見てくれている。 まあ、心配してくれたのはそうだろう。 できた後輩だと思う。 「やりたい事、ですか。 ……やっぱりそう言われて、直ぐには浮かびませんね」 自分の事に 無頓着 である事実は変わらない。嫌いな物は幾らでもある。 運動だってそうだし、異能だって。 そして好きな物がないわけじゃない。 でも、やりたい事なんていうものは何一つ浮かばない。 「自分で言うんですね。お節介って。 じゃあ聞きますけど、先輩はやりたい事、ありますか? 自分を大事にするために、何かやっている事って、ありますか?」 カステラを齧る。 普段食べている廃棄パンに比べ、パサつきもなく甘かった。 惰性じゃない食事を自室以外でしたのは、いつぶりだろうか。 (-26) 2021/11/07(Sun) 0:50:17 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地『普通のファミレスのランチやパフェで満足出来ないわけ?』 『っていうか何だよ、ライオンランチもハイエナパフェも』 『動物の名前ただ付けただけじゃないか』 動物園の商法に容易く引っかかってないか、こいつ。 (-27) 2021/11/07(Sun) 0:54:20 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地『敢えてキリンとかゾウとかを外すその動物園のセンスはどうなの?』 『ヤケにハイエナ推すけどさ』 『嫌いなもんは嫌いなんだよ』 『僕の1日を嫌いなもんで棒に振れってんなら話は別だけど』 あとやっぱりそのセンスの動物園、近寄りたくはないな。 (-29) 2021/11/07(Sun) 1:03:59 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地『 めちゃくちゃ連れ回す気じゃないか 』『あのさあ、今更見ただけで変わるかよ』 『それに僕はただハイエナが嫌いな訳じゃない』 『この異能を思い出すから、ハイエナが嫌いなんだ』 ハイエナの世間の評価が風評被害だって事くらい僕が1番よく知っている。 でも僕が知ってるからって、何かが変わるもんじゃないだろ。 (-31) 2021/11/07(Sun) 1:13:45 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地その返信を見て、僕の手が一瞬止まった。 『悪いけど、無理だよ』 『夜には寮に戻らないといけないから』 『ハイエナっぽいどころか、ハイエナの特性を全部持つ、が正しいかな』 『だから変化形というよりは強化系だよ』 『役に立つこともあるけどさ』 『「ハイエナのようなやつ」っていい言葉じゃないだろ。そういうこと』 (-33) 2021/11/07(Sun) 1:24:28 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地────規則ではない。 僕が寮に戻らないといけないのは、別の理由だ。 でもそれを口にする必要は無い。 こんな情けない話、誰にも言えるものか。 『やっかみだとしても』 『そうやって貶す余地がある時点でさ』 『気にするだけ無駄なのはそうだよ』 『でもだからって、嫌いだって感情をどうにかできるもんじゃないだろ?』 (-36) 2021/11/07(Sun) 1:50:54 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜紙コップを傾けて、牛乳を飲む。 合うとか合わないとかは分からない。 でも、不味くはない事だけは僕にだって分かった。 「────……」 紙コップを1度置き、先輩の言葉の意味を考える。 あの真っ白な色のない世界にいた時、周りの音は何一つ聞こえなかった。 最初に聞こえたのは3時限目の終わりのチャイム。 では1限は。2限目は。鳴らなかったはずはない。 「……そうですね」 僕は息をひとつ吐く。 考えた事が、だからどうという話でもない。 先輩の気持ちが分かるなんて口が裂けても言えはしない。 「僕も、嫌いじゃないですよ。 ここで、こうやって話す時間」 でもこれくらいなら容易く言えた。 もし嫌いなら、マイクを持つ訳でもないのにこうして放課後ここを訪れたりはしない。 (-39) 2021/11/07(Sun) 2:22:17 |
