人狼物語 三日月国


145 【R18G】星仰ぎのギムナジウム2【身内】

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【人】 王として リアン


翌日の夕方頃。
仮面を着けず、
琥珀色の双眸
で皆を見まわしていたことだろう。
きょろり、動くのは左の目だけ。
右の目は、きらりと光をうけてきらめく 
琥珀色のガラス玉
が嵌められている。
(0) 2022/05/08(Sun) 23:00:59

【秘】 少年の勇気 バラニ → どこにもいない シャルロッテ

「っ……そんなこと、ない……!」

君と同じ、涙を零した顔でその言葉を強く否定する。

「今の君だって、私の目にはとても目映い存在だよ……
 君のようにありたいと、君の隣に相応しくありたいと、思うほどに……」

そして訴えかける。
『女の子』でも『シャルロッテ』でもなくとも。
私には君が必要なのだと、必死に想いを込めて。

「──私も、今から君と、別の方法を試していきたいんだ……」
「一緒に行こう……私と、君とで……どうか、お願いだよ……」
(-0) 2022/05/08(Sun) 23:12:09

【秘】 目覚める少年 シャルロッテ → 少年の勇気 バラニ

呼吸の仕方がわからなくなってしまったみたいに苦しくて、引き攣る喉から声が出ない。
『シャルロッテ』でなければ、『女の子』でなければ、やはり意味も、価値もないのだと確認した筈なのに、あなたはそうではないと言う。
喘鳴が漏れる。
諦めなければならないあなたに縋ることをやめられない。

心が離れても。受け入れられなくても。
あなたがどんな風であっても、この恋を手放すことができなかったから。

(-1) 2022/05/09(Mon) 0:20:36

【秘】 あなたと手を繋ぐ シャルロッテ → 少年の勇気 バラニ

「……いっ、しょに、」
「いき、たい」



「だいすきだから」
「どんなバラニだって」
(-2) 2022/05/09(Mon) 0:21:22

【秘】 君と一緒に バラニ → あなたと手を繋ぐ シャルロッテ

「……ありがとう」

ずっと家督を継ぐ者として相応しい男になれと言われてきた。
病気に負けるような、女になるような軟弱者は必要ないとも。

貴族の跡取りとしての『バラニ』ではもういられないだろうか。
けれど、愛する者を守れないなら立派な男になどには拘らない。

貴族であることも、男であることも、真に大切なことではないから。

それに気付かせてくれた愛おしい君に、感謝の言葉が自然と出る。

(-3) 2022/05/09(Mon) 7:53:02

【秘】 君と一緒に バラニ → あなたと手を繋ぐ シャルロッテ

「私はもう、君を離しはしない……絶対に」

「君を守り、支え……進むための勇気を与えるよ……
 私に君が、そうしてくれるのと、同じようにね……」


「だから」


「君の名前を、教えてくれないか……私の、愛おしき人よ……」
(-4) 2022/05/09(Mon) 7:55:00

【秘】 あなたと手を繋ぐ シャルロッテ → 君と一緒に バラニ

たとえ姿かたちが変わっても、あなたがあなたであるように。
このからだが、『お母さん』からかけ離れてゆくように。
ほかの誰かにはなれないのかもしれない。

あなたの持つその病は、跡継ぎとしては致命的なものなのだろう。
それでも。
あなたがどんな病を抱えていても。
あなたがどんな姿でも。
泣いても。立ち止まっても。
少年にとっては、支え合って共に歩みたい大切な人だった。

泣きじゃくる少年は、思い通りにならない喉で、どうにか、ふるえる深呼吸をひとつ。
滲む視界のまんなかに、確かにあなたの姿を映す。

「————シャルル」

それは、会うことのできなかったお母さんが遺してくれた名前。
(-5) 2022/05/09(Mon) 11:55:42

【秘】 君と一緒に バラニ → あなたと手を繋ぐ シャルロッテ

「シャルル……」

君から告げられる本当の名前。
同じように声を震わせながら、おうむ返しのようにその名を呼んで。

ふう、と深く息を吐き、涙で濡れた自らの頬を手の甲で拭う。
明瞭になった視界のまんなかに、確かに今の君の姿を映した。

──胸に抱く決意を強め、君に向かって優しく微笑んで。

(-6) 2022/05/09(Mon) 22:05:21
バラニは、シャルロッテの頬を濡らす涙を、君がしてくれたように優しく拭って。
(a0) 2022/05/09(Mon) 22:06:29

