【独】 裁判官 リーベルト/* ソフトクリームのどさくさに紛れてぺろりーべるとは僕が!!しようと!!!思ってたんですよ!!!(先を越されて殺された) 思考回路が一緒だったらしい……:;(∩ ˘ω˘ ∩);: ふぇえん ラジオのパーソナリティは某もちもちたぬきをイメージしつつ、完全に二次創作になっちゃうので読む方に解釈が委ねられる感じに見えてたらいいな……って お世話になっております(五体投地) (-96) 2019/04/17(Wed) 23:39:40 |
【教】 裁判官 リーベルト[気付いた時には、もう僕に抵抗できるほどベテランスタッフは残っていなかった……。 残った店員を全て跪かせ、別の獲物を求めてこの店を去っていってやりたかった。 単位さえ掛かっていなければ。 店長が教授と懇意でさえなければ。 思えば初出勤時、僕を出迎えたスタッフ達はヴィク含め、皆一様に拍子抜けしたように口を半開きにしていた。>>/11 どうせしょうもない勝手な期待を抱かれていたのだろう。 ニュースで殺人事件が報道される際、 「優しい人でした。あの人がまさか」 「そんなことをするような人には見えなかった」 犯人はそう評されていることが多いだろう? 人は見かけでは判断出来ないのだ。 グラデモヒカンで顔中ピアスまみれの輩が人情味溢れた良い奴だったり、一見好印象で爽やかな真面目人間が、恐ろしい衝動を胸の内に飼っていたりするものだ。 もっとも僕自身は、 『問題児』などと呼ばれる言われはない。 そう本気で思っていた。] (/21) 2019/04/18(Thu) 22:21:35 |
【教】 裁判官 リーベルト[接客は嫌いだった。客に謙る意味がわからない。 女顔で一見優男に見えるからだろうか、面倒な客に限って吸い寄せられるように僕に寄ってくる。 そして思うように優越感を得られない相手と理解した途端、決まって顔を真っ赤にして声を荒らげ出すのだ。 「金払ってやってるんだからこれぐらい当然だ」 「こんな不味いもんを俺に食わせるつもりか!金返せ!!」 彼らは日頃の鬱憤を晴らしたいだけなのではなかろうか。 店員が抵抗出来ないとわかっていて吹っ掛けてくるから、余計性質が悪い。 売られた喧嘩は買ってやるが、勝たせてやる気はなかった。 記憶力には自信がある。 常連らしい客の顔はすっかり覚えていたし、場合によっては大抵何を注文するかまで記憶していた。 「また来たんですか」とつい零してしまえば、 「 覚えてくれてたんですか!? 」などと調子に乗って連絡先まで尋ねてくる客。「態度がなってない」とクレームを投げ付けてくる客。 場合によっては「俺の女泣かせやがって……!」等と言い掛かりを付けてくる輩までいた。 人と関わると碌なことがない。 最初から凄んでいれば、不必要に舐められずに済むのではないか。 そう思って意識的に鬼神面を保っていれば、今度は 「あの店員は愛想が悪すぎる」 「怖くて店に入れない」「接客されたくない」 ……一体どうしろと言うんだ。 かといってキッチンにも立てなかった。 僕の手先は壊滅的に不器用で、皿洗いさえあの頃はまともに出来なかった。] (/22) 2019/04/18(Thu) 22:21:44 |
【教】 裁判官 リーベルト[バッグヤードに回されると知った時は心のどこかで安堵したのだ。先生がレーナルト先生でさえなければ。] 周りが勝手に吠えるんです。 僕は地雷なんか撒いてません。 人聞きの悪いこと言わないでください。 それとも、 貴方は紛争地帯にも丸腰で赴くんですか。 [ごく普通のカフェが己の周りだけ紛争地帯になってしまっているのがまずおかしいということに、僕は気付いていなかった。 日々敵地に出陣するような緊張感を抱いて出勤していた。 そういったピリピリした空気が、もしかすると周囲にも伝わっていたのかもしれない。 先輩であれ後輩であれ、 誰かを頼るなんて絶対にしない。 自分一人で何でも解決出来るという、驕り。 思えば起こしたトラブルの大半は、誰かに相談出来れば食い止められたものだったのかもしれない。 けれど当時の僕は、『人に頼ること』を恥と思っていた。 この男とは根本的に馬が合わない。 まともな会話は不可能だと決めつけていたし、するつもりもなかった。] (/23) 2019/04/18(Thu) 22:21:51 |
