人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

晴れ晴れとした日の降り注ぐ庭が暖かな印象を受ける。
ぽかぽかと黒い衣服に陽光を受け続ければ服の下の空気もあったまって、
ちょっとだけ眠気さえ誘いそうな様相だ。

貴方に倣ってベンチに座ってから、問いかけがあるのを待つ。
黒板に刻まれていく文章が指す意味を少しだけ考えるような間があって。

「……それは」
「"どの"」「病気の話?」
「治したい」「けど、治るかわからないものもある」
「治ったなら、いいけれど」「治るとなにがいいのか、わからない」

哲学じみて受け取られそうな問答は、単に言葉を扱うのが不得手だからだ。
漠然としたものを掲げるような言い回しは、貴方の問いへの答えになっているだろうか。
困ったように下がった眉は、何に対して困っているのだろう。
(-69) 2022/05/01(Sun) 13:34:06

【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ

備え付け、或いは青年が貴方に用意した椅子は、
背もたれから肘掛けにかけて毛布がかかっている。
万一の時に運びやすいように、一人の時に倒れても頭を打たないように。
そうした小さな積み重ねを貴方が受け取るかどうかは別の話。

こくりと頷いて、貴方が用意した時間へと青年も都合を合わせる。
受け取った紙をじっと見下ろして、さらさらと書き進める。

・森で怪我はしていますか?……N
・普段から森へと向かう理由を教えてくれませんか?……N
・何か悩みを持っていますか?……

途中でふ、と顔を上げた。
困っているみたいに言葉を探して拾い集めて、貴方に問いかける。

「なんでもいい?」「病気に関わるかわからない」
「僕は継父母が僕の"何を"問題にして」
「ここに連れてきたのか知らない」
「いつもよく眠れなくて、授業中に眠いことも」

朝、森から帰ってきたのだろう青年はいつも寝起きが悪くて眠そうで、
埋め合わせをするように夕日の内は飼育小屋の近くでうとうととしている。
時折、教員から注意を受けることもあった。
成績についても含め、おとなしい彼はしかし模範的な生徒ではなかった。

貴方と同室になったのはいつからだったか、
さておきそうした行動の是正についても、ひょっとすると期待されていたのかもしれない。
(-71) 2022/05/01(Sun) 14:01:27

【秘】 雷鳴 バット → 充溢 バレンタイン

「バレンタイン」

ひとつ上、比較的年の頃の変わらないほうの上級生が貴方に声をかけたのは、
夕方から夜へと色を変える頃だった。
少しだけ寝癖がついて非対称になっている髪を見るに、
どこかで眠っていたのかもしれない。声も少しだけ、抑揚がいつもよりもない。

「ジャステシアのこと、気になる?」
「僕もなにか手がかりがないかと思って」
……森なら僕もよく行くから
」「探す?」

ジャステシアは昼の内には生徒の群れに戻ってきたか、もしくはまだ姿を見せていないのか。
そうした状況で彼女の身を案じる貴方を見て、声を掛けてきたのだろう。
もしも帰ってきたあとだとしても、どうしていなくなったのかは判明していない。
解決していない自体に対しての働きかけをしたいか、と聞きたいらしかった。
(-73) 2022/05/01(Sun) 14:25:27

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

『どの病気についてもです』

病気がいくつかあるのなら、全部。
あなたが抱えているもの全てについて。

『治ったら、外で気兼ねなく暮らせると言う子がいました』
『それをみんなが望んでいるかはわからないけれど』
『バットくんは外に行きたくはないですか?』

この施設に来てからというもの、自分たちは外を知らない。
外が良いものなのか悪いものなのか。
それも、見てみないことにはわからない。
ただ、未知への興味は少なからず己にもあった。

何かに困っているような顔。
真昼の陽だまりの中で、それを夜空色の瞳が映している。
(-74) 2022/05/01(Sun) 14:28:20

【秘】 充溢 バレンタイン → 雷鳴 バット


「……バットさん……
 僕が、役に立てるなら……いいんだけど」

年中半分寝ているような少年は、跳ねのあるあなたの髪型を見るとほんの僅か、不思議そうにそれを見つめて。
本題ではないな、と思い直してすぐに目を見つめ直す。

「でも……うん、気になる。……
 怒られてしまうかも、しれないけど……
 僕は、気にしない。……あまり」

漠然とした不安を解消するためにも、とにかく行動はしていたかった。杞憂ならそれでいいし、解決を図れるならばそれに越したこともない。
結果どうなろうと、悪いようにはなるまい。そう信じて。
(-76) 2022/05/01(Sun) 14:46:58