バラニは、シャルロッテとお互いの唇を触れ合わせる。
(a1) 2022/05/09(Mon) 22:09:08

【秘】 君と一緒に バラニ → あなたと手を繋ぐ シャルロッテ



「──君を愛しているよ」


言葉だけでなく、行為をもって君への気持ちを目一杯に伝えた。
(-7) 2022/05/09(Mon) 22:10:36
バラニは、そうした後、急に照れくさくなってきて顔を赤らめるのだった。
(a2) 2022/05/09(Mon) 22:12:07

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

ちょうど、貴方が役目を終えて、或いは務めを終えて。
食堂を囲む空気も、人々が表に戻ってきたことで徐々に緩んできたところだろう。
数日前にそうしたように貴方の部屋の扉を叩いて、
今度は手紙を挟まず、姿を現すのを待った。
手にはほんのちょっとだけ包んだ、お弁当というにはこころもとない麺麭が少し。
飲み物だとかは、気が回っていないかもしれない。
(-8) 2022/05/10(Tue) 0:06:23

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

ノックをすれば、扉の向こうで小さな物音がする。
足音はだんだん近づいて、数日前と同じように扉が少し開いた。
人一人分の隙間から、ひょこ、と見慣れた顔を覗かせる。

「?」

用件はなんだろう、と首を傾げてから
あなたの顔と、手に持ったものを交互に見た。
それから黒板にいくつか文字を書いて、裏返す。

『こんにちは』
『お部屋に入りますか?』
『それとも外へ?』
(-9) 2022/05/10(Tue) 8:13:07

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

貴方の顔を見れば、なぜだかちょっとほっとしたような気分。
何に加担していたかなんていうのは知らないはずなのに、獣の勘か。
それとも単純に、まだ"神隠し"の余韻が不安を掻き立てるのか。
ともかく姿を見せた貴方に、いつもののんびりとした声が言う。
もうじき夕も回ってくるから、そのうちそれも戻るかもだけど。

「外で」「せっかくだし」
「おやつでも、どうかな」
「手袋のことも」「あるし」

少しの荷物、少しの猶予。
夕飯までのほんのちょっとだけの空き時間。
いつでも切り上げられるくらいの、軽い話をどうだろう。
(-10) 2022/05/10(Tue) 12:20:26

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

「!」

心地よい早さののんびりとした声に耳を傾けていたら、手袋の話があがる。
この間の夜に、今度聞かせてほしいとねだった話だ。

折角の誘いを断る理由も見当たらない。
共に過ごす時間は良いものだから。
するりとドアの隙間から身体を出して、ぱたんと閉じる。
青年の袖を掴んで、歩いていく準備は万端だ。
あなたが歩いていく先に自然とついていくのだろう。
(-11) 2022/05/10(Tue) 20:32:06
村の更新日が延長されました。

村の更新日が延長されました。

【秘】 あなたと手を繋ぐ シャルロッテ → 君と一緒に バラニ

自分で口にするよりも、あなたに呼ばれるその名前を、なんだか心地よく感じる。
いつもよりほっそりとした手が、たおやかな指先が頬を撫でてゆく。
少年はまだ、自らの見ている世界に違和感を覚え始めたばかりで。
あなたのことだって、知り始めたばかりだ。
それでも、この手を離さずにいられたらと思う。

「――――」

……思って、いたら。
唇の触れ合う感触に、瞬きをひとつ。
その拍子に、目の縁に残る涙が一粒、滑り落ちて。

「……私も、あなたをあいしてる」

恥ずかしがって頬を染める様子に、思わずすこし笑ってしまった。
けれど少年は、そんなあなたをこそ愛したのだ。
(-12) 2022/05/10(Tue) 21:56:59

