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人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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【人】 黒崎柚樹


["オレは大声を出すと元気が出る" >>161 という台詞があまりにも納得感しかなくて、小さく吹き出してしまった。]

 ……ふ、ふふ、確かにね。

 大声出すのがストレス発散だったんだ……?

 なら、仕方ないか……、はは。

[確かにその声量で呼んでくれたら、迷って戻れない事になっていてもきっと気付けるし、この界隈に居る人たちも何事かと思ってはくれそうだけれど。

そういうことじゃないんだよなあ、と、くすくす笑っていた自分が、その数秒後には過剰反応気味に武藤の手を叩いてしまっていたのは情緒不安定にもほどがあったと、我ながら思う。]
(176) 2023/03/01(Wed) 22:13:46

【人】 黒崎柚樹


 や……、こっちこそ、ごめん。
 叩くつもり、なかった。

[なんか、すごく嫌だと思ってしまったんだ。
武藤のことだから、きっと女子にはしないだろう、この仕草。

大事な人にするでもない、いかにも仲良しの友人相手にする風な。何の特別感もない、無邪気に差し出された手。

そんなのは要らない、って、思ってしまった。]

 ううん、そんなこと、ない。

["気になる女子にしかやらん方がいいやつ"では、なくて。
むしろ気になる女子にはしてほしくないやつ、というか。

いや、現状、自分は武藤にとっての"女子"ではないのだし。
武藤にとっての自分は、男。

何度も何度も言い聞かせ。]
(177) 2023/03/01(Wed) 22:14:42

【人】 黒崎柚樹


 ちょっと驚いただけ。

 ────ごめん。

[いくらか重くなった空気を変えられる話術なんて、あいにく持ち合わせていない。

気にしていないよと言外に伝えるように、武藤が普段通りに話しかけてくれることに感謝して。

ぽつぽつ話をしながら歩いていたら、つい、いつもの距離感になってしまっていたようだった。]

 んー……そうだね、直線あったらダッシュできるし……、
 …………っと、ごめん。

[細い輪が1つ足りてないだけで、なんだかすうすうする風に感じていた左手がうっかり武藤の右手に触れてしまい、ひくりと肩を跳ねさせる。

ごめんちょっと近かった、と並ぶ距離を一歩横にずらし、パーカーのポケットに両手をねじ込んだ。]
(178) 2023/03/01(Wed) 22:15:05

【人】 黒崎柚樹


[いくらかの沈黙を流しつつ、歩みだけは止めずに────多分、迷ったら困るしと何度も曲がったりはしなかったとは思うのだけど、気付けば目の前に湖が広がっていた。

辿り着いた一画にはウッドデッキが整備され、本数は少ないものの淡い光を放つ街灯と、その下にはベンチがいくつか並んでいた。]

 へえ……きれいだね。

[昼の光が無ければ湖の透明度などは解らないけれど、きっと昼には格別に美しいに違いない。

林間の小道、ずっと木で覆われていた空が一気に開ければ、それだけで開放感は格別なもので、私はデッキへと、一歩踏み出し、そのまま湖畔のそう長くはない手すり沿い、端まで小走りで駆けてみた。

なんか、あれだな。武藤と行ったテーマパーク、こんな場所で追いかけっこ、したな。
そんなことを思い出し。

少しだけ思った。
忘れているのが武藤の側で良かった、と。

私は忘れたくないよ。
ずっと覚えていたいよ。
あれが私一人の夢だったのかもしれなくても。**]
(179) 2023/03/01(Wed) 22:15:53

【人】 黒崎柚樹


 ……ゴツいよ?