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

少しだけ目を丸くして、それからまたやっぱり困ってしまった。
少なくともこの問答を経て、或いは普段の生活を経て。
貴方を傷つけたかったり苦しめたかったりするわけではないのだ。

「ラピスは……」

言葉を選ぶ。言葉少なな物言いはいつも誤解を生みがちだ。
なるべくそうならないように、自分の中で織り込んでいく。
外の世界に望むもの。
育ちきった自身のかたちに望むもの。
答えるには、きっと青年と貴方では見えているものが違うのだ。
ひどく遠回りに、その差異を埋めようと頭を回している。

「お父さんとお母さんのこと、好き?」
「大きくなったら、何になりたい?」

質問を質問で返したなら、しょうがないと思われてしまうかな。
けれども今は、貴方の言葉を聞いてから話がしたかった。
(-77) 2022/05/01(Sun) 14:49:34

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

両親は、病気を治してほしくて施設に自分を預けた。
そこには確かに愛情があって、だからそれに対する恩義がある。
できることなら、いつか元気な姿を見せたい。

『どちらかを選ぶなら、好きです』
『大きくなったら、先生になりたいです』

先生になって、悩む子どもたちを助けてあげられたら。
先生になって、彼らの居場所になってあげられたら嬉しい。

あなたは違うの?
あなたは何になりたいの?
そんな新しい問いを浮かべて。

言葉少なで、それでも思慮深く、誰かを傷つけないように言葉を選ぼうとしているその姿を見守った。
お互いに見えている景色の差を埋めるために。
きっと遠回りにでも、私の問い掛けに答えようとしてくれていることだけは、ちゃんと伝わっているから。
(-78) 2022/05/01(Sun) 15:23:43

【秘】 雷鳴 バット → 充溢 バレンタイン

「ごめん」「僕が、気にしないから」
「ひとにも同じこと押し付けた?」

貴方の言葉を受けて最初に顔に浮かんだのは、ばつの悪そうなそれだ。
こうした周囲との"ずれ"自体はよくあることなのだろう。
相手との応答から感知することは出来ても、どうにも。
自分で事前に気を回してやるということは、青年には難しいようだった。

「もし一緒に探すなら」「今日じゃなくても」「夜に森に来て」
「僕はいつも森にいるから……」

同じ部屋、或いは彼の動向を見ているもののいくらかは、
いつも彼が夜に部屋を抜け出すことを知っている。
貴方もひょっとすると年が近いから、そうした動きに気づいていたかもしれないし、
貴方の既往歴からするに他人の隠し事にはあまり気が回らなかったかもしれない。
ともかく、貴方の都合のよい時にと曖昧な約束を取り付けた。

「みんな帰ってきたら、いいのに」
(-80) 2022/05/01(Sun) 15:48:17

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

「ラピスは」「大人だね」

愛されて、艷やかで。白色のりんごみたいにほころんだ頬。
果実に挟まれた花びらみたいな唇が言葉を発さず、表情だけを作るのを見ている。
檸檬の枝のように細い指を今更、黒い指がきゅうと一本だけ絡めた。

「僕は帰っても」「居場所はない」
「僕は"病気のこども"らしい」「だからここにいる」
「でもみんなは」「病気だけど、"病気のこども"じゃない……」

誰かに言われた言葉をなぞるような言い回しには明らかに侮蔑が混じっていた。
青年が抱いたのではない、誰かが青年に向けたもののトレースだ。
溌剌とした子どもたちの様子は、青年の目にはどんなふうに映っているのだろう。