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

バスケットに入れるべきだろうパン、剥き出しの小麦の匂い。
共有スペースに降りたところで、はっとしたように思い出して。
慌てて、というには悠長に自分の部屋に戻ってティーセットを取りに行ったり。
どこか段取りも悪くてそそっかしい動作で、出掛ける準備を終えて。

足を踏み入れた先は中庭の見えるテラスだ。
遠くには子どもたちの声も聞こえ、森から近いわけでもなく。
夕の日が落ちてしまったならば、ぱっと明かりもつくだろう。
テーブルにいそいそと持ってきたものを広げて、お茶を入れる。
ガラスのポットの中で茶葉とお湯が触れ合うと、花のような香りが漂った。
果実や花弁を乾燥させた、ノンカフェインのフルーツティーだ。

「ラピスは」「……好き嫌いとか」「ある?」
(-13) 2022/05/11(Wed) 1:58:10

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

忙しないようでいて、ゆったりと整えられるお茶会の席。
手伝っててきぱき終えてしまうより、この風景を見続けていたくて大人しく待っていた。
大方の準備ができれば『ありがとうございます』と添える。
お茶の香りがふわりと漂うのを感じながら、嗜好について考える。

『嫌いなものは特にありません』
『甘いものは好きです』

はちみつを入れたホットミルクとか。
共有スペースにあるお菓子もよく食べる。
食堂で朝の食事を選ぶ姿を見かけていれば、特段好き嫌いなく過ごしている様子を知っているかもしれない。

『バットくんは好き嫌いがありますか?』

少しの食事だけを取る姿が、なんとなく印象に残っている。
(-14) 2022/05/11(Wed) 9:34:25

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

ゆったり、いつもと違う場所で行われる準備は時間がかかったけれど、
整ってきたなら次第に手元の動きも落ち着いてきた。
ベリーと同じ色の花開くポットの中はルビーのような色をして、
軽く蒸らしてからカップへとそそがれる。

「……ある」
「嫌いというか」「食べられないもの」
「でも」「見られると、気味悪がられるから……」

ぽつ、ぽつと話す言葉は引っかかりも多く、言いづらそうに。
途切れ途切れの言葉の合間はいつもよりも間が空いて、
歯切れも悪く、言うかどうかを迷うように。
それでも、自分の中の障壁を超えようとするように順を追って。

「……聞く?」
(-15) 2022/05/11(Wed) 13:00:52

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

静かにその手元を見て、赤色が注がれるのを待つ。
歯切れ悪そうな速度で語られる言葉をひとつひとつ拾って飲み込んだ。
その中の気味悪がられる、という表現が引っ掛かる。

『バットくんが話してくれるのなら』
『聞きたいです』

それがこの場所にいる理由の一つなのかもしれないと思う故に、続きを聞きたいと願った。
(-16) 2022/05/11(Wed) 21:43:25

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

「……」

安堵したような、余計に緊張の強まったような。
息をして、続ける言葉を頭の中で作る。広げたパンを一つ手にとって。
それを例に、と切り出した。

「例えば僕は」「これは、食べられなくて」
「お腹に入れた時、に、受け付けない」
「飲み込むことは出来ても、あとで戻したり、消化できなかったりする」

青年はいつも、朝食の席では少量スープや小さなビスケットを食べるふりをするくらい。
人前できちんと食事をしている姿は、見せたことがほとんどなかった。
そのくせ長らく食事を選ぶ列に並んでいるのは。

「だから、食べられるものだけ選んで……」
「こっそり、別の場所で食べたりしてた。人に見られると、よくないから」
「パンとか、野菜とかは食べられなくて。肉なら、だいじょうぶ」
「好き嫌いはだめ、って言う人もいた……」

そこで一度途切れた。もう一段、高い階段を上がるように。
息を吸って、吐いて。椅子の上の身体は、その上に据わった頭をうつむかせた。

「それ、で。……それだけじゃ、足りなくて」
(-17) 2022/05/12(Thu) 0:29:36

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

自分にとっては普通に食べられるパン。
手袋は脱いで、一つ取ってまじまじと眺めるように持つ。
美味しそうな小麦の匂いがした。
折角差し入れてもらったものだから、一口程度にちぎって口に運ぶ。

