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![]() | 【秘】 朝日元親 → 風紀委員 普川 尚久保健室に来れば、勿論僕はいる。 鏡沼がいるかどうかは僕には分からない。 「すみませんね、先輩。 守屋先輩のこと、丸投げしてしまって」 ベッドの上で身を起こすと、訪れた姿にそれくらいは告げた。 (-257) 2021/11/03(Wed) 23:12:16 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創着信音が聞こえると、スマートフォンを回収しに行った。 文明の利器とはよく言ったものだ。 そこに居ない人とすら会話ができる機械なのだから。 『悪いけど、諦め悪いんだ』 『普段見えないのはもう仕方ないけど、だからってそれで終わりって訳じゃないし』 博打だとして、失敗しても怪我のない博打だ。 なら試してみる価値はあるだろう。 実際こうして、賭けには勝ったわけだし。 『お互い無茶したから心配でね』 『気分はどう?』 『先に教えてくれてたお陰で、あんたが見えなくなっても僕はパニクらずに済んだけど』 (-273) 2021/11/03(Wed) 23:46:20 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 風紀委員 普川 尚久「あー、それはすみませんね。 鏡沼でしょう? 僕もあいつも、まあ無理をしたから。 さっさと休みたかったのは仕方がなくないですか?」 同じ事言ってたか。 もう少し周りの反応を待ってから動けばよかったな、と少しだけ後悔をした。 「ああ、免除なんですか。 それは助かりますね。何せ3日も学校を休んでしまって」 1日はサボり、残る2日は保健室だ。 そろそろ親辺りに連絡をされては面倒だと思っていた頃だった。 「やっぱり先輩ですね。あの薬、守屋先輩に渡したの。 僕も貰ったクチだから文句は言えませんけど」 「守屋先輩の飲みかけの薬、僕また飲んでしまったので。 その結果についてのレポートも欲しければ追加しましょうか?」 薬が誰から渡ったか、同じ小瓶を見て推測した程度だ。 ついでとばかりにオーバードーズを伝えておいた。 多分なかなかいないと思う。人道的にも流石に治験できたものではない。 (-278) 2021/11/04(Thu) 0:03:07 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創スマートフォンを見ながら僕はベッドに横になる。 衣擦れの音がカーテンの向こうから聞こえるだろう。 『勝ちは気分がいいね』 『少なくとも、諦めて何もしなかったよりはずっと』 『正直、吐きそうってくらいある』 『でもまあ、それくらい。抑制剤がよかったかもね』 吐き気と共にあった感覚が薄れている。 理性ある人間と、野生の獣の本能とが抗う感覚。 抑制剤が切れればどうなるかは分からないが、元々獣になりたくない僕だから抗い続けるのは構わない。 『ああ、判断は正しかったと思うよ』 『言われてなかったら巫山戯るなくらいは思っただろうし』 そして諦めが悪いのも今しがた知ったところだろう。 冷静に判断できる今なら思いつく電子機器を介してのやり取りだったが、そうなっていたときに何を仕出かしていたから自分にも分からない。 (-287) 2021/11/04(Thu) 0:26:25 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創隣のベッドに鏡沼がいるなんて嘘みたいな静けさ。 自分のスマートフォンだけが、ただ着信を告げ続ける。 悪くはない。僕は孤独は嫌いじゃないし、嘘みたいでも隣には鏡沼がいる。 『さあ。僕は鏡沼じゃないから』 『鏡沼の気持ちは分からないけど』 『そう言われるなら諦めずにいてよかったかな』 『返そうにも誰かに頼むとかしかないし』 『そういうことなら有難く貰うよ』 『こういうの、世話になると負けた気がしてあんまり使ったことなかったんだけどな』 『殴る程度で済むだけマシと思ってよ』 『そうなってた時加減できたか分からないから、マシかどうかは保証できないけど』 『まあ、うん』 『かなり頑張った、と思うよ』 『お互いね。無茶するよ、本当に』 (-301) 2021/11/04(Thu) 0:59:09 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創スマートフォンが手の中で震える。 その瞬間だけ、何処に居るか分からない鏡沼が、確かに何処かには居るのだと確信できる。 『どうも』 『いいのに、別に』 悪い気はしないけど。 『逆、かな』 『ここぞと言う時に異能が使えないと困るんだよね』 『守屋先輩の事とかもそうだし』 『ああいう時だけは、この異能に感謝できるから』 『そりゃ良かった』 『僕もこの歳で前科者にはなりたくない』 勢喜のことは殺してやるくらい思った事もあったけだ。 それは打ち込まない。 『うん、そうだね』 『また何時でも連絡して』 『僕、1回寝るよ。流石にキツい』 (-392) 2021/11/04(Thu) 8:12:33 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「そうですか。なら、よかったです。 まあゆっくり休んでください。 何だか知らないけど、薬関係はお咎めなしらしいですよ。 どうなってるんですかね?」 風紀委員が暗躍していることといい。 真っ黒じゃないか?この学校。 「言いたいことはいくらでもありますよ。 ああなるかもしれないって懸念だってしていたじゃないですかとか。 僕の騒動だって見ていたんでしょうとか。 ……でも、いいです。 先輩にだって事情があったんでしょうから」 そのことを少しくらいは普川先輩から聞いた。 だからもう追及したりはしない。 「……見つけられて良かったです。 少し、そっちに行ってもいいですか。 