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【秘】 機関士 ジャコモ → ブチ抜く ユウィ「……俺、俺あの時、自分がどうしてあんな事をしようとしたのか、実はよくわかって、いなくて。 ただ、どうしようもなくあの時、……」 キス、したくなってしまった。と、 弁解にもならない弁解を述べて、俯きから貴方の方に顔をやる。 「そ、それは!それ、はー……あの、」 小声で呟いた言葉をしっかり覚えられていて、再び顔が赤らんだ。あからさまに動揺するのは、考えていた内容を言葉に出すのがとてつもなく恥ずかしく、羞恥に満ちているものだからで。 「ゆ、ユウィさんに、……触れたくて、 ……それだけじゃ嫌で、触れられもしたくて、」 うー……と唸りながら頭の蛇口から言葉を捻りだすのにも限界が来て、注いでもらった酒を一気に煽る。 勿論そんな一気に酒の効果は出ないから、口を割るのにそれはまだ役に立たないが、貴方のその瞳と目が遭ったものだから体がカッと燃えるように熱くなった。 「その……」 「キスだけじゃ全然足りない」 「滅茶苦茶にしたいし、滅茶苦茶にされたくて、」 「こんなにも良くして貰ってるのに、それでも、」 「それでも貴方が足りなくて」 「もっと深くで感じられたら、って……」 今度こそ顔を真っ赤に染めて、両手を膝の上に置いたまま俯いた。貴方がどんな顔をしているか、どんな風に感じ入ったか、その情報の欠片ですら、頭に入るとおかしくなりそうだったから。 「俺、アンタの部下なのに、」 「こんなこと考えてしまって、すみませ、……」 声が震えた。そう、先ほど貴方も述べたように立場がある。にも拘らず今こんな事を自分は述べて、離してやる気がない、逃がさない、その言葉の数々を内心酷く喜んでしまっている己がいる事に、不敬以外の何物ではないんではないかと言う思考が、さっきから脳裏で渦巻き続けている。 (-134) 2024/03/31(Sun) 14:21:26 |
【秘】 機関士 ジャコモ → palla ヴィーニャ「ん、これ……」 ヴィーニャ様からだ。 簡素なメッセージと名前が書かれたカードを確認し、ふわりと嬉しそうに廊下で微笑む。 お礼を言いに行かなくちゃな、と、頂いたワイン入りの紙袋をごちゃついた室内の中でもまだ綺麗な場所に置いておき、部屋を出る。 「ヴィーニャ様ー」 のんびり歩きながらその内捕まるだろうと 適当に声を出し、歩く。 (-135) 2024/03/31(Sun) 14:29:26 |
【秘】 バンカー ストレルカ → 機関士 ジャコモどこか晴れ晴れとしたように見える表情には── 人間でいう所の安堵、を抱いて。 ありがとな、と言われれば、応えるように口の端を持ち上げて。 どういたしまして、と返すのだろう。 「はい。一種のセーフティと認識していただければ」 あなたの認識している通りで相違ない。 人格バックアップの更にその上からの備え。 万が一があった場合、 既存のバックアップでは届かない所まで手を届かせる為の。 二重のセーフティは、あって困るものでもない。 「機械管理室にバックアップ用の機器が置いてあります。 スキャンを終えたら機械管理室へお持ちください。 確認次第、こちらでデータを取得しますので」 あなたのする事は、機械管理室に機器を取りに行って。 時間のある時にスキャンを開始し、終われば機械管理室に戻す。 それだけだ。 (-136) 2024/03/31(Sun) 14:53:05 |
【秘】 palla ヴィーニャ → 機関士 ジャコモ感謝されるつもりでプレゼントした訳ではなく、 会いに行くつもりでプレゼントした訳でもなかった。 お茶会でお菓子はいっぱい食べただろうし、 お酒好きって言ってたから、そんな軽い理由。 ユウィちゃんが知ったら餌付けするなって怒るだろうか。 まぁ、そんなつもりもないから許してもらおう。 ふらふらと見回りしつつ歩き続けて、 そのいつかに貴方に見つかってしまうのだろう。 かくれんぼも鬼ごっこも得意なんだけどなぁ。 「……ん〜、呼んだぁ?」 聞こえてしまっては無視もできない。 廊下の角からひょこっと顔を出して貴方の前に姿を見せた。 (-139) 2024/03/31(Sun) 15:24:14 |