[別に、ムキになる必要なんてないのに。
武藤の言う「ゴツくはなくね?」 >>194 につい言い返してしまい、目を伏せる。

  アスリートとして恵まれてる体型だと思うけど。

  武藤と1cmしか違わないくらいに伸びた背丈、
  やたら長い手足。

  鍛えても今ひとつ見た目にはあらわれはしないけど、
  それでも普通の女の子に比べれば、ね。

  せめて声がもう少し高かったら、とか。
  せめて顔つきがもう少し柔らかかったら、とか。
  せめて名前がもう少し女性らしかったら、とか。

  そう思うこともあったよ。
]
(207) 2023/03/02(Thu) 5:25:57

【人】 黒崎柚樹

[別に女であることを隠してるわけじゃない。
男だと偽ったことは……バイトの選択肢が広がるから、バイト先で詐称したことはある。でもそれ以外の場所で自分は男だという偽りを口にしたことはない。

ただあまりにも勘違いされる事が多くて、否定するのを諦めた。
男が女装している風に見られるから、女の子っぽい服を着るのも諦めた。

いつかスカート履いて、パフェ食べに行ったり、かわいい雑貨買いに行ったりしてみたい。
そう思っていたのが、武藤と言葉を交わすようになった頃の自分。]

 ……チョコなら、アーモンドチョコ、好き。

 シンプルなのも、割と好きだけど。

[いつだったかな。
照れて動けなくなった私に、"おまじない"ってチョコを口に放り込んでくれたことがあった。

手ぶらで来てたのに、なんでキスチョコ持ってるの?って笑ってしまったのは、なんだかもう、遠い記憶のよう。

あの時は、けっこうな勇気を出して春色の華やかな色のブラウス、買ったんだっけ。
今の自分には不要な服。]
(208) 2023/03/02(Thu) 5:26:52

【人】 黒崎柚樹


 ん、夕方……綺麗だろうね。

[そも方角が定かじゃないから、夜明けの太陽が見えるのか、日没のなのか、案外どちらも拝めないという可能性も無くは無かったりするけれど。

でも、茜色に染まった空の下の湖はきっと綺麗だろうなと思った。

夜風に背を押されるようにデッキを駆け出し、でも端まで行ったら武藤のところへ戻るつもりではあった、のだけれど。]

 …………っえ、

[歩幅を戻しかけたところで肘の下あたりを掴まれ、驚きに目を見開いた。

別に危ないことなんて、していない。
普段やりとりしている"友人"が突然駆けたところで、武藤は追いかけたりなんてしないだろうに。

……というか、武藤、ずっと口調が柔らかいよね。
何度か遭遇したことのある、気の置けない友人たちとのやりとりは、何て言うか……もっとぶっきらぼうだし、もっと雑だということを私は知っている。

研究室の面々は、友人とはちょっと違う関係だから、全員に対して柔らかい物言いなのは、まあ、当然ではあるのだけれど。]
(209) 2023/03/02(Thu) 5:27:58

【人】 黒崎柚樹


[
  期待、してもいいのかな。
  武藤は戻るって、期待してもいいのかな。

  でも、そうはならなかった時のことを考えるのが、
  ────怖い。
]

 …………う、ん。

[休みたいからとベンチに座った武藤に誘われ、私も同じベンチに腰掛ける。距離はいくらか離したけれど。]

 そうなんだ……?ちょっと意外。

[武藤は友達多そうだから、こういうイベント事は大体経験してると思ってたよ、なんて。

武藤が想定しているだろう返答をなぞらえるように投げ返す。]
(210) 2023/03/02(Thu) 5:28:44

【人】 黒崎柚樹

[知ってるけどね。

他人に深く踏み込まれることを厭う武藤は、大勢との飲み会には頻繁に足を向けても、誰かとサシ飲みしたことは一度もなかったし、自宅に誰かを招くこともなかった。

武藤のそういう初めては、全部、私が貰ってる。

今こうして2人で歩いて話をしていることも、というか、コテージで一緒に寝ることも、今の武藤にとっては初めてのことばかり。いや、2人でキャンプに来たことはないから、私も初めての事ではあるのだけど。