訥々と語られていく青年の事情を聞いて、あの夜に見聞きしたことがひと続きに結びつくような感覚に包まれる。
兎のこと。血のついたリボンのこと。
手袋の下に感じる、微かな疼痛。

『だから』
『森に行っていたのですか?』

肉なら大丈夫。
その言葉と、牙を突き立てたあの行動が朧げに重なった。
(-18) 2022/05/12(Thu) 1:31:43

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

「……そう」

頷く。森に毎日入る理由、飼育係を志願した理由。
尖った牙の理由から、それを突き立てた理由まで。
何もかもが一つの線で繋げられる。

「森に入って、罠を仕掛けて。
 それでも何も穫れない日が続いたら、"そう"した。
 見つからないように埋葬して、隠してた。
 それが露見したから、……」

暗に指し示されるのは、大人に連れられた神隠しの日のこと。
本当はもっと別の理由なのだろうけど、青年からすると心当たりも理解もなく。
そんな体たらくなのだから、青年に関してはエネルギーの取得は上手くいかなかったかもしれない。
どちらにせよ、何もかも今は終わった話だ。

「……怖い?」
(-19) 2022/05/12(Thu) 7:07:17

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

指の先で、塞がった傷の跡をつい、となぞる。
かさぶたがその形に合わせて凹凸を伝えた。
あの時、自分はどんな感情になっただろう。

『上手く言えませんが』
『怖くはないかもしれません』
『驚きはしました』

本来は恐怖を覚えるのが正しい防衛反応なのかもしれない。 
突然のことに瞠目したのは覚えている。
実際に話を聞いた今も、恐ろしいというよりは。
これはもしかすると同情だとか、苦労を慮るような、そんな気持ちのように感じられた。

『身体が受けつけないものは』
『そういうもの、なのだと思います』
『治したいと考えるかは、また別のことなのでしょう』

克服できればそれに越したことはないのだろうけれど。
全てを否定をされることもないような。
どちらにせよ今の青年を形作る一部なのだと認識した、 
(-20) 2022/05/12(Thu) 11:53:34

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

「よくないことだって、わかってる。
 食べ物じゃない生き物は、かわいそうだ。
 でもそれ以外に、苦しいのをどうにかする方法はなくて……」

事実だけを話すように心がけても、どうしても上手くいかない。
ぽつぽつと語る言葉は次第に心情や不安を吐露するほうに至っていく。
わかってほしい、と。そう思ってしまうからなのかもしれない。
上がらない視線は時々振れるようにテーブルの上に浮いては、またカップの底に沈む。

「今はどうにかする方法を考えてくれるって。
 けれど、それ以外のことはどうしたらいいんだろう。
 自分がどういう人間か、"病気のこども"じゃなくなるのか。
 ちゃんとふつうの人みたいに、物を感じたりできるのか、……」

いつか貴方の指に牙を突き立てた時、自分の中にはどんな感情があっただろう。
それはまだ未完成の心を持つ青年にはわからない、人間的な慕情なのか。
それとも獣のような、狼のような、獲物に対するそれなのか。
答えが出る日が来るのかさえ――
(-21) 2022/05/12(Thu) 20:48:48

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

『わからないものは怖いですからね』
『わかるようになれば、怖くなくなるのかも』

浮いては沈む瞳を真っ直ぐに見ていた。
未知への恐怖。
理解できないものへの恐怖。
それがそのままであるかもしれないことへの恐れ。
そういったものも存在しているのだろうか。
吐き出される不安の全てを理解してあげられなくても、理解したいとここに居る自分は確かなものだ。

『可哀想と感じる気持ちがあるなら、
 バットくんには心があるのだと思いますよ』

どうしようもなく獣に変じ切っていれば、獲物への憐憫は感じ得ないだろうから。
いつになるかわからないけれど、答えが欲しいのなら、そのいつかを目指して歩まなければならない。
それもまた事実なのだろう。