【秘】 機関士 ジャコモ → palla ヴィーニャ「あ、ヴィーニャ様」 「呼びました呼びました。 プレゼントありがとうございます。って礼を言いたくて」 「お茶会、終わったら。 みんなで集まる機会減るかと思って。 そしたらお礼言えないかもしれないじゃないですか」 まあバイタルチェックで集まりはするのだが、 わいわい声を掛け合う昔のような様子になるかは 今となってはわからないから、捜し歩いた方が良いとの判断。 「……なんかヴィーニャ様って」 「猫っぽいですよね」 ひょこっと現れる感じとか、普段の言動とか、行動とか、エトセトラ。猫族の獣人が実は存在したのか、と最初思い悩んだくらいに貴方が猫らしいから、つい雑談を振ってしまった。 (-143) 2024/03/31(Sun) 17:29:12 |
【秘】 機関士 ジャコモ → バンカー ストレルカ「へー。機械管理室、んなのあったんだ。 完全に見落としてたわ。 わかった。スキャン後に取得して貰いにまた持っていくよ。 あんまりにも来なかったら提出忘れてると思うから、 催促しに来てくれたら助かるわ」 うっかり忘れたまま船で何かが起こって、 そのまま記憶が宇宙の藻屑にもなりかねない。 猫だるま達が春の陽気に包まれて、 花弁が落ちてきた瞬間を狙って写真を撮った。 「……いい気分転換になったわ、ストレルカ。 あんがとな。お前が同じ船の仲間で良かった」 今度はガッと力を入れて、手をブンブン振った。 感謝の意を示す握手をしたかったらしい。些か乱暴だが。 「そんじゃそろそろ戻るか。今度平和になったら、 次は夏の気候にしてプールでも置いて、 また遊びに来てみるかね。なんて」 言いながら、二人公園を後にしようとする事だろう。 (-145) 2024/03/31(Sun) 17:34:03 |
ジャコモは、今の公園の季節は夏に設定されている。 (a37) 2024/03/31(Sun) 17:41:52 |
【秘】 palla ヴィーニャ → 機関士 ジャコモ「んははッ、お礼なんて気にしなくていいのに〜。 勝手に押し付けてるだけだよぉ」 わざとらしく靴音鳴らし、 半身見せていた身体を全て貴方側に。 「まぁ〜、なかなか集まるの難しくはなりそだよねぇ。 ヴィもそう思ったからわざと持って…… って、なぁに。それぃ〜」 猫っぽい?それは素敵な誉め言葉! ノッテのボスは猫派だもの。 「…ジャコモちゃんは、猫好きぃ?」 (-146) 2024/03/31(Sun) 17:43:52 |
【秘】 機関士 ジャコモ → palla ヴィーニャ「好きなもん押し付けられたらやっぱ喜びますよ。 何より、選んで貰ったって言うのが嬉しいポイントですね。 相手が自分の為に考えてくれたってだけで感謝ですよ。 そう言うの、昔はなかっただけに好きなんです」 全て姿を現されれば、軽く手を挙げて挨拶。 上司にするものではあまりないものかもしれないけど、つい。 「そのままの意味ですよ。誉め言葉」 って、捕捉しなくても貴方には伝わっていたようだが。 「……猫、もちろん好きですけど。 ここだけの話、犬の方が好きで……」 すごくすごく、大変な事のように、少し焦り顔で耳打ち。 (-147) 2024/03/31(Sun) 17:52:06 |
【秘】 palla ヴィーニャ → 機関士 ジャコモ「たまにはねぇ、こういうのもいいかなぁ〜って」 普段は貯金、そして貯金。またまた貯金。 と夢を叶えるため貯金生活なもので。 だから、たまの奮発?したかっただけ。 挨拶にはこちらもひらひらっと袖揺らして。 「……んッははぁ!すなおだ〜〜」 「別に、そんな焦っていうことでもないでしょ〜。 好きなものがなんだって、誰も咎めないよぉ」 本当に好きなものを押しのけ同調する必要はない。 反応が面白くって、猫はからから笑っていた。 (-148) 2024/03/31(Sun) 18:02:30 |
