人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 口に金貨を ルチアーノ

そのケーキ屋で、女はすぐにそのカードに気付いた。
身に染み込んだ技術がそれを一切表沙汰にしなかった。

ほんの一瞥でそのメッセージを読んだ女は顔色ひとつ変えない。
まるで、最初から、そう。
そういう仕事をしていたみたい


――このカードの送り主がこの場にいたのなら、そんな些細な様子にだって気付くことはあったのだろうが。
きっと、目の前の店員は気付けない。気付かない。

…ありがとお、お兄さん。
あたしもお兄さんを
信じて
ますからねえ。
(-541) 2023/09/23(Sat) 6:47:13

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 歌い、歌わせた カンターミネ

守りたいものが、あった。ひとつ、ふたつ。…ふたつとも、こぼれ落ちて行く。
守ることができなかった、その想いだけで枷なのに。
そのふたつの現在いまを知ると今度こそ先に進めなくなってしまう。


「…ふふっ。」

何がおかしいのか、あなたの様子を見た女は笑う。

「…大丈夫だよお、ミネ」
「カメラとか、全部、弄ってきたからあ」

びっくりしたあ?なんて女は悪戯に笑った。
元から女は警察に忍び込む内通者。これくらいなら、易くあり。
…更に言えば、上層部が検挙されたこの署内を好きにするのは、日頃より少し、更に易かった。

「…あんまり長くは保たないけど、でも」
「話したいことが、あったのお。」

とはいえリスクは多分にある。
毎度面会でこんなことはしていられない。
…リスクをとる必要があったのだ。だから、今こうなっている。

「その、お兄さんのこと、なんだけどお。」
「…ううん、あんまし長く話す時間もないしい、要件だけ、言うねえ。」

指先が上がる。5本。時計を見ながら、1本減った。
時間の猶予は、それだけだ。

「ミネのモーテルに、まだ仕事道具が残ってるなら」
「場所と使い方、教えて欲しいんだあ」
(-542) 2023/09/23(Sat) 6:58:20

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → マスター エリカ

指先のエナメルを眺めた。
傷がまた、ひとつ増えている。

左手小指のエナメルは約束の証だ。
だからどれだけ傷がついても、女は剥がしたりしない。

「……今度こそ」


どっちつかずの蝙蝠が、どちらの居場所も認められるなんて間違ってる。
…犯した罪は消えやしないのだから、その分くらい、憎んでもらわないと。

/*
お疲れ様です。おさとうかえでです。
重ねまして、情報屋ロッシありがとうございました!

discordにて先にお伝えしておりましたが、本日の襲撃対象は
アリーチェさん
ということで本人に予告も済ませております。
よろしくお願いします!
(-566) 2023/09/23(Sat) 9:54:52

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

「えー。いいなあ。」
「あたし、犬の方はまだ会ってなくてえ。」

最後の欠片も、ぱくり。
咀嚼し飲み込むと、また水を1口、流し込む。

「でも猫は、触りましたあ。」
「…ぐーぜんですけどお。」

猫カフェも調べてたのになあ。
そうからころ笑って。
どっちが好きかは、犬も触ってから決めまあすなんて。

指先をナプキンで拭いて手を合わせる。

「ごちそうさまでしたあ。」
「ふふ。結局リヴィオさん、食べませんでしたねえ。」
(-569) 2023/09/23(Sat) 10:06:20

【念】 傷入りのネイル ダニエラ

ひと回りほど小さくなったアジトのデスク。

7色の缶の紅茶アソート。
薄紅色のバスボム。
ライムグリーンのウィッグのテディベア。
ブーゲンビリアの花束。
そして冷蔵庫の中には、少しお高めのチョコレート。
部屋の片隅に、大きなボストンバッグとスーツケース。
鞄の中には、15mlの小瓶が複数と、脱脂綿にオイル。


この部屋にある、女の私物はそれだけだった。
女の自室とまた別の意味で、生活感のない部屋だった。
けれど変わらず、その部屋の明かりが消えることはない。
帰ってくる時女は、誰もいないその部屋に必ず、「ただいま」といった。
(!12) 2023/09/23(Sat) 10:33:23

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

「ええー。いいんですかあ?」

間延びした口調のまま、そのトーンだけが微かに持ち上がる。
嬉しそうに女はへらりと笑った。
この笑顔は決して嘘ではなかった。


「んー。そおですかあ?」
「お疲れ様ですねえ…。あ」

思い出した、とでもさも言いたげに立ち上がる。

 
懐には2つの小物。
犬の小さなヘアクリップと、銀色の大人びたヘアピン。
犬のヘアクリップはごく普通の購入品。
だがヘアピンの方には仕込みがされている。


「リヴィオさあん。」
「ちょおっと、じっとしててくださいねえ」

あなたに近寄り、手を伸ばす。
女にはあなたを調べねばならない理由が2つあった。
だから、迷う必要なんてどこにもない。


そうして、ふたつの中からひとつ。
女はその手の中に、選び取る。
(-586) 2023/09/23(Sat) 11:16:02
ダニエラは、ふたつの中から、犬を選んだ。
(a23) 2023/09/23(Sat) 11:16:18