朝日元親は、嫌いじゃない≠ニいう言葉を使う。無意識に。 (a24) 2021/11/07(Sun) 2:22:40 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地『は?』 また、は?とか言ってしまった。 いや今回は、打ち込んで送信してしまった。 『今の話でどうしてそうなるの』 純粋に理解が出来なかった。 僕は嫌いなものが嫌いと、主張をしているだけじゃないか。 (-40) 2021/11/07(Sun) 2:25:18 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地考えた事のない視点だったから、また返信を打つ僕の手は止まる。 『前科者にはなりたくないからね』 少し間を置いてそんなことを返すけど、ポーズに過ぎない事は僕自身がよく分かっている。 そんなことをいちいち考えられる程、キレた時の僕が利口じゃない事は僕が1番よく知っている。 『それに自分の異能で怪我されるのは嫌だろ』 『どんなにムカつく奴でもさ』 ムカつくを通り越し、憎んですらいる相手はいた。 それでもその場で加害をしなかった事を考えると、楢崎の言葉は正しいんだろうか。 いつの間にかそんな、答えの出ない思考に沈む。 (-42) 2021/11/07(Sun) 2:43:00 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「大袈裟ですよ。 それに、僕が変わり者なんて今に始まったことではないでしょう」 事実をただありのまま、僕は口にする。 見えない先輩のことを匂いで感知できる。 それだけで他者より僕は先輩への警戒が薄いのかもしれない。 でも最初から、絶対に見つけられるなんて思っていない。 だからその約束だってできやしない。 それでもやっぱり警戒はしないのだ。 例えあの時僕の部屋に先輩がいた事を知っても、僕は不快な顔ひとつしないだろう。 それくらいには、先輩のことは嫌いじゃない≠ツもりだ。 「まあ、そう言われるのは悪い気はしません。 その調子でしたら、まだ暫く飽きられている訳じゃなさそうですね」 ただ、根には持つ。 所詮自分は『なんだ、朝日か』であるらしいので。 冗談か皮肉か分からない普段の態度で告げながら、鞄を漁ってティッシュをひとつ差し出した。 飲み終わるまで待っていたが、取り敢えず口周りは拭いておいたほうがいいと思う。 (-60) 2021/11/07(Sun) 13:35:09 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地『そう思ってたんだ、あんた』 暴走していた間のことは薄らだけど覚えている。 知られたくない異能がああも派手に知れ渡った事に絶望して、人の目を恐れて、もう全てどうでもいいとすら思っていた。 それでも他人を襲わなかったのは、それが八つ当たりだと気付いたからか。 かなりギリギリの葛藤ではあったから、そこまで詳細な機微を僕はもう思い出せはしないけど。 「……」 一言だけ返信をして、短く息を吐いた僕は、再度スマートフォンの画面を指で叩く。 『そこまで言うなら』 『動物園、行ってやるよ。1回だけね』 (-61) 2021/11/07(Sun) 13:45:56 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「近いよ、顔。 何もないから気にしないで」 覗き込まれると1歩離れた。 触られるのは実は嫌いだって伝えたと思う。 同じように、顔をまじまじ見られることが苦手じゃないなら、こんなに長い前髪はしていない。 「……そう。残念だったね」 それが悪いことじゃないと思っても、それくらいは言える。 別に同情してるわけでもない、淡々とした僕の声だけど。 「これでまた振り出し? それとも人の感情に1度共感して、何か掴めたりしてないのかな」 まあ感情って、そんなものでもない気はするけど。 でも目に見えないから、聞いてみないと分からない。 (-63) 2021/11/07(Sun) 14:04:19 |
【秘】 朝日元親 → 楢崎大地『はいはい』 それだけ打って、メッセージアプリを閉じる。 楽しい思い出になる予感は、あんまりしない。 そもそも獣臭いんだよね、動物園。 それでも行ってやってもいいかと思うくらいには変化はあった。 ここ数日の、新薬騒動のお陰だ。 僕にとっては、かなり皮肉なことに。 (-67) 2021/11/07(Sun) 14:35:33 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「気にしたところで大したものは出ないよ。 ああ、もう面倒臭いな」 また1歩引いて、前髪を上げた。 黒い瞳をシオンが見るのは3度目だろうか。 眉間に皺を寄せ、これでいい?と鬱陶しそうな視線を向ける。 「そう。まあでも、1歩進展なんじゃない? お試し体験なんてなかなか出来たもんじゃないし、経験は大事にしとけば」 これから先更に進展があるかなんて保証しないけどね。 そう呟いて、僕は目を伏せる。 (-68) 2021/11/07(Sun) 14:57:06 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「大体合ってる。 何が鬱陶しいって、僕があんたを嫌いになったところで喜ぶところかな」 無敵かよ。 僕は嘆息しながら、前髪から手を離した。 「────ああ、どうだっけ。 洗脳ってレベルまで叩き込まれたら流石にいい気はしなかったと思うけど。 ……でも、叩き込まれたものはアレ≠セしな」 その凪に僕が何を思ったか。 これは言った気もするけど、今も感想は変わらない。 「 嫌いじゃない よ、あの感じは」寧ろ気楽だと、そう思えすらした。 (-70) 2021/11/07(Sun) 15:38:15 |