【秘】 機関士 ジャコモ → palla ヴィーニャ「俺もなにか贈ろうかなって思ったけど、 ヴィーニャ様の好きなものっておさかなクッキーしか 知らないんですよね。他の好きなものってなんですか?」 もし普段は貯金生活のなかからお金を出して買って貰ったと聞いていれば、もっと恐縮していたかもしれない。 その分、喜んでいたとも思うのだが。 「いやぁ、わかりませんよ。 ノッテのボスは猫派と有名な話。自分が犬派だとバレたら 昇進にもうっかり関わってくるかも……!」 半分冗談、半分本気で伝えていた。 (-151) 2024/03/31(Sun) 18:18:26 |
【秘】 バンカー ストレルカ → 機関士 ジャコモ「承知しました。数日ののちに提出がなければ、 適宜リマインドいたします」 機械管理室の位置する下層は、 中層、上層と違い乗員の居住空間ではない。 その大半が貨物格納庫を占める区域だ。 ゆえにバンカー以外が立ち入る用件もそう無いだろう。 「…いえ。それほどまでに言っていただけたなら、 ヴェスペッラのクルーとして、とても光栄です」 手をブンブンと振られれば、少しきょとんとした後。 こちらも緩く手を握り返し、そっと揺らした。 蓄積されたデータはそれが親愛の形だと知っている。 「いいアイデアだと思います。 浴場こそありますが、宇宙船内では 水遊びをすることは少ないでしょうから」 相槌を返し、あなたの言葉に頷いて。 足音がふたつ、公園を後にしていった。 (-152) 2024/03/31(Sun) 18:22:14 |
【秘】 palla ヴィーニャ → 機関士 ジャコモ「え〜?ヴィ、なんにもいらないよぉ。 好きなものって言われても〜……あ、」 ひとつ思いついたように片手をグーにして もう片方の手のひらにぽんっと打つ。 本当に何も必要ないのだが、それはそれで気にしそうで。 「手料理。…ヴィ、おかあさんの手料理好きだったの。 ジャコモちゃんの気が向いたときに何か作ってくれたりぃ」 それは今でなくて、いつかの未来にでも。 半分冗談、半分本気のおねだり? 作れないならそれはそれで何も受け取らない流れに出来るし。 犬猫論争はやっぱり、反応が面白かった。 ここ、犬好きそこそこいそうだけどなぁ。 (-153) 2024/03/31(Sun) 18:28:57 |
【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「仮にな、これが本当に──単純な敬愛だったら、 オレサマはもっと悩んでたよ。 もっとマシな生き方を用意してやれた…… オレなんかに雛鳥のよな刷り込みをさせることはなかった」 まだ感触が残っている気がして、また唇を撫でる。 しんみりと言葉を並べるものの、今はあまり身の入っていないどこか乾いた響きをしていて。 「この恐れ知らず。物好き。……どうせなら、こんなクソッタレた船に乗る前から言ってくれてもよかったのに」 慈しむような視線を向ける。その一枚下に獰猛さが眠っているとしていても。甘やかして可愛がりたい気持ちは本物だ。憐みや慰みで関わったことは一度だってない。 「改めて聞かずとも、オマエは地獄までだってついてくるだろ。 ……他の何もかもを擲ってでも、オレを選ぶつもりがあるだろ?」 「もしそうなら、そんな奴にさあ、 あれこれ悔やんでる方が失礼じゃねェか」 こればかりは聞いてないもので、確かめるような口ぶりではあったが。こちらが初めから嫌だと言っているならまだしも、そうではないから、 少なくともあなたはそうできるに足る覚悟を持っていると見る。 ▽ (-155) 2024/03/31(Sun) 19:11:20 |