「治ったら」「僕はどこにいくんだろう」
「僕は僕の」「病気が治るとなにがいいのか、わからない」
「僕の病気が治ったら」「僕は"病気のこども"じゃなくなるのかな」

答えのない問いを重ねる行いは、貴方を傷つけてしまうだろうか。
ひどく迂遠に回り道をした堂々巡りの問いかけは、貴方への答えになっているだろうか。
貴方が青年だったなら、自分の病気を治したいと思うこと、
自分の病気を治すということがどういう結果へ繋がる行いなのかがきちんとわかるのだろうか。
(-86) 2022/05/01(Sun) 16:34:26
バットは、"病気の"こどもたちが遠くで笑い合う様子を眩しそうに見つめている。
(a16) 2022/05/01(Sun) 16:37:35

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット

今日も上の二つの返答は変わらない。
怪我は相変わらずなく、異常なし。
報告はこれだけですんでしまうのが実情だ。
上は解決に手を貸してくれず、生徒のためを考える実習生という立場になんでも乗せたがっている
成功も失敗も関係ない、うまくいかなければ廃止されるだけの使い捨てだ。


「森のことは……今日はこれでよしとしましょう。
 話せないことはそれ以上聞きません……、おやおや?
 ええ、なんでも良いですよ〜」


そんな不満も読み取られているのか、酷く、本当に、居心地が悪いほど良い。
ダメにされそうだ、ここの部屋は。
思わず変な声が出そうになる、気を引き締めなければ。
(-89) 2022/05/01(Sun) 16:53:05

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット

「ここに、"何を"、ですか……。
 はじめに実習生として聞いている事を説明をしましょう。

 この学園の中で暮らしている生徒たちは、
 小さくとも大きくとも悩みを抱えています。
 先生方は、心の病や身体的なものに詳しい人から
 あまり知らない人まで様々です。

 彼らは全力を尽くして
 ……治療または改善に取り組んでいると聞かされています」

実情を完全に理解はしていない、暗にそう含めながら言葉を続けた。

「バットくんの今のご両親は、君に何かしらの不安を抱えていたのかもしれません。
 ここに連れて来た理由で思い当たるのは、
 君の治療、または……自由を押さえつけない為。
 模範解答はこの辺りでしょう。

 私がみる限り、君には……夢遊病に近しいもの。
 または過眠症がみられます。
 強いストレスなどで生活のバランスが崩れてしまうことです。
 これが起きると、周りの人間は君を心配します。
 朝起きて、昼に活動して、夜に寝ることができなくなり君も周りも困ってしまうのです。
 人間は眠る時間と社会での活動時間が決まっていますから。

 病であるか体質であるかの判断ができなかったのかもしれませんね〜。
 どうでしょうか、彼らは以前何か言っていませんでしたか?」
(-90) 2022/05/01(Sun) 16:57:09

【秘】 神経質 フィウクス → 雷鳴 バット


実習生の一人に連れられ食堂を後にして、暫しの後。
その時にまだあなたが中庭に居れば、中庭で。
或いは、その後の時間のどこかで。

「バット」

特別あなた個人を探していたわけではない。
けれどまあ、身体の大きなあなたが居れば自然と目立つもの。
偶然そこに通り掛かって、目に付いただけだ。
目立つ云々はこの問題児が言えた事でもないのだけど。

「お前、こんな所で何してるんだ」
(-92) 2022/05/01(Sun) 17:09:09

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

絡められた指に視線を落として、訥々と語られる内容を呑み込んで。
答えのない道を、共にぐるぐると回る。
居場所がない。
帰るところが無いなら、外へ行く理由も希望も無いのだろう。

『居場所があれば、』
『バットくんは』
『外へ行こうと思えますか』

もう18になる少女は、青年より先に施設からいなくなる。
18歳までしか、施設にはいられない。
だから青年もいつか外の世界に放り出されてしまう。
その時に帰る場所が無ければ、青年はどこで生きていけば良いのだろう。
"病気のこども"。
"病気の"こども。
穏やかな青年に似合わない侮蔑をなぞった色が夜色に溶けて。
歳よりも幼さを残した顔貌に寂しさを浮かべて。

『居場所がないのなら』
『私が居場所になっては駄目ですか』

友人が抱える荷を少しでも持ってあげられるだろうかと。
外に誰か一人でも、拠り所になる人がいれば。
あなたは、眩しさに瞼を閉じずにいられますか。
(-93) 2022/05/01(Sun) 17:09:55