休んだので、少しくらいは動けそうです」 (-394) 2021/11/04(Thu) 8:26:30 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 風紀委員 普川 尚久「自分で運べるんなら運びましたって。 無理だと思ったからしなかった。それだけです」 「残念がらないでくださいよ。 そもそもその免除がなければ先輩の立場も危ういのでは?」 短に嘆息する。 怪しげな薬を配り歩いているのは果たして学校の風紀を守っていることになるのだろうか。 「………。 本当にバカだなあの人は。 僕が僕をどう扱おうが僕の勝手だろうに。 いえ、ありがとうございます。それだけ聞ければ充分です」 大して恭しくもない礼をする。 つい漏らしてしまった小声は聞こえていない方が有難い。 「馬鹿じゃないかどうかって聞かれたら馬鹿だろうと思いますよ、自分でも。 でもあの時はああするしかないと思ってたんです。 カッとなると我を忘れがちで。多分、そっちが本当の僕ですよ」 さて、どこから説明しますかね。 取り敢えずどう体調が悪いかから聞き取りしますか? そんなことを、僕は普川先輩に尋ねる。 (-423) 2021/11/04(Thu) 12:52:42 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 鏡沼 創大したこと、してないんだけどな。 少なくとも僕の自覚としてはそうだった。 鏡沼のためにと思った記憶は1度もないし、そう思うには僕は鏡沼のことをよく知らないように思う。 『うん、おやすみ』 『鏡沼もゆっくり休めよ』 スマートフォンをスリープモードにして目を閉じた。 業務連絡以外は自分から人に連絡することがない僕だから、スタンプも何もない簡素な文は鏡沼と似たようなものだ。 それでいいと思っている僕はなかなか変わらないだろう。 それでも初めて鏡沼からスタンプが届く時、少し驚くくらいはするのかもしれなかった。 (-424) 2021/11/04(Thu) 13:05:53 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「変わりませんよ、僕は。 部費がなくなったのを根に持ってる、いつもの生意気な僕です」 僅かに頬を緩めた僕は、先輩から許可が出ると立ち上がる。 図々しくも先輩の使うベッドに腰掛けて、先輩の顔を見た。 「……流石に顔は洗ったみたいですね。 怪我の手当もしてもらいましたか? こんな学校だったから良かっただけで、普通だったら受験前に停学とかそんなシャレにならないことになってたかもしれないんですよ」 顔を見たら、苦言が止めどなく出てきた。 元気そうにしてるか、顔色確認しに来ただけなのにな。 「 ……あんまり後輩に、心配かけさせないでください。 先輩でしょう? その苦言も、吐息と共にそう呟いたのを最後に吐き出されることはなくなった。 前髪の向こうの僕の顔はきっと見えない。 (-426) 2021/11/04(Thu) 13:22:18 |
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![]() | 【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜別に謝らせたいわけじゃない。 だから口にしなかったのに、堰を切ったように零れた本音は今更撤回しようがない。 反省しろと思っているつもりもない。 そういうのは僕から責められなくてもひとりでに行っているものだと思っている。 ならどうして口にしてしまったのか。 知らないよ、そんなこと。 「────もう、いいです。 あとは、ゆっくり休んでいてくれれば、それで」 「異能抑制剤を飲んだ話は聞いてますか? 効果が切れるまで油断出来ないと僕は思ってますから。 そのくらいの時間までは、僕も保健室に居ますよ」 (-457) 2021/11/04(Thu) 19:24:13 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜視線の意味には気付いた。喋ったのかあいつ。 先輩が気にすることくらい、わかってるだろうに。 「そうですか」 とはいえ何でもないと言うものを掘り起こすものでもない。 日常生活には支障ないのだから、そんなに大袈裟な話でもないと僕は思っている。 「たった3日休んだくらいで授業に遅れることはありませんよ。 親に連絡が行くことだけは心配してましたけど、さっきも言ったように、薬が関わると色々免除らしいので」 重ねられた手を、捕まえるように握る。 「だから、そう言ってもらえる内は傍に居ますよ。 それで少しでも先輩の気が休まるんなら、幾らでも」 巻き込まれるより、また独りにして責められなくても変なことをされる方がよっぽど困りますしね。 本気か冗談か分かりにくい態度でそう言って、前髪の下から先輩の方を見ていた。 (-471) 2021/11/04(Thu) 20:14:39 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜/* 意味わからない誤字があったので訂正。 × >また独りにして責められなくても変なことをされる方が ○ >また独りにして変なことをされる方が (-482) 2021/11/04(Thu) 20:44:34 |
![]() | 【秘】 朝日元親 → 朧げな遮光 守屋陽菜「先輩に振り回されるのは慣れてますから。 いいですよ、別に。 都合がいいのは僕も同じでしょうから」 誰でもいいとは僕は思わない。 でも誰でもいいと思われるのは構わない。 僕は自分のことに、そして自分への他者の評価に 無頓着 だ。「飽きるまで、どうぞ。 そういう意味です。さっきのも」 またそうやって、本気かどうか分かりづらいことを言いながら、揶揄うような先輩の様子を見た、僕は─── (-491) 2021/11/04(Thu) 20:57:31 |
朝日元親は、とても柔らかに、微笑っていた。 (c16) 2021/11/04(Thu) 20:58:14 |
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