改めて意識したら、すごく今更ながら緊張がじわじわと押し寄せてきて。

照明が暗めのもので良かった。きっと今、自分の顔は赤いから。
それでも少しでも街灯から遠ざかるように、武藤から遠ざかる方向、暗い側へと腰を少しずらしていった。]

 キャンプは……父さんが生きてた頃に、何度か。
 部の合宿でもこういうキャンプは無かったから久しぶり。

[そういえば、と視線を巡らせれば、デッキの逆側には小さな船着き場もあって。

ボートも乗れたりするのかな。
白鳥型の足こぎ型のもいくつか見てとれたのは、自分的には"それじゃない"な感覚でしかないけれど。*]
(211) 2023/03/02(Thu) 5:29:49
黒崎柚樹は、メモを貼った。
(a21) 2023/03/02(Thu) 6:50:05

【人】 黒崎柚樹


[脱いだら?>>216

すごいとかは解らないけど、女性的魅力という観点からは貧相だと思ってるよ。

アスリート的には足のみならず、上腕二頭筋や三角筋もそれなりついてると思うけど。

でも鍛えてる割にはそれほどには筋肥大しない体質のようで、同じ内容のトレーニングをしているのに男子はわかりやすく筋肉の線が出てくるのに、なんだか少し悔しいな、とは。

そんなあれそれは、絶対口には出さないけれど。]

 ……やっぱり持ってるんだ?

[アーモンドチョコ。
ありがとう、食べたくなったら貰う、と、それには素直に頷いておいた。]
(222) 2023/03/02(Thu) 11:22:46

【人】 黒崎柚樹

[武藤に掴まれたところの腕が、なんだか熱い気がして。

左腕を右手で押さえるようにしながら、夜の湖面を眺めながらぽつぽつと言葉を交わした。]

 いや……案外、平気。

 男も女もごちゃ混ぜで男部屋でカード大会して、
 眠くなってその場で爆睡して怒られたくらいには。

 …………って、いや、男部屋じゃなく。
 女部屋、で。

[気が緩んでたのかな。

いくらかの懐かしさを感じる湖の風景に、ウッドデッキに置かれたベンチ。
表情を隠す薄暗さもあって、うん、緩んでいたんだろうな。

大部屋云々の話を向けられて、つい、去年の合宿の事を語りかけ。

慌てて訂正しながら、そもそも夜そんな強くないから早く寝てしまうと思う、と早口めに言い添えた。]
(223) 2023/03/02(Thu) 11:23:21

【人】 黒崎柚樹


 ……どうだろ、あれも子供の頃にしか乗ったことないな……。

[スワンボートを視界に収めつつ、でもああいうのは恋人同士で乗るものじゃないの?と武藤へは胡乱な視線を向けてしまう。

漕げと言うなら漕ぐけど。全力で。

多分、すごい勢いで湖面を爆走するスワンという、あんまりない光景が見られるだろうなとは思うけど。]

 スワンも案外運動には良いかもだけど……、
 でも、ボート漕ぐ方がしたいな。

[あれも良い運動なんだよ、マシンジムにボート漕ぎの動きを模したローイングマシンというのがあるくらいなんだから。]

 広背筋と僧帽筋。効くよ?

[そんな話をしていたら、照れたり焦ったりで不穏だった顔色もいくらか平常に戻りかけてきていたというのに。]
(224) 2023/03/02(Thu) 11:24:57

【人】 黒崎柚樹


 ────………………え……。

[絶句した。

突き出された拳に、反射的に受け止めるよう広げた手のひら。
三角形みたいな、円錐みたいな、個性的な形のチョコの包みが落とされて。

────『なんか食べたら落ち着くかなって』
────『それにチョコは特に落ち着くので』

耳奥に、あの時の武藤の言葉が蘇る。

あれは、今年のお正月。
二人の名を刻んだ指輪を、一緒に受け取りに行った。

指輪は武藤からのクリスマスプレゼントで、イブの日に指輪を選び、刻印する文字を決めて。

年明けの当日、緊張や照れでどうしようもなくなってしまった私が、"おまじないの言葉とかは無い?"と武藤に無茶振りした結果が、口の中に放り込まれたこのチョコだった。]
(225) 2023/03/02(Thu) 11:25:38