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

…そうしてそれを、あなたの前髪に。丁寧に。

「ふふー。お手伝い、でえす。」
「…本当に、お忙しそうですからあ。」

満足げに、微笑みかける。
そしてあなたから離れる刹那、衣服のポケットへ銀のヘアピンを滑り落とした。


それまでの人生、受け取ってばかりだった女は、
あなたが贈り物のヘアピンを大事にしてくれるのが本当に嬉しかった。
…だからこそ、この銀のヘアピンをあなたへの贈り物にはしたくなかった。
今までの贈り物と、同列にしたくなかったのだ。
(-587) 2023/09/23(Sat) 11:17:03

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 歌い、歌わせた カンターミネ

「やあだ、王子様はあ、ミネだもん


そう口を尖らせたのも一瞬のこと。
すぐに和やかににこりと笑った。

ありがとう。信じてくれて。
その言葉だって本当は嬉しいんだ。
でもただ守られるだけのお姫様では、やっぱりいたくなんてなかった。


立てた指が曲がる。1本、2本。
その間あなたの言葉を1字1句忘れることなく聞いた女は、密やかな吐息をまたひとつ落とした。

「…うん。ありがとお、ミネ。」
「でもお、あたしは優秀だからあ。そんなことにはならないよお。」
「…ふふ。見ててよねえ。」

そう嘯いたのだって、もしかしたら強がりかもしれない。
それだってあなたにはわかるはず。だって女は、笑っていたわけだし。

「『マリーゴールド』の子にも、伝えときまあす。」

けれどからかうように、あなたのお転婆姫はいう。
茶化して笑って、ゆるりと変わらないあのモーテルでのことみたいに。

指が、あと1本。
反対の指先を冷たい格子に滑らせて、その向こうに薄い微笑みを向ける。
…本当に、あっという間なのだ。最後の指も、次第に折られるだろう。
(-600) 2023/09/23(Sat) 12:12:36

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 歌い、歌わせた カンターミネ

笑んで頷き。
続いた言葉に、一瞬だけきょとん。
あなた相手に身構える必要はないけれど、多分このときの女は他の人に同じことを言われると警戒の色を見せていた。


「…いいよお。なあにい?」

そうして目を瞑ってのしばしの時間。
ゆっくりとあなたが近付く気配がして、…少しして、指先に湿ったやわらかな感触。
それだけでぎゅうと胸が潰されるくらい痛くって、手が届く距離にいるはずのあなたに今すぐ触れたいってそんな我儘が過ぎっていく。

だけど、女はそうはせずしっかりと目を閉じたまま。

指を折るまでの時間は心の中で正確に数えた。
最後の指まで折り曲げた後、目を開いた女は恥じらうようにはにかみ笑っていた。

「…ミネ」
「早くこんなとこ、出られるといいねえ。」
「ミネはなあんにも、悪いことしてないんだからあ」

カメラに載せられるぎりぎりの本音に虚言を添えて。
…ただでさえ小細工もした今日はあんまり長居ができないから、それを別れの挨拶みたいにこつこつ靴音を立てて立ち去っていくんだろう。
(-613) 2023/09/23(Sat) 13:34:53

【影】 傷入りのネイル ダニエラ

常日頃、閑古鳥と同棲するそのモーテルは、つい数日前の騒ぎから一転、ここ数日でさらに静かになっていた。
ある雨の日に立ち寄ったのと同じように女はそこを訪れる。
人目を気にして足早に入口へと近付くと、するりとその中へ入っていった。

入口傍のカウンター。
カフェインの香りを撒き散らしながら店番をする経営者の姿はそこにない。
超えて奥にある扉を潜ると、そこはそんな経営者の私室だった。
部屋の大半をキングサイズのベッドが占め、本当に寝るためにしか存在していないんじゃなかろうかと密かに思っていたことは誰にも言っていない。
さらに言えば彼女は徹夜の常習犯でもあったのだから、想像する更に数倍この部屋に価値はないんじゃなかろうかと思っていた。

…実際には、そんなことはなかったと知ったのはつい数時間前のことである。

ペンライトを口に銜えて両手が使えるようにした女は、それからそこで暫く作業を行った。
たった1度しか聞かなかった手順だが忘れようもない。
大切で大好きな、昔馴染みの言葉なのだから。
(&6) 2023/09/23(Sat) 14:09:14

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

「ふふー。」
「今回も気に入ってもらえて、良かったですう。」

はにかみ笑んで、明るい声。
ありがとうなんて、本当はこっちが言いたかった。

それにしても。
そうして落ちた瞳であなたの額に触れた手の平を見つめる。
まあいいやと割り切れてしまえる女ならばよかったのだが。

「…リヴィオさん。」

また徐に手を伸ばす。
前髪揺れる額ではなく、目指したのはその頬だった。
別に無理にと言いはしないから、拒否をされれば触れることは叶わない。
それでももしまた触れることができたなら、その熱を確信して問うはずだ。
「熱いですよお。具合悪いんですかあ?」って。
(-639) 2023/09/23(Sat) 15:44:00