【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「──もっとみっともなく欲しがれよ。 オレはその全部を与えてやる。そんで…… それと同じくらい、ジャコモの全てを奪うだろうから」 酒を一杯あっという間に飲み干してから立ち上がる。 代用品としてではない。他でもあなたの全てを掌握する。そんな傲慢たる物言いをして、緩慢に近寄っていく。 アウターの下の肢体は薄く伸びる布一枚で覆っただけの姿だ。それもまたあなたを悩ませることはあっただろうか。 「責任を負うのも後悔するのもそっちの番だ。 ユウィの部下なのにって?──笑わせてくれるね。 何処までもお似合いだよ、オレたちは」 顎を引いて、無理矢理にでもこちらに顔を向けさせる。 厭味たらしさのない、激情の籠った笑みを間近に寄せて、囁く。 「その根性には惚れてやる」 「だからなろうぜ?滅茶苦茶によ」 (-156) 2024/03/31(Sun) 19:12:35 |
【秘】 機関士 ジャコモ → ブチ抜く ユウィ「他の全てを擲つ事をすぐに判断できるか、心を痛ませないか、全てをノータイムで「はい」とは言いきれるか、正直に言うとわかりません」 「だってそれらも全てアンタから貰った大切なものだから」 「ユウィさんの意に沿わない行動だって、してしまうかもしれない」 「イエスマンじゃない。アンタが大切で、誰より一番想っているからこそ……俺は、アンタの為に動きたい」 慈しみの視線を受けて、ひとつひとつ毅然と、ゆっくりと言葉を積み上げる。貴方の望んでいた答えとは、もしかしたら随分と違うかもしれない。 「でも、」 「俺が最後にひとつ、選ぶのは」 「他の誰でもない、ユウィさんです」 「──それだけは、信じて欲しい」 「俺、もう雛鳥なんかじゃないですよ」 「盲目なままじゃなく、無垢な背中をついて回る雛鳥でもなく、俺の意思で貴方と生きたい」 橙色の目が貴方を象徴するような緋色の目を見据える。 もしかしたら貴方を不快にさせるかもしれない。そんな不安も微塵も見せずに話せるのは、今まで貴方に貰った愛の証明で。 「これが俺の"覚悟"です。 ……貴方を、誰より愛しているから」 「こんな俺でも、許していただけますか」 「それとも、雛鳥のままの俺を愛して下さっていましたか」 こうして覚悟を、己の意思をここまで示したのは今回が初めてだ。ある意味、ジャコモと言う男は今初めてこうして生を受けたのかもしれない。 貴方に拒絶される可能性をもってしてもなお言葉を紡いだのは、全て貴方に愛されたいから。▽ (-172) 2024/03/31(Sun) 23:27:49 |
【秘】 機関士 ジャコモ → ブチ抜く ユウィ「もし、許してくれるなら俺は、……っ、」 告げられた情熱的では済まない火傷のように熱い言葉に、 先程までの毅然とした態度が消えうせ、貴方を恋焦がれる一人の雄になる。本当は今すぐみっともなく這いつくばって、貴方を欲すのを、せめて最初くらいは格好良くありたいと理性が許してくれない。 「……欲しいです。アンタの肢体も、心も、全部。 誰よりも恋焦がれて与えられるのを待ちわびて、 奪うのも奪われるのも、全部欲して堪らなかった」 くれない、はずだったのだが。 言葉は何事よりも明瞭に本来の姿を晒す。言い終えてはっとしたころには貴方の身体はすぐ近く。思わず喉を鳴らしてしまうのは、アウターの下がどうなっているかなんて想像したことがないとは言えないからで。それを乱暴に脱がす夢をみなかったかと言えば、それも嘘になる。 「ほら」 貴方に惚けていた顔も顔を強制的に向けさせられれば、 その笑みと比例するように昂進の籠る笑みを湛え、 顎を掴む手をゆるりと解かせ、今度はこちらが貴方の頬、輪郭、唇へと手を滑らせて、噛みつくようなキスをした。 「そう言った事、後悔するくらい、 早くアンタを抱き潰してやりたくて仕方ないんだ」 (-173) 2024/03/31(Sun) 23:28:37 |