【秘】 充溢 バレンタイン → 雷鳴 バット

「いや、……僕も気にしないから、同じ」

同じように自分にも“ズレ”があるから、
間違いのないように聞き返してみたのだ、と。
ましてや互いに分かりづらい様相でいるし。

「僕はよく……寝てるけれど……
 その時は、頑張って……起きてるようにする……
 森の近くまできて眠ってたら、起こして……ほしい」

自分だって素行が良い方とはいえないのだろうし、
他の子が何をしていたところであまり気に掛けることはない。
最低限怪我はしないでほしいなと思っているくらいだ。
とまれ、こちらからも代わりの約束を申し出て。

「……僕も、そう思うから。
 手伝えることが、あるなら……そうしよう」
(-101) 2022/05/01(Sun) 18:46:27

【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ

「うん」「そうなんだって知った」
「ここはどこかに傷のある子どもを」「治してあげる場所」

ギムナジウムはどんな場所なのか。貴方の口を通して噛み砕かれて。
元あった認識とまじり、それが何かというのはきちんと理解された。
おそらくは大きく違えているわけではない、その背後に何があるとしても。
病や心の瑕疵に対するアプローチは確かに成されているはずなのだ。

「そう……」「ツキにも、心配させてる」
「でも僕は」「夜の方がうまく身体が動くから」
「上手く寝られないと」「うるさくしてしまうし」

まごつくような言い回し。決して困らせるために問題行動をしているのではないと。
けれども現状貴方の悩みのタネの一つとなっているのだから、それは詭弁だ。
弱々しい反論は、本当は自分の行動は良いものではないというのがわかっているから。
しゅんとしたように大きな体は肩を下げて、普段よりも小さくなったように見える。
貴方の言っていることは優しいし、正しいものなのだ。

それから。貴方への問いには随分時間をかけて答えた。
言うべきか迷ったふうではあった。これもまた、Noと答えてしまえばよかったかも。
けれどちらちらと貴方の目を盗み見て、反応を伺って。
たっぷりと時間を掛けた後に、青年は答えた。

(-112) 2022/05/01(Sun) 19:59:53

【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ

「僕がいると」「空気が悪くなる」
「眠れずにいるのが」「もぞもぞうるさい」「鬱陶しい」
「昼間は働け」「役立たず」「"病気のこども"を引き受けるんじゃなかった」

並べられた言葉は、"彼らが以前言っていた言葉"だ。
写しのように並べられた言い回しにはたっぷりの悪意が含まれていた。
青年のものではない誰かの感情は、決して子供に向けるものではない。
青年がギムナジウムにやってきたのは小等部の頃、五年以上前の話だ。
当然それ以降、家族らしき人々と顔を合わせたことというのは、無い。

「僕がここにいるのは"病気のこども"だから」
「みんなは、"病気の"子供」「違うものなのは、ここに来て知った」
「僕は"病気の""病気のこども"なのかな」
(-113) 2022/05/01(Sun) 20:00:14

【秘】 雷鳴 バット → 神経質 フィウクス

まだ朝日の眩しさが昼に成り切らない頃、だろうか。
持ち出した食べ物をこっそりと口に運んでいた青年は、
声をかけられた肩を大きく震わせた。まるで隠し事があるように。
さっと手元を隠して、食べかけのそれらをナフキンの内側にしまい込んでいる。
どうやらいつも、食堂でちょっとだけ食べたふりをした後。
誰もいない場所に本命の食事を持っていっては、こそこそと続きをしているらしかった。

「フィウクス……」

いかにもばつの悪そうな顔と声で貴方に答える。
何をしている、という問いに対しての明確な答えはなかった。
気弱な態度は大きな図体とは相反したものに見えるだろう。
青年よりも年上の貴方は、ひょっとするとそういう仕草を見るのは初めてではないかもしれない。
何人かがそうしているのと同じく、バットは食堂であまり食事を採らない様子だった。
(-115) 2022/05/01(Sun) 20:05:54