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

「……。」

いつも通り。変わらない笑顔。
嘘みたいに笑う。自分の不調も、苦痛も。
女にはその姿に、覚えがあった。


いってきますと声がする。
さみしいな。もっといっしょにいたいのに。
だけど、それをいったら困るから、いい子のかおで、わらって。
「いってらっしゃい」…あたしさえがまんすれば、いいことだから。

「…リヴィオさん。」

そうして笑ったあとはいつだって孤独だった。
誰も自分の不調にも苦痛にも気付かない。
それで不調や苦痛が、なくなってしまうわけじゃないのに。

あなたもそうだとは、言いきれないけれど。
そんな自分とあなたを重ねずいるのは、どうしても女には難しそうだ。
(-654) 2023/09/23(Sat) 17:09:40

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

「無理は、だめですよお。」

そのときばかりは、女の顔に、笑顔はなく。
心のままに、眉を下げた。

「ほらあ、倒れたら元も子もありませんしい。」
「リヴィオさんまで倒れたら、あたしもお仕事増えて困っちゃいますしい。」

そんなダニエラ・エーコらしい理由も交ぜて。
…どこまで言っていいのか、分からないけれど。

「今日は、早退にしましょうよお。」
「……なんてえ、だめ…ですかねえ…?」

首を傾げて、そこでようやくふにゃりと笑う。
本当に何でもなかったとき、その方がきっと、断りやすいから。
(-655) 2023/09/23(Sat) 17:10:20

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → favorire アリーチェ

――さてそれから、1日2日と経ったある日。
あなたのデスク、または荷物に1通のメッセージが忍ばされていた。


  
相談したいことがあります。
港の××番の倉庫の裏まで来てください。

P.S.恥ずかしいので、誰にも言わずにお願いします。



崩した筆跡でそう書かれたそれには、倉庫の場所の略図も添えられている。
こんな古典的な手法でも、振り込め詐欺にすら騙されそうなあなたなら簡単に騙されてくれると差出人は思ったらしい。
(-659) 2023/09/23(Sat) 17:20:44

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → favorire アリーチェ

/*
ここまでお付き合いありがとうございます、おさとうかえでです!
ということで、倉庫まで来ていただいたところをマフィアとの密会疑惑で確保させて頂きたいと思っております。
こんな古典的な方法に引っかかるアリーチェさんは可愛いと思うので……………………

何か不都合ありましたらお教えいただければ軌道修正します!
よろしくお願いします!おさとうかえででした。
(-660) 2023/09/23(Sat) 17:22:20

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → favorire アリーチェ

あなたの大事な幼馴染たちはもういない。
そうでなくとも人員が減り多忙を期した警察署内で、あなたのその様子が見落とされたのは致し方ない。
…ともすれば、だからこそ女も、こんな簡単な方法を選んだのかもしれなかった。



「――こちら、ポイントX。」

「被疑者が現れました。」
「…これより、確保に移ります。」


足音より何よりも先。
聞こえたのはそんな声だった。
次いで、かつりと革靴の底が地面を叩く音。
振り返ったあなたの前にいるのは、眼鏡を外した女の姿だった。

手にした無線から何やら声が聞こえ、「了解」と女は短く返す。
弧を描いた口元のまま、ゆらりとその瞳があなたを捉えていた。

「あれえ。」
「アリーチェさんじゃないですかあ」

わざとらしい声だ。
かつかつと、同じ音を立ててあなたへと近付いてくる。
(-675) 2023/09/23(Sat) 19:22:51

【秘】 傷入りのネイル ダニエラ → 無敵の リヴィオ

女は人を、よく見る方だ。
いや、人をよく見なければならなかった。
だからきっと、その一瞬の変化だって。

「…よかったあ。」

そうして安心したように笑ったその顔が、一体何に所以したかなんてあなたに知れるはずもなく。
ただこの笑顔は本物だった。
偽物と本物の堺境なんて、意図して笑おうとした時でない限り女にとって曖昧になっていたが、それでも。


「絶対ですよお?」
「明日もこの時間にお仕事してたらあ、あたしが連れて帰りますからあ。」

しかしその言葉の根幹にあるのは、本当にただ心配な気持ちだけではなかったのかもしれない。
あなたがこんなに仕事をしなければならないのも、元を辿れば自分に大いに原因がある。


だから。

「んふふー。いいんですよお。」
「…そのぶん、早く体調、治してくださいねえ」


続いた言葉につい浮かんだのは、
「無敵になんて拘らなくてもいいのに」なんて言葉だったが。
今は、言わない。
これ以上、あなたの手を止めてしまうのも悪いと思うから。
(-677) 2023/09/23(Sat) 19:40:14
 


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