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闇谷 暁は、苦笑。幸せそうに眉を下げた。 (a8) 2021/11/29(Mon) 16:36:24 |
【人】 迷彩 リョウ「おはよ〜。いいんじゃない?たまにはさ」 丁度食べ終えた早食いの少年は、シンクへ皿を下げていた。 最後にやって来た家族へお茶を注いだコップを置く。 勿論自分で淹れたものではないが、いつかは淹れるところからできるようになりたいと思っている。 「あ、オレ昨日のこと忘れない内に手紙書いてくる。 何かあったら呼んで〜」 階段を上がり、自室へ帰っていく。 手紙は少年の日課である。 頻繁に書いたものを、おおよそ月に一度の頻度で投函していた。遠出をした時は文量が多い為その限りではない。 (10) 2021/11/29(Mon) 16:47:50 |
【鳴】 探偵 闇谷 暁闇谷暁は、あなたたちに寄り添う共鳴者。 平和な日常に瞳を細め、 幸せそうに穏やかに微笑むのだ。 「いただきます」 変わらぬ日常に、少しのスパイスをも楽しんで 今日も明日も、自分たちは、箱庭の外で生きていく。 (=1) 2021/11/29(Mon) 16:49:19 |
闇谷 暁は、迷彩 リョウの頭をひとつ撫でた。 (a9) 2021/11/29(Mon) 16:51:12 |
迷彩 リョウは、頭を撫でられるのが好きだ。幾つになっても。 (a10) 2021/11/29(Mon) 16:51:47 |
貴戸 高志は、迷彩 リョウの頭をひとつ撫でた。 (a11) 2021/11/29(Mon) 16:52:01 |
迷彩 リョウは、いつか二人の頭を撫でられるくらい、頼れる大人になろうと思う。 (a12) 2021/11/29(Mon) 16:53:19 |
【妖】 貴戸 高志暫く前のことだ。夢を見ていた。 自分は実家の離れにいた。実兄が女性を殺し、紛い物の自由を得るために己が偽装工作に手を貸した犯行現場だ。 けれど夢の中のそこには荒れた形跡一つ無い。 兄もいなければ殺された女性もおらず、まるで何も起きなかったかのように何もかもが綺麗なままだった。 ここで時間を過ごしていても何の益もないと判断し、襖に手をかける。 ($0) 2021/11/29(Mon) 17:07:50 |
【妖】 貴戸 高志隔たり一枚を滑らせてどかした先。 離れの向こう側は何もなかった。文字通り、天も地も、世界を形成するもの全てが存在していないのだ。 ただただ、全てを飲み込む闇が広がっているだけ。 意を決してその虚無に身を躍らせても何も変化がない。気付けばまた離れの客間に立っている。まるで己の行動に意味などないと嘲笑うように。 時間の流れが把握できない場所で思考することすら馬鹿馬鹿しいと思えるくらい立ち尽くし、或いは座り込み。自分もまた物言わぬ風景の一部と化した頃に視界がぼやけて意識が遠のく。 そこで夢が終わる。その繰り返し。 連日それが続いていた。 愛する者たちが傷つく内容の夢であれば嫌悪を催していただろうが、ただただ自分がもう縁のない過去の場所に佇むだけの意味などない内容だ。 家族には黙っていた。 ($1) 2021/11/29(Mon) 17:08:10 |
【妖】 貴戸 高志貴戸本人は意味のない、価値すら見出せない夢だと切り捨てていたが。 水面下で、本人に知覚できないところで、夢は静かに少年を蝕んでいたのかもしれない。 或いは、意識していない不安の芽がそのまま夢として表出してしまったのかもしれない。 生きやすいようにと邪魔なものは一切捨ててきた少年。 その中には一般的な家庭で育った者であれば当たり前のように手にしていた温もりなども含まれる。 多くの者にとっての当たり前を、少年はそれこそ当たり前のように投げ捨てた。 敷かれたレールを歩くには不要なものだったから。 ($2) 2021/11/29(Mon) 17:08:40 |
【妖】 貴戸 高志そのツケが今、こうして当たり前の温もりを感じ取れる世界に歩き出した際にやってきたのだろう。 自分は闇谷暁に同じくらい気持ちを返せているだろうか? 自分は迷彩リョウを温かな世界に導けているだろうか? 分からない。今まで積み上げてきたもの全てを手繰り寄せて思い返しても、参考にできそうなものなどろくに無かった。 家族とは血と責務と系譜でしか繋がりが無かったから。 ($3) 2021/11/29(Mon) 17:09:00 |
