【人】 XIV『節制』 シトラ── パーティーの翌日 [ 満を持して、アリスさんへカーディガンを贈った。 この日の為に日夜練習してきた歌も、 自己採点で72点と言えるくらいには歌えた。 アリスさんの嬉しそうな顔を、眺めて ──こんな穏やかな日が ずっと続いていけばいいな、って そんな風に願ったのは いけないことだった? ] (225) 2022/12/14(Wed) 22:52:49 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 俄かに騒然とし始めた洋館の異様な空気 わたしを部屋へ呼びに来たメイドさんの、 普段とは違う表情と、声色>>3 向かった先、 玄関ホールに見慣れない金の髪。>>4 初めて見るひとだ。 ……綺麗なひと、 そう思った次の瞬間 知らないはずの声で発された言葉が>>5 わたしの全身をぞくりと粟立たせた ] …………っ、 [ かみ、さま。神様だ。 このひとが、 わたしを、わたしたちをつくったひと。 何の疑いもなくそう受け止めているわたしに 疑問も違和感も一切抱かなかった。] (226) 2022/12/14(Wed) 22:52:56 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 失った言葉の代わりに大粒の涙が零れ落ち始める。 心臓が痛いくらいに早鐘を打ち始める。 やがて、身体が小刻みに震え出す。 両の脚のバランスが、崩れる。 どうにかして均衡を保とうと 無意識にアリアちゃんへと手を伸ばそうとして、 もう片方の手でそれを制すと同時、胸を抑えて嗚咽した。 とめどなく溢れ出て この心を覆い尽くすのは、懺悔 ] (227) 2022/12/14(Wed) 22:53:06 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ ずっと祈りを捧げ続けてきた神様そのひとに逢えたのに 悪い夢を見ているような気持ちでその言葉を聴いていた。 沈黙も喧噪も一太刀で断ち切るような アリアちゃんの凛と通る声も>>46、 首肯も否定もできずにただぼんやりと聴いていた。 世界を壊して、箱庭で 本当に 皆で 幸せになれるの?あんなに小さなアリスさんが、 怯えて誰かに助けを求めている。>>@0 呆然としているシールさんも、 何かを怖れるような顔をしている。>>@1 世界の破壊を「面白い」と歓迎する トリスさんみたいなひともいる。>>@2 無条件に神様に賛同するひとたちも。 少なくとも、わたしは この世界を見捨てて箱庭へ行って 幸せになれるとは思えない。でも、 でも。 みんなは、どうだろう。 ] (228) 2022/12/14(Wed) 22:54:04 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ アリスちゃんが話しかけたフォルスさんを じ、と見つめてから 此方へ来たアリスちゃんへと視線を移す。 澱みなく告げられる言葉をすべて 声が途切れるまでただ黙って聴いて、呑み込んだ。>>55] う、ん …………、わかった [ ひとりで考えてもきっと答えは出しきれない。 ひとりが不安になるにはまだ早い。 与えられた時間はたった一日、 時間に限りがあるのは彼女も同じ。 向けられた笑顔がどこかぎこちない。 わたしに気を遣ってくれている表情だ。 そう気付いてしまったら、 涙を止められない いつまでも泣いてばかりな自分が、恥ずかしくて ] (229) 2022/12/14(Wed) 22:54:17 |
【人】 XIV『節制』 シトラ…………わたし、 すき、だよ アリアちゃんの、お茶 また、……あとで [ 階段を颯爽と昇ってゆく背を見送って 暫くの間、その場に立ち尽くしていた。 もしも誰かに袖を引かれることがあったなら>>104 そっと握り返そうとは、したでしょう ]** (230) 2022/12/14(Wed) 22:54:29 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a35) 2022/12/14(Wed) 23:03:34 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a37) 2022/12/14(Wed) 23:26:50 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 陽の照っている時間帯、故郷では カーテンの開閉はやんわりと禁じられていた。 皆が寝静まった夜だけ、部屋の灯りを消して ほんの少しだけ開くことを許された。 見上げた夜空にはいつも、月があって ただ静かにわたしを見守ってくれていた。 ] (376) 2022/12/15(Thu) 20:17:41 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ もし袖を掴まれる機会があれば>>109 これまでもわたしはその手にそっと手を重ねてきた。 彼だったから、ではなくて 相手が誰であれ、きっと同じようにしてきた。 手を伸ばせる対象などいなかった かつての自分と勝手に重ね合わせて。 たまたまでいい。ただたまたま居合わせて、 体よく近くに居て引きやすかったから、だとしても わたしを頼ろうとしてくれたなら力になりたいと願った。 その身に抱え込んでいるのだろう何らかの不安が 少しでも和らいでくれますように、と。 何か話したいことがあったなら話尽きるまで耳を傾けたし、 わたしでは役不足なら、すみやかに身を引いた。] (377) 2022/12/15(Thu) 20:17:54 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 今、 袖を引く手を取って握ろうとしたのは その手の主の支えになりたいと願う気持ちから、 ……だけでは居られなかったのかもしれない。 握り返してくれた手>>304に安堵を覚えながらそう思う。 指先から伝わる温度が、束の間 わたしになけなしの気丈さを取り戻させてくれる。 そこに少し強めに負荷が掛けられても、 彼の方を見上げはすれど わたしは何も言わなかった。 