朝日元親は、嫌いじゃない≠ニいう言葉を使う。その程度の差こそあれ、嫌いではないのは間違いないから。 (a28) 2021/11/07(Sun) 15:39:20 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「ちょっと。だから触られるのは嫌なんだって」 そんな些細な嫌がらせ、鬱陶しいと思っても嫌いなることはない。 僕の嫌いも憎しみも、既に1人で席は埋まっている。 シオンが負けたとしたところで、勝ったのは僕じゃない。 【絶対王者】とは、よく言ったもんだよ。本当に。 シオンの手を振り払いながら、また1歩距離をとる。 「充分つついてるだろ。物理的に。 あんたくらいだよ、そんな物怖じしないの」 変な奴だな、分かってたけど。 肩を竦めた僕の口許が、ほんの僅かに緩んでいた。 まあでも、嫌いじゃない≠諱B (-72) 2021/11/07(Sun) 16:38:19 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「されたい奴の方が珍しいんだって。 ああ、ちゃんとあんたのこと言ってるから、安心してくれていいよ」 軽口じみた皮肉を返す。 楽しそう? そうかもね。 「ありがとう。じゃあ後で登録しとく。 メッセージ届いてるかだけ確認しといて」 メモを受け取った僕は、失くさないようスマホケースに挟む。 「用事は終わりかな。 悪いね、わざわざ探してもらって」 (-79) 2021/11/07(Sun) 20:19:01 |
【秘】 朝日元親 → 俺 シオン・グレイヴズ「恩? ああハンカチか」 別に大したことじゃないのに。 「そもそも僕の暴走を止めたの、あんたの異能だし。 恩を感じるなら、僕の方だろ」 だから見舞いに行っただけだとばかり、僕は肩を竦める。 立ち去るシオンを見送って、僕はまた窓の外を見る。 飽きた頃に椅子に座って、アプリで友達申請をすると適当な挨拶を送り付けたことだろう。 (-83) 2021/11/07(Sun) 23:35:17 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「そりゃ、異能は隠してましたし。 それでも守屋先輩の事見つけられるの、部活で僕だけだったから、お節介はしましたけど」 匂いで先輩の居場所を探り当てたりはした。 でも僕はその理由は特に言わなかっただろう。 隠していたから、当然だ。 隠していたのに、探してしまった。 「……でも、そうですか。 安心しました。 卒業までは面倒見てくれるわけですね」 そう言っている僕の口調はまだ棘がある。 その理由は僕にだって分かっていない。 恩さえ感じても、当たる必要はないはずなのに。 あと半年で、こうして部室でダラダラとする日常も終わる。 「────じゃあ、来年からは寂しくなりますね」 前髪の下の僕は、拗ねた子供の様な目をしている。 (-87) 2021/11/08(Mon) 0:18:11 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜僕は考えより言葉が先に出ることがある。 口にして初めて、寂しいのだと知った。 「………。そうですね」 先輩の顔を見る。 気を抜くと行方不明になるし、頼んでもないのにお節介は焼くし。 部室のドアは壊すし、人知れず怪我なんかするし。 挙げ連ねたら、碌な事なくないか? 「先輩に振り回されるの、慣れてしまいましたし。 それだけじゃなくて、毎日こうして話すのも。 ……先輩、ちゃんと先輩だったんですね」 異能が嫌いで隅でじっとしていた僕にとって、放課後の時間はかけがえのないものだった。 どうやら僕は自分で思っていた以上に、本当にこの時間が嫌いじゃないらしい。 「でもだからって、そんなこと言っちゃ駄目ですよ。 あんまり甘やかして僕が図に乗ったらどうするんですか」 本当に、図に乗りそうだ。時既に遅いかもしれない。 先輩を見つけられるのは何も僕だけじゃない。 鏡沼にだって無茶してやろうとすれば出来るのだと証明はされた。それなのに。 「 ……嬉しいんですよ。そう言ってもらえて。 どうしてくれるんですか、先輩 」非難するように呟いた。 別に先輩の横にいるのは僕じゃなくていい。 飽きるまでで、構わないはずだったのに。 (-90) 2021/11/08(Mon) 2:30:40 |