【念】 貴戸 高志ああ、それでも。 紫色の瞳が脳裏によぎる。 無邪気な家族の声が木霊する。 己と共に歩いてくれる大切な人が出来た。 上に立つのではなく、隣に並んで。 (!0) 2021/11/29(Mon) 17:09:24 |
貴戸 高志は、もうがらんどうの夢を見ることはないだろう。 (a13) 2021/11/29(Mon) 17:12:58 |
貴戸 高志は、弱くても、分からなくても、もう平気だ。線の外に、足を踏み出せる。 (a14) 2021/11/29(Mon) 17:14:57 |
貴戸 高志は、大切な者たちを、愛している。 (a15) 2021/11/29(Mon) 17:15:17 |
【独】 迷彩 リョウ楽しいことがあると、手紙を書くのが日課になっていた。 独房で過ごす時間は長い。孤独は時を長く感じさせる。 それを知らない自分ではないから。 ひとり、手紙を書く。 (-0) 2021/11/29(Mon) 20:16:59 |
【独】 迷彩 リョウ11月29日 母さんへ この手がみっていつとどくんだろう? 次に手がみを出すときは、この手がみがいつとどいたか、かいといてほしい。 まえの手がみにもかいたけど、体は元気だよ。びょういん行くのも月1になったし。 ツッキーとコジコジといっしょにすむようになってから、いろいろできるようになったんだ。 きのうは一人でおつかいも行った!(ちゃんとかえた) あと、お金とかを自分でつかうようになって、ちょっと母さんのかんがえてたことがわかるような気がした。 さいきんたべられるやさいがふえたんだよ。カレーとかに入ってるならたべられる! サラダはちょっとイヤだけど。 りょうりも作れるようになりたいな。ハンバーグとか、オムライスとかね。 作れるようになったら、しょうこにしゃしんも入れるよ。 (-1) 2021/11/29(Mon) 20:18:03 |
【独】 迷彩 リョウき ず づいた?かんじもかけるようになってるでしょ。 もっとかけるようになって、がっこうに行ってみたいからがんばってる。 ぶかつとかして、友だちたくさん作るんだ。 あと、しごともやりたい。 ずっと二人にたよってるだけじゃよくないから、ちゃんと、はたらいて大人になる。 そうしたら二人がこまったとき、たすけられるから。子どものままじゃ、かぞくをたすけられないもん。 お金をかせいで、あたまよくなって、つよくなる。 力とかじゃなくて、そういうつよさがほしいんだ。 二人にいったら、きっと「そんなことないよ」っていうから、これは母さんとオレだけのひみつね? 早く大人になれるように、がんばるよ。 オレだって、だれかをまもれるようになりたいんだ。 できれば、 (-2) 2021/11/29(Mon) 20:19:02 |
【独】 迷彩 リョウ「……、」 母さんも守りたかった≠ニ続けようとして、消しゴムで消した。 もう判決を覆すことはできない。守ることはできない。 しかし、そう綴ってしまうのは。 まだ生きているのに、“終わったこと”にしてしまうような気がした。 守れなかった。 それでも何かがしたい。 まだ、終わっていない筈だから。 (-3) 2021/11/29(Mon) 20:20:13 |
【独】 迷彩 リョウどうすれば親孝行になるのか。 塀の向こう側、硝子の向こう側の家族へ恩を返せるのか。 答えは未だ見えない。 答えが存在するかもわからない。 それでも、何もしないよりはいい。 今は目指すことができる。 思い描く為の時間がある。 見てくれる人たちがいる。 もう、独りで思い悩む必要はないのだから。 (-4) 2021/11/29(Mon) 20:20:39 |
迷彩 リョウは、家族と共に暮らせることが“当たり前”ではないと知っている。 (a16) 2021/11/29(Mon) 20:21:09 |
迷彩 リョウは、だから強くなりたい。 (a17) 2021/11/29(Mon) 20:21:21 |
迷彩 リョウは、支えるのではなく、共に歩く為に。 (a18) 2021/11/29(Mon) 20:21:43 |
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