その手が彼の方から離されるまで ただ、いつものように黙って手を握っていた。] いえ、 あの ……お気に、なさらず…………[ ごめんね、にも 痛くなかった? にも>>305 ふるりと首を横に振ってみせる。] (378) 2022/12/15(Thu) 20:18:57 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 強く力を込めて手を握られても さして痛みを覚えないこの身体は どうしようもなく、あの神様が創りたもうたもので この先の明日を憂う心の方が ずっとずっと、痛かった。 ] ……そう……です、ね ちょ、……っと ……言葉が、見つから……なくて………… [『驚いた』の一言ではとても片付けられないような 複雑な感情がこの身には沸き起こっている。 周囲へと目を向けてみれば 早くも流れは澱み始めていて、 調和などとは程遠い。けれど ] ……エーリクさんが、 握り返して……くれ、なかったら わたし、きっと ここに立ってすら……いられなかった、です (379) 2022/12/15(Thu) 20:19:13 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ やっとのことでそう口にして おそるおそる、言葉を続ける。] 洋館を抜け出しては何処かへ行っているらしい彼は 度々こうして誰かの温もりを求めている様子の彼は、 ──どこか他人事のように振る舞って聴こえる彼は 一体、どちらを選ぶんだろう。 神様の言葉に、何を想って わたしの袖を引いたんだろう。 話したくなければ話さなくても良いです、と前置いて ] エーリクさんは……さっきの、お話 どう…………感じられ、ました……か その……世界、は、 [ 言いかけて、一度口を噤んだ。]* (380) 2022/12/15(Thu) 20:19:17 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a59) 2022/12/15(Thu) 20:30:01 |
【人】 XIV『節制』 シトラ──回想・あのひとへの贈り物 [ プレゼント渡しの代理を依頼したわたしに、 贈り物にひと言メッセージを添えることを フォルスさんは提案してくれた。>>14] い、一筆……です、か で、でも、わたし まだ、文字……綺麗には、書けないし [ ノートが真っ黒になるまで手習いを繰り返して 読むのに支障ない程度にまでは書けるようになっても、 贈り物に添えられるほど綺麗に書ける自信は 当時のわたしには、まだなかった。 ] はさみだって、うまくは……使えない、し [ 包丁やはさみといった刃物の類には 洋館に来るまで、一切触れたことがなかった。 触れさせてはもらえなかった、が正しい。] (394) 2022/12/15(Thu) 22:26:23 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 両親含め、箱庭の伝承を信じていた村のみんなは もしもわたしが刃物を手にすれば 誰かかわたし自身か、あるいはその両方かを 傷つけかねないと信じきっていた。] ……そっ、それに なんて書けば、 …………でも、書いて……み……よう、かな フォルスさん、 文章とか、飾り付け方、とか 教えて……もらっても…………? [ わたしは『節制』本人ではないし あのひとだって『運命の輪』本人じゃない。 今を生きる彼とわたしの間に、 実際に何かが起こったわけじゃない。 まだ。 ] (395) 2022/12/15(Thu) 22:27:23 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 頭ではちゃんと理解しているはずなのに、 あのひとの──クロさんのことを考えると どうしても、魂がざわめく。 ……けれど 距離を置いていたいのだろうわたしをも 祝ってくれるということは、 彼本人は、誰かに祝われることを 喜ばしく感じる方なのだ。 でなければきっと、 全員にぬいぐるみを贈ろうとしたりはしない。 わたしのこの推測がもし合っているなら 拒絶されてしまうとしても、 お祝いの気持ちは届けたかった。 ] (396) 2022/12/15(Thu) 22:27:52 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ ラピスラズリの色をしたノートの一ページ目に 三角形の形に切った色紙を並べてフラッグを、 四角形の形に切った色紙を貼ってケーキを表現した。 まるく切り抜ける技術は、わたしにはなかったから。 お祝いらしい華やかな色の組み合わせを教わって 下書きをして、一文字一文字に神経を集中させた。 インクも筆記具も紙質も、 その安全性を何度となく気にするわたしは 先生の目には異様に映ったかもしれない。 『クロさん お誕生日おめでとうございます あなたのしあわせを心から願っています。 シトラ 』 そうして出来上がった世界に一冊だけのノートを フォルスさんはお願いした通りに預かってくれた。>>15 尋常じゃない早鐘を打つ心臓を抑えて 半歩後ろを、緊張しきった面持ちで進んだ。 いざ本日の主役を目の前にしても、 やっぱり自分の手で渡す勇気は出せなくて フォルスさんの背中に隠れようとしてしまったけれど ] (397) 2022/12/15(Thu) 22:29:22 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……お、おめでとう……ござい、ます……っ よ……良かったら、その……つ 使っ、て、ください [ お祝いの言葉を、直に伝えられた。 間違いなくフォルスさんのおかげだった。 だから後日、報酬をと言われたときには 素で頭にはてなマークを浮かべてしまったの。 あのひとの誕生日に至るまでの道程全てが わたしにとってはかけがえのない報酬だったから、 改めて別の形で報酬を受け取る理由がわからなかった。 それでもどうしても、と もし店長さんが仰ったなら望む形はひとつだった。 アリアちゃんの報酬を、弾んでください。]* (398) 2022/12/15(Thu) 22:30:28 |
(a63) 2022/12/15(Thu) 22:36:42 |
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