【人】 黒崎柚樹


[ああもう、悲しいくらいに武藤だなあ。

私への恋心とか、性別の認識とか。
そんなものが全部消えてしまっていても、優しいのは変わらないし、私はやっぱり武藤の事が大好きで。]

 ……………………っ。

[俯いたら、ベンチの板張りにぽつぽつと水滴が落ちた。

肩も震わせず、声も漏らさず。
ただ泣き出した私に、武藤が焦らないわけないのは解ってるのに。

涙を止めようとすればするほど喉奥から変な音が出てしまいそうで、せめてとチョコを持たない方のパーカーの袖を目のあたりに強く押し当てた。]

 ごめ……ちょ、と、思い出すこと、あって。
 たいしたことじゃ、ない。

[大丈夫。武藤には、関係ないことだから。*]
(226) 2023/03/02(Thu) 11:27:15

【人】 黒崎柚樹


[ごく僅か、風で立った波とも言えないくらいの波が、岸に当たって微かな水音を立てているくらいの静けさの中。

武藤の「……は?」はそこそこしっかり耳に届いた。

囁き程度の声量にしたところで、武藤の地声は大きいから。]

 ………………?

[ああ、"クールガイ"が女子部員の部屋で遊んでそのままそこで寝るとか、デリカシー無さすぎるとかそういう?と理解して、そこをとやかく突っ込むことはせず。

そもこの話は元々の武藤にもしたことがない。
見た目の印象より遙かに慎重で警戒心の強い武藤は、私に常々警戒心を持てと言い続けていたから、過去の話とはいえそんなエピソードを口にしたら渋い顔をするだろうことは想像に難くなかったから。

でも、今の武藤が、今の自分に対して警戒心云々で渋い顔をする理由はないのだし。]
(242) 2023/03/02(Thu) 15:43:39

【人】 黒崎柚樹


 筋トレっていうか……スポーツ?

[不思議そうにボート漕ぎは筋トレの一環なのかと武藤に問われ >>236 、まあ大体そんな感じ、と、真面目に頷いてしまう。

テニスや水泳と一緒だよと続けたけど、そういえば、"海遊び"みたいな記憶は子供の頃が最後のもので、水着になったらガチ泳ぎするみたいなのしかしてないな、とは。

そういえば、数多のサークルに所属しているコミュ強の武藤は、バーベキューもしたことあると言ってたから、夏の水遊びも色々行ってるんだろうな。

先の事すぎて特段約束をしてるとかは無いけれど、武藤と海かプールに行くなら、いかにもなスポーツ用の水着しか持っていない自分は新調しなきゃなとうっすら考え、いや、そんな未来も、今は来るかも解らないじゃない、と打ち消して。

武藤と2人で居られるのが楽しいのと、苦しいのと。

多分、積もりに積もった感情は、コップの縁から溢れる寸前だったんだろう。]
(243) 2023/03/02(Thu) 15:44:32

【人】 黒崎柚樹


 …………っ…………、

[涙、止まってよ。

武藤、困ってるじゃん……と、自分で自分を宥めようとしても、ぽたぽたどころかぼろぼろと溢れ続ける涙は、涙腺が壊れてしまったのかなと思うほど。

目を覆っている今は、武藤がどんな顔をしているのか、呆れてるのか困ってるのかも解らなかったけど。けれど、泣いている友人を前に去って行くような人でもないから、ひたすら、ごめん、って思っていた。

なんでもないんだよ、と伝えるように、私は緩慢に首をふるふると左右に振っていたのだけれど。]
(244) 2023/03/02(Thu) 15:45:08

【人】 黒崎柚樹


 ……ッ!?……へ……?