朝日元親は、この嬉しい≠ヘ、無頓着な僕も気付いていなかった、僕の気持ちだ。 (a31) 2021/11/08(Mon) 2:31:31 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜音にならない声で、僕は何事か呟いた。 聞いたのは僕なのに、聞き返すなんて有りかよ。 そんなに僕の言葉で聞きたいのか。 変わり者はどっちだよ。 「……なら、甘えますよ。幾らでも。 先輩が飽きるまでなんて、もう言いません。 先輩が言ったんですからね。知りませんよ、僕は」 図に乗るとも言った。 それなのにどうして欲しいか聞いてきたのは先輩の方だ。 そうでなくてもそもそもだ。 先輩が僕なんかに構うから。 僕は地味に目立たず華もなく、滞りなく学生生活を終えれればそれで良かったのに。 そんな日々が、日常になってしまったのも。 いなくなると寂しいと思ってしまうのも。 僕がこうして図に乗るのも。 全部全部、先輩のせいだ。 「僕が飽きるまで、傍に居てもらいます。 一応添えとくと、ハイエナって執拗いんですよ。 覚悟してくださいね。先輩が言い出したんですから」 嫌いな異能だけど、この異能は先輩の役に立つ。 それにだけは感謝を覚えていた僕だけど、今この時ばかりはその異能を盾にする。言い訳に使う。 (-100) 2021/11/08(Mon) 20:54:35 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「もう遅いですよ、先輩。 逃げるつもりなら、止めませんけど」 精々自分の行いと発言を悔いたらいい。 僕、性格悪いんですよ。 「まあ、逃げたところで追いかけますけど」 椅子を少し寄せる。 紅く染った頬に手を伸ばした。 そうしたいと思った。 「あと」 僕は囁くように、顔を寄せる。 逃げるなら、今のうちだ。 「先輩は、可愛いですよ」 普段の姿が嘘みたいに萎れるのを見てそう思う。 そしてまた、事も無げに。僕は唇を寄せる。 もし先輩が逃げるなら、今は見逃してあげる。 これは人名救助じゃないからね。 そうしたいと思ったから、僕がやるだけだ。 (-104) 2021/11/09(Tue) 10:12:22 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜ほんの一瞬、先輩の唇に触れる。 顔を離すと目を閉じた先輩が居た。 ほら、先輩は可愛いんですよ。言った通りでしょう? 「先輩にはずるさじゃ敵いませんよ」 僕の口許は笑んでいた。 ご馳走様とばかり、自分の唇を舌で湿らせる。 百獣の王の天敵足り得る僕は、獲物を前に余裕の姿でそこに在る。 先輩の手が前髪に触れる。 眩しげに細めた僕の目が露わになる。 その目は真っ直ぐに、守屋先輩を見ている。 ほんの少しくらいは頬も熱いかもしれない。 そんな事を気に留める余裕もないくらい、今はただ嬉しい。 眼鏡を外すだけで僕の視界から逃れることが出来る先輩が、そうせずそこに居てくれることが、とても嬉しい。 「別に隠しやしませんよ。 今僕が何考えてるか、全部口にしてもいいですけど。 どうします?」 そういえば、分かりにくいとも言われていた。 これでも思っていることは、口から出している方だけど。 今はきっと態度にも出ている。 先輩を見る僕の目は、あの人同じで柔らかい。 (-106) 2021/11/09(Tue) 19:57:58 |
【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「────はい、では」 僕の口調は普段と変わらない。 淡々として、そういう所がきっと先輩が言う『分かりにくい』ところだ。 だけど目だけは柔らかく細められている。 一心に先輩に向けられている。 「まずそうやって僕の言葉を聞こうとしてくれること。 ありがとうございます。嬉しいですよ。 また図に乗りそうですけど、それは先輩が悪いので仕方ありませんね」 「ああ、勿論先輩にとって僕がただ気の掛かる後輩だってことは知ってますよ。 ただだからといって逃がすつもりはないだけです。 1度逃がすと先輩、直ぐに見失ってしまいますから。 探す方も案外大変ですし、なら、こうして──」 前髪に触る先輩の手に僕は触れる。 軽く握るように結ぶ。 「捕まえておいた方が、安全でしょう? つまり放っておけないんですよね、先輩のこと。 捕まえておかないとって気にさせる。 ……あ、まだ聞きますか?」 そろそろ下校の時間ですけど。 そう思った事だけは、言わずにいた。 (-110) 2021/11/09(Tue) 22:40:09 |
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