【教】 裁判官 リーベルト[ 『店員さんはいつでも撮影OKにして欲しい♡』 『カーライルさんとレーナルトさんセットで推してます♡』 そういうメッセージは、不愉快すぎて見た瞬間記憶から抹消した。ところがそういったコメントが、驚くべきことに一通や二通ではなかった。 遊園地のマスコットキャラクターじゃねーんだぞ。 セットってなんだセットって。 サラダや食後のコーヒーデザートと一緒にすんな。 威圧的な度を過ぎた説教は業務執行妨害罪。 きちんと謝罪してお引き取り願ったにも関わらずお帰りにならないようであれば、不退去罪。 知は力だ。 知識があれば悪質クレーマーに振り回されることはない。 過剰奉仕が蔓延すれば、消費者側もそれが当然と感じてしまう世の中になる。 必要以上のサービスを良しとする風潮は、ゆくゆくは従業員の心身を蝕んでゆくだろう。 相手が客なら何を言われても尻尾を振るのか。 腹を斬れと言われれば斬るのか。 環境を変える努力もせず、社会常識を理由に問題から目を背けるのか。 ――ほら、やっぱり忠犬じゃないか。] (/24) 2019/04/18(Thu) 22:21:57 |
【教】 裁判官 リーベルト[机上の空論だというのなら、何の為の、誰の為の法律なのか。] ……心配ではありません。 貴方に対する忠告です。 知りませんよ。 少なくとも僕に非がないことだけは確かだ。 [妙な自信にだけは満ちていた。 そして、穿った見方をして冷ややかに彼を突き放そうとしていた。 どうせ彼も僕を罪人に仕立て上げたいだけなんだろう、と。 何を教わっても苦虫を噛み潰したような顔になってしまう。 年下の先輩から視線を逸らし、眉間に跡が残るまで皺を寄せ続けながら、その日はなんとか仕事を終えた。] (/25) 2019/04/18(Thu) 22:22:04 |
【教】 裁判官 リーベルト[今の僕にはわかる。 壁ドンは不意打ちだからこそ良いのだ。 お願いしてやってもらうものではない。 もしお願いするなら、 壁ドン(物理)より両肘ドンかぎゅうドンがいい。 ヴィクに望まれたなら、顎くいでも股ドンでも叶えよう。] (/26) 2019/04/18(Thu) 22:22:09 |
【教】 裁判官 リーベルト[こうして僕は不本意ながらレーナルト先輩の後輩(年上)になった。 また鉄拳が飛んでくると厄介なので、彼に対する嫌味や毒舌は一日大体10発言までと決めた。 制限を超えた分はよその先輩方に飛んで行った。 >>/18並んで歩きながら視線を感じれば、思い出すのはアンケート用紙のコメント。 店長が彼を僕の教育係としてあてがったのには、ひょっとしてひょっとせずともご要望に応える目的もあったんじゃないか。 ……なんて強かなんだ。 動物園の珍獣にでもなった気分だった。 四六時中付き添われるようになってトラブルは激減した。 通路や入り口を塞ぐ客に思わず舌打ちしかけても、 長時間居座る客に眼を飛ばしかけても、 即座に長身の彼が動いて僕はすっぽり隠された。 そう―― 僕は完全に彼の影になってしまった。 己の無能さを具に突き付けられているようだった。 元々の劣等感は肥大化し、彼への憎しみは募る一方。 時には苛立ちを小麦粉にぶつけたりもした。 彼の精神論には聴いている振りをした。 たとえそれが世間では肝要なのだとしても、手放しには受け容れがたかった。] (/27) 2019/04/18(Thu) 22:22:18 |