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

ふたつ布を挟んだ指の温度はほとんど感じられない。
けれどもその下にあるものが温かなものだと青年は知っている。
或いは、きっとそうだろうと思い込んでいるだけなのだろうか。

「ラピスが僕の居場所になるのは」
「……うれしい、けど……」

はにかむような柔らかい表情が顔貌に浮かんだのは一瞬だけ。
大きな体、強い力。それに全く見合わない頼りない筋肉の動きが、
ほんのちょっとだけ指先を曲げただけで、縋りつくのは終わってしまう。

沈黙。頭の中を整理する時間。青年は頭の回りが早い方ではない。
貴方に勉強を教えてもらっているときもいつもそうだ。
きっと教えてもらっている時間より、それを噛み砕こうと待たせている時間の方が長い。

「ラピスは先生になる」「僕は」「僕の病気は……」
「ひとつは、頭の病気だから」「一緒にいけないよ」

軽度の精神遅滞がある、と。
教師群は青年の病状について、結論付けていた。
(-116) 2022/05/01(Sun) 20:13:53

【秘】 雷鳴 バット → 充溢 バレンタイン

「僕は夜は眠くない」「だから」
「そうじゃないバレンタインは」「大変かも……」
「……来てくれると嬉しい」

無理をさせているな、というのはきちんとわかってはいるようだ。
だからこれはあくまで貴方の都合のよい時、そうしたい時。
いつまでだって、青年の方は待てる話。無理になんては、言わないこと。
申し出が貴方の行動を強制してしまわないようにと、拙い言葉を重ねた。

「わかった、それじゃ」
「都合の良い時に声を掛けて」
「……」

しばし、突っ立ったままで沈黙する。不安にさせてしまったかもしれない。
途切れた会話を繋ぐのは不確かな思案だ。ただの勘違いかもしれない。
だから思い当たる節が無いのであれば、聞き流していい話だ。

「もし近いものを」「抱えていたら」
「それも、力になれるかも」

指先まで隠れた指を口元に当てて、同じように考え込んだ。
申し出はそれまで。思い過ごしなら、それでよい話だ。
改めて、また都合の良い時にと。言い残して青年はその場から踵を返す。
(-118) 2022/05/01(Sun) 20:20:38

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

あなたが考える間、ずっと手は重ねられていた。
その下にある温度を直接は感じられないままで。
二人で参考書とノートを囲んで、小さな授業を開いているときを思い出す空気。
噛み砕いているのを待つのは嫌いじゃない。
きっと青年が動物と戯れているときに感じる安らぎと同じだと信じている。

交わす言葉の中で、青年の心の一端に触れた。

ほんの少しだけ絡んだ指先。
そこにあるのは期待なのではないかと思った。
思いたかった。
上からもう一度大きな手を掴まえる。
大きさが違いすぎて、此方が縋るみたいに見えてしまったけれど。
ぐっと、下から真っ直ぐに深い色の眼差しが見上げる。

『一緒に行けないと思っているから』
『外には行けないと思っているから』

『神隠しが起こる森に、近づいているんですか』
(-123) 2022/05/01(Sun) 21:01:01

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット


「――君は」

ギムナジウムで、君に対する正しい治療は行われてこなかった。
素人でもわかる、早く密接に話し、確かめれば良かった。
だが一体何ができただろう。

「君たちは、数多く居る"普通の子"とは違います。
 それは、"病気の子"というひとくくりにして語るにはあまりに難しいです。
 治らない子は居たんですよ。
 医学やまじないでどうにもならなかった、
 体の体質から、異常がでていた子が」


「だから私から見て、
 君が"病気のこども"かどうかは――わかりません!」

病気という言葉は悪い言葉ではない。
しかし、君に対して"病気のこども"という言葉は、
深く鈍く重りのように積み重なっているように見えた。
(-125) 2022/05/01(Sun) 21:44:02

【秘】 月鏡 アオツキ → 雷鳴 バット

「人は、"病気"となんでもかんでも一つの言葉に納め過ぎですよ〜。
 君の保護者の方も、金銭面や心情にゆとりがあれば、
 もう少し優しい言葉をかけてくれたと思います。
 ここに送ったのは、解決方法がわからなかっただけなのです」