[とても覚えがあるよ。その、"バチン!" >>239 って音。
冷静になろうとか、気合い入れようみたいな時、時々武藤がする仕草。

泣き濡れた顔を思わず上げてしまったら、武藤が両頬から手を外すところだった。]

 ど、した、の…………。

[目を見開いたら、最後の涙の1滴が目縁から溢れていったけど、びっくりしたあまりに涙は止まった風だった。

ふに、と銀紙が外されたキスチョコが、口元に押し当てられ、おずおず口を開いたらそのままころんと口中に押し込められて。

記憶、無いんだろうに。自覚もきっと無いんだろうに。
あの時と同じ、"おまじない"のつもりなのかな。]

 ………………。

[じわ、と体温で溶けていく甘くてほろ苦い武藤の大好物に、かし、と奥歯を立てて、俯きながら十数秒ばかり、私は無言でもぐもぐと口を動かしていた。]
(245) 2023/03/02(Thu) 15:45:43

【人】 黒崎柚樹


[本当は、武藤にして、って言いたかったけど。

でも今はそれをしちゃいけない気がしたから、私は左手だけゆるりと上げ、そこそこの勢いで自分の頬をバシン!と叩いた。]

 ……ッ…………ったぁ……。

[痛いなあ。
痛いけど。

でも胸の方がずっと痛くて、それでもまだいくらかは頑張れる、と思えた。頑張らなくちゃ、って。]

 ……ごめん。もう大丈夫。

 そろそろ御飯炊き始めてるだろうし、コテージに帰ろう?

[武藤が言う通り、何か食べれば元気出るし、今、出たし。大丈夫だよと立ち上がった。*]
(246) 2023/03/02(Thu) 15:46:26

【人】 黒崎柚樹


 うん、大丈夫。
 象並に皮膚、丈夫だから。

[とか言ったら象が可愛そうなくらいには丈夫だから、と、小さく返す。

"あんまりやると顔腫れるぞ"は、以前、同じことをした時にも武藤に言われた言葉。

懐かしさに目を細めつつまた泣きたくなってしまったけれど、泣く前に手のひらを頬に押し立てられて、ひくりと激しく肩を揺らすことになった。]

 な、に……してる、の。

[男友達の頬をこするとか、する人だっけ。しないよね。

半ば無意識だろうそんな行動や、言葉の端々、私の知ってる武藤が確かに存在する気配は、確かにあって。]
(256) 2023/03/02(Thu) 18:29:56

【人】 黒崎柚樹


[けど、私の側からはやっぱり何も言えなくて、告げられた言葉は"コテージに帰ろう"くらいのもの。

張っていた気がいくらか緩んでしまっていたのか、眼前、差し出された手には素直に甘え、く、と力を入れて立ち上がってから離して良いよと力を抜いた。

その手のぬくもりに縋る未練は絶対持つものか、と、そこだけは強い意志を抱き続けていたけれど。]

 ……うん。新月って、本当に暗いんだね。

[こういう風な"ちゃんと暗い夜"って日常暮らしてる空間だとあまり出会えないしね、と、会話はぽつぽつととりとめなく、穏やかに続いて。

往路よりもさして時間もかからなかった感覚と共に私たちはコテージに辿り着いたのだった。]
(257) 2023/03/02(Thu) 18:30:50

【人】 黒崎柚樹

 簡単に言えば、具を刻んで炒めて、御飯も混ぜて炒めて。
 器によそって卵を最後に乗せる。以上。

[そう難しいものでもないでしょう?と告げながら、私は手早く玉ねぎと人参とピーマンを刻み始める。あと、鶏肉も。

武藤に包丁を持たせるのはまだ少し早いと私はよく知っているので、缶詰のがあったマッシュルームを開けてざるにあけてもらうのと、卵を割ってもらうのをまずはやってもらった。

いっぱい食べたいし、卵1人3個かな。3個だな。]