『私は』
『バットくんと一緒にその答えを考えたいです』

いつか、先生になりたい。
誰かのわからないを助けられる人になりたい。
受け入れられるのなら、そうありたかった。 
(-22) 2022/05/12(Thu) 22:58:02

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

瞼はゆっくりと瞬きをする。喉の奥、凝りになったものをのど飴が解かすように。
吐き出した息を反動にするようにようやく目を上げて、貴方の瞳を見た。
落ちかけの陽を受けたテーブルの上を這うような視線は、どこかに縋るものを求めている。

「心」
「……かわいそうだと、思えるなら」

少しだけ、ずいぶんと時間を掛けて迷いを心に留めたなら。
机の上に置かれた手にもう片方の指をかけて、迷って。
そっと、いつも指先まで隠しきっている手袋を外した。
その中から現れた肌には微かな獣毛と、鋭い爪が携えられている。
どちらも"ふつうの"人間にはありえない、まるで獣のようなそれだ。

「まだ、ずっと。僕は病気を抱えている間、答えがほんとのものかも迷うのだと思う。
 いつだって、見えるところに僕を否定するものが、あるから。
 ……少しだけ。ほんのすこしだけ。
 僕の中のなにかを、君に預けても、いい?」

いつか、貴方が自分を導いてくれるなら。
自分の中のわからないを助けてくれるなら。
受け入れられると、信じていいのだろうか。
(-23) 2022/05/13(Fri) 7:26:07

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

『もちろんです』

自分にできる範囲なら、喜んで受け入れよう。
皆どこかが普通ではないこの場所で何かを見つけられたなら良い。
不安を湛えた瞳を見つめ返して、肯定する。

『一緒に迷えば、きっと気持ちも楽になります』

手袋の下から現れた獣毛と爪。
鋭い牙と合わせて、獣を想起させるものであることは間違いなかった。
けれど今の青年の一部であることもまた間違いのない事実で。
それを握ろうと、夜を映した宝石の手が伸ばされる。
無機質なようでいて、血の通った小さな手。

この両手に掴める分くらいは、青年が抱えた何かを預かれると信じていたい。
 
いつか普通を手に入れるのか。
いつか普通じゃないことを肯定できるようになるのか。
それすらも曖昧だけれど、答えと呼べるものに辿り着くために歩もうと思えた。
(-24) 2022/05/13(Fri) 11:23:47

【秘】 雷鳴 バット → 青金石 ラピス

互い違いの指に重ねるように、少しだけ力を加えた。
陶器のようにつるりとしたそれが、壊れてしまわないように。
いつだかもそうした指の合わせは、以前よりもほんの少しだけ確かなものになった。

「……一緒に、迷ってくれる?」

問うたけれどその答えはわかっていた、わかっていると思っていいと感じた。
投げかけられる光が柔らかい月のそれに入れ替わって、表情を変えても。
青い光に照らされる貴方の優しさが変わらないことを、
あの森の中での一件があってからもこうして言葉を交わしてくれることで、知っている。

「ずっと。答えが見つかるまで。
 ……僕と一緒に、いてほしいな」

大きさの違う手で、青い指を包み込んだ。小さくか細い指。
どんな心を抱いているのかはまだ、判然とはしないけれど。
貴方なら、己の手をとって導いてくれるような気がして。
(-25) 2022/05/13(Fri) 20:04:55

【秘】 青金石 ラピス → 雷鳴 バット

少し前までは微かに引っ掛ける程度であったそれが、今はより確かなものになったことは少女にもきっと伝わっていただろう。
問いかけの答えも、決まってる。
脆いこの身を傷つけないようにとしてくれる青年も、同じように優しさを持っている。

──ずっと一緒です。


音にならない、吐息と唇の動きがそう紡いだ。

青い光を注ぐ月の下。
花の香りが仄かに漂うテーブルの上。
大きな手と小さな手で、これからを願う約束が交わされた。
(-26) 2022/05/13(Fri) 20:36:34
 




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