 君が夜眠れないのなら、その手を引いて一緒に歩きます。
 一度学業は休んで、昼間は眠って貰って。
 徐々に時間をずらせば、皆と同じように過ごせるのかも。
 一日か二日ぐらい、私がなんとかしてみせます。

「起きられるようになっても、
 朝日や日光を浴びて体調が悪くなる体質もあるようです。
 そうなれば簡単に解消できる問題ではなく、
 ……君の言う"病気のこども"、ということになるでしょうか。
 だから、今はわかりません。
 君の病を、正しく知りたい。
 これから私に、向き合わせてくれませんか」

そっと右の手を君のどこか悲しそうな顔に伸ばす。

幼い子供に降りかかり続けた悪意。
正しい生活リズムという形で治り続けなかったものが、歪みを見せている。
もう少し気付くのが早ければ、しっかりとその手を掴んでいれば。
何かが急速に変わることもなく、緩やかに君を見続けられていたのだろうか
(-127) 2022/05/01(Sun) 21:48:40

【秘】 神経質 フィウクス → 雷鳴 バット


まるで何か後ろめたい事をしているような慌てよう。
それから、なんともばつの悪そうな様子を見て。
やっぱりそれが特別気に障ったようではないけれど、
ほんの少しだけ、眉を顰めはした。

「…何もお前に難癖を付けに来たわけじゃない」

溜息混じり、前置き一つ。
あなたの事は、あまり気の強い人種ではないと認識していて。
恐らくは、自分が話し掛けたという事そのものが。
あなたにある程度の圧を与えているのだろうと思って。

俺はたまたま通り掛かっただけだ

 そこでお前が何を隠していようと。
 そこでお前が何を──
うっかりぼろを出そうと

 俺にとってはどちらも関係のない事だ。」

皆ならば一人ぼっちのあなたにどうするだろう。
フィウクスは歩み寄ったりはしない。物理的にも、心でも。
あなたが距離を取りたがるなら追わないし、
あなたができない事を頼る事に苛立ちを覚えはしない。

どっちつかずが一番嫌いだ。それが一番気に障る。


「お前のしたいようにしていればいい。
 だが──ああ、これは難癖だ。」
(-130) 2022/05/01(Sun) 22:32:02

【秘】 神経質 フィウクス → 雷鳴 バット


「お前は居る時も居ない時も目立つんだよ。
 隠し事をしたいならもっと上手くやれ。」

「一人じゃ上手くやれないなら、せめて誰かを頼るんだな」

それは自分も同じ事なのだけど。
とはいえ自分はそれなりに上手くやっている。
だから今は棚上げだ。
(-132) 2022/05/01(Sun) 22:33:34

【秘】 充溢 バレンタイン → 雷鳴 バット





時は過ぎて今日の夜更け。
相変わらず重力に負けてしまいそうな歩き方で、
ゆるりと森の近くまでやってくる人影ひとつ。

先生と出くわしたときとか、いざというときに、
謝罪とか反省の言葉一つも言えないと
申し訳が立たないと思ったので、
薬の量を抑え、最低限の眠気で済ませてきている。

それでも仕草はどうも眠たげではあったが。

「……」

去り際に言われた言葉は気にかかったが、
心当たりはまるでなかった。
それで構わないのかもしれない。

少し見晴らしのいい、森と庭の境に立ち、
ここにいるだろう先達の姿を探し始めた。
(-185) 2022/05/02(Mon) 13:33:41

【秘】 雷鳴 バット → 高等部 ラピス

小さな貴方を慈しむ時間は、優しい。
大きな貴方を仰ぐ時間は、心地よい。
それが何かと重なるのであれば、きっと――

絡んだ指に返すように掬い上げて、力を掛け返す。
潰してしまわないように柔く包むだけ、黒い指が重なるだけ。
けれども決して貴方を拒絶したいわけではないのだと、
この距離感を大切にしていることは決して嘘偽りではないのだ。

「……それは」「違う理由」
「ラピスが心配すること」「じゃ、ないよ」

小さな貴方は青年よりもずっとしっかりしていた年上だ。
だから言葉でそうして遮ったところで無理からぬことなのだろう。
ごまかすように肩を寄せて、ほんのすこしだけ体重を預けた。