 あと食器。出しておいて。
 オムライス用のと……お酒は缶のまま飲めばいいか。

 あ、でも冷やさないと。

[20分もあれば冷凍庫でそこそこ冷えるからそれでいいかな。
私はビールにする、500缶冷凍庫に入れておいてと容赦なく武藤をこき使えば、数十分前の涙の余韻も綺麗に消えていた。

料理って、刻むとか炒めるとか以外にも、細かい仕事は大量にあるものだから。

炊けた米をこのフライパンに入れろだの、そこのケチャップの蓋あけて良いって言うまでここに絞れだの、本当に色々やっていただいたよ?]
(258) 2023/03/02(Thu) 18:31:45

【人】 黒崎柚樹


 武藤は、卵にかけるのはケチャップ派、だよね?

[デミグラスソースと言われたら、缶詰もあったから出来なくもないけれど。
でも缶詰のソースよりはケチャップの方が、今日のところはきっと美味しいとは思う。]

 卵。
 薄焼き卵でくるむ系のと、上にオムレツ乗ってる系なのと。
 どっちがいい?

[半年前までは、薄焼き卵でくるむ系しか作れなかったんだよね。

今はいくらか練習して、ふわふわオムレツが乗ってるやつも作れるようになったんだよ────とは、武藤の知らないだろう事だけど、どっちがいい?と問うてみた。*]
(259) 2023/03/02(Thu) 18:33:13

【人】 黒崎柚樹


  "ツラの皮"もまあまあ厚いよ?

[普段の調子を取り戻そうとするように、武藤の軽口 >>263 にこちらも軽口をお返しする。

それでもいくらか囁く風な小声になってしまうのは、嗚咽を堪えていたあまりに掠れ声になってしまいそうだったから。]

 ……い、たくはないけど……っ。

[痛くないから触っても良いというものでもないし、ハンカチが貸せる状態じゃないから触っても良いというものでもないと思う。

いや、触って良い悪いというお話でもなくて、そんな行為をする意図を知りたかったのだけれど、こちらか問うてはいけない気がした。]
(279) 2023/03/02(Thu) 22:23:16

【人】 黒崎柚樹


 ん、家の近所だと星が見えてもせいぜいオリオン座だよね。

[あれは明るいし形も解りやすいから見てすぐわかるけど。
今の季節の星座がどんなのかは知らないから、スマホのアプリとか見ながらなら解るだろうか……、なんて。]

 …………武藤の実家って、地方なんだ?

[とうに知っていることを、どころか、訪れたことすらある場所のことを、初めて知ったような口調で返す。

飼い猫は虎千代。飼い犬は太郎。
広い庭には家庭菜園と言うには立派すぎる畑があって、果樹が何本も植わっていた。

武藤と目元がよく似た朗らかなお母様と、穏やかに話しかけてきてくれたお父様と。
そう、武藤は一人っ子なんだよね。いかにもそんな感じはしていたけど。

あの時は、私が武藤の高校時代のジャージを借りたんだっけ。
体型がほぼ同じだと、ああいう時はお互い便利で助かるね。

似たような事を似たようなタイミングで武藤の側でも考えていたとは、知らぬまま。]
(280) 2023/03/02(Thu) 22:23:39

【人】 黒崎柚樹

[包丁は、ね。
オムライス用の野菜はかなり細かく切らなきゃだし、鶏肉も、あれもなかなか滑って切りづらい食材だし、で。

バーベキュー用の茄子や玉ねぎだったら雑に切っても大丈夫だから──なんならピーマンは両断するだけだから、とっても簡単──その時には武藤にお願いできると思う。]