【教】 裁判官 リーベルト[試用期間が終わり、影から日向へと出始めた頃。 骨のない先輩が辞めて、更に深刻化する人手不足の中。 ホールスタッフも手が足りず、接客の苦手な僕もフロアを東奔西走せざるを得なくなっていた。 淡々と注文を取り、お冷を継ぎ、料理を運ぶ。 狭い店内を縫うように走り回っていれば、接触事故が起きないわけがない。 死角に居た同僚の女子高生とぶつかってしまった。 その拍子にサービストレーの上に乗せていたアイスコーヒーが揺れて、近くに座っていた客に思い切り飛び散ってしまった。 己の不注意が原因の一端ではあった。 舌打ちを飲み込んだ。 ぶつかった彼女を一瞥すれば、いろんな意味でこの世の終わりですみたいな表情でガタガタ震えている。 客に陳謝し、おしぼりとふきんを差し出し、まずは汚れを落とそうとしたところで…… 相手の年配男性の言うことには、 「高価な一点物の洋服だから全額弁償してほしい」 「ついでに飲食代もタダにしてほしい」 どう見てもさほど価値のなさそうな安っぽい衣服に法外な額を請求しつつ、駄々を捏ねてきた。 こいつなら聞いてくれそうだとでも思ったか。 冗談じゃない。 そんな無理難題を認めてしまったら、今後この店には金目当ての客が殺到するだろう。] (/28) 2019/04/18(Thu) 22:23:03 |
【教】 裁判官 リーベルトお出しできるのは 現状復帰に必要なクリーニング代のみです。 それ以上の額を支払う義務は うちにはありません。 [毅然とした態度を取った。 けれどそれが、客の怒りを爆発させてしまったらしかった。 何をどう説明しようと話は平行線。 そのうちに僕個人への侮辱とも取れるような発言まで飛び交い出す始末。 周囲の客もスタッフも遠巻きになり、すっかり萎縮してしまっていた。 そこに現れたのが、>>/20ヴィクだった。] ……っ、 [その場に居た誰もが僕を戦犯扱いする中で。 彼だけが、僕を庇ってくれた。 土下座までした彼に対し流石に罪悪感が湧いたか、話を聞いてもらって満足したか。 或いは、耳を傾けたのが彼だったから、か。 客はクリーニング代と次回の食事の無料サービス券で納得してくれた。] (/29) 2019/04/18(Thu) 22:23:11 |
【教】 裁判官 リーベルト……んでだよ。格好付けやがって。 僕が悪かったんです。 貴方のせいじゃねぇでしょう。 ……、 ………… ごめんなさい。ありがとう。 お先に……失礼します。 [己のくだらないプライドがずたずたに切り刻まれた気分だった。拳を握り締めながらタイムカードを切った。 悔しくて、口惜しくて、 嬉しくて、 それまでかっこいいと思っていた自分が、酷く情けなく思えた。] (/30) 2019/04/18(Thu) 22:23:32 |
【教】 裁判官 リーベルト[翌日から僕は、掌を返したようにヴィクに懐いた。 何かする前には必ず一言、彼に相談するようになった。 接客に関しては、 彼を真似しても暫くは怖がられてしまった。 それまでがそれまでだった分、今度は 「いったい何を企んでいるのか」 そんな風に見えてしまったらしい。失礼な。 そういう訳でむしろ腹の黒さは上がってしまった。 初対面時にヴィクに抱いた 『クソ生意気な目立ちたがり屋』とは、 傍から見れば僕自身を表す言葉であったんだろうと思う。] (/31) 2019/04/18(Thu) 22:23:39 |
【教】 裁判官 リーベルト[ちなみにこの一件の後。僕は、 ダブルクリームハニーキャラメルマキアート >>/14withチョココレクションの実態 ……を知ることになる。 好奇心から興味を示した僕が馬鹿だった。 こんなものに負けてなるものかと口にした瞬間、噎せた。 たった一口でもあまりの甘さに喉が焼けそうだ。 これを連日飲んでるなんて、どんな舌と胃持ってるんだこいつ。 まさに洋菓子の暴力団。 キャラメルマキアート自体がまず甘い。 その上にこれまた甘いカスタードクリームが溢れんばかりに盛られ、その上のチョコ群はもう蛇足だろこれ。 それぞれを少しずつ食う分には上手いと思える筈のものが、甘さを競い合って喧嘩しているようにしか思えなかった。] 従業員価格でもそれなりにするでしょう。 その分で野菜を買え。肉を買え。 将来糖尿病になっても知りませんよ。 [小言を吐きつつ苦笑出来る程度には、少しずつ歩み寄れるようになっていったのだった。]** (/32) 2019/04/18(Thu) 22:23:45 |
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