「病気を治すこと」「あんまり考えてなかったな」
「いつか、どうすればいいのかなんて」「なんにも思いつかなかった」
「……ラピスの疑問に」「うまく答えられた?」
(-210) 2022/05/02(Mon) 19:19:31

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

「………………」

こくり。
未だ話さなければならないことはきっとあるのだけれど。
青年にも考える時間が必要だとわかっていたから、今は頷いた。
ゆるく絡んだ指と肩に掛かる重みの分くらいは、青年を支えられていると思って。
いつだって自分を傷つけないように思い遣ってくれる青年が、報われる日が来てほしかった。

『これからたくさん考えましょう』
『一緒に、たくさん悩みましょう』
『バットくんが納得できる"いつか"を見つけましょう』

ゆっくり、あなたの歩む速度で構わないから。

あの森で起こることは、"神隠し"ではないことを少女は知っていた。
今日誰が居なくなるのかも、少女は知っている。
そういう役目を持っているから。
私はわかっているのに、それを止めてあげられない。

(-214) 2022/05/02(Mon) 19:56:38

【秘】 高等部 ラピス → 雷鳴 バット

離れがたい手をゆるりと解いて、立ち上がる。

座っているあなたとはこれで丁度目線が合うくらい。
いつもより困った顔を少しでも誤魔化したくて、日に背を向ける。
日差しが顔に影を落とした。

『森は危ないから気をつけてください』
『今日は、特に。』

胸のあたりに掲げた黒板。
それだけしか、文字にはできなかった。
(-215) 2022/05/02(Mon) 19:57:38

【秘】 雷鳴 バット → 月鏡 アオツキ

どうだろう、或いは適切な治療なんてのは誰にも出来なかったのかもしれない。
ギムナジウムは万能ではない。無能でもない。決して実績がないわけではない。
それでも出来ることに限りはあるものだ。
人間の頭にはどうしたって測り間違いがあるものなのだから。

ぱち、ぱちと目を瞬かせたのは貴方の言葉に驚いたからなのかもしれない。
自分の意見がそんなふうな貴方の態度を引き出すことになるだなんて、
青年のほうは少しも思いはしなかったのだろう。
ちょっとだけ怯んだ様子なのは、自分の状況を意識的には酷だと思っていなかったからだろう。
無意識的には悲鳴をあげているからにこそ、こうして挙げたのだろうけど。

「……」「ごめん」
「困らせたかったわけじゃ」「なくて」
「そういうことが」「知りたいのかと、思った」

青年の拙い頭でどれだけ貴方の言葉と、その裏にある想像を理解できたか、
それは青年自身にもはかれないことではあるけれど。
話せないことがあるのを加味した上で、貴方の伸べる手に答えたかった。
頷いて、きちんと確かに貴方の目を見る。

「わかった」「少し、考えてみる」
「全部聞くことは出来ないだろうけど」
「ツキが俺に掛けてくれる言葉とか」「気持ちとか」
「ちゃんと受け止めて」「返せたらいいと思うから」

ころ、と傾いだ頭は貴方の手の中に収まるように。
高いところに据わった重しを、果実の落ちるように預けてみた。
(-218) 2022/05/02(Mon) 20:10:54

【秘】 不遜 リアン → 雷鳴 バット

「………
 本当に羽でも生えてると思っていたのか……?」

見た目以上に抜けているところがあるのだろうか。
毎度このような面を見る度に驚かされる。
未だに慣れないな。

「いや、いつでも声をかけてもらって構わない。
 クラスだって理由あって分けられているわけでもないだろう。

 僕は困っている人間を見捨てる事はしない。それも王の役目だからな。
 羽の心当たり、必要なら僕も探ってやる」

取り巻きと言えど、リアンに盲目に従っているわけでなく。
どちらかといえば好きに世話を焼いているだけの、友人と言った方が近いのかもしれない。
だから、この場でも取り巻き同士で話していたりするのだけれど。

委縮させないようそう声をかけて、君が望むのなら捜索も請け負うことだろう。
(-227) 2022/05/02(Mon) 20:54:50