 ……ふふ、良い子。

["かーちゃん"と揶揄されても仕方が無いくらいには、こういう時の私は人使いが荒いという自覚はある。

けど武藤は良いお返事と共に頼んだことを全部してくれた。

いや、これまでもずっとそうではあったのだけど、恋人ゆえの態度なのかなと思っていたものが、どうやらもっと幅広い対象に発揮される素直さであったらしいな?と。

今の私は知り得ないはずの、関係性と距離感の武藤。

せっかくだからこの状況を楽しむ心づもりで居れば良いのかな……くらいには、気分は上向いていた。

結局のところ、私は料理をすることと食べることが大好きで。

それを与えておけばそうそう長くはへこんでいられない、単純な脳味噌なんだよね。]
(281) 2023/03/02(Thu) 22:24:10

【人】 黒崎柚樹


 うん。弟が好きだからね、オムライス。

[半分本当。半分嘘。

弟がその方向のオムライスを好むのは本当だけど、練習して綺麗に作れるようにしようと思ったのは、武藤がこのタイプも好きだと言ったから。

くるりと卵の膜でライスを包むのと、上にオムレツ乗せるのと、どっちでも作れるよと言いたくて練習した。

けっこうな数の失敗作はスタッフが美味しくいただきました……ということで、あらたか私と弟のお腹の中に(あと、少しだけ母さんのお腹の中にも)。

見ていていいよ、もうあと卵焼くだけだし、と、大皿に楕円型に盛ったチキンライスはコンロの傍らに置いてもらった。

フライパンに多めにバターを溶かして、しっかり馴染ませて。

卵液一気に注いで、菜箸でくるくる混ぜながら奥側に寄せていき、頃合いに固まったところでぽん、ぽん、と持ち手を叩くようにしながらレモン型した黄金色のオムレツに調えたらできあがり。

ぎりぎり固まった風なやわらかな状態のまま、御飯の上に滑らせたら、たゆんと揺れた。

うん上出来、と頷いて、同じ風にオムレツ作りをもう1回。]
(282) 2023/03/02(Thu) 22:24:37

【人】 黒崎柚樹


 そっちの皿が、武藤ね。

[言ったら不思議そうな顔をされるかな。
そっちのがきっと、オムレツが上手くできたと思うから。]

 ふふ、何への乾杯、なんだろうね。

 でも、うん、…………乾杯。

[触れあわせる程度に缶を合わせ、そういえば、すごく喉渇いてたかも……とは、唇にひんやりした液体が当たったところで自覚した。

こくこくこく、と喉を鳴らしつつ、一気に半量近くは飲み干してしまったんじゃないかな。]

 "サシ飲み"だけど"宅飲み"じゃないしね。
 ……とりあえずノーカン?

[武藤が口籠もる理由を、多分正確に把握して、だから話し辛いことを話すのは今日じゃなくても良いよ、とは。

本当のところは、あのとき告げてしまいたいと思った私の秘密は、今の武藤には言えなくなってしまったことだから、互いが抱える秘密の告白は、日延べをお願いしたい心境ではあった。]
(283) 2023/03/02(Thu) 22:25:00

【人】 黒崎柚樹


[オムライスは、手前味噌だけどよく出来たと思う。

塩気もばっちり、オムレツにケチャップかけるからと、チキンライスのケチャップはいくらか薄めにしておいた。あとはまあ、肉が割と多めなのは私の好み。]

 ……それはさすがにお世辞に過ぎるんじゃない?

 でも、ありがとう。

[あの美術館のレストランで食べたのより美味しいというのは、随分な過大評価だとは思うけど。

でもいつか御馳走したいと思っていた人に、こんな状況下でも食べて貰って美味しいと言って貰えたのは、幸せなことだった。]

 うん……おいしいね。

[今日、何度もは無かった本気の笑顔でふにゃりと笑み崩れながら、大口開けて大きめにすくった御飯と卵を口に運び。

何度目かの缶を口へと傾ければ、早々に缶は空になってしまっていた。]
(284) 2023/03/02(Thu) 22:25:19

【人】 黒崎柚樹


 ……チョコのリキュール、出そうか?

[お酒入ってた棚、奥にチョコレートのもあったよとキッチンの方をちらりと見やる。

こっちもビールもう1缶という気分でもないから、武藤が飲むなら自分もお相伴に預かろうかな、なんて。**]
(285) 2023/03/02(Thu) 22:25:39
 




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