【秘】 機関士 ジャコモ → palla ヴィーニャ「手料理、ですか。 おかあさんの手料理に叶う気は全くしないが…… いつも趣味で作ってるアレなら……」 母親の手料理に匹敵する程の物を作れる気はしない。 だがそこまで期待のハードルを上げて行ったわけではないだろう。まずはチャレンジ。望まれるものを渡す方がいいのだから。 「それじゃあ今度、 料理と言えるほど大したものじゃないんですが、 今度作った時にできたら持っていきますよ」 (-174) 2024/03/31(Sun) 23:36:21 |
【秘】 palla ヴィーニャ → 機関士 ジャコモ「……ほんとぉ?…んへへ〜、うれしいなぁ」 そりゃもちろん、おかあさんの手料理と 貴方の手料理では味が同じ!見た目も同じ! とはいかないのだろうが。 だとて、嬉しいと思う感情に偽りはなく、 その約束を楽しみに思わないはずもない。 「たのしみにしてるねぇ」 (-175) 2024/03/31(Sun) 23:50:04 |
【秘】 機関士 ジャコモ → palla ヴィーニャ「喜んで貰えるのは嬉しいですけど、 ただの目玉焼きパンなのでがっかりしたらすいません」 あの某ラピュ……の映画にもでてくる、ケチャップとチーズをのせた食パンに、フライパンで焼いた目玉焼きをのせるだけの簡単きわまりない料理だ。ジャコモはそれが好きだった。 「ヴィーニャ様とは船の約束させて貰いましたから、 これくらいの約束引き受けて当然です」 「そんじゃ、また作った時に呼びますから」 お礼もいったし、今日は一度お暇の構えだ。 (-176) 2024/04/01(Mon) 0:45:30 |
【秘】 機関士 ジャコモ → palla ヴィーニャ「あ」 忘れてたとばかりにUターンし、小型端末を操作すると、 貴方の端末が反応がある。 開くとそこにはみんなで作った猫だるまが、春の陽気に包まれながらも花弁が落ちてきた瞬間を撮った写真だ。 「なんか誰かが耐熱ガラスを置いてくれたみたいでよォ。 春にした公園いったら猫だるま達が春を楽しんでたんで 撮ってきた写真、よかったら記念に」 「家族みたいで、かわいいっすよね」 (-183) 2024/04/01(Mon) 6:08:47 |
【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「言うようになったじゃねェの」 積み重ねられる言葉一つ一つを、意外そうな目を持しながら聞いていた。確かに想像していた答えとは違ったが。 それは寧ろ望むところでもあった。 「お互いガキん頃から……随分とあり方が変わったさ。無鉄砲で何にでも手を出してしまうオレはもういないし、オレがそこにいたから追いかけてきたジャコモはもういない」 「オマエの方が下で、命の使い道が来るまで守ってなきゃなんねェと思ってたが、どうやらそれは違ったみたいだ」 こちらに対する畏れとか惑いとか、いくら見つめてもその橙の瞳の中には覗けなかった。あまつさえ告げられた愛の言葉には思わず頬に力が入って、口角がさらに上がる。 「いつオレが羽を食い千切られてもおかしくないね。 奪われるのも、そんな奴になら悪くない」 余裕そうに見せているものの、内心では情動を押さえつけるのに唯ならぬ労力を割いていて。 大男の生き方は心底単純だ。より強いもの、より納得できるものに従って忠義や義理を押し通す。湧き出てくる溢れんばかりの愛に尻尾を振って生きるのは大層魅力的に思えた。 「──ハハ、」 獣のような欲望を隠そうとしている葛藤を見抜いて、 猶更こちらがはしたなく身を投げ出すわけにはいかなくなる。 形だけは頼れるように、なんて思って、それももう必要ないのかもなとも思った。▽ (-185) 2024/04/01(Mon) 8:59:47 |
【秘】 ブチ抜く ユウィ → 機関士 ジャコモ「じゃあそのうち──互いの全部を放り出そうか」 今は身も心も差し出せる。やがては身柄も、命でさえも。 愛に応えるほど相手を信じるのならば、 こんなものを縛り付ける必要も意味もひとつだってない。 「それからオレと喧嘩するぐらい、 何を持っていって何を寄越すかはテメェで選べ。 対等に向き合え。オレだって好きにする」 「噛みかれるぐらい危険な相手の方が、 よっぽど燃える──燃え滾って興奮するね」 キスを受ければ激情は更に熱い色気を含み、辛抱ならずにベッドまで歩いていく。 その道中、尻尾がアウターの下に潜り込んで頸へ伸び、ファスナーを引き下げて尾の根本まで。ぱち、と軽い音がしたかと思えば肌にぴったりと纏っていた布がたわんで。胸から下腹部まで引けば容易く剥がれそうな心許ない仕切りを落として。 一連の所作を目で追っていれば、上着の内で一瞬露わになった背も──尾の下から股を潜って前に伸びるもう一つのファスナーも見えていたかもしれない。仮に破いてしまったところで問題はない。仕事柄、替えが幾らでもあるのはあなたも知るところだ。 「……来いよ」 「ハッタリじゃないか試してやる」 竜はベッドの前で振り返って、 あなたに襲われる獲物を演じて待っている。 (-186) 2024/04/01(Mon) 9:03:37 |
【秘】 仕分人 ナル → 機関士 ジャコモ「"そんなこと"、ええ、"そんなこと"ですが」 「あなたの上司は、"そんなこと"をする立場の人間であるか一度考えるべきです」 「……今回のトラブルの犯人とは決めつけません。 それでも、規約違反に変わりません。 然るべき罰を受けるべきですし、連絡はします。 そうしないとファミリーへ対して示しがつきません」 友人として、ファミリーの仲間として。 本当に信じたいという気持ちであなたにうったえる。 「単なるミスであることを祈りましょう」 「そして、 ――もし彼の望むことがファミリーにとっての不幸であり、 あなたにとっての幸福であったのなら。 忘れないで、くださいね。私、……や、みんなのこと」 縋るのもしがみつくのも怖くて、それでも漸く口に出したのは不確かなことでした。 こんな夢物語や決まり事のない希望を話すのも、信じるのも、全部全部苦手なんです。 ずっと怖いんです、けど、共倒れは誰も望まないでしょうから。 「言えるのはそれだけです。 今は考えることが多いでしょうから休んでください。 引き続きこちらはエーラさまを調べようと思っています、 あなたも無理するぐらいなら、手を止めて眠ってくださいね、それでは!」 (-189) 2024/04/01(Mon) 10:34:46 |
【秘】 機関士 ジャコモ → 仕分人 ナル「それは……」 そうだ。普段ならそもそもユウィさんが規約違反をするはずない、なんてそっちの方に噛みついていた。 そんなことをする立場の人ではないのは明確で、以降のナルの話にもなにも言い返せなくて俯くばかり。 「……単なる、ミスだよ」 本気で信じられるように、言い聞かせるように呟いたが、どこか空虚な言葉へとなった。 「ナル、俺は……」 忘れるはずないだろう、なんて、どの口で言えたのだろう。言えるはずもなかった。 ナルの想定を否定できない。もしユウィさんがファミリーの不幸を望んだとして、その時俺がファミリーをとれるか。自己に責めるように突く問いかけは、その答えを出せないまま胸の痛みとして消える。 「……お前こそ、そんなガンガン走り回って無理すんなよ。そんな体力ある方でもないんだし。 ……お前が倒れたら嫌なのは、本当だ」 エーラの名前がでる。随分と絆された相手だ。自分一人であったなら、そしてもし彼女が黒なら、恐らく見つけることはできなかったくらいの。心がざわめいた。ユウィさんとエーラが裏切り者の想像をして。 「無理はしてねえよ。体力的にはむしろあり余ってる。……俺はベルヴァを調べる。何かわかったら、また。……次がないまま死ぬなんてやめろよ」 言って、貴方と別れて。 あなたにとっての幸福であったのなら。 「それでも俺の幸福は」 「…………──」 (-194) 2024/04/01(Mon) 12:39:49 |
【秘】 palla ヴィーニャ → 機関士 ジャコモ「んはは、別になんだっていいよぉ。 ヴィのために作ってくれるってだけでうれしいし〜」 死ぬまでにあと何度、手料理というものが味わえるだろう。 それが例え簡単なものだとしても、だ。 自らのためにというのは少しずつ機会を失っていくから。 「…ん、約束。そっかぁ、そうだねぇ。 それじゃあ、甘え…………え?」 ▽ (-222) 2024/04/01(Mon) 21:27:37 |
【秘】 palla ヴィーニャ → 機関士 ジャコモ甘えておこう、とお暇前に決意するが 戻ってきた貴方にどうしたのかと首を傾ける。 その間に端末が震え、中を確認すれば猫だるま達。 …と、春の花。ひらひらと薄桃色の花弁が映りこんでいる。 思わず魅入るように見つめ、ほぅっと息を吐きだした。 「………かわいい、ねぇ。…ありがとぉ、ジャコモちゃん」 (-223) 2024/04/01(Mon) 21:28:15 |
【秘】 機関士 ジャコモ → palla ヴィーニャ「でしょ?会心の一枚と思ったんですよ。 これは絶対ヴィーニャ様に見せようと思って。 まだストレルカやユウィさんには送れてないから、 機関室当たりの見回りを終えたら送るつもりです」 「耐熱カバーがあるから、夏や秋の猫だるまもきっと見れるはずですよ。ほら、実はあの公園って季節の書き換えは管理室横のボタン一つで行けるんで」 「もし今度暇があったら、 猫だるま達に四季を見せてやれば喜ぶと思いますよ」 なんて、満足げに言い終えたら、今度こそ手を振って立ち去って行った事だろう。 (-224) 2024/04/01(Mon) 21:36:18 |
【秘】 機関士 ジャコモ → ブチ抜く ユウィ「ユウィさんの背をずっと見て育ちましたからね」 「未練がないとは言わないですよ」 「正直、望まれるならそのままでもいいというくらい、 あまりにも尽くして貰った生だから」 生き方を他者に預けるのはとても心地が良かった。 貴方の後ろを歩いて、貴方の庇護の元大切に守られ続け、貴方の後悔と責任感に付け込んで、微睡みの中幸福を享受し続けていてもよかった。 「でも気づいたら」 「その横顔も見たくなっちまったから」 幼い頃。貴方が彗星のようなヒーローに見えた頃から、 貴方の生き方を見続けていた。そして知った。 その横顔を見るには、今のままだけじゃ足りないのだと。 「俺にだけ見せてくれる表情が沢山あった。 それだけで十分すぎるほど幸せだった筈なのに、」 どうしてか、貴方の全てを見れないと思うと、胸が苦しくなるんです。 これを恋かどうか躊躇うようになってから得た感情である事には、ようやく今の今、気づいて。 「だから、お望みならば……いいや、望まれなくったって 全部奪って見せますよ。アンタの全てが欲しいから」▽ (-228) 2024/04/01(Mon) 21:54:41 |
【秘】 機関士 ジャコモ → ブチ抜く ユウィ「──はい。 好きにさせて貰うのに、 好きにするのを許さないなんて勿論ないです。 「何を取って何を取るか、無い頭で必死に考えて、 そんで、ユウィさんと幸せになるんです」 結論は柔らかすぎるようにも聞こえる、そんな言葉だが。 男にとってはそれが全てだ。喧嘩するのも、取捨選択も、 全ては悩んだ末の、男が出した幸せな結論の為のもの。 それだけは何を以てしても変わらない。 「……やっべ、緊張してきた」 「……服、邪魔ですから取っちゃいますね」 たわんだ布は、遠慮なく剥がす為に引かれて。 少し背伸びした啄むようなキスを落とした後、首から胸へと同じくらいの軽さで音を鳴らしながら口付けて。 それから前に伸びるもう一つのファスナーに視線をやって、 破ろうか迷った思考の末に、しかしながら結論は思ったよりも早く、破くというものに至った。正直色々と我慢がならなかったからだ。 早急に、焦るくらい、貴方に焦がれた熱に焼かれるように、この先を知りたくて仕方がなかったから。 (-230) 2024/04/01(Mon) 